濱口桂一郎のレビュー一覧
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・ジョブとメンバーシップ(会員)どっちが良いとは言っていない。
それぞれの成り立ちを、かかわる労働政策から事実ベースで解説してくれる。
打算的なセールストークではないから信頼感あるし写実的な印象。
・日本の雇用システム、労働社会、労働法が絡み合っていて根深くて一筋縄ではいかないことがよくわかる。どう咀嚼するかという個人の価値観はゆだねらた恰好。
・一方で、それぞれの適応条件がわからず今後の方向性を見出すには至らず。
何でもかんでも答えを求めるなということか。
以下備忘
■基礎
・ジョブ型は成果主義ではない
ジョブ型はアッパー層しか評価しない、ジョブありきだから。そのジョブが遂行できて -
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ジョブ型雇用によって労働時間ではなく成果で評価する、最近良く聞くフレーズだが、これはジョブ型がなんたるかを全く理解していない
経営層に近いハイエンドのジョブになれば話は別だが、ジョブ型の大原則は成果主義ではなく賃金固定。日本人に理解し易い例えでいえば、職務が決まっているアルバイトのような雇用。
日本の雇用形態 メンバーシップ型
情意考課で安易に用いられがちな意欲の微表としての長時間労働が槍玉に挙げられ、労働時間ではなく成果で評価する、というのが最近流行りの千篇一律のスローガン
素人を育てて鍛えるメンバーシップ型
知識やスキルよりもコミュニケーション能力を重視
人件費抑制を目的に成果主義を導 -
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「新しい労働社会」で提唱されたジョブ型雇用がいよいよ日本でも導入の機運が高まる中、雇用の本質的問題を改めて問い直す絶好のタイミングで出版された一冊と思う。経営者、人事担当者、人材ビジネスにかかわるすべての人は必読だ。ジョブ型はメンバーシップ型のアンチテーゼのように見えるけれど、そもそも世界では一般的な組織の在り方で、日本のメンバーシップ組織の特殊性の方が浮き彫りにされていく。(1990年代は日本のメンバーシップ型組織こそが理想と世界でもてはやされたのだが)。私たちの価値観はもちろん、児童手当等含む社会保障や社会構造のすべてがメンバーシップ型組織ありきで生成されてきた日本の社会の歴史と構造をしみ
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日本型雇用システム(長期雇用、過度な年功賃金、企業別組合)が適用されるのは正社員のみであり、その背後には多くの非正規労働者が存在する。その格差是正のアイデアの一つに、EU等で採用されている同一労働同一賃金(長期雇用を前提とした過度な年功賃金制度からの脱却)がある。本書の中で関心を持ったのはその部分で、本書では、賃金制度にメスを入れる時に整備されておくべき社会的条件を考察している。EUにおける非正規労働規約の焦点は均等待遇原則(基本的労働条件について差別されない)にあり、ベースには男女平等があるらしい。一方男女均等の観点で日本は、男女を等しく長期雇用に組み込んでいく慣行が出来上がり、これは正社 -
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著者の新しい労働社会を読んだ際も思ったが、現在問題となっている様々な労働関係の問題を考えるに際して、メンバーシップ型雇用システムという概念は、補助線として抜群の切れ味を有している。本書は、その概念をもとに、働く女子について考察が加えられている。ただ、メンバーシップ型雇用システムという観点から考えると、女性労働の問題は、必ずしも女性労働に原因があるのではなく、雇用システムの問題が女性にしわ寄せされているということがよくわかる。これは、東京医大の入試不正操作の際に起こった議論でも感じたことと相似形であった。さて、切れ味鋭い女性労働問題の解説の後、では果たして、どのような道を今後女性の労働は、また、
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労働問題の専門家による、女性の労働環境を中心に日本の雇用システムについて論じた本。精緻な調査に基づく学術的な内容となっている。特に、女性の雇用のあり方について、明治から現代に到るまでの経緯についての記述が興味深かった。
「(女工の出発点 富岡製糸場)当時の女工たちは誇り高い士族の子女で、十台半ばの若さながら、その賃金は校長並みで、食事や住居など福利厚生も手厚く、まさにエリート女工でした」p32
「1870年代末には女工の出身は主として農村や都市の貧しい平民層に移行し、生家の家計を助けるために口減らしとして労働力を売る出稼ぎ女工が主になりました」p33
「(1932年 社会局監督課)男子労働者 -
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ネタバレとっても面白かった。
特筆すべき箇所はp87のいかにして日本の社会が年功賃金制となったかについて記載されている箇所。それは第二次世界大戦中の呉海軍の伍堂卓雄の『生活給思想』という考え方。生計費の要素のない賃金が労働者の思想悪化(=共産主義化)の原因だと批判し、家族を扶養する必要のない若年期には高給を与えても本人のためにならず、逆に家族を扶養する壮年期以降には家族を扶養するのに十分な額の賃金を払うべきだという主張。戦後になってこうした賃金制度が廃止されたが労働組合によってこの生活給思想が受け継がれて現在に至っている。
日本以外のジョブ型雇用契約に基づく職務給(一つ一つの職業について、その職上を -
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本書は女性・職場・社会との連関を、近現代史、特に法令・政策の観点でまとめられている。自分自身は均等法施行後に就職したことと業界の関係もあり、日々の仕事の中でジェンダーギャップをこれまで感じる機会はほとんどなかった。しかしそれは、社会一般から見ればかなりレアな例だということが一読してわかった。そうした背景もあり、女性と労働のレリバンスは課題意識になかった。本書では女性にまつわる現行の制度が先人たち(特に女性)の労苦の上に成立していることが、史的に説明されている。まだまだ問題が山積している現代社会に、こうした諸問題に取り組める人材が、各所で求められる。とすれば大学教育が果たせる役割はまだまだ大きい
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今なおなぜ”女子”が働きづらいのか、明治期からの女子の働き方、日本の雇用(男性の)の歴史を概観することで、今の”女子”の置かれた状況をあぶりだす。
欧米では日本より女性が働きやすくなっており、M字型も台形型になっているが、それはそう昔のことではなく60年代になってからだという。その源泉は賃金に対する考え方で、欧米では企業の中の労働をその種類ごとに職務(ジョブ)として切り出し、その各職務を遂行する技能(スキル)のある労働者をはめこみ、それに対して賃金を払う。経理のできる人、旋盤のできる人といったように。なので女性の労働問題は、女性の多い職種はおおむね賃金が安く、男性の多い職種(管理職とか)に女