伽古屋圭市のレビュー一覧
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元教師の三吾は、小学4年の息子を連れて実家に戻り、父が営むパン屋で働く。
息子と同じくらいの少女がパン屋で万引きをするところを見てしまい…。
その騒動をきっかけに母親が宿題を見てくれない、ということから自分にできることがあるはずだと思い、その母親と多少のいざこざ的なことがありつつも店の定休日に学習塾的なことを始める。
他にも息子の同級生が、ディスレクシアだと気づいたり…。
元教師ということもあって、子どもに対してどうすればいいのかとか、取り返しのつかない状態になる前に避けれたらという思いが伝わってくる。
ちょっと説教くさいところやボランティア精神が強いのでは…と思うところも三吾だからか。
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シリーズ第3弾。
駄菓子屋の奥で子ども食堂を始めて約二年が経つ。
楓子のおせっかいは、相変わらずと言えばいいのか…。
今回は、高校生の三千香が同じ商店街で買い物をする姿を何度か目にして、「ヤングケアラー」だと確信し、うちの食堂へ来ないか?と誘うのだが…。
しつこく誘われるのにウンザリ気味の彼女は、弟と参加するが、これっきりだと言う。
辛辣な意見を澱みなくズバズバというのに一瞬度肝を抜かれる。
そこまで言うんだ…と。
弟だけが姉の態度を謝って、週に一度参加するかたちになるのもあり…なのか。
今回はこのほかにも子育て関して、考えさせられることが多い。
しつけは、教育は、恐怖や懲罰による支配では -
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映像業界で働いていた春日井楓子は、激務で仕事を辞めてから祖母が営む駄菓子屋『かすがい』を継ぐ。
どうにか慣れた頃、ひとりの少年が来るたびにきっちりと三百円分のお菓子を買うのに気づく。
まさか、これが晩ご飯とは…。
これをきっかけに店の奥で、三百円の駄菓子の代わりにハンバーグを作っていっしょに食べる。
シングルマザーで貧困家庭、時間もなく子どものことも見る時間がない状態では、晩ご飯も毎日作れていない。
それでいいわけはないが、どうしようもないということだろうか…。
楓子は、居場所のない子どもたちのために、みんなで囲む食事が美味しいことを気づいてもらえたらという思いもあるのかもしれない。
押 -
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人間は何のために食べるのか?その問いに答えを探し、さまよっている子供たちがでてくる。いや、答えを探しているのは子どもたちではない。何に困っているのかも分からない子どもたちに寄り添い、いっしょに答えを探している駄菓子屋かすがいのおばちゃん楓子が主人公の物語である。献立を決めて、買い物に行き、調理をする。そんな当たり前のことが当たり前ではなくなっている子どもたちがでてくる。いや、コンビニ弁当やUber eatsが大活躍の現代では、どちらが当たり前か、、?毎回の食事風景からは、たちのぼる湯気や鼻をくすぐる匂い、美味しい物を食べた時の笑顔まで見えてくる描写で、こちらまでお腹が空いてくる。やはり、食べる
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新味を出そうと色々マイナーチェンジは加えているものの、物語の基本構造が「かすがい食堂」と同じなので、同工異曲の誹りは免れ得まい。とはいえ、本作では主人公が元教師と設定されているので、今の学校や教育が抱えている問題点をストレートに斬る部分が多く、今子供の問題を考えるならここがやっぱり本丸だよなあという気にさせてくれる。ある時点までは機能していた、一生懸命に勉強をして、テストでいい点を取り、良い学校に入って、大企業もしくは官公庁に入れば人生安泰という成功モデルは、今や完全に無効化している。大企業に入ったからと言って、今は何も保証されないし、中央官庁なんて単なるブラック職場である。にもかかわらず、大
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読み終わった最初の感想は「う~ん微妙」。
理由としてはトリックのリアリティの無さ。大雑把ともいえる。
例えば、第一話に出てくるホムンクルスとそれを入れた容器。”本来は強い刺激臭のする特殊な溶液にひたされていた”と書かれているのでそれはおそらくホルマリン(ホルムアルデヒド)。
こんなものが換気がしにくい地下で開封されたら、少なくとも残り香くらいはあると思う。ましてやそれを包んだもの(布)を持ち出す(人がいる部屋を通る)なら、気付かない人がいないと思うのだけど。これが念入りに準備されたものなら尚更。
各話間の幕間(大正という時代設定から、おそらく東京大震災の出来事)は、この後どうなってしま -
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主人公は楓子・25歳。会社を辞め、祖母から創業60年の『駄菓子屋かすがい』を引き継ぎます。ある日、300円分のお菓子を食事代わりに購入する少年を見るに見かね、集客や商売抜きに『かすがい食堂』を始めます。
ネグレクト気味の母親と少年、摂食障害と少女など、困難を抱えている子どもたちに寄り添い、食べる意味をともに考えながら、人と未来を食でつないでいく展開です。
店名の「かすがい」は苗字なのですが、「子はかすがい」の通り、楓子が暗に何かと何かをつなぐ役割を果たす例えでもあるのでは、と考えます。
貧困などの難しく重い問題へ、少し楓子のお節介・介入が過ぎているようですが、一人でできることの限界を認 -
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『からくり探偵・百栗柿三郎』続編。
発明家兼探偵の柿三郎先生が様々な謎を解いていく四話と、序章、幕間、終章からなる構成です。
通いだった女中の千代さんが住み込みになり、前作の事件に関わっていた玉緒ちゃんも同居して“表”に出ております(その先の“若紫”的展開には触れられていませんでしたが・・)。さらに、犬のハチも加わって、何だか楽しそうな「百栗庵」です。
前作でのご活躍のお陰(?)で、本書ではすっかり“名探偵”扱いの柿三郎先生。今回も安定の名推理を見せてくれます。
そして、女中兼助手の千代さんも第三話「さる誘拐の話」では、なかなかの謎解きを披露してくれます(勿論、柿三郎先生の補足は必須ですが)