原泰久のレビュー一覧
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ネタバレ山の民の戦いは圧巻の一言。 楊端和は勿論のこと、キタリの立ち居振る舞いも恰好良い。 壁が情けない姿を晒しながらも、土壇場で男を見せてくれたのは救いだった。
一番の見所は、信と王賁がそれぞれの隊を前に言葉を尽くすシーンだ。 緻密な策略というよりは、彼らの素直な心情が兵士の心を打つ展開に 読んでいるこちらも素直に感動し、心が震えるのを禁じ得ない。 対等な立場から語りかける信と、将軍の息子の立場から説く王賁。 アプローチは違えど、その芯にある熱さが共通している点に強く惹かれる。
自分としては、泥臭くて気取らない信の言葉の方が、よりストレートに心に滲んだ。
勿論戦略も重要だが、戦う兵もまた人間だ -
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『キングダム 66巻』を読んだ。
この巻は、秦軍と趙軍がぶつかる「宜安の戦い」の中でも、特に重みのある展開だった。秦は14万、趙は31万。圧倒的不利の中で、李牧の緻密な策が光る。包囲網を築き、相手の動きをすべて読んだような布陣は、まるで時間までも操っているようだった。戦略だけでなく心理戦としても完成されていて、読みながら息が詰まる。李牧の頭脳の恐ろしさを改めて感じた。
その一方で、信は確実に「将」としての姿を見せていた。
飛信隊や楽華隊が次々と包囲される中、信は冷静に全体を見渡し、どこで動くべきかを判断していく。無茶な突撃ではなく、仲間と連携し、犠牲を背負いながらも生き延びる道を選ぶ。その姿 -
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秦軍は、北部攻略という新しい戦線に向けて歩を進める。連合軍として複数の部隊が集い、北上する。希望の一歩かと思われたが、敵は簡単には道を開かせない。総大将・李牧 は、北辺に強固な守りを築き、長城を固めて秦軍の侵攻を阻む。守備陣や狼孟の部隊、その堅牢さと守備の巧妙さは、まるで鉄壁。思わず息を呑む苦境だった。
中盤、「宜安」を目指しての攻勢は、連合軍にとって転換点となる。北東部軍は狼孟攻勢により大きな打撃を受け、崩れゆく流れが見える。これはただの敗北ではなく、“策にハマった敗北”だった。戦線は揺らぎ、仲間の犠牲が痛みとして刻まれる。連合とはいえ、戦いとは甘くないことを痛感させられる。
その中で、 -
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『キングダム 64巻』を読んだ。
勝利の果実は甘くも、そこには深い影が落ちていた。影丘を抜け、武城・平陽を攻略した秦軍。勝利を得たはずの戦地に漂うのは、静けさと違和感。歓声よりも、刃と血を見つめた者たちの喪失感が強く残る。
特に印象深かったのは、桓騎の“非情な戦法”。捕虜を首級として積み上げるという異様な光景は、ただの戦略ではなく心理戦の極致だった。恐怖を演出し、敵の心を折る。狂気と知略が不可分に混ざり合った桓騎のやり方は、勝利という名の代償を読者にも突きつけた。そこには冷たい合理があって、けれども確かな意志がある。彼が見せた勝ち方は残酷だが、その背後には戦を掌握する計算が見え隠れしていた。 -
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この巻は戦場の熱さと人の信念がぶつかり合う、命を懸けた攻防だった。秦軍八万、趙軍は二十四万。飛信隊には“不可能”とも思われた断崖「影丘」が立ちはだかる。崖を登る歩兵たちは、一歩一歩を血と死の覚悟とともに刻み、崖上に作られた「狩り場」へと進む。落石や矢の雨をものともせず、仲間を足場にし、限界を超えて崖を登り切る姿は、生きる意志そのものだった。
信はこの戦いの中心にいた。崖上に達したとき、味方の別働隊や羌瘣率いる部隊と連携し、崖下からの挟撃が決まる。だが最後の壁は趙軍右翼の将・岳白。剣と体術を組み合わせた技で信を圧倒しようとする相手に対し、信は矛を預け剣に持ち替えて真正面から挑む。岳白の攻撃を受 -
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『キングダム 第62巻』を読んだ。
前巻で描かれた“信義の戦い”が終わり、ここから物語は“現実を生き抜く戦い”へと舵を切る。什虎戦の勝利の余韻を残しつつも、国と国、人と人との関係は少しずつ形を変えていく。同盟が終われば、かつての味方も再び敵となる。それでも、歩みを止める者はいない。この巻は、そんな「勝利の後の静けさ」と「次の嵐の予兆」が同居した一冊だ。
序盤では、蒙武たちの戦後処理と魏との関係整理が描かれ、続いて秦国内の新たな動きが見えてくる。桓騎軍が再び前線に姿を現し、冷酷で計算高い桓騎の存在が、秦の中で異質な光を放つ。「致命的なこと」「任命の儀」では、戦の勝敗以上に、“誰が何を背負うのか -
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『キングダム 第61巻』を読んだ。
この巻は、ただの戦ではない。国と国、そして人と人の「信義」を問う戦いだった。舞台は楚の要衝・什虎。秦と魏が三年の期限で結んだ“仮初の同盟”のもと、蒙武、騰、そして魏の呉鳳明が一斉に攻め込む。一見すれば利害の一致にすぎない共闘――けれど、戦場に立つ者たちの胸には、確かな“義”が灯っていた。自国の利益のために刃を交えながらも、互いの背を預け合う。その一瞬にだけ生まれる信頼のかたち。戦略の緻密さよりも、人の覚悟がものを言う巻だった。
一方で、この巻の核心にあるのは「裏切り」と「誇り」だ。楚の将・満羽と寿胡王は、かつて理想を掲げ、国を興した者たちだった。だがその理 -
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ネタバレ韓の王様はどこか素人くさいところがあり、王様向いてねえんじゃないのかと思うところがあったんだけど、ちゃんと情報収集したりひとりで騒いでた戦争続行派のばかちんを躊躇なくころせと命じたりするところが、やっぱ王様だなと思ってしまった。
国も小さくて、仕方なく情報収集とかで生き延びてて、王族も寧様以外は王子がほぼ人質とか、この前の韓非子がスパイ活動しないとダメなぐらい人手不足な大変な国だったけど、博王谷とかヨコヨコとかラクアカンとか名将が多くてホントもったいない。特に韓を秦に引き渡す障害になる戦争続行派の兵士たちを連れていって自分もあっけなくしんでしまったラクアカン将軍には生きてほしかった。いやホント