金子成人のレビュー一覧

  • 脱藩さむらい 抜け文

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    抜け荷をしている嶋尾側と、その反対の勢力、改革側の筧との出会いがあり、双方の情報を知り得る立場となった香坂又十郎。

    愛妻に送った蜜柑の櫛に気づき、江戸にやってくることに。
    船宿に調理人として働くことになり、ますます新事実も耳にすることになった。

    新しい段階に入った又十郎。
    気が揉める展開である。

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    2020年07月12日
  • 脱藩さむらい 蜜柑の櫛

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    国元の妻や親戚の命にも関わると脅かされて、なおも江戸屋敷目付、嶋尾久作の手先となって暗殺などをすることが重なる。

    が、しかし香坂又十郎は、機会を探っていた。
    言いなりになっていたのでは、義理の弟、数馬に申し訳がたたない。真相を探ろうと密かに動き出す。

    密偵を何人も雇う嶋尾に気取られてはならない。
    その緻密な話の運びが実にうまい!

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    2020年07月12日
  • 脱藩さむらい

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    新シリーズは、冒頭から丁寧に主人公の人となりを、丁寧に描いてゆく。

    妻にも仕事にも真摯に向き合い、剣を愛し、釣りを愛し、人を愛する主人公を魅力的に描く。

    ところが読み進めてゆくと、事もあろうに、どう見ても悪役側にその運命を翻弄されてゆく。

    国元で正義を貫く奉行所でお頭として働くその人が、自分たちに反対する勢力を削ぎ落とすという殺し屋として働かされることになるのだ。

    すでに主人公に魅力を感じている読者である我々は気を揉むばかり。。。。

    期待大のシリーズ第1巻。

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    2020年07月12日
  • 付添い屋・六平太 鵺の巻 逢引き娘

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    全く上手な作家だ!
    今回も4つのエピソードを中心にしつらえ、放蕩を重ねた頃にできた息子(名乗りはあげていない)の成長ぶりを、隠蔵の友人を絡めた仇討ち騒ぎにし、はたまた隣に越してきた隠居とも仲良く酒盛りする間柄になったものの、小さな疑問がだんだんと膨らみ。。。。

    絵師の師匠と弟子の話やら、、、盛りだくさん!あっという間の時間だった。

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    2020年07月10日
  • 付添い屋・六平太 姑獲鳥の巻 女医者

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    おりきも音羽に帰り、元の生活に戻った。
    道場主が骨折し、一年あまり六平太は、師範代をしてきたが、潮干狩りで、ゴロツキと騒ぎを起こしたことがきっかけで、口入れ屋が文句を言ってきた。
    佐和が、口入れ屋の苦情も、もっともだと言い、またしても付き添い屋に。

    中条流の女医師の付き添い、天才的な将棋棋士の付き添い、など再び呑気な暮らしが戻る。

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    2020年07月10日
  • 付添い屋・六平太 天狗の巻 おりき

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    何も告げずに姿を消したおりき。
    神奈川宿で見かけたという話が。
    一年もなしの礫で、二人とも相手に連れ合いができたのではないかと、尚更再開の機会を失っていた。

    孝行息子と奔放で迷惑をかける母親の話。

    悪辣な家主に追い払われようとする長屋の人々に同情し、なんとか支度金を払わせることに成功。

    それが縁で新しい友人が増える。

    ホロリとくるイイお話4篇。

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    2020年07月10日
  • 付添い屋・六平太 獏の巻 嘘つき女

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    秋は付き添い家にも忙しい時期。
    ある日、知り合いの同心から、支柱引き回しの付き添いを頼まれる。

    盗賊の頭立った男が、未だ金の隠し場所を教えない。
    きっと捕縛を魔逃れたその配下の接触があるはずだった。

    その話を今回は全編に散らばせつつ、いくつかのエピソードを絡ませる。

    イイ話揃い。

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    2020年07月10日
  • 付添い屋・六平太 玄武の巻 駆込み女

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    今回もハズレなし。

    今回は珍しい付き添い、離縁をしたい女房が鎌倉の東慶寺に行くのを付き添ってほしいという依頼。

    はたまた、評判の和菓子屋を、陰謀を持って立ち行かなくし、乗っ取りを重ねて、評判の和菓子の作り方もろとも字乗っ取って、大名のお抱え和菓子屋として大きくしていた「甘栄堂」その悪を暴く。

