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新卒一括採用方式、人間力だのみの就活、ブラック企業、限定正社員、非正規雇用……様々な議論の中でもみくちゃになる若者の労働問題。日本型雇用システムの特殊性とは? そして、現在発生している軋みの根本原因はどこにあるのか? 日本型雇用の状況だけでなく、欧米の成功例・失敗例を織り交ぜて検証する。労働政策に造詣の深い論客が雇用の「入口」に焦点を当てた決定版。感情論を捨て、ここから議論を始めよう。
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Posted by ブクログ
大変勉強なる本でした。 現在の就活というイベントのスタートや日本の雇用制度の問題点。 そして、その問題点がグローバル化とともにどのように変化しているのかなどが全て分かります。
◯労働分野の勉強はほとんどしていない自分にとっては、面白いように新しい知見を得られる一冊であった。 ◯特に印象的だったのは、日本の若者の就職の実態と、労働法制がずれているという点が面白い。なんのための法令だか分からなくなる。これではブラック企業や過労がなくならないのもなんとなく頷ける。(この辺りは経...続きを読む済界と政界の折り合いがもたらした悲劇なのかもしれないが) ◯また、日本の就活が、採用基準の意味不明な人間性を見ているのは何故かということにも、一定の納得が得られた。確かに、現在の日本の大学では就職のためのスキルを得られない文系大学や講義が多すぎる気がする。 ◯この辺りはそれこそ「革命」でも起きない限りは中々変わらないのかもしれないが、知ってこそできることはあるので、ぜひ大学生にこそこの本は読まれるべきだなと思う。
2020年5月再読 最初に読んだのは、2014年頃だったと思う。 日本の労働問題について、これほど切れ味鋭く論じた本は、初めて読んだ。発行は2013年なので、発行から7年が経過しているが、分析は全く色褪せない。 日本の労働慣行と、欧米、特にアメリカの労働慣行の違いをきちんと整理したくて再読した。濱...続きを読む口先生のテーマは、言ってみれば、働く人達の幸せであるのに対して、私の興味は、労働慣行の違いが企業の、ひいては一国の産業競争力にどのような影響を与えているかということ。でも、最後は一緒かもと思い始めた。
濱口さんのブログは民主党政権時から読んでいたが、著書は初めて。 職業教育や人材育成のあり方をずっと研究してきた者として、もっと早く読んでおけばよかった・・・ やっぱり戦後日本社会というのが極めて特殊な幸せな社会だったので、そこからの脱却・転換が難しくなっているということだと思う。 自分の住む社会につ...続きを読むいて適切に理解することが一番難しいのだなぁ。
日本にとって若者の労働問題は 新しい問題だったという指摘。ジョブ型とメンバーシップ型など色々勉強になる。一度、参考文献こみでしっかり読み込んでみたい。
日本人は、所属先を失ったり、不当に扱われたりすると、 簡単に自信を喪失したり、最悪、自殺します。 所属と日本人を考える上で一番参考になるのが、 就職活動です。 ここでいう就職活動は、日本の大学生が3年時から、 行う新卒定期採用制への参加、通称就活を指します。 これがなぜ、一番参考になるかという、...続きを読む 就活に参加するか、しないかが、 学生が、日本で職業人生を 歩む上で極めて重要になるからです。 私は以前から、この就活は、戦前・戦中の、旧日本軍への、 徴兵制と、全く変わらないんじゃないかと思っています。 つまり、自由意志とは関係なく、強制であり、 参加しないものには、 社会からの制裁を社会的経済的に、 受けるものとなっているのではないかという疑問です。 また以前、戦況が悪化する中で、誰かれかまわず、軍へ徴兵させるやり方は、 現在の新卒をめぐる問題を考える上でも、非常に示唆に富んでいます。 つまり、戦争末期、徴兵はしたものの、軍隊教育を行う余裕がなく、 とりあえず戦場に出すというやり方は、現在の少なくない会社が、 新卒に対して求める条件を低くして、使い捨てにするやり方と、 非常に似通っています。 徴兵制が機能している時は、戦況が良い時であるよう(思わせている部分も多いにありますが)に、 新卒定期採用が機能している時は、経済が活況の時です。 しかし、残念ながら、前者は破滅的な結果を生み、 後者も、現在、ボロボロの状態にあります。 それでも、体制を変えようとしないのは、狂っているとしか、 言いようがありません。そうです、現在の日本は、明らかに狂っています。 一億総活躍社会なんて、あまりにグロテスクな社会です。 日本で賢く生きるのは、有名大学に行って、有名企業や公務員になる ことです。この神話が未だに生きています。しかし実際は、死体です。 企業体も公務員組織も、現在、以前のような所属することへの見返りは、 ありません。