金子成人のレビュー一覧
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良いねぇ〜。
実に良い!
短編がいくつか合わさり、話になっている作りなのだが、どれも良い。
お家を放逐され荒れて、放蕩のかぎりをしていた六平ただが、父親の後妻の母が亡くなり、後に残った義理の妹が、古着の仕立てでどうにか食いつなぐ生活が続き、やっと兄としての自覚も戻り、自分で『付き添いや』という商売を作り、大店の娘や妻などの芝居小屋への付き添いなどを生業としている。時として用心棒のように安全に家まで送るまでを仕事としている。
さて、どうにか人間らしい生き方になってきた六平太。
今回の話は、小藩の妾の娘が意に沿わない西国への嫁入りを前にして、母親がせめて少しは江戸の楽しい思い出をと、六平太に -
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時代小説のシリーズ物というのは、なんといっても登場人物像がいかに魅力的か?と、いうことが一番だ。
初めて手にしたこの「付き添い屋 六平太」シリーズ第1巻。
信州十河藩で、藩主の籠の警護を役目とする供番だった秋月六平太。内紛の煽りで父は切腹し、脱藩することになった。後妻のハハと、その連れ子、佐和と江戸の長屋で暮らすが、六平太は、家を顧みないで身を持ち崩していたときに、苦労を重ね、母はなくなる。
義理の妹が成長するに従い、なんとなく家にいづらくなり、恋人の髪結、おりきの元に。
愛情豊かなおりきと暮らすうちに六平太も、持ち前のおおらかで正義感強い本来の男に戻る。
そんな魅力いっぱいの主人公 -
購入済み
初刊から読ませていただいています。時代小説の心地よい要素、(人情・男気・そこに女性とのかかわり)といったものがふんだんに盛り込まれており、読み手を飽きさせない、まさに私にとっては至福の小説といってよいかと思っております。当面「おりき」との関係が心配されるわけですが、女性の内面は男にとって理解に苦慮するところでもあり、今後の展開が気にかかるところでもあります。
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ネタバレ四つの短編の中に、江戸の人々の悲喜こもごもが詰まっている。
藩の抗争に巻き込まれ、浪人となってしまった秋月六平太は、良家の子女の付き添いをして、日々の暮らしをしのいでいる。付き添い先は、味噌問屋や琴の先生などなど様々だが、どの家も現代と同じく、様々な事情を抱えていて、六平太は好奇心や人情から、その事情に巻き込まれたり、自分から首を突っ込んでいったりする。
江戸の世はずっと、太平というイメージしか無かったのだけれど、単純な身分制度に分類されない人間関係とか、大きなお店だと結婚問題とか、とかく現代にも通じるような厄介な問題は、この時代にも山積していたのだなあと思った。武士の体面は大変だ。
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Posted by ブクログ
ネタバレ長く脚本家として活躍して来た著者らしい、どこまでも王道な、人情時代劇。想い人を探して江戸へやって来た女性がお金が無くて困窮したり、大名行列を横切って武士に突き飛ばされ、昏睡状態に陥った息子の為に復讐する父親の話などなど。現代にも通じる、江戸っ子達の悲喜こもごもが描かれている。全4編。
最後の「祝言」で、血のつながらない兄・六平太へ複雑な想いを抱きながら呉服屋へ嫁いでゆく義妹・佐和の物語は、それまでの登場人物が勢ぞろいして、4編のまとめ的な意味合いであるのと同時に、一つの区切りにもなっていて、筋自体はとっても王道なのだけれど、佐和の姿に思わずホロリとした。
勧善懲悪、ほぼ大団円の物語な