    その一方、心配なのは妹の恋の行方。

    隠蔵という隠し子のことがおりきに、わかってしまう。

    進展のある回。

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    2020年07月09日
  • 付添い屋・六平太 鷺の巻 箱入り娘

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    良いねぇ〜。
    実に良い!
    短編がいくつか合わさり、話になっている作りなのだが、どれも良い。

    お家を放逐され荒れて、放蕩のかぎりをしていた六平ただが、父親の後妻の母が亡くなり、後に残った義理の妹が、古着の仕立てでどうにか食いつなぐ生活が続き、やっと兄としての自覚も戻り、自分で『付き添いや』という商売を作り、大店の娘や妻などの芝居小屋への付き添いなどを生業としている。時として用心棒のように安全に家まで送るまでを仕事としている。

    さて、どうにか人間らしい生き方になってきた六平太。

    今回の話は、小藩の妾の娘が意に沿わない西国への嫁入りを前にして、母親がせめて少しは江戸の楽しい思い出をと、六平太に

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    2020年07月08日
  • 付添い屋・六平太 鳳凰の巻 強つく女

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    六平太の妹、佐和に子供が生まれた。男の子だった。
    妹夫婦も仲が良く幸せそうだった。
    姿を消した9年来の恋人、おりきの行方は以前としてわからない。

    菊次も修行の甲斐と一生懸命さが功をそうして1年で板前となった。今ではおいしい料理を出せるようになった。

    六平太も一軒家から一人住まいにふさわしい長屋住まいとなる。隣にあん摩の杉の市が越してくる。

    口が悪くとも、職人を育てようと鬼となる後妻の
    お寅の付添人になって、その愛情深さを知ったり。

    今回も市井の人々の人情の細やかないきづかいのわかるかい。

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    2020年07月08日
  • 付添い屋・六平太 朱雀の巻 恋娘

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    今回は六平太の義理の妹の再婚話。子連れの鳶の音吉とのやり取りに、周りも気が揉める。
    芸者の京の手伝いもあってどうにか話がまとまる。

    旧藩の揉め事に、無頼の頃の息子の最近の様子など、次々に悩まされる今回の六平太。

    人間らしさが前面に出ている読み応えのある回。

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    2020年07月08日
  • 付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘

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    うまい!
    血が繋がらない妹の関係も、請われて嫁ぎ一安心していたが、あまりに懸命に頑張る佐和に、かえって不審を抱き夫婦仲が壊れる。

    付添人となって付き添った大店の娘には、その奔放な行動の裏に、、、。

    通りかかった大名の籠の前を通ってしまった農家のせがれ、幼いのに手討ちにされそうになる。
    殴打され重傷を抱えた子供は、一命は取り止めたものの意識が戻らない。
    農家の父親はその大名の門前に、毎朝糞尿を浴びせかける。

    父親を捕らえようとする勤番の武士たちと、六平太のお節介。

    エピソードそれぞれが、実に生き生きと表現されていて、面白かった!

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    2020年07月03日
  • 付添い屋・六平太 龍の巻 留め女

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    時代小説のシリーズ物というのは、なんといっても登場人物像がいかに魅力的か?と、いうことが一番だ。

    初めて手にしたこの「付き添い屋 六平太」シリーズ第1巻。

    信州十河藩で、藩主の籠の警護を役目とする供番だった秋月六平太。内紛の煽りで父は切腹し、脱藩することになった。後妻のハハと、その連れ子、佐和と江戸の長屋で暮らすが、六平太は、家を顧みないで身を持ち崩していたときに、苦労を重ね、母はなくなる。

    義理の妹が成長するに従い、なんとなく家にいづらくなり、恋人の髪結、おりきの元に。

    愛情豊かなおりきと暮らすうちに六平太も、持ち前のおおらかで正義感強い本来の男に戻る。

    そんな魅力いっぱいの主人公

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    2020年07月02日
  • 付添い屋・六平太 天狗の巻 おりき

    購入済み

    初刊から読ませていただいています。時代小説の心地よい要素、(人情・男気・そこに女性とのかかわり)といったものがふんだんに盛り込まれており、読み手を飽きさせない、まさに私にとっては至福の小説といってよいかと思っております。当面「おりき」との関係が心配されるわけですが、女性の内面は男にとって理解に苦慮するところでもあり、今後の展開が気にかかるところでもあります。

