原田ひ香のレビュー一覧
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『東京ロンダリング』のスピンオフ的な短編集。オムニバス形式で8話が収録されています。
事故物件を浄化する“ロンダリング”に関わる人達を巡り、各話が少しずつリンクしている構成です。
様々な事情を抱えたロンダリング関係者達に、巧妙に近づいてくる、一見爽やか若しくは明るいけどどこか胡散臭い男女や、暗示的にちょいちょい出てくる自己啓発本・・・。
後半の数話では、一連の話の背後に見え隠れするものを、失踪者探しを生業とする「失踪.com」の仙道さんが追求していくというミステリちっくな要素も加わり、その不穏な雰囲気に引き込まるものがありました。
そして前作の登場人物の、りさ子さん、「相場不動産」の社長さん、まあちゃんといった面々が出てきた時は、何だか再会したような嬉しさがありましたね。
ただ、結局大手企業による“ロンダリング妨害疑惑”の真相はうやむやな感じで終わるのが若干モヤっとします。
基本無気力なりさ子さんが、意外と戦う気満々な感じだっただけに、そこははっきり決着つけて欲しかったですね。
あ、もしかして続くのかな・・・(希望)。 -
Posted by ブクログ
『ランチ酒』シリーズ2作目。夜勤を終えた帰り、ランチとともに軽く (?) 酒を楽しむアラサー女性を描く連作短編集。第1酒から第10酒までの10話からなる。
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主人公は犬森祥子。
バツイチで「見守り屋」という一風変わった職に就いています。
仕事は夜勤中心でストレスが溜まる仕事だけに、仕事帰りにランチを兼ねてチョイ呑みするのが何よりの楽しみ。
そんな祥子の昼呑みランチを中心にしたライフスケッチがおもしろかった。感じとしては『孤独のグルメ』を思い出す作品でした。
朝や昼に気軽にとる食事。何を食べるかはその時々の気分次第。高級店での気取った料理でない ( 豊洲の寿司屋はありましたが ) ところが親近感が湧いてイイ。
食べることが好きで健啖家でもあるほか食欲が仕事の成否とは切り離されているところなど、祥子と井ノ頭五郎には共通点も多い。 ( 違いは五郎が下戸であるところぐらい。 )
だから読んでいて気持ちいい。
主人公の祥子については、やや地味な設定ながら落ち着きや機転もあり、ランチ時に見せるはしゃぎようも魅力的で、これまた親近感があってよかった。
また、ストーリーについては起伏に富んでおり、サスペンスや恋愛模様など読ませる展開にも作者らしさが出ていてgood!
物足りなく感じたのは料理と酒類の描写でした。
作品タイトルに掲げているのなら「ランチ酒」は見せ場の1つのはずです。ならば酒食ともに、もう少し食欲をそそる描写が欲しかった。特に小タイトルが「第~酒」なのだから、酒類へのウエイトは再考の余地があるように思えます。
副題「おかわり日和」。展開に活かせているでしょうか? -
購入済み
「その人」を表す三千円の使い方
「貴方は3000円貰ったら何に使いますか?」この大金とまでは言えなくとも、それでも何かやりたいこと欲しいものであれば何かしら出来てしまう。そんな金額だからこそ、その人となりが現れてくることに妙に納得してしまった。
就職、結婚、出産、定年。人生には様々な節目がある。そのいずれかを経験した人であれば、この作品に共感して頂けるかと思う。むしろどの節目を経験しているかによっては異なる印象を持つ作品で、いつ、誰が、何度読んでも「私もこんなことがあったなぁ」と共感できる作品。 -
Posted by ブクログ
自殺や事故死などがあた賃貸アパートなどの部屋を事故物件という。そんな事故物件は、次に借りる人が嫌がる。そこで、あえてお金を払って誰かに住んでもらい、賃貸の実績を作ってから新たに貸し出す。そんあ事故物件に住む人をロンダリングと呼ぶ。そういう設定でこの小説は始まる。
最初は、事故物件に関わるオムニバスと思わせるのだが、すべての話は伏線となっていて最後にうまくピースがはまる。
自殺者や行方不明者などに関する仕事をしている男が最後に真相を突き止めるのだが、突然大学時代の友人で今は都庁の重要人物というのが登場し、これからが丸く収まるのは、ちょっとずるいかな? -
Posted by ブクログ
ネタバレ不遇の子どもがいると聞けば、どんな手を使おうともその父子家庭に入り込み、赤の他人の子どものために最善を尽くす女。そして自分の去り時だと思うと速やかに姿を消し、また次の家庭を探しては移る。
父子の父親のほうからはもう不要だと思われていたとしても、子のほうにとっては実の母親同然の存在。大人になった今も彼女のことを忘れられない子どもたちが、彼女を追いかける。
感情が読めないから彼女を理解しづらいけれど、母性とはこういうものなのでしょうか。不思議なタイトルに思い出すのは映画『シェーン』。「カムバック!」と言われたらそうしてもいいと思う。きっと、戻れる。
「借して」という誤字のせいでかなりテンションが下がってもったいない気がしたのは否めません。(^^; -
Posted by ブクログ
全て女性目線で書かれているからか、勉強になった。
ひどい手段でも、子供を授かれば周りからは喜ばれ、しあわせなことなのかな。
妊娠出産ってしあわせの象徴みたいにされるけど、子供ができない人もたくさんいて、そういうことを知っているはずなのに無神経な発言をする人が多いのもまた事実…。
人の家に入るのが好きっていうのも異常ではあるけど気持ちは少しわかる。
外から家を見ていて、他人の家の生活とか、覗いてみたい気持ちになることはあって。
子供の時に感じていた家庭の暖かさとか、帰った時のカレーとか、日曜日の洗濯物とか、そんなのがたまにふっと恋しくなるかんじ。
旦那さんサイドの話も読んでみたいかも。