手元にある禁止シリーズラスト一冊。
長江さんの作品はいつもそうですが、今作も完全に予想が当たることは一話もありませんでした。
•元オフィスの廃墟にて、首吊り自殺がありました。しかしその事件は殺人だった可能性が…霊能者を騙る男、ジャーナリストの男の2人で話が進んでいきます。ジャーナリストが犯人なのは予想したが、まさか、語り手がずっとその被害者だったとは…「例の支店」
•秘境のような場所にある村に突如姿を消した友人。主人公はその村に妻子を設け幸せを掴んだが…
最終的に愛する人を”食べること”が永遠の愛を証明するという、自分の価値観からすると恐ろしい風習が主人公を襲います。
最終的に妻を食べなければならないのか…と思っていたら、食べられているのはどうやら…
「ルレ、サク、ツベ、タイタ、國野、久保田、レラ、ベタ、デウタ、カシア、ウヨリ」、天地をひっくり返して読むと分かる真実が…「ルレの風に吹かれて」
•ある銃撃殺人事件について自首してきた犯人は、動機を「哲学的ゾンビ」(自分の感覚として、あらゆる事柄等をを感じることができない状態)であったため、という、訳のわからない理由を述べる。
いきなり犯人を殺してしまう刑事2人、実は”哲学的ゾンビ”であった…「哲学的ゾンビの殺人」
•ホームレスの主人公は、出来心で空き巣を試みたが、家主の老夫婦に見つかってしまう。そんな自分に対しても、ご飯を出してくれたり風呂に入れてくれたりと、予想外に良くてもらい主人公は反省し、奮起して終わりますが…老夫婦が探している失踪中の娘は、失踪などしておらず、町で起こる連続通り魔殺人事件の犯人なのです…
その事実が明るみに出ないよう、毒を盛った弁当を主人公に渡していた…「この閉塞感漂う世界で起きた」
•ある人物を殺すために殺し屋は注射を試みるが、手が震えて失敗してしまった(イップス?!)。しかし翌朝、何者かに同じく注射で殺されていた。一体誰が元々殺し屋で、誰が真犯人か?!
意外な角度でイップスの殺し屋が最後にサクッと判明!「イップスの殺し屋」
•鬼才と呼ばれる映画監督の作品に出演が決まった主人公。無人島で撮影が進んでいくが、躊躇なく血が出るほど「監督の言うことなら絶対」というスタッフや出演者たちの悍ましさを感じ、島から逃げようとするが…まさか監督が”監督役”をやらされていたとは…そして何より、気の弱そうな三流役者が実は監督だったという予測不可能な物語…「撮影現場」
•双子ばかりが在住する村で、連続して双子の片割れだけが殺される事件が発生する…犯人は誰なのか、何故双子ばかりが集っているのか…双子を生まれてすぐに引き離し、成人してから引き合わすというモルモットの実験のようにことがこの村では行われていたのだ…リヨンとリヲンもその一組だが、彼らは出会う前からお互い数十人と殺してきたとんでもない性質を持った双子であり、今後は世の中の人々をとんでもないスピードで殺していくだろう…「リヨンとリヲン」
•友人のカガヤワタルには、恋人に対し、「本当の彼女は私だ」「彼から離れないと殺す」などのメッセージを送る謎の女がいた。かつての恋人は商業施設にて転落死してしまい、自殺とみなされたがそうでないのは自明であった。
しかし、新しい恋人の凛はそれを知りつつもワタルと付き合い続け、なんと相手の女に直接話をしてもいた。
が、しばらくすると、「死ね」「殺す」等の激しい言葉や、凛の部屋のポストに鳥の首が入れられたり、行為はエスカレートしていく…
そしていよいよ凛も殺され、何故か犯人であるはずのまどかまでも殺される?!何が起こっているか分かるない…
そこで明かされる真実がとんでもなかった。
冒頭で相談に乗っていた主人公の”友人”は実は女で、ずっとカガヤワタルのことが好きだったのだ。
全て周りの邪魔な存在を消し、ワタルにとって自分しかいなくなる、そんな状況を作るための策略だった…
この話の衝撃度は群を抜いて大きかったです。
一話一話がそんなに長くないので、サクサク読めてすぐ終わりました。