有名企業さえも、破産するのは、当たり前になりました。 公務員になったとしても、実は、その実態は、あまり良いとは言えません。 これだけ不祥事が賑わしていますから、統計的に分析してみることをおススメします。 日本は、未だに、私は、これができますという社会にはなっていません。 ○○に所属していますから、自分は、凄い人間なんですよとか、 〇〇に所属しているから、自分は、どうしようもない人間なんですよと、 今でも、所属先が、その人の自信と社会的地位を測る、 パロメーターとなっています。 しかし、今は、不安と隣合わせです。 それは、凄い所属先の人はみな内心思っています。 もし、今の所属先を失えば、自分には何があるのだろうかと。 それは、仕事に人が張り付いている欧米のジョブ型なのか、 人に仕事が張り付ている日本独特のメンバーシップ型なのか、 この差は、あらためて大きいと思います。 どちらも、一長一短ありますが、 前者はいつクビになっても、次は、もちろんありますが、だって、仕事があり人がいるわけですから、 その仕事内容ができる人は、できない人は、明確に分けることができます。 後者はクビになったら、つまり、所属先がなくなったら、何者でもありません。 次の所属先を探さなくてはいけませんが、それは、なぜか、多くの不当な理由で、 個人の可能性を狭める状況に追いやられます。 なぜ、こういう個人にとって、あまり良いことがない制度が、 確立しているのか?そのヒントは、この著作にもありますが、 個人的には、組織体だけを長く存在させるためには、 もっとも合理的な制度だからです。 それは、個人というものが、軽視されていることの現れですが、 もっと言えば、個人が、あまりにこの国では、バカだからです。 また、この問題は、非常に根が深く、 おそらく、日本って、ほんとに、近代国家なのか、民主国家なのか、 ほんとに、士農工商の身分制度ってなくなったの?うんぬんまで、 考えざるを得ない問題です。 今現在で言えば、就活に参加することは、以前のように、当たり前かつ賢い方法になって いるわけでもなく、多くのリスクを内在しています。そのリスクを考えた者が、 これから「生き残る人」になるかもしれません。 これから日本社会並びに経済は本格的に衰退していきます。 それは戦後40年で生産人口が4000万、当時のイギリスの人口ぐらい増えたとの 対称に、これから40年で3000万減ります。 このインパクトは、移民どうこうや、生産制云々という議論ではもちろん、 ありません。 こういう状況の中で、どういう職業につき、糧を得ていくかというのは、 どこに所属するかの100万倍大事な問いです。 それを考える上でも、この著書は、非常に参考になります。 よく本の知識なんて、役に立たないといわれますが、 それは、目的を持って、知識を獲得しようとしていないからです。 しかし、知っとくだけで、得することはたくさんあります。 この著作は、新書形式ですが、非常にお手軽ですが、 著者の考えは、この生きにくい日本で、どうしたら、若い人が、 より良い職業人生を歩むか、考える上で非常に大切な知識を教えてくれます。
こ難しい本って、なかなか一気読みできない質なのですが、興味ある内容かつ、分かりやすい文章だったので、一気に読みました。新卒一括採用が、気色悪いとおもいながらも、シューカツに身を委ねた自分ですが、メンバーシップ型とジョブ型雇用の論調を読んで、はっきりと今の時代に合わないと再認識しました。変わらないと日...続きを読む本は、壊れてしまうなと。。。
日本の雇用問題を歴史的な経緯の縦軸と諸国との比較の横軸で平易に解説した良書。現代の雇用問題を語るにはぜひ読んでおきたい。 かつての日本は学習と労働が切り離されていたが、「入社」のシステムが日本のパフォーマンスを支えていた。その「教育と労働の密接な無関係」が、部分的にせよ機能不全に陥入れば、それに代わ...続きを読むって若者の雇用への移行を支える仕組みは、「教育と労働の密接な関係」以外にはあり得ない、と説く。
日本は「人」に対して「職業」を充てるのに対し、欧米は「職業」に対し「人」を充てる、という日本の労働の特殊性を知ることができ大変参考になった。
日本型と欧米型の雇用システムの比較が非常に分かりやすく論じられている。 日本型の「入社」を前提とした新卒一括採用は、欧米と比べて、若者の雇用を守るという社会的な必要性もあったのだろうが、競争が激化する中にあって、労働生産性といった観点で再考する時期が来ているのだと感じる。 「入社」や「人」に着目...続きを読むした日本型の雇用システムが、無制限に会社のために働かせることを暗に強制し、長時間労働やブラック企業を招いているという問題意識が非常にわかりやすく整理されていて、勉強になった。
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