濱口桂一郎のレビュー一覧

  • 賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛

    Posted by ブクログ

     さて、上述の通り、安倍政権下で「同一労働同一賃金」という旗印の下で行われた働き方改革であるにもかかわらず、その同一労働同一賃金と称するガイドライン(「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」)においては、基本給については指針は職能給、業績給、勤続給、昇給制度の場合のみを採り上げ、同一労働同一賃金に最も
     ふさわしい職務給をあえて無視していました。そもそも、圧倒的多数を占めるはずの両者の賃金制度が全く異なるケースについては、本文には一切記述がなく、注に抽象的かつ曖昧な記述が数行盛り込まれているだけでした。
     おそらく、パートタイム・有期雇用労働法によって法

    0
    2025年02月08日
  • 賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛

    Posted by ブクログ

    賃金の歴史について勉強。日本の年功序列や長期雇用は、明治以降の重工業発展に伴う熟練工の育成や転職抑止から形成された雇用文化だと知って納得。ベースアップの仕組みは朝鮮特需から産まれたりと、今では合理的ではない賃金の仕組みも当時は有効だったことが窺える。

    一方、現代の企業は生産性が重視される傾向にあるも、職能基準の給与体系はまだまだ普及していないのが現実。だが、世界の変化に追随するためには、日本の雇用もドラスティックに変えていく必要があると思う。

    0
    2025年01月01日
  • 働く女子の運命

    Posted by ブクログ

    日本の雇用問題とその背景を歴史から学ぶことができる。日本は欧米とは異なるメンバーシップ型の雇用であるという歴史は別の本で学んだが、女性が明治時代の繊維職の労働から戦時中の労働、戦後、、とどのような雇用形態を取ってきたのか、そこにある日本社会の都合による差別や制約も含めて知ることができ、勉強になった。
    また、建前上は制度ができても実運用が成り立たない慣習、女性はこうあるものだといったもの、それが女性自身もそういうものだという認識を持ってしまっていただろう、というのも難所であったと考える。欧米も含め、過去に偉大なことをしてきた女性から学ぶこともたくさんあるのではないかと振り返る。

    0
    2024年12月25日
  • 賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛

    Posted by ブクログ

    賃金問題を深く考えたことは今までなかった
    定期昇給は 人件費を一定に保つため制定されたとは思わなかった

    現状のメンバーシップ型雇用を
    ジョブ型に変更することは並大抵の努力では
    なしえないと理解できた

    0
    2024年12月08日
  • 賃金とは何か 職務給の蹉跌と所属給の呪縛

    Posted by ブクログ

    前著『ジョブ型雇用社会とは何か』が秀逸だったので期待して読んだが、前著とは少し趣が違っていた。感想としては「今の自分には少し重い」という感じ。

    内容は、戦前から戦中・戦後を経るなかで、日本の賃金体系がどのように変遷してきたかということを、淡々と綴っている。政府・経営者・労働組合それぞれが、その時々でどのような方針を打ち出して来たのか、豊富な引用を元に解説している。

    全体的な流れとしては、戦前は職務に対して賃金が設定されていたのが、戦中の賃金統制を経て、戦後も職務ではなく所属給的な体系が温存される様が描かれる。ただ、著者の労働思想としては、欧米と同じく職務給(ジョブ型)の賃金体系を正しく導入

    0
    2024年08月25日
  • 働き方改革の世界史

    Posted by ブクログ

    労働・雇用の二大巨頭といえる濱口桂一郎氏と海老原嗣生氏の共著。
    といっても、本文の7割程度は労働思想の古典からの引用で占められている。
    内容は「働き方改革の世界史」ではなく、「労働組合世界史」「労働思想史」。売れそうなタイトルにしたのは出版社の意向だろうか。
    予備知識が必要で難解、議論レベルが高く、僕を含めた普通の人は、要旨だけつかむのがやっとで、一読では消化できないと思う。

    0
    2024年07月25日
  • 若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす

    Posted by ブクログ

    日本の労働形態であるメンバーシップ型と欧米の労働形態であるジョブ型の違いと、それがなぜ違うのか、その違いにより起きている問題は何かについて理解できる本。
    特に勉強になった点は日本のメンバーシップ型が形成されてきた過程について、明治時代から現在にかけてどのような雇用形態をとってきた結果なのか、その歴史を理解することができること。また、今のメンバーシップ型からジョブ型に変わろうとしている日本、その社会的背景なども理解できる点で、今後の日本の雇用問題を考えるベースの知識は身につけられると思う。

    0
    2024年07月18日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

    Posted by ブクログ

    かねてから著者のブログはたまに読んでいたのだが、一冊の本にまとまっていると頭の整理になる

    日経新聞への恨み節など少しニヤリとしてしまうのだが、あまり長年にわたり主張が世間に曲解され続けており、ハマちゃん先生、チョッピリこじらせていないか気になるところ

    0
    2024年03月31日
  • 働き方改革の世界史

    Posted by ブクログ

    タイトルは「働き方改革の世界史」だが内容は組合ばっかり。
    正しくは「産業革命以降の組合史」。
    日本特有の一企業内にある労働組合が左翼思想と親和性を持つ理由など書かれており興味深い。

    0
    2023年08月01日
  • 働く女子の運命

    Posted by ブクログ

    戦前、工場監督官の女性が一人。日本でただ一人。今の感覚なら、すごい話だなと思うが、製造業を見回すと、工場で職場長をしている女性は、今だって珍しい。あまり、変わっていない。

