萩原朔太郎のレビュー一覧
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萩原朔太郎と室生犀星という二人の巨匠がそれぞれについて書いた文章のまとめ本。今となっては二人とも近代詩の伝説のような存在だが、当時の文章を読むと一人の人間として生き生きと見えてくるから不思議だ。パンチのあるエピソードをそれぞれが面白く書き記しており、共著のフィクションを読んでいるような気分にもなる。全部実話なのだけれど。
詩作品だけを見てきたので、朔太郎という人間はもっと孤独で異様な雰囲気のある人なのかと思っていたが、本人の書くエッセイは意外と明るく軽妙な語り口でびっくりした。「室生のことは自分がいちばんよくわかっているから」と自信満々に語るさまには(犀星曰く「決めつけてかかるところがある」 -
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内容が濃い!
萩原朔太郎と室生犀星の共著である本書は、互いへの思いをそれぞれに語った記事を纏めた興味深い1冊で、めちゃくちゃ面白かった!
犀星の幾つかの詩に朔太郎が解釈をつけていたり、互いへ向けた詩を詠んでいたり。
二人が互いに向けた思いをぶちまける。
無花果さん、勧めて下さって有難う御座います♪
本書はまず萩原朔太郎の目線で犀星が語られる。
どうやら彼と犀星は性格も好みも真逆だったよう。
犀星の誘いで移り住んだ田端も朔太郎に言わせれば、「妙にじめじめして、お寺臭く、陰気で、俳人や茶人の住みそうな所」だそうで、「第一始めから印象が嫌いであった。」とバッサリ 笑
芥川龍之介にまで飛び火して、彼 -
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この本で起こる現象と同じ経験をした人はいますか?
「いつも見慣れた風景が、すっかり珍しく変わってしまって、全く別の違った世界に見える。夢から覚め、現実の正しい方位を認識する。そして一旦それが解れば、始めに見た異常の景色は、平常通りの見慣れたつまらないものに変わってしまう。」
「三半規管の喪失」
この現象に私は身に覚えがありました。ずっと気になっていたことなので、この本の考察などを読んでみると、ただ方向音痴なために右と左が逆になってしまって、景色が全く違うように見えるという自分なりの結果が出ました。
この現象について私なりに考えました。
上記のように、萩原さんには全く違う場所に見えたため、い -
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ネタバレ萩原朔太郎は、高校の頃に憧れて、岩波文庫を他の何人かの詩人とともに買って読んでいた記憶があります。
解説の高橋順子さんは巻頭の「言葉以上の言葉」という文章で、日本の近・現代詩は萩原朔太郎抜きにしては何も語れないといってよい。生涯にわたって、詩の言葉と闘い、言葉にいのちを吹き込んだ無二の詩人だったと歴史的にも内容的にも大変褒めていらっしゃいます。
しかし、今、また読み返してみると、これは一介の、田舎の高校生が読んでわかるといった詩ではないのではなかったのかという気がものすごくします。
だいぶん背伸びをして、カッコいいからとか(誰かに読んでいることを話した訳ではありませんが)そういう浅はかな気持ち -
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萩原朔太郎の『猫町』と素敵なイラストがコラボする、乙女の本棚シリーズ第1段2冊中の1巻です。
極度の方向音痴である主人公は、ある時自分のよく知る町で違和感を禁じ得ない場所へ迷い込みます。
そこは全てのものが反転した似て非なる世界で、徐々にこの不可思議な世界へ行き戻る方法を習得していくのです。
北越の温泉地を訪れた際、普段とは違う世界へ迷い込んでしまった主人公。
そこは山とは思えない上品な街並みの都会で、行き交う人々にも気品が溢れています。
しかし、いざ元の世界へ戻ろうとしたところ…。
猫、猫、猫、猫、猫、猫、猫。
不可思議で美しい純文学を不可思議で美しいイラストが彩り、世界観を更に色濃く描く良 -
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初乙女♡
