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正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。問われているのは民主主義の本分だ。独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。
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Posted by ブクログ
日本型雇用慣行の成り立ちと、労働法からみた現代の雇用にまつわる諸課題を丁寧に解説してあり、非常に分かりやすい。 終身雇用、年功的職能給制度、企業別組合、ホワイトカラーの長時間サービス労働などはすべて’日本型雇用システム’を支える重要なパーツであり、すべてつながっている。従ってどれか一つだけ変えようと...続きを読むしてもうまく行かないことがよく理解できた。これらはある意味日本文化の本質とでも言うものであり、一朝一夕には変わらないだろうが、いずれグローバルスタンダードに収れんしていくように思われる。 いまは非正規労働者というカースト外の身分を作ってそこにしわ寄せすることで何とか外国勢と戦っているが、今後若年労働者が減少し、多くの老人を支えるべき高生産性を実現していくにはサステナブルなシステムではない。
濱口圭一郎さんは、今や世の中に一般用語として受け入れられた「メンバーシップ型雇用」「ジョブ型雇用」という用語を初めて使われた方で、キャリア官僚、大学教授などを経て、今は独立行政法人労働政策研究・研修機構の研究員。 本書は、2009年発行であり、私の記憶が間違っていなければ、濱口さんが、「メンバーシッ...続きを読むプ型」「ジョブ型」という用語を使われるようになる前の著作だ。 職務を特定しないまま労働契約を締結することが、日本型雇用の本質である、と筆者はまず主張されている。数十年前、大学を卒業し入社した会社では、入社研修が終わり、「配属式」と呼ばれる式で配属先の発表を受けるまで、自分はどこで、どんな仕事をするのか分からなかった。今でも、新卒として比較的規模の大きな会社に入るとそういう状態のはずだ。説明の詳細は省くが、この日本型雇用システムにより、ある意味で、労働者がしわ寄せを受けているのではないか、というのが、本書の主張のメインの部分だ。 それは、色々ある。 日本的な長期雇用(終身雇用)を社会の仕組みとしてキープするために、労働者は、会社の決定により勤務場所や職務が決められる。それは、望まない転勤を招いたりする。特に家族持ちの場合には生活に対しての影響は大きい。しかし、判例では、相当な部分まで、労働者は会社の命じる転勤に従うべきであるという判断がくだされたりしている。そのようなことは数多い。 本書は、どちらかと言えば、そういった問題を、労働「行政」「法制」「政策」の視点で論じたものであり、割合と実際的・実務的な話が多い。人事管理の仕事等に関係している人にとっては、頭の整理にもなる。
日本型雇用システム(長期雇用、過度な年功賃金、企業別組合)が適用されるのは正社員のみであり、その背後には多くの非正規労働者が存在する。その格差是正のアイデアの一つに、EU等で採用されている同一労働同一賃金(長期雇用を前提とした過度な年功賃金制度からの脱却)がある。本書の中で関心を持ったのはその部分...続きを読むで、本書では、賃金制度にメスを入れる時に整備されておくべき社会的条件を考察している。EUにおける非正規労働規約の焦点は均等待遇原則(基本的労働条件について差別されない)にあり、ベースには男女平等があるらしい。一方男女均等の観点で日本は、男女を等しく長期雇用に組み込んでいく慣行が出来上がり、これは正社員の総合職と一般職に代表されるようなコースの平等と言える。基本的労働条件においては日本は、パートに対して賃金の均衡処遇の努力義務を課しているものの、非正規労働者(派遣労働者)には均衡処遇も否定している(賃金は外部労働市場で決定されるという整理)。同一労働同一賃金を導入する場合の社会的条件の一つに、年功賃金が担っている生活給の側面(正社員への長期的な安心の提供)を誰がどのようにカバーするのかという問題がある。本書では市場経済の交換の正義と、福祉社会の分配の正義が相容れないことを指摘し、公的な仕組みで負担していくことを説いている。企業の福利厚生の一環である住宅手当や家族手当などは企業の魅力を高めることもできるが、労働の対価という観点では不正義になる(同じ技能を持った社員でも、扶養する家族が多いほど給与が多くなる等)。本来政府がやるべきところを長年企業がやってくれてたもので、著者は早速、生活保護の一部雇用保険化などのアイデアを出している。年功賃金には中高年層への過剰な対価の提供というデメリットがあり、イノベーションの阻害要因にもなるから、日本でも長く見直しの機運があるが、現実には技術革新による配置転換が難しくなったり、今の制度に甘んじてる人たちがたくさんいるため(非正規では組合として交渉できない)、現在でも大きな変化はないように思える。生産性の低い組織となり利益が出なくなれば、また非正規が増える悪循環になる。となると、まず正社員がいつ辞めても大丈夫と思えるくらいの制度が用意される必要があるだろう。
労働関係法規が「こうなっているんだよ」と解説する本は多いですが、それらの法規がなぜ、どのような議論を経て(または議論を棚上げされたまま)今存在しているのか。行政、経営、労働者三者の視点を踏まえて本質へと切り込む一冊です。表面的なマスコミのあおりやバッシング、議論のすり替え、曖昧に決着をつけられてきた...続きを読む雇用課題がいかに多いのかがリアルにわかります。出版から時間を経てもなお、雇用問題の本質は一つも変わっていないことを感じます。決して古い本ではありません。
筆者の考え方がすごくためになる一冊。 これから社会人に出て働くにあたって社会の状況について考えることが出来ました。
濱口さんの本は非常にわかりやすく書かれているが、少し二分する書き方なので吟味しながら読むとよいのかもしれない
2009年に書かれた本のため、内容が少々古いかもしれない。しかし、日本や欧米諸国における労働関連法の歴史的経緯からそれぞれの功罪が非常にわかりやすく書かれている。 私が知る2013年以後の労働法や大きいところでは派遣法改正でかんじた違和感の背景が手にとるようにわかる。そして、これからの日本の在り方を...続きを読む濱口氏の主張を軸にしながら深く思考することができる。法律及びその運用や実務において、その主旨や哲学を理解することがいかに重要であるか、再認識した。濱口氏の主張の中には現実的でないものや違和感を感じるものも読む人によってはあるかもしれない。
・日本型雇用システムの三種の神器→長期雇用制度(終身雇用制度)、年功賃金制度(年功序列制度)、企業別労働組合 の3つだそうだ。 ・男性正社員の過重労働の原因とは→彼らに課せられている過重責任。
似た趣向の「雇用身分社会」と異なり、多角的に雇用を捉え、問題点を抽出している。 企業が人件費の掛かる中高年層をリストラし、終身雇用制度が、崩壊した現在は、生活給制度は、崩壊しており、それら企業が負担していた育児、教育、住宅費については、政府が負担する必要がある。
現在の労働法政と実態のギャップを挙げるだけでなく、解決策、今後の方向性も示している。歴史的背景から論じている点も私には納得性の高まる要素となり良かった。非常に充実した内容で勉強になる一冊。
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