女性の「活用」が叫ばれて久しいのに、日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?
社会進出における男女格差を示す「ジェンダーギャップ指数2015」では、
日本は145カ国中101位という低い数字。その理由は雇用システムの違いにある。
ジョブ(職務)=スキル(技能)に対して賃金を払う〈ジョブ型社会〉の欧米諸国と違い、
日本社会では「社員」という名のメンバーを「入社」させ、定年退職までの長期間、
どんな異動にも耐え、遠方への転勤も喜んで受ける「能力」と、企業へ忠誠を尽くす
「態度」の積み重ねが査定基準になりがちだ。
このような〈メンバーシップ型社会〉のもとでは、仕事がいくら出来ようとも、
育児や出産の「リスク」を抱える女性は重要な業務から遠ざけられてきた。
なぜそんな雇用になったのか――その答えは日本型雇用の歴史にある。
本書では、豊富な史料をもとに、当時の企業側、働く女子たち双方の肉声を多数紹介。
歴史の中にこそ女子の働きづらさの本質があった! 老若男女必読の一冊。
本書の構成
序章 日本の女性はなぜ「活躍」できないのか?
第1章 女子という身分
第2章 女房子供を養う賃金
第3章 日本型男女平等のねじれ
第4章 均等世代から育休世代へ
終章 日本型雇用と女子の運命
Posted by ブクログ 2022年12月25日
『働く女子の運命』 濱口圭一郎
2022年10月―12月期 グロービス参考図書
本書でも『若者と労働』と同様に、雇用保障と引き換えの職務・労働時間・勤務場所が無限定の労働義務を負う正社員と非正規雇用の二極化する日本的雇用慣行をベースに論を進めている。
女性はその中で、育児やその他の女性の身体的特徴...続きを読む
Posted by ブクログ 2020年08月25日
日本の雇用システムの歴史的流れとその中の女性労働者の立ち位置が整理されていてとても読みやすくわかりやすかった。
ワークライフバランスには、労働時間を規定する第一段階と柔軟性をもたせる第二段階があり、日本は第二段階については他国と遜色ないくらい充実してるのに第一段階が空洞化(時間無制限な労働義務)し...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年06月05日
働く女子の運命 濱口桂一郎 文春新書
女性活躍推進法と言う
愚かな管理法が作られた
自主的な選択を無視した
見かけ上だけの女の地位を
上げる行政指導
こんな無駄して嘘に苦しみ
格差社会に逃げ込まなくても
無条件のベーシックインカムで
有り余った余剰生産物を再分配すれば
全ての生命に行き渡り
...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年06月28日
戦後の女性の労使関係史をまとめた新書だが、(戦後の)日本的労働観がその前提としてまとまっている良書。
欧米の仕事内容が規定された労使関係は、もともと女性と男性のジョブを分け賃金格差もあった。1950年ごろを見れば男女差別は日欧米共に歴然としてあった。
現在の欧米では流動性の高い就職状況下で規定された...続きを読む
Posted by ブクログ 2015年12月30日
■BGとOL
・BGは1950年代末から60年代にかけて短期勤続の女子事務員を指す言葉として流行
■戦前と戦後を貫く女性労働の特色は短期勤続
■会社側から結婚退職制の採用とその理由が示された「住友セメント事件」
・結婚前の女子は既婚女子に比して家事等に煩わされない
・結婚後において家庭本位とな...続きを読む
Posted by ブクログ 2019年12月28日
性別による差別以前に、日本では法律で労働時間の上限が定められてないことを知って驚いた。てっきり、週40時間と決められてると思っていたけれど、筆者の言う通り、それ以上は残業になる、と線引きする区切りのことで、それ以上働けない、という時間ではない。
女性がまともに働ける状況になるには、まず、そもそもの...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年11月03日
著者の新しい労働社会を読んだ際も思ったが、現在問題となっている様々な労働関係の問題を考えるに際して、メンバーシップ型雇用システムという概念は、補助線として抜群の切れ味を有している。本書は、その概念をもとに、働く女子について考察が加えられている。ただ、メンバーシップ型雇用システムという観点から考えると...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月29日
女性労働問題の本質は総合職正社員の実質残業無制限と転勤無制限制にあるということ。 だからこれに対応しにくくなる子持ち女性は疎外される。 女性の権利保護よりも労働時間規制が大事 組合が派遣社員の権利保護に消極的なように歴史的には女性労働者の権利保護にも消極的だったということも知りえた。 雇用問題の...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年10月24日
労働問題の専門家による、女性の労働環境を中心に日本の雇用システムについて論じた本。精緻な調査に基づく学術的な内容となっている。特に、女性の雇用のあり方について、明治から現代に到るまでの経緯についての記述が興味深かった。
「(女工の出発点 富岡製糸場)当時の女工たちは誇り高い士族の子女で、十台半ばの...続きを読む