柄刀一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
猫をモチーフにした短編集。もちろん、猫好きにはたまらない一冊。必読です。
心温まるものが多いけれど、そればかりでもなく。謎解きがあったり、そして生きることについて深く考えさせられる部分もありました。なんといっても、猫の愛らしさがどこをとっても全開です。うーむ、柄刀さんがこれほどまでの猫好きだったとは存じあげませんでした。
お気に入りは「決壊と真珠貝」。ミステリ的な真相に驚かされ、そして猫の行動にもぐっとくるものがありました。幸せな物語ではないのだけれど、かといって不幸とも思えないかな。たしかなあたたかさを感じられます。
「ネコの時間」もたまらない一作。猫を飼っている人ならなおさら、悲しいながら -
Posted by ブクログ
本屋でふっと目に止まって購入。予備知識はまったくなくともこういう勘は外れないものだ。かくてやはり当たりだった。面白い。そしてこの読後感はどういうものだろうか。ふっとこれはミステリだったのだろうかと疑問が浮かぶ。いや、たしかにミステリだ。事件の謎だけでなく登場するさまざまな美術作品に秘められた謎も鮮やかに解かれていく。それでも単なるミステリではない詩情にあふれていた。それは表題作でありラストの一編『黄昏たゆたい美術館』のイメージが強いからだろうか。とても静かで物語のなかで語られる靄のような哀しみをはらむが優しく、さわやかさがあった。また扱われる作品の解釈や画家に関する考察にもわくわくした。しかし
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Posted by ブクログ
レイニー・レイニー・ブルーというタイトルに惹かれて読みました。
短編集なのですが、ジャンル分けするのが難しいですね。
ミステリー、ホラー、ファンタジー、いろいろな要素が含まれています。
読む人によってジャンル分けも違ってくるんじゃないでしょうか。
車椅子探偵というくくりでは読んでほしくないですね。
ただ、介護や障害についての実態などの話が多いです。
厳しい言葉の裏にある優しさが見えたとき、切なくなりました。
自分に素直になれない屈折した性格にも共感できます。
電車の中で読んでいたんですが、そんな簡単な本ではありません。
ちゃんと、本を読む環境を整えてじっくり読み返した -
Posted by ブクログ
池澤の死体を『拾い魂の社』近くに埋めたと証言する八木とともにその現場に訪れた百合絵達一行。彼らの元へ、村人が死体を見つけたと来たものの、その場所には死体など無く青白い炎があるだけだった。
遺伝子治療や移植など最先端の医療企業SOMONグループ。その宗門家の洋間で顔と手足を焼かれた若い女性の死体が発見される。被害者はDNA鑑定で宗門亞美と断定された。
親子鑑定する為に亞美の亡父・継信の遺髪を分析していた夫・真一の元へ訪れた百合絵は、モニタに映し出された塩基配列から2年前に殺害された池澤の塩基配列を思い出した。
そして、20年近く前に亡くなった継信と池澤のDNAが一致するという信じられない結果が出 -
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南美希風シリーズ。「或るアメリカ銃の謎」と「或るシャム双子の謎」収録。どちらもばりばりの本格ミステリです。
アメリカ領事私邸で起こった不可思議な銃撃事件を解く「或るアメリカ銃の謎」。緻密な論理で詰めていってもさっぱり見当がつかない、と思ったら、この真相には度肝を抜かれました。そんなとんでもないことが起こってしまうとは。そしてまさかあの話が伏線になっていたとは……。
琵琶湖のクローズドサークルでの事件を描いた「シャム双子の謎」もまたトリッキー。というよりもこの極限状況下での事件というスリリングさがとてつもないです。なぜこんな状況で犯行が起こったのか。そしてその動機……ああ、これもまたストレートに