濱口桂一郎のレビュー一覧
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①女性の労働史・日本型雇用の生成史に関する歴史的記述、②日本型雇用がいかに女性の活躍を難しくしているかという現状の分析、の両点につき興味深い分析がなされている本だと思います。
①まず、第一点について。日本のメンバーシップ型の雇用が、戦時中の皇国勤労観を基礎として、戦後の労働運動の成果として受け継がれたという記述など、さまざまな面白い歴史的記述がなされていました。
②第二点について。日本のメンバーシップ型雇用は、銃後の女性によって支えられた男性をモデルに組み立てられたものであるがゆえに、男女平等も、女性がそうした男性のように働くことができる平等とされており、育児や家事などの負担を負う女性の -
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ネタバレ全ての会社員、とくに就活中の学生や転職を考えている人には必読。組合活動に携わっている人にもおすすめ。
批判したいのは、「ジョブ」とは何かということの定義が曖昧なまま議論が進むこと。そこが曖昧だと、最終的に著者が提示する「ジョブ型正社員」にしても、それが何を目的とした提言なのかがわからない。
世の中にはいろんな種類のジョブがある。医師や弁護士のようにわかりやすいものもあれば、必ずしも目に見えないものもある。また、極論と思われるかもしれないが、世の中には知的に障害がある等の理由で、いわゆる「ジョブ」を習得できない人もたくさんいる。そこに目を向けていないことを批判するつもりはないが、ではどこに目 -
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日本における若年層の雇用・労働と、そこへ辿り着くまでの教育について、欧米と比較しながら戦後から現在にかけて労働法的な側面と政策を辿っていく。
まず指摘されるのは、若年者の失業問題は国際的には以前からずっと存在し、むしろ日本でバブル期以前に若年失業問題がほとんど存在しなかったことのほうが特殊であるということ。その要因として、日本特有の「ゼロからの企業内育成」を前提としたメンバーシップ型の雇用を挙げ、それが「誰もがどこかへは入社できる新卒一括採用」を生み出して若者の雇用安定をもたらした一方で、家庭を含んだ社会全体での職業教育の必要性の希薄化を生み出したと指摘されている。
ところがバブル崩壊以降 -
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日本における労働社会が、世界のそれと比較されることで俯瞰的に見えてくる。
良く目にする報道のように、残業にかかわる使用者・労働者の裁判を未払賃金の問題としてフォーカスすると、長時間にわたる(健康維持が難しくなる)労働時間という問題から視点がずらされてしまう。
確かに!
問題は、しかし、使用者だけでなく、労働者も長時間労働を容認していることにもあり。
民間企業に勤めていた際は残業に抵抗なかったしな…
理由として、もちろん残業代が得られる事もあるけど、やるべき仕事に時間を注ぎ込みたいという思いからもあり。
それからもし長時間労働の少数人員に替えて、短時間労働人員を多数にした場合、その企 -
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ネタバレこの本は……難しいです(笑)
目新しいと感じたのは、最低賃金の成立背景つまり、家計を補助する学生や主婦が主だったためにその低賃金で良かった(所得主筋は男性である)が、もはやその性格は過去のものとなり、フリーター等はその補完的性格である最低賃金で生活を営まなければならない状況にあり、これは現実社会と醋齬をきたしている。
それともう一つ。労使の団体交渉について、労働組合への加入は管理職を除く正社員であり、利害関係者として管理職や非正規社員は排除されている点。
これだと労使間協議の際、利害を主張できない非正規社員が真っ先に不利益を被ることになる。
しかも、一企業では非正規社員数と正規社員数 -
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ネタバレ[ 内容 ]
正規労働者であることが要件の、現在の日本型雇用システム。
その不合理と綻びはもはや覆うべくもない。
正規、非正規の別をこえ、合意形成の礎をいかに築き直すか。
問われているのは民主主義の本分だ。
独自の労働政策論で注目される著者が、混迷する雇用論議に一石を投じる。
[ 目次 ]
序 章 問題の根源はどこにあるか―日本型雇用システムを考える
第1章 働きすぎの正社員にワークライフバランスを
第2章 非正規労働者の本当の問題は何か?
第3章 賃金と社会保障のベストミックス―働くことが得になる社会へ
第4章 職場からの産業民主主義の再構築
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
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「ルポ 雇用劣化不況」を読んで、労働問題についてもうちょっと考えてみようと思って読んだ本。こっちの本は労働問題について基本的には制度(法律)を切り口にしている。
一言でいえば、ボリューム満点。そして、労働関係の書物に慣れてなかったり、労働法jについての知識がなければ完全に理解することはできない。そんなわけで、大体の内容しかわからなかった。以下、一部分のまとめ
日本型雇用システムをメンバーシップ契約(職務のない雇用契約)という点から説明しているのは興味深い。そして、この観点から、正規・非正規雇用者の間に均等待遇を論じ得るような共通の物差しがあり得るかどうかを問題とする。
他にも、現実に適 -
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ネタバレジョブ型とメンバーシップ型という雇用の仕組みを比較しながら、日本の雇用システムの問題を丁寧に解き明かしている一冊。
特に印象的だったのは、メンバーシップ型の雇用契約を「空白の石盤」とたとえた箇所。
日本では職務が曖昧なまま採用され、企業が必要に応じて仕事内容を書き足していく——この構造が、評価基準の不透明さや年齢依存の人事慣行につながっていると指摘していた。
また、大学教育と職業の接続が弱く、専門的スキルを育てにくい現状にも触れており、ジョブ型に移行するには企業だけでなく産官学の連携が不可欠だと感じた。
一方で、外資系企業が日本でどのようにジョブディスクリプションを運用しているか、という視 -
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さて、上述の通り、安倍政権下で「同一労働同一賃金」という旗印の下で行われた働き方改革であるにもかかわらず、その同一労働同一賃金と称するガイドライン(「短時間・有期雇用労働者及び派遣労働者に対する不合理な待遇の禁止等に関する指針」)においては、基本給については指針は職能給、業績給、勤続給、昇給制度の場合のみを採り上げ、同一労働同一賃金に最も
ふさわしい職務給をあえて無視していました。そもそも、圧倒的多数を占めるはずの両者の賃金制度が全く異なるケースについては、本文には一切記述がなく、注に抽象的かつ曖昧な記述が数行盛り込まれているだけでした。
おそらく、パートタイム・有期雇用労働法によって法 -
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日本の雇用問題とその背景を歴史から学ぶことができる。日本は欧米とは異なるメンバーシップ型の雇用であるという歴史は別の本で学んだが、女性が明治時代の繊維職の労働から戦時中の労働、戦後、、とどのような雇用形態を取ってきたのか、そこにある日本社会の都合による差別や制約も含めて知ることができ、勉強になった。
また、建前上は制度ができても実運用が成り立たない慣習、女性はこうあるものだといったもの、それが女性自身もそういうものだという認識を持ってしまっていただろう、というのも難所であったと考える。欧米も含め、過去に偉大なことをしてきた女性から学ぶこともたくさんあるのではないかと振り返る。