山内志朗のレビュー一覧
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『世界哲学史』シリーズ全8巻は、時間的には古代から現代まで、空間的には世界全体を視野に入れて哲学史を叙述するという壮大な企図の下に編まれたプロジェクトであったが、本巻では、十分論じき切ることのできなかった問題を取り上げるということで、新たに13の論考が収録されている。
「デカルト『情念論』の射程」「インドの論理学」「イスラームの言語哲学」「イタリアの現代哲学」「ポスト世俗化の哲学」「正義論の哲学」など、タイトルを見ただけでもバラエティに富んでいるのが分かるが、その内容自体難しいことに加え、それぞれの論考が分量の制約もあり短めなので、なおさら一般読者には敷居が高い。自分の興味が湧く論考に付されている参考文献を読んで、その内容の理解に努めていくのが良いのではないだろうか。
加えて本巻では、編者による振り返りの鼎談があって、各巻のエッセンスや各論考の関連性、編者自身の考え方などについて言及がされているので、各巻を読むに当たって大変参考になると思われる。
一度や二度読んだくらいでは歯が立たないというのが、全巻を通読しての正直なところだが、西洋偏重だった ”哲学” というものについて、どういったことが問題とされているのか、どういった試みが行われているのか、多少なりとも理解することはできたかと思う。 -
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入門書としてはかなり歪という気はする。中世スコラ学という時間的にも人員的にも膨大なものの入門書を、安易に造ろうとするなら人名と書名をズラズラと列挙するようなものにならざるを得ない。しかも研究そのものが行き届いているとは言えない状況では、山内氏の言う、避けて通るための図式を連発することになるだろう。それは避けたいというのは分からないでもない。とはいえ、これでは山内氏自身も自嘲的に語るよう「中世哲学入門」ではなくて「スコトゥスの存在の一義性入門」である。とにかくまたスコトゥスかよ状態なので、後半は正直うんざりした。大きな見取り図的なものを提供することに拘らず、つまみ食い的でもいいから、いくらでもあるはずの面白そうなトピックを紹介するような形の方が、入門書には相応しかったかも知れない。あと、トマスに対する言及がいくらなんでも少なすぎる。日本語で手軽に読めると縛りを掛けたなら、中世哲学よりトマ学の方が文献は多いような状況だから、あえてトマスはメインで扱わないという戦略はありだと思うが、さすがにこれは極端すぎるだろう。
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【分析哲学の興亡】一ノ瀬正樹
エルンスト・マッハの要素一元論@世紀末ウィーン
思惟経済
→ウィーン学団の「論理実証主義」
→分析哲学
カルナップの原始的、AJエアの倫理
ヒュームの法則であるからべきへ→自然主義的誤謬
べき=論理的規範
クワイン「経験主義の2つのドグマ」→オースティンの言語行為論
【ヨーロッパの自意識と不安】檜垣立哉
ベンヤミン「暴力批判論」「複製技術時代における芸術作品」
【ポストモダン、あるいはポスト構造主義の論理と倫理】千葉雅也
現代思想=否定神学システム(東)
思弁的実在論
フランソワ・ラリュエル
→非標準哲学=メタ・メタ哲学
カトリーヌ・マラブー
→外部なしの内在的な変化を求める破壊的可塑性
【フェミニズムの思想と女をめぐる政治】清水晶子
【世界宗教者会議】冲永崇司
「仏陀による教えとしての因果の法則」釈宗演
創造者ではなく発見者
【哲学と批評】安藤礼二
シャルル・ボードレールからなるフランス象徴主義
→ランボー、マラルメの象徴の詩学
→ベルクソンの記憶、サルトルの想像力の詩学
【現代イスラーム哲学】中田考
【現代資本主義】大黒弘慈
【中国の現代哲学】王前
【AIのインパクト】久木田水生
【日本哲学の連続性】上原麻有子
多元的対話
【アジアの中の日本】朝倉友海
【現代のアフリカ哲学】河野哲也
アルジェリア独立運動におけるフランツ・ファノン
プラシド・タンペルのエスノフィロソフィー
【ラテン・アメリカにおける哲学】中野裕考 -
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昨年の前半は、「世界哲学史」が月1冊出るので、読まないと次がまたくるという強迫観念があった。というわけで、せっせと読んでいたのだが、第8巻がでたら、そのプレッシャーはなくなり、昨年末にでた別巻をようやく3月に読んだ。
前半は、編者による対談での振り返りと編者による追加的な論考。そして、後半は、全8巻のなかで扱えなかったトピックをカバーするという構成。
もともと20世紀以降の哲学は1冊しか割り当てられていないので、仕方のない面はあるのだが、現象学や実存主義に関する記載はかなり薄い感じがあったのだが、編者はそこは意識しているのだけど、そこはこの別館でもあまり扱われない、というのは、面白いな。(個人的には現象がよくわからないというのもあって。。。。)
今回、面白かったのは、中国哲学のヨーロッパへの影響とか、ナチスの農業思想、モンゴルの仏教みたいな話し。どれも知らない話しなので、新鮮な驚きが。。。。
で、締めは、「正義論」。現代の「正義論」といえば、ロールズを起点とするわけだが、そこに対する批判の視点の視点。そして、それも西洋哲学内の批判ではなく、「世界哲学」という立場からの批判の視点の整理は、納得性は高い。
全体としては、別巻ということで、本巻ほどのテンションはないのだけど、ちょっとリラックスして余韻を楽しむみたいな感じかな。 -
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世界哲学史全8巻が好評だったそうなので、編者のお一人である伊藤先生の発案により、別巻発刊となったそうだ。ただ、伊藤先生がご病気ということになってしまい、本巻の座談会は残りの3名の編者による鼎談となっている。その他、16編の論考を収録。うち13編は「Ⅱ.世界哲学史のさらなる論点」でさまざまな論点が提示されている。個人的には頼住先生の「道元の哲学」や岡田先生の「イタリアの現代哲学」、乗松先生の「ロシアの現代哲学」、そして神島先生の「正義論の哲学」などが興味深かった。もちろん短い論考が多いので、隔靴掻痒というか食い足りないというか、そういう部分も多いのだが。それは参考文献を読んでねということなのだろう。
あとがきでは別巻の続編も考えられているそうなので、期待したい。