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    2017年04月18日
  • 付添い屋・六平太 玄武の巻 駆込み女

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    ネタバレ

    太平の世に思える江戸時代にも、勿論市井の人々の悲喜こもごもはあったのだなあと、このシリーズを読む度に、再確認させられる。私が唯一読み続けている時代小説。


    いつの時代も女は強かで、惚れた腫れたは厄介だ。
    永久に変わらない様に思えた六平太と情婦おりきの関係、義理の妹の佐和との暮らしにも、少しづつだが変化の兆しが見える。


    江戸の細々した地名が出てくるので、それを知っていたら更に楽しめるのかなあと。良い古地図はないかな。

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    2017年01月25日
  • 付添い屋・六平太 鷺の巻 箱入り娘

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    ネタバレ

    シリーズももう第4弾。今回も六平太が、付添い先で関わった町人などの困りごとを解決してゆく。

    とは言っても、もうどうにもならない事もあり。知恵を絞った聞き込みや、大立ち回りの先に、人の世の無情が香るのだ。

    江戸の様々な場所が出てくるので、江戸の地図が欲しくなりました。

    お佐和さんにも好き男ができ、十河藩との因縁も、新たな局面を迎える。次の巻も楽しみ。

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    2016年04月08日
  • 付添い屋・六平太 鷹の巻 安囲いの女

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    ネタバレ

    シリーズ第3段。相変わらず江戸の市井の人々の悲喜こもごもを描いている。ストーリーは王道な感じがするけれども、結末はどれもハッピーエンドではなく、世の無情を感じる。


    三巻にして遂に、一巻から名前だけ出ていた杉原重蔵(佐和の叔父)が姿を現す。六平太が浪人になって随分たつようだけれども、十河藩のお家騒動はまだ、静まる気配もない。

    閑職に追いやられた六平太の親友・園田勘七と言い、不穏な空気を残して三巻は終わる。僅かに言葉を交わした息子・穏蔵とはまた会えるのか。
    まだまだ先が気になるシリーズです。

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    2016年03月08日
  • 付添い屋・六平太 龍の巻 留め女

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    一ヶ月、小説を読まないようにしていて、復活の際の一冊。
    やっぱり時代小説からと思いまして。
    ずっと気になっていて、やっと手にしました。
    淡々と、でもおもしろく読めました。
    筋の通った登場人物に惹かれます。

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    2015年06月28日
  • 付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘

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    ネタバレ

    四つの短編の中に、江戸の人々の悲喜こもごもが詰まっている。

    藩の抗争に巻き込まれ、浪人となってしまった秋月六平太は、良家の子女の付き添いをして、日々の暮らしをしのいでいる。付き添い先は、味噌問屋や琴の先生などなど様々だが、どの家も現代と同じく、様々な事情を抱えていて、六平太は好奇心や人情から、その事情に巻き込まれたり、自分から首を突っ込んでいったりする。

     江戸の世はずっと、太平というイメージしか無かったのだけれど、単純な身分制度に分類されない人間関係とか、大きなお店だと結婚問題とか、とかく現代にも通じるような厄介な問題は、この時代にも山積していたのだなあと思った。武士の体面は大変だ。

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    2014年09月16日
  • 付添い屋・六平太 龍の巻 留め女

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    ネタバレ

     長く脚本家として活躍して来た著者らしい、どこまでも王道な、人情時代劇。想い人を探して江戸へやって来た女性がお金が無くて困窮したり、大名行列を横切って武士に突き飛ばされ、昏睡状態に陥った息子の為に復讐する父親の話などなど。現代にも通じる、江戸っ子達の悲喜こもごもが描かれている。全4編。

     最後の「祝言」で、血のつながらない兄・六平太へ複雑な想いを抱きながら呉服屋へ嫁いでゆく義妹・佐和の物語は、それまでの登場人物が勢ぞろいして、4編のまとめ的な意味合いであるのと同時に、一つの区切りにもなっていて、筋自体はとっても王道なのだけれど、佐和の姿に思わずホロリとした。

     勧善懲悪、ほぼ大団円の物語な

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    2014年08月18日