飯田晴子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
登場人物が増えるごとに面白さが上がる。
美知主も相当の手だれなのだけど、それを上回る波美の一族の強者のオーラがすごい。
佐保、息長の思惑も引き続き見逃せず、ストーリーは群像的な形になってきた。
真秀を救い出してしまった佐保彦は、自分の行動に戸惑い、仲間からも理解されず…。
八方塞がりのようになっているのも居た堪れなかった。
真澄に対しても感情が変わってきているし…。
古代の人々は、これだけ相手を思いやることができても、自分の立場からそれを抑制しなきゃいけない…。
真秀は真秀で、佐保彦を忘れられないし。
好きな気持ちすらまっすぐに認められない状況の二人が、かわいそうだった。
周囲は国のこと -
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Posted by ブクログ
波美王のイラストがイメージどおりでまずそれに上がるけど全体を通して政治的な駆け引きが描かれ、緊張しながら読んでいました。
助演好きとしては相変わらず美知主や速穂児に感情移入しながら読んでいるのですが、今まではそんなに好きではなかった真若王や佐保彦が好きになりつつあります。多分近代より前の十代の子どもは今なら思いもしない運命や政治的駆け引きに翻弄され続けてきたのだろうななどと考えてしまいます。
相変わらず氷室冴子さんの時代を感じさせるあとがき、飯田晴子さんのイラストあとがき、そして解説の青山美智子さんの『氷室作品に育てられた我々読者たちによる「氷室冴子を絶やしてはならない」という共通した想い -
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銀金って、こんなに面白かったっけ?とビックリした第4巻。
もちろん3巻までも面白いのだが、4巻から、まつりごとの話や、過酷な出生と運命、そして赦されぬ恋と、これまでの要素がさらに濃くなっている。
前半は、美知王の聡さと冷酷さに惚れ惚れし、徐々に若造の自分を反省しだす佐保彦にも愛着が湧いてきて…。
後半は運命とそれに抗おうとする逞しさ、そして真秀、佐保彦の愛憎渦巻く関係に眩暈が…。
今回はそれぞれのキャラの激情に、涙すら滲んできた。
夢中になって読んだ第4巻。真秀と佐保彦のなかで、互いの想いが交錯するのも切ないが、真澄も可哀想で…。どのキャラも辛いのだけど、弱さと向き合い、しっかりと前に進もう -
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ざっくり言うと真若王に襲われた真秀が、真澄の霊力で何とか助けられるも、それで真澄がHPをMPに変えてることがわかり(メタ的に言うな)霊力よくわかんないよ…と扱いに困り途方に暮れてしまう巻。
そして美知主と御影の過去の経緯や、日子坐がなぜ佐保に執着していったのかをふんわり理解させられる巻でもある…
耀目が昔とキャラデザ変わったので違和感はあるのですが、真秀がなぜそんなに佐保彦に惹かれるのかはもう運命なんだとしか言えない…。
悪意のない者の害意には気づかない、という台詞が後々効いてくるんだけど、神々の愛子には憎しみを覚えさせるな、という言葉に耀目の都合とともに佐保の経験というか、なんか背景を感じさ -
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この当時の男性、女性、それぞれの過酷な人生を描いた巻。
それでもやっぱり女の方がしんどいよね…。
御影の恋心。
命懸けで真秀を守ろうとする真澄。
佐保彦に鋭い憎しみを浴びせかけられる真秀。
弱くて純粋な人たちが伸び伸び生きていけないのは、本当に切ないし、あまりの過酷な人生に息が詰まる。
真秀は、ただ家族で平和に過ごしたいだけなのに、その生まれによって、振り回されることに…。
日頃は憎しみは憎しみの連鎖を生むだけ…という考えに同調しているけれど、この作品では理不尽な情況が多すぎる。
そんなときに、家族に危害を加えようとする相手に、攻撃的な言葉を浴びせかけるのは、当人が奮い立つために必要な -
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佐保の一族を知った真秀が、情報を集めようとして、周りの好奇の目や大人になりかけで彼女の身そのものを邪な目で見始めた男たちによっていろいろピンチに襲われる巻。
古代の女子の生理(月のもの)ってどう扱われてたのかとか、そんなことをこの小説を読むまで考えたことなかったので、とても衝撃的でした。
そしてついに佐保彦登場。
真秀と真澄(兄)を佐保の滅びの子、禍つ子と呼ぶ、母との確執で傷つきすぎて自己認識が自身を尊く、なおかつ佐保にとって敵の血を引くことから激しい葛藤のある佐保の王子です。
真秀と佐保彦の出会いの瞬間、無窮の時に、見つめ合うシーンが本シリーズ屈指の名場面だと思っています。
真秀は彼に何も先 -
Posted by ブクログ
発売当時雑誌コバルトでドキドキしながら挿絵やストーリーを楽しんだ古代(転生できなかった)ファンタジー。転生後まで行き着かなかったのは著者の氷室冴子さんががんで亡くなったため。続き…読みたかった…!
古代ヤマト王権が始まって少し経ったころの奈良と滋賀(近江)と丹波あたりを舞台にしています。
今で言う知的障害を持つ母と兄(作中では神々の愛子)を持つ真秀は、家族を守るため周りに噛みついてでも食い扶持を稼ぐ逞しさと、誰にも頼れないという寂しさ、危うさ、やるせなさを持つ女の子です。
彼女がいないと思っていた自分の母なる一族、春日なる佐保を知ったとき、物語は動き始める…。
彼女の一家はなぜ佐保を追われ、丹 -
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コバルト文庫版は今も手元にありますが、もう30年以上も前の書籍ですからボロボロで、復刊されると聞き喜び勇んで購入しました。全11巻ある真秀の章の1巻は序章も序章で、真秀が「佐保」の存在を知り、郷愁の念に囚われる場面がメインです。今後の展開を知っているだけに、実はこの頃が一番幸せだったのではないかと思ってしまいます。真秀の苛烈さが鮮やかに描かれる一方で、彼女の寂しさや孤独が引き立ち、読んでいて苦しくなるほどでした。また、イラストの飯田晴子さんがたくさんの美麗なイラストを新たに描き下ろされていますが、コバルト文庫版の頃の雰囲気を壊さないよう、昔の絵柄に寄せてくださっているかも?と思いました。ところ
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Posted by ブクログ
第二巻は役者が揃い、さらに面白い!
読みやすいのに、世界観が、キャラクターが、とにかく濃い。
少女小説の枠にありながらも、古代日本らしい大和言葉の美しさ、力強さがある。
やっぱりいい。
冒頭は、忌屋なるものが出てくるのだが、これがなんと、女性が生理のときに篭る場所なのだ。
この辺りの話は、若い時に読んだ時にもビックリしたのだが、女性の月のものをどうしているかなんて、生々しい話を少女小説でぶっ込んでくる、それでいて、ちゃんと女の体の神秘性や、一人の女が大人になることの意味に、つなげてくる。
第二巻はわたしの中で、女性の身体について考えさせた巻だった。
運命に翻弄されるという言葉がピッタリな、 -