濱口桂一郎のレビュー一覧

  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

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    ・ジョブとメンバーシップ(会員)どっちが良いとは言っていない。
     それぞれの成り立ちを、かかわる労働政策から事実ベースで解説してくれる。
     打算的なセールストークではないから信頼感あるし写実的な印象。
    ・日本の雇用システム、労働社会、労働法が絡み合っていて根深くて一筋縄ではいかないことがよくわかる。どう咀嚼するかという個人の価値観はゆだねらた恰好。
    ・一方で、それぞれの適応条件がわからず今後の方向性を見出すには至らず。
     何でもかんでも答えを求めるなということか。

    以下備忘
    ■基礎
    ・ジョブ型は成果主義ではない
     ジョブ型はアッパー層しか評価しない、ジョブありきだから。そのジョブが遂行できて

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    2022年04月25日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

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    メンバーシップ型=ヒトに値段をつける⇔ジョブ型=椅子(仕事)に値段をつける、という根本的な違いをもとにして、日本型労働社会の特徴、問題を明快に解説。
    この分野の話は、どういう対応がいいとか悪いとか割りきれないのが何とも難しいところ…

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    2022年04月17日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

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    ジョブ型雇用によって労働時間ではなく成果で評価する、最近良く聞くフレーズだが、これはジョブ型がなんたるかを全く理解していない
    経営層に近いハイエンドのジョブになれば話は別だが、ジョブ型の大原則は成果主義ではなく賃金固定。日本人に理解し易い例えでいえば、職務が決まっているアルバイトのような雇用。

    日本の雇用形態 メンバーシップ型
    情意考課で安易に用いられがちな意欲の微表としての長時間労働が槍玉に挙げられ、労働時間ではなく成果で評価する、というのが最近流行りの千篇一律のスローガン

    素人を育てて鍛えるメンバーシップ型
    知識やスキルよりもコミュニケーション能力を重視
    人件費抑制を目的に成果主義を導

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    2022年04月07日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

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    「新しい労働社会」で提唱されたジョブ型雇用がいよいよ日本でも導入の機運が高まる中、雇用の本質的問題を改めて問い直す絶好のタイミングで出版された一冊と思う。経営者、人事担当者、人材ビジネスにかかわるすべての人は必読だ。ジョブ型はメンバーシップ型のアンチテーゼのように見えるけれど、そもそも世界では一般的な組織の在り方で、日本のメンバーシップ組織の特殊性の方が浮き彫りにされていく。(1990年代は日本のメンバーシップ型組織こそが理想と世界でもてはやされたのだが)。私たちの価値観はもちろん、児童手当等含む社会保障や社会構造のすべてがメンバーシップ型組織ありきで生成されてきた日本の社会の歴史と構造をしみ

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    2022年04月07日
  • ジョブ型雇用社会とは何か 正社員体制の矛盾と転機

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    久々に書店をぶらぶら歩いて本著を購入したんですが、いま新書って1,000円以上するんですね。ページ数が多いのもあるんでしょうが、レジで軽く動揺してしまいました(笑

    さて、最近大企業でジョブ型雇用の導入が進んでいる、なんてニュースを踏まえ、勉強しておこうかな…と「ジョブ型」雇用という言葉を作った専門家たる著者の本を手に取った次第です。
    内容は、世の中にはびこる「間違いだらけのジョブ型」を糺し、本来こういうモノだよ、という説明をしてくれる1冊・・・と言うとアッサリしているのですが、本著を読み終えて感じたことは、日本の労働市場に横たわる大きくて深~い闇です。ワタシ、こんな法制下で働いてたのか。。

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    2022年03月27日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

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    日本型雇用システム(長期雇用、過度な年功賃金、企業別組合)が適用されるのは正社員のみであり、その背後には多くの非正規労働者が存在する。その格差是正のアイデアの一つに、EU等で採用されている同一労働同一賃金(長期雇用を前提とした過度な年功賃金制度からの脱却)がある。本書の中で関心を持ったのはその部分で、本書では、賃金制度にメスを入れる時に整備されておくべき社会的条件を考察している。EUにおける非正規労働規約の焦点は均等待遇原則(基本的労働条件について差別されない)にあり、ベースには男女平等があるらしい。一方男女均等の観点で日本は、男女を等しく長期雇用に組み込んでいく慣行が出来上がり、これは正社

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    2022年01月25日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

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    労働関係法規が「こうなっているんだよ」と解説する本は多いですが、それらの法規がなぜ、どのような議論を経て(または議論を棚上げされたまま)今存在しているのか。行政、経営、労働者三者の視点を踏まえて本質へと切り込む一冊です。表面的なマスコミのあおりやバッシング、議論のすり替え、曖昧に決着をつけられてきた雇用課題がいかに多いのかがリアルにわかります。出版から時間を経てもなお、雇用問題の本質は一つも変わっていないことを感じます。決して古い本ではありません。

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    2021年09月20日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

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    筆者の考え方がすごくためになる一冊。
    これから社会人に出て働くにあたって社会の状況について考えることが出来ました。

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    2021年08月23日
  • 働き方改革の世界史

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    労使関係の歴史について、主に欧米の古典を紹介しながら概説した本。
    数年前に「ジョブ型」に触れた時も新鮮で仕方なかったが、本テーマも初耳な事ばかり。しかしまたもジョブ型/メンバーシップ型に接続する議論になるとは(考えてみれば当然だけど)意外だった。また欧米のジョブ型と一口に言っても歴史的経緯や背景から色々な違いや時代毎の変化があって、単純に良し悪しは語れない事も痛感した。
    日本の労使関係論は切れ味鋭い渾身の一冊のみ紹介となっているが、連載は更に継続中の様なので、続編にも期待したい…。

