西永良成のレビュー一覧

  • 冗談

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    ミラン・クンデラの初の長編作品である本作。冒頭、故郷の街に降り立ったルドヴィークの目的も過去もまったく見せずに始まるこの物語は、語り手を替え時代を行き来しながら展開し、少しずつ彼と彼に関わる人々の背景や生き様を明らかにしていく。まずこの構成に引き込まれて、一気に読んだ。
    1949年、前年の二月事件によりソ連型共産主義政権が樹立したばかりのチェコスロバキアで、党を支持する学生の一人として時流に乗りながらも、ごく普通の若者らしく恋に懊悩していたルドヴィーク。彼が離れた場所で過ごす恋人の楽しそうな様子をやっかんで書き送ったほんの「冗談」のつもりの葉書が、党、そして大学から彼を追放するに至る運命の転換

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    2021年10月27日
  • 笑いと忘却の書

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    7部構成であったが、1部ごとに話が全く異なり、主人公も異なる。幻想的なストーリーがほとんどである。チェコの政治状況も少し含んで書いてある。

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    2021年06月11日
  • 別れのワルツ

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    本人がフランス語で書いた小説である。結末は簡単に推測できるので、推理的な面はない。訳者があとがきで記載しているのは、クンデラは小説にユーモアを入れたかったという。そこで、チェコのユーモアを読み取るためには良い素材であろう。

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    2021年05月27日
  • 冗談

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    存在の耐えられない軽さよりも政治的な小説である。ソルジェニーツィンの収容所群島とおなじような小説である。フランス語の作者の手直しを翻訳したものであり、かなり厚い本であった。チェコでの個人の冗談の手紙がどのように政治的に判断されたか、ということが、大西の神聖喜劇に通じ、日本も同じ歴史を辿ってきたことが感じられよう。

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    2021年05月08日
  • 小説の技法

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    ミラン・クンデラの小説を全て読んでから読む本であった。クンデラの小説を自分で解説しているからである。クンデラがフランス語で書いた本ということであるが、フランス語と英語の翻訳の小説は適当に部分を省略したり、文章をバラバラにしたりしている、と書いているが、チェコ語が読めないので仕方がない。クンデラについて卒論を書くためには必須の本であろう。

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    2021年04月30日
  • レ・ミゼラブル 第二部 コゼット

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    ネタバレ

    現地の教会事情とジャンバルジャンとコゼットが教会で過ごせる様になるまでの話し。
    今回の社会面で書かれてたのは、ある一戦についてとこの時代の教会の実態、闇についてだったから、読み進めるのが少し辛かった。

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    2021年02月14日
  • レ・ミゼラブル 第一部 ファンチーヌ

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    坂幸太郎さんのホワイトラビットの物語の中で
    出てきていたので気になって購入。確かに本筋と少しズレた話し(登場人物の人生についてや、その出来事があった社会背景など)がちょこちょこ挟まれるけど、私はそこが面白いなって思った。西洋美術が好きだから宗教的な話しも違和感なかったし、思いの外読みやすかった。なにより淡々と物語が進んでいくと思っていたけど、割と山あり谷ありの物語だったから飽きずに読めた。第2部も期待しかない。笑

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    2021年02月12日
  • 冗談

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    抒情的な青春時代。
    小さな1つの冗談によって大学から追放されてしまったルドヴィグは、復讐のために生きていく。
    全ての冗談が真面目に受け取られる世界、共産主義体制下のチェコで、クンデラと主人公の青春時代が重ねられる。

    青春はクンデラにとって
    自分のことしか見えなくて、それでもそれが愛だと思う、初々しく未熟な時期らしい。

    青春と愛、憎しみと赦し、復讐。
    復讐の虚しさ、盲目的な人生の空虚さ
    クンデラ作品でも結構好きだな

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    2019年04月21日
  • 別れのワルツ

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    テンポよく読めるけれども、テーマはそこまで軽くない。トランペット奏者は話のきっかけなのであってどんどん存在感がなくなっていく。亡命を計画しているヤクブが主人公に近いのか、ラスコリニコフと自分の比較をする部分は面白かった。にしても医者スクレタ、グロテスクすぎる。

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    2017年03月22日
  • 椿姫

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    高級娼婦マルグリット・ゴーティエと青年アルマン・デュヴァルの恋愛小説。
    お互いがお互いを想うあまり、すれ違いや仲違いをくり返す。最後のほうは、マルグリットが可哀そうで切なくて胸がしめつけられた。

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    2015年07月26日
  • 冗談

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    ・ミラン・クンデラ「冗談」(岩波 文庫)は 「作家自らが全面的に手直しした決定版を定本とした新訳。」であるといふ。これは販売用のコピーなのだらうが、ごく素直に読めば、クンデラのチェコ語原典版からの翻訳と解せる。ところがさうではないのである。訳者解説中にかうある、「〈プラハの春〉も〈ビロード革命〉ももはや遠い過去になった二一世紀の現在、もっぱら一個の古典的文学作品として読まれることを願う岩波文庫のこの新訳は、原著者の強い要望に沿って、八五年のフランス語決定訳を収めた二〇一一 年刊行、フランソワ・リカール監修のプレイヤード版を定本としている。」(525頁)だから決定版で旧訳とは違ふのだといふわけで

