柄刀一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
猫をモチーフにした短編集。もちろん、猫好きにはたまらない一冊。必読です。
心温まるものが多いけれど、そればかりでもなく。謎解きがあったり、そして生きることについて深く考えさせられる部分もありました。なんといっても、猫の愛らしさがどこをとっても全開です。うーむ、柄刀さんがこれほどまでの猫好きだったとは存じあげませんでした。
お気に入りは「決壊と真珠貝」。ミステリ的な真相に驚かされ、そして猫の行動にもぐっとくるものがありました。幸せな物語ではないのだけれど、かといって不幸とも思えないかな。たしかなあたたかさを感じられます。
「ネコの時間」もたまらない一作。猫を飼っている人ならなおさら、悲しいながらも感動してしまう作品です。 -
Posted by ブクログ
本屋でふっと目に止まって購入。予備知識はまったくなくともこういう勘は外れないものだ。かくてやはり当たりだった。面白い。そしてこの読後感はどういうものだろうか。ふっとこれはミステリだったのだろうかと疑問が浮かぶ。いや、たしかにミステリだ。事件の謎だけでなく登場するさまざまな美術作品に秘められた謎も鮮やかに解かれていく。それでも単なるミステリではない詩情にあふれていた。それは表題作でありラストの一編『黄昏たゆたい美術館』のイメージが強いからだろうか。とても静かで物語のなかで語られる靄のような哀しみをはらむが優しく、さわやかさがあった。また扱われる作品の解釈や画家に関する考察にもわくわくした。しかし、ゴッホとゴーギャンの20メートルの画布の話はよく取りざたされるが『ひまわりの黄色い囁き』にはちょっとやり過ぎ感があるという印象が拭えなかった。私の想像力が貧困なのかもしれないがうさぎの耳はやっぱりちょっといただけない。どうしてもバニーちゃん化したマンガちっくなゴッホが頭から離れなかった。美術作品としては『ユトリロの、死衣と産衣』で扱われたユトリロやルドンが好きな画家だったので印象深く、『神殺しのファン・エイク』は、作品解釈もさることながら物語として好きだ。哀しみはどうしても残るが彼が意図した救いがたしかにあったと思いたい。ちなみに今作はシリーズ二作目だったと読みはじめてから気づいた。早急に一作目を入手したいと思っている。
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Posted by ブクログ
レイニー・レイニー・ブルーというタイトルに惹かれて読みました。
短編集なのですが、ジャンル分けするのが難しいですね。
ミステリー、ホラー、ファンタジー、いろいろな要素が含まれています。
読む人によってジャンル分けも違ってくるんじゃないでしょうか。
車椅子探偵というくくりでは読んでほしくないですね。
ただ、介護や障害についての実態などの話が多いです。
厳しい言葉の裏にある優しさが見えたとき、切なくなりました。
自分に素直になれない屈折した性格にも共感できます。
電車の中で読んでいたんですが、そんな簡単な本ではありません。
ちゃんと、本を読む環境を整えてじっくり読み返したくなる一冊です。
ミステリーとしてだけではなくいろいろな楽しみ方ができます。
久しぶりに自分で見つけたヒット作ですね。
時間に余裕ができたら一気に読破したいです。
さぁもう一度じっくり読み直してみようかな。 -
Posted by ブクログ
池澤の死体を『拾い魂の社』近くに埋めたと証言する八木とともにその現場に訪れた百合絵達一行。彼らの元へ、村人が死体を見つけたと来たものの、その場所には死体など無く青白い炎があるだけだった。
遺伝子治療や移植など最先端の医療企業SOMONグループ。その宗門家の洋間で顔と手足を焼かれた若い女性の死体が発見される。被害者はDNA鑑定で宗門亞美と断定された。
親子鑑定する為に亞美の亡父・継信の遺髪を分析していた夫・真一の元へ訪れた百合絵は、モニタに映し出された塩基配列から2年前に殺害された池澤の塩基配列を思い出した。
そして、20年近く前に亡くなった継信と池澤のDNAが一致するという信じられない結果が出る。
これは、本格推理の名作だと思います。この作品が何の賞も取らなかったのが、もの凄く不思議。でもって、2000年の“このミス 10”に、なんで入らなかったんだろうと思ったり。
これほど骨のある本格物は久し振りに読んだ気がするのになぁ。残念だ。
時代はちょっと現在より進んでるという現在。判りにくいなぁ(笑)
遺伝子医療や分析などが現在より少し進んでいるという設定を引いてるのでこんな書き方しか・・・決してSFでは無いです。(一応、近未来設定だからSFといえないことも無いが・・・)
おそらく、医療従事者ならある程度予測はつくんじゃないかな。20年前の死者と2年前に死んだ人物がどうしてDNA一致するか・・・という辺り。謎の一つだが、私は全く知らなかったので、このトリック(と呼んでいいのか?)は目にうろこという感じ。
だから余計にこの作品に惹かれたのかも。この辺りがすぐ読めちゃうと確かに面白味は半減しますね。
ただ、謎は一つでは無く密室もあるし、後半には再び死者が殺人を行ったかのような展開もある。突飛な設定なので読んでいて、本当に理論的に解明するのか?と疑ったほど。
投げたら偶然に屋根にのっかったとか、ゴロンと家が一回転したとか、手でごりごり動かせただのとか(別にこれはこれで面白いので非難してないけど:笑)言うゴリ押しは無しだよ!?とか妙に心配しつつ読んだりしたのも事実(笑)
しかし、読み手の不安をものの見事に拭い去ってます。綺麗に無理なくENDしてます。現代より遺伝子分野がちょっと進んでる設定ってのがミソといえばミソですね。
そして、遺伝子分野の学問が進むと人類はこういったジレンマを絶対に抱える事になるだろうな・・・というのが物凄くリアル。もう、そこまで来てるという感じもします。
ミステリーの中でも本格推理が好きな人はご一読あれ。「3000年の密室」より遙かに良い作品だと私は思います。 -
Posted by ブクログ
南美希風シリーズ。「或るアメリカ銃の謎」と「或るシャム双子の謎」収録。どちらもばりばりの本格ミステリです。
アメリカ領事私邸で起こった不可思議な銃撃事件を解く「或るアメリカ銃の謎」。緻密な論理で詰めていってもさっぱり見当がつかない、と思ったら、この真相には度肝を抜かれました。そんなとんでもないことが起こってしまうとは。そしてまさかあの話が伏線になっていたとは……。
琵琶湖のクローズドサークルでの事件を描いた「シャム双子の謎」もまたトリッキー。というよりもこの極限状況下での事件というスリリングさがとてつもないです。なぜこんな状況で犯行が起こったのか。そしてその動機……ああ、これもまたストレートに解けそうで解けない。あのメッセージの意味が切ないです。