    この日本初の婦人工事監督官補、谷野せつ。日本女子大学卒。一等国から女の役人がいないと指摘された際に、谷野さんを一枚看板にして体裁を繕っていたのだという。体裁のための女性。これも、今と意識があまり変わらない。

    労働者の賃金は、生活するに十分なだけ、与えておけば良い。そこには妻と子供を養う分は含める。労働力は、使い捨て。成功した起業家のみが人間であるかのような価値観。今も変わらない。これを変えるには、起業するか、副業や転職に

    0
    2023年07月22日
  • 若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす

    Posted by ブクログ

    伝聞に頼ってゐる
     メンバーシップ型とジョブ型とに大別してみると、なるほど日本と海外ではかなり異ることがわかる。
     この本は日本のメンバーシップ型の矛盾点を中心に論じてゐる。読むとジョブ型のほうがまともだと思ってしまふが、ジョブ型にも若者雇用問題といふ弱点があり、著者はジョブ型正社員をいふ理念を提唱してゐる。新卒一括採用や人間力採用に由来する歪みが、刊行から10年経った2023年になっても感じられた。
     しかし伝聞だけの推測と思はれる部分もあり、そこは蓋然性が低い。また、この本は2013年の刊行だから、この10年で何か変ったことも多いのではないか。

    0
    2023年05月19日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

    Posted by ブクログ

    比較的最近よく聞くジョブ型雇用について、
    なんとなくしか知らなかったが、これまでの歴史も含めて理解することができた。

    これまでの日本の働き方に沿う形で発達したメンバーシップ型雇用も、働き方の多様性が生まれるにつれて見直される段階なのだと感じた。

    0
    2023年04月30日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

    Posted by ブクログ

    「ジョブ型雇用」みたいな関心で、著者の本を読み始めて、3冊目。

    内容的にはこれまで読んだものとの被りはあるものの、あらためて日本の労働の現状を理解できた。

    著者の他の本とも共通することだが、本のタイトルと内容が今ひとつフィットしない感じがある。

    未来にむけての提言部分よりも、現状の問題点の分析というほうに力が入っていると思う。

    著者は、空想的なビジョンではなく、現実に根ざした取り組みを主張しているようなので、それは仕方がないといえば、仕方がないのだが、なにかもう一つなにかがほしい気がしてしまう。

    0
    2022年10月03日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

    Posted by ブクログ

    マスコミはどんどんと新しい言葉を使った記事を量産してくる。しかしその言葉がそもそも何を意味しているかの定義が書き手によってばらついているのであれば議論はかみあわない。歴史的経緯の結果、ここでもガラパゴス化している日本の雇用社会がジョブ型をとりいれるにはあまたの課題がある。昨今の環境変化のスピードに旧来の日本社会のしくみの見直しが追いついていない。現状維持や過去へのあと戻りの考え方ではこの不合理は解消しない。

    0
    2022年10月01日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

    Posted by ブクログ

    日本を中心に、労働者の処遇や生活また社会の構造について、労働者、経営者、行政それぞれの視点に立って、これまでの日本の社会の出来事や議論を振り返っている。

    歴史をひもといて解説してもらう、と言う目的ならば良書。
    一方で提案、例えば折衷案や妥協は、こういったものの提案は少ない。
    どうすれば良いのかと言う議論はあまり尽くされていない。

    0
    2022年08月30日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

    Posted by ブクログ

    全然ワカンネーがほとんどだった。「日本の労働史」の本。
    じゃあどうすればいいのよ、と思うが、たぶん私が読みきれてないんだろうな。敗北!

    0
    2022年07月26日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

    Posted by ブクログ

    ジョブ型の誤解を正してくれた

    しかし、肝心のオチ(筆者の意見、主張、解決案、結論)が書かれず、複雑なことになっています。とだけで尻切れトンボ。
    また、著者の頭の良さや博識は見てとれるが、書き振りも嫌味っぽいところが多分にある。知識としては面白いのだが、もう少しポジションを取って書いて欲しいと感じる

    0
    2022年07月11日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

    Posted by ブクログ

    いろいろと勉強になった。
    ジョブ型とメンバーシップ型は本来どちらが上というものではなく制度として違うものであるというだけであるが、近年はジョブ型礼賛の風潮があり、しかもそれがジョブ型の趣旨を正しく理解していない言説になっていることを問題視して著されたもの。
    ジョブ型とは採用時に職務内容を規定し、その職務を行う能力があるかどうかで採用し、ジョブをこなせているかどうかで雇用継続するか否かを判断するものであり、自動的な昇進や、先輩や上司による教育というようなものが存在しないものである。これに対してメンバーシップ型は、明確な職務の約束がなく、時間も勤務場所も会社側に白紙委任する雇用契約を締結するが、そ

    0
    2022年05月02日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

    Posted by ブクログ

    お父さんに薦められて読んだ本。
    後半は難しくて飛ばし読みしちゃった。
    ジョブ型とメンバーシップ型がよく理解出来た。

    0
    2022年03月31日
  • 働く女子の運命

    Posted by ブクログ

    去年読もうとして数ヶ月かけたけど、途中で挫折。女子がそもそも不利なことはよーく分かったが育休共働き世代への答えは出なかった。

    0
    2021年10月08日