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    2015年02月08日
  • 別れのワルツ

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    軽やかに踊ることで別れを告げる相手は一夜限りを共にする相手なのか、それとも二度とその地を踏まぬと決意した祖国に対してなのか?クンデラにしては比較的オーソドックスな形式で描かれた5章‐5日間の協奏曲。ダンスのパートナーが次々と入れ替わるように、対比的な会話が次々と交差し、愛という観念は決して留まることなくその印象を変えていく。そして嫉妬や後悔、情念といった感情を精緻に明晰に切り取ってしまうクンデラならではのその筆力が、普遍的な恋愛物語を悲劇と困難に直面した歴史のメタファーとして成立させているのだろう。

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    2014年09月16日
  • 別れのワルツ

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    8人の男女を中心にして語られる、ある田舎の温泉地での5日間の出来事。
    次々と視点を変えて紡がれる物語はとてもテンポが良くて、まるで本当のワルツのように、くるくると回るように進んでいく。
    そして彼らが描く円の中心には何があるのかと言えば、それは死と、生と、愛、罪、罰、そして一夜の情交のように儚い喜びである。

    男と女は、どうしてこんなにも分かり合えない。

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    2014年01月21日
  • ほんとうの自分

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    途中まではとても面白く読んだ。なんだろう?本当に最後、ロンドンのあたりから、さっぱりわけがわからなくなってしまった。それも含めての面白さ、なのかしら。不思議な読後感。

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    2024年10月14日
  • 新訳 モンテ・クリスト伯 1

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    新訳なのに、なんで訳語で尺寸が出てくる?しかも、見開きでセンチも。で、−1。こんなところで終わるなよ、で−1。

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    2024年08月25日
  • 緩やかさ

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    嫌いではないけど、苦手。色んなことが錯綜する物語は、場面変化についていけず、あたふたしながら読む。本当に錯綜しているのかも理解できていないくらいの、翻弄され具合。だけど、所々の描写がとてもグッときて、全然理解できていない割には嫌いじゃないを通り越して好き。読書に分かりやすさを求めるのだけど、自分の知的世界を広げるために、読みたくなる理解できなさ。私の知的世界はまだまだとても小さいことを実感。

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    2024年08月10日
  • 椿姫

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    ネタバレ

    本編もさることながら、訳者解説に興味を引かれてしまった。
    デュマ・フィスとマリー・デュプレシーの馴れ初めである。
    妻であり自身の二人の娘を産んだ妻よりも、かつての恋人マリーの墓の近くへの埋葬を求めた、なんて未練たらしいことだろうか。
    つまり、デュマ・フィスをモデルにしたとされるアルマンの後日譚があるとすれば、マルグリットのことが忘れられず、死ぬまでその影を求め探し続けるのだろう。
    アルマンの父はマルグリットを去らせることで娘の幸せは守れたが、アルマン自身とその妻の心の平安や満ち足りた幸せは残念ながら死ぬまで失わせたのだ。

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    2024年06月14日
  • 作家たちのフランス革命

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    フランス革命時を生きた作家や、革命後それについて描いた小説を発表した作家の作品を通してフランス革命を見つめなおす。

    名前は知ってるけど読んだことない作品ばかりで、ユゴーの「レ•ミゼラブル」しか読んだことない。「九十三年」は恐怖政治の頃のお話だからちょっと興味ある。
    フランス革命について、もう一度勉強したくなった。

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    2022年09月21日
  • 冗談

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    プラハの春(1968年)より前の1965年脱稿の作品。「存在の耐えられない軽さ」に続いてクンデラ作品を読んでみた。
    身も蓋もない要約をすると、
    自分の不用意な手紙がもとで共産党から除名された男が、数年後に、処分の判断をした委員長の妻を復讐のために寝取ったが、委員長はもっと若い愛人とよろしくやっていて復習は空振りに終わりました、
    というお話。

    ヒロイン的なルツィエさんの過去が突然明かされる場面は衝撃が大きいが本人の内面は殆ど明かされることはない。

    終盤に登場するエレナの助手の青年の薬の話(鎮静剤と見せかけて実は下剤で、エレナはそれを知らずに大量服用する)は、全体の暗い色調の中で最も喜劇的な場

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    2021年11月03日
  • 椿姫

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    純愛を描いた名作ということで手にとってみたが、正直思っていたほどの感動はなかった。
    相手を慮って身を引く、そして片方の死という王道的なパターンではあるが、原因を生み出した自身の行動にも問題があるのでは…と思わざるを得なかった。

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    2016年06月11日