伽古屋圭市のレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
私の大好きな”世にも奇妙な物語のラストの話の原作になりそうなお話”。主人公の和泉沢悠人はいい匂いに誘われてとある洋食店に入った。無職だった悠人はその店でアルバイトすることになるのだが、この店には珍しい客が来る不思議な店だった。
幽明軒という洋食屋には、たまに死者の客が来る。好きな洋食を一品選んでもらい、最後の晩餐を楽しんでもらいながら、生前思い残したことを聞き、出来るだけ解決してあげる、という話。
作中に登場する料理はどれも美味しそうで、寝る前に読んでいるとお腹がすく。文字の飯テロと言える作品だろう。前半は主人公よりも客である死者のほうが描かれている感じだが、後半になると主人公の生い立ちなども -
Posted by ブクログ
ネタバレ「僕には、罪を背負った女の匂いが、見えるのです」
犯した罪を一人で抱え込む美しき女達の、激しく妖艶な業を封じ込めた絵に纏わる連作短編集。
大正時代、美人画で有名な人気絵師・茂次郎の探偵顔負けの推理力が冴え渡る。
男達から理不尽に抑圧され不幸な環境に喘ぐ女達を、苦悩から解放させ救おうと奮闘する茂次郎。
飄々と女達の罪を暴く茂次郎の姿に親近感を持った。
物語の原点とも言える『蜜柑ノ種』の、彼女の選んだ路は切ない。
それは決して赦されるものではないけれど、彼女の望んだ細やかな夢だけは、茂次郎の絵の中で永遠に遺されたのだと思いたい。
この物語はドラマ化したら面白そう。 -
Posted by ブクログ
学校とはどのような存在だっただろう。
私が小学生のとき、学校に行く行かないとか考えたことはなかった。なぜなら行くべきものとして考えていたから。
あくまで私の持論だけれど、私は根っからの文系で、理系科目は恐ろしくできないし、理解力のかけらもない。高校の物理や数学の授業は地獄だった。点数も、文系科目は割と上位だったけれど理系科目は壊滅的だった。理系科目は正直勉強したくなかった。でも、じゃあやらなくていいよと言われると疑問がある。好きなことだけしたいけれど、嫌いなことに向き合うのも勉強というか、成長だと思うんよな、私は。
でも本人が色々考えて選択をしたなら好きなことだけするのも間違っていないとは思う -
Posted by ブクログ
書店と謎解きを題材にした小説はたくさんあるけれど大正時代を舞台にしたものが珍しいなぁと興味を惹かれたのとタイトルの文豪に誘われ手に取った。
時は大正、関東大震災後の東京神保町を舞台に
「ねんねこ書房」の店主佐久路と見習い書店員こよりが本業の傍ら萬相談を受けて謎と秘密を本で解き明かす大正ロマンな古書店ミステリー。
謎解きも関東大震災や戦争が背景にあるけれど、日常の謎解きがメインで軽い文体とユーモアがあって読みやすい。
本書で面白いところは、やはり文豪や著名な作家、本を題材に謎解きを行っていくところかな。
ただ謎解きをするのでなく佐久路がこよりにヒントとなる本を渡して試験のように謎解きをさ