【感想・ネタバレ】付添い屋・六平太 虎の巻 あやかし娘のレビュー

ユーザーレビュー

Posted by ブクログ 2017年08月15日

 2巻目。

 『あやかし娘』『武家勤め』『むかしの音』『雪の朝』の4編。


1巻目より、さらに面白くなった。登場人物に慣れてきたからかな。


 最初の短編『あやかし娘』は大して面白くなかったけど、その他の3編は秀逸。


 『武家勤め』は六平太がある小藩の世継ぎの少年(でも妾の子)を助けたこと...続きを読むが縁となって、その少年の武術指導のお勤めを始める話。
 六平太には同じぐらいの息子がいたが、荒んだ生活をしていたころ、生活が立ち行かず、その子が3歳のときに養子に出してしまい、それ以来、会っていない。
 その少年に自らの息子の姿を重ね合わせて熱血指導してしまう六平太と、強くなりたいと必死に稽古にくらいつく少年の一途な姿に感動を覚える。結構良い話。


『むかしの音』かつて実家の火災で味わったショックと、傷の治療に用いた薬のせいで目が見えなくなってしまった娘の話。盲目になってからは琴の腕を磨き、その道のプロとして若くして師範となった娘が、あるとき町中で聞いた職人が槌を振るう音がきっかけで、かつての恩人の消息を知ると言う話。
 せつない結末になるが、これも結構良い話。


 『雪の朝』は結婚した佐和と夫の間に亀裂が入る話。
容姿端麗、才色兼備の佐和だが、妻に欠点が何もないことで逆に惨めな気分になっていく夫との間で関係が悪化していく。そして夫は佐和のある気持ちに気づく。
佐和も夫も良い人なのに、関係が壊れていくので、やるせない気になる。


 ラストは佐和にとっては良かったのかもしれないが、これで終わってしまっては兄として六平太は困るだろう。
 読者も困る。
 もっと続いて欲しい。

このレビューは参考になりましたか?

Posted by ブクログ 2020年07月03日

うまい!
血が繋がらない妹の関係も、請われて嫁ぎ一安心していたが、あまりに懸命に頑張る佐和に、かえって不審を抱き夫婦仲が壊れる。

付添人となって付き添った大店の娘には、その奔放な行動の裏に、、、。

通りかかった大名の籠の前を通ってしまった農家のせがれ、幼いのに手討ちにされそうになる。
殴打され重...続きを読む傷を抱えた子供は、一命は取り止めたものの意識が戻らない。
農家の父親はその大名の門前に、毎朝糞尿を浴びせかける。

父親を捕らえようとする勤番の武士たちと、六平太のお節介。

エピソードそれぞれが、実に生き生きと表現されていて、面白かった!

このレビューは参考になりましたか?
ネタバレ

Posted by ブクログ 2014年09月16日

四つの短編の中に、江戸の人々の悲喜こもごもが詰まっている。

藩の抗争に巻き込まれ、浪人となってしまった秋月六平太は、良家の子女の付き添いをして、日々の暮らしをしのいでいる。付き添い先は、味噌問屋や琴の先生などなど様々だが、どの家も現代と同じく、様々な事情を抱えていて、六平太は好奇心や人情から、その...続きを読む事情に巻き込まれたり、自分から首を突っ込んでいったりする。

 江戸の世はずっと、太平というイメージしか無かったのだけれど、単純な身分制度に分類されない人間関係とか、大きなお店だと結婚問題とか、とかく現代にも通じるような厄介な問題は、この時代にも山積していたのだなあと思った。武士の体面は大変だ。

 そして、なんと言っても最後の「霜の朝」は染みた。幸せになるんじゃなかったのかい、お佐和さん・・・・。彼女は最後には六平太と一緒になるんだろうか。おりき姉さんはなんとなく、そんな未来にも勘付いていそうな感じ。そして、全く沈静化を見せない、十河藩のその後は如何に。次巻は発売されるのか、気になる。

このレビューは参考になりましたか?