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    2021年03月30日
  • 若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす

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    日本型と欧米型の雇用システムの比較が非常に分かりやすく論じられている。

    日本型の「入社」を前提とした新卒一括採用は、欧米と比べて、若者の雇用を守るという社会的な必要性もあったのだろうが、競争が激化する中にあって、労働生産性といった観点で再考する時期が来ているのだと感じる。

    「入社」や「人」に着目した日本型の雇用システムが、無制限に会社のために働かせることを暗に強制し、長時間労働やブラック企業を招いているという問題意識が非常にわかりやすく整理されていて、勉強になった。

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    2021年03月15日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

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    濱口さんの本は非常にわかりやすく書かれているが、少し二分する書き方なので吟味しながら読むとよいのかもしれない

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    2021年01月18日
  • 若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす

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    ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の対比に触れながら書かれているので理解しやすい。
    また、歴史的経緯も説明しながら今の雇用問題の根本原因を知れるので非常に良い書籍でした。

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    2020年11月06日
  • 働き方改革の世界史

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    メンバーシップ制から最近話題のジョブ制度に変えるにも、制度の成り立ちや歴史を知らないと失敗するかもと感じた。本当に困っている人向けではなく、スキルのある人の組合成立の話なので、ある程度既得権益のある組合の人は役立つかもしれない。

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    2020年10月03日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

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    2009年に書かれた本のため、内容が少々古いかもしれない。しかし、日本や欧米諸国における労働関連法の歴史的経緯からそれぞれの功罪が非常にわかりやすく書かれている。
    私が知る2013年以後の労働法や大きいところでは派遣法改正でかんじた違和感の背景が手にとるようにわかる。そして、これからの日本の在り方を濱口氏の主張を軸にしながら深く思考することができる。法律及びその運用や実務において、その主旨や哲学を理解することがいかに重要であるか、再認識した。濱口氏の主張の中には現実的でないものや違和感を感じるものも読む人によってはあるかもしれない。

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    2020年07月24日
  • 働く女子の運命

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    性別による差別以前に、日本では法律で労働時間の上限が定められてないことを知って驚いた。てっきり、週40時間と決められてると思っていたけれど、筆者の言う通り、それ以上は残業になる、と線引きする区切りのことで、それ以上働けない、という時間ではない。

    女性がまともに働ける状況になるには、まず、そもそもの仕事に対する考え方が今とは別のものにならなきゃいけない。
    職務を遂行する技能のある労働者として、欧米の会社で働いてみたいと思った。

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    2019年12月28日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

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    ・日本型雇用システムの三種の神器→長期雇用制度(終身雇用制度)、年功賃金制度(年功序列制度)、企業別労働組合
    の3つだそうだ。

    ・男性正社員の過重労働の原因とは→彼らに課せられている過重責任。

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    2019年01月15日
  • 新しい労働社会 雇用システムの再構築へ

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    似た趣向の「雇用身分社会」と異なり、多角的に雇用を捉え、問題点を抽出している。
    企業が人件費の掛かる中高年層をリストラし、終身雇用制度が、崩壊した現在は、生活給制度は、崩壊しており、それら企業が負担していた育児、教育、住宅費については、政府が負担する必要がある。

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    2019年01月04日
  • 働く女子の運命

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    著者の新しい労働社会を読んだ際も思ったが、現在問題となっている様々な労働関係の問題を考えるに際して、メンバーシップ型雇用システムという概念は、補助線として抜群の切れ味を有している。本書は、その概念をもとに、働く女子について考察が加えられている。ただ、メンバーシップ型雇用システムという観点から考えると、女性労働の問題は、必ずしも女性労働に原因があるのではなく、雇用システムの問題が女性にしわ寄せされているということがよくわかる。これは、東京医大の入試不正操作の際に起こった議論でも感じたことと相似形であった。さて、切れ味鋭い女性労働問題の解説の後、では果たして、どのような道を今後女性の労働は、また、

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    2018年11月03日
  • 働く女子の運命

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    労働問題の専門家による、女性の労働環境を中心に日本の雇用システムについて論じた本。精緻な調査に基づく学術的な内容となっている。特に、女性の雇用のあり方について、明治から現代に到るまでの経緯についての記述が興味深かった。
    「(女工の出発点 富岡製糸場)当時の女工たちは誇り高い士族の子女で、十台半ばの若さながら、その賃金は校長並みで、食事や住居など福利厚生も手厚く、まさにエリート女工でした」p32
    「1870年代末には女工の出身は主として農村や都市の貧しい平民層に移行し、生家の家計を助けるために口減らしとして労働力を売る出稼ぎ女工が主になりました」p33
    「(1932年 社会局監督課)男子労働者

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    2018年10月24日
  • 若者と労働 「入社」の仕組みから解きほぐす

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    ネタバレ

    とっても面白かった。
    特筆すべき箇所はp87のいかにして日本の社会が年功賃金制となったかについて記載されている箇所。それは第二次世界大戦中の呉海軍の伍堂卓雄の『生活給思想』という考え方。生計費の要素のない賃金が労働者の思想悪化(=共産主義化)の原因だと批判し、家族を扶養する必要のない若年期には高給を与えても本人のためにならず、逆に家族を扶養する壮年期以降には家族を扶養するのに十分な額の賃金を払うべきだという主張。戦後になってこうした賃金制度が廃止されたが労働組合によってこの生活給思想が受け継がれて現在に至っている。

    日本以外のジョブ型雇用契約に基づく職務給(一つ一つの職業について、その職上を

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    2018年07月18日