以前一読してすきになった萩原朔太郎の『猫町』
今回は、「しきみ」さんというイラストレーターのかたのコラボ絵本で読んでみる。
まず、主人公がペーパータグのピアスを付けた◯◯◯の姿で表現されているのにびっくり。
そうか!◯◯◯だったら✕✕に恐怖を覚えてもしょうがないもんね。
後半のクライマックスが、主人公を◯◯◯にすることによって活きてくる。
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前半。
いやーぼくってもう旅行とかもう興味ないんだよね。だってどこ行ってもおんなじじゃん?だからクスリでトリップしてたんだけど、からだこわしちゃって、けんこうのために家のまわり散歩なんかしてんの。そしたらさー、道迷っちゃってさ。ははは -
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「堕落させたくないもの程、益(ますます)堕落させたいのです。」
美しい顔をした悪魔はこう言って、涙を流した。
美しいものはそのままにして愛でたい、という思いはあるのに、それを汚してしまいたいと思う己の醜さに悪魔は涙した。悪魔は、人を堕落させるのが仕事なのだろうから、そう思い悩んでしまう辺りが悪魔に似つかわしくなく、哀れんであげたい気持ちになった。
大切にしたいけど、悲しませたい。
清くいてほしいと思うけれど、真っ黒にしたい。
この欲望はどこから来るのだろう。
占有したい感覚、所有して支配したい気持ちは、どうして生まれてくるのだろう。
どうして、美しいものほど、汚したくなるのだろう。
多 -
匿名
ネタバレ 購入済み猫の町
今の日本の倫理観に反する描写もありますが、映像が浮かぶ小説で魅力的だと思いました。
色々なクリエイターさんがこの猫町をビジュアル化したものを見てみたいです。 -
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はい、萩原朔太郎の詩集『青猫』でございますよー
詩集さ、基本的によく分からんよね
で、もう何回もレビューに書いてますが、詩なんてものはね受け取り方は自由でいいと思うんですよね
もう完全にこっちサイドの都合で解釈しちゃっていいと思うんです
後でなんとか大学のなんたら教授の解説読んで「ぜんぜん違うやん!」と思っても恥じることなどないのです
むしろさすがの感性やな自分!と胸を張っちゃっていいのです
はい言い訳はこのくらいにして(言い訳言っちゃってるじゃん!)『青猫』です
女性のことを歌った詩や女性のメタファーと感じられる詩が多かったような気がします
やっぱ男の目から見た女性って謎なのよ
ナ -
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ネタバレ目次
・薄暮の部屋
・寝台を求む
・青猫
・月夜
・春の感情
・恐ろしく憂鬱なる
・夢に見る空家の庭の秘密
・黒い風琴
・みじめな街灯
・題のない歌
・鴉毛の婦人
・猫柳
・怠惰の暦
・閑雅な食慾
・蒼ざめた馬
・顔
・自然の背後に隠れて居る
・片恋
・夢
・春宵
「乙女の本棚」という、乙女受けするイラスト付きの詩集や短編などを収録しているシリーズ。
正直、詩にイラストがつくと、詩に対するセンスの持ち合わせのない私は、イラストにずいぶん引っ張られてしまうので、イラストは不要だ。
しかもこのイラスト、詩を表現しているというよりも、詩と並行してそこにあるという感じ。
ピンとこない。
なので、 -
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〈乙女の本棚シリーズ〉
萩原朔太郎+しきみ
まず驚いたのは「刀剣乱舞』のキャラクターで知られるイラストレーターしきみさんの絵がアニメを観ているようで今にも動きだすのでは…と感じるほど魅力的だった。
萩原朔太郎の小説も現代版のように感じてSFの世界へ入り込んだような気分だった。
旅は、単なる同一空間における同一事物の移動にすぎないと思っていた私が、ある日狐に化かされたかのようにふと道を間違え、方角をわからなくしてしまう。
偶然の発見から違った世界へ。
どこへ迷い込んだのか、それとも悪夢か。
猫の大集団がうようよと…。
幻影だったのか…。
それは「三半規管の喪失」にかかったからだと。
なんと