朝比奈あすかのレビュー一覧
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ネタバレ読後、鳥肌が立ちました。
美保の考えは思い込みが激しく、どうしてもっと他人の話を聞かないのだろう。とか、シングルマザーでもないのに仕事を理由に子供を蔑ろにしたりするのか。転職したらいいのに。とか、考えてしまって受け入れられない主人公でした。
特に、息子の入院中のカウンセリングを担当していた深山に対しての態度はひどすぎました。彼女が丁寧に時間をかけて息子から聞き出したことを、無鉄砲に本人に投げかけ、関係を悪化させることとなってしまいました。
仕事と子供との向き合い方については、息子の晴翔が学校の窓から落ちて怪我をすることをきっかけに、夫と反省をし、子供に目を向けるようになります。が、家庭の事情を職場で伝えず居心地悪くなったり、仕事の調整もせず実の親や姉に頼って、息子に真摯に向き合う態度もなく、正直主人公に対してイライラしました。
不登校だった過去をもつ姉に、フリースクールに通い始めた晴翔の加害性を指摘されるまで、完全に被害者だと思い込んでいる部分もまた、あまりにも視野が狭すぎるなと思ってしまいます。
しかし美保の小学校時代のアケミを取り巻くイジメについての回想シーンはあまりにリアルに想像でき、そういう空気感があると逃げられないよな、と思いました。
しかし終盤、まんまと騙されていたことに気づきます。この回想は、美保に都合よく改変された記憶でした。
学年が上がって、主犯格のことをしっかりと叱ってくれた担任の話がありました。許せないことをちゃんと許さないことは、難しいことだが大切だと感じました。
ラストでは家族3人で久しぶりに旅行に行き、しっかり向き合って晴翔から、曖昧な部分がありながらも話を聞き出すことができ、この状況になったのは周りのせいでもあり、本人のせいでもあるという複雑な関係を知ります。それを学校にも報告して、みんなでカウンセリングを受けよう。というところでストーリーは終わります。
このあと同級生たちとはどうなったのか。晴翔は転校したのか、フリースクールに通い続けたのか、それは描かれていません。
そしてクライマックス。美保のクラスのいじめの主犯格であったアケミを取り巻いていたうちの1人、江梨。美保が大口の契約を獲得した夫婦の娘が江梨であることがわかり、接触を試みるもドタキャンをされていましたが、彼女からのメールの返信でこの物語は幕を閉じます。
そこで、美保が語っていた小学校時代の出来事は、野々村という男子がいじめられるようになったきっかけや、江梨がいじめられるように仕向けていたのが美保であることが明らかになります。
さらに、江梨や野々村の負った傷についても知ることとなります。
印象に残ったのは、「そこまで卑怯にならざるを得なかったあなたも犠牲者のひとりだと思います。しかし、それを言うならば、五十嵐(アケミ)も大人たちのネグレクトの犠牲者です。虐められた側にとって、虐める側の事情など、関係ありません。あなたたちはそういうことを、しないこともできたのに、したのです。」という部分。
虐めを考える時、主犯格だけが悪いと思ってしまいがちだけど、これは忘れてはいけない考え方だと強く思います。
江梨の、「私は、子どもの頃の自分のために、ずっと、誰のことも赦しません。」
「人に会うと笑顔を作って合わせてしまう。もし会っていても、この手紙に書いていたような強い言葉などとても言えない。加害者は一生、被害者の本物の笑顔を見ることはできない。」
という言葉で、被害者が大人になってからもずっと、後遺症に苦しんでいることがよくわかりました。
自分自身の子供も来年から小学生に上がるので、他人事ではないテーマでした。
私自身も正直、友達と一緒になって靴箱に物をいれていたずらするようなことはしたことがあります。自分は、そんなこともあったな、酷いことしたな。と思うだけだけど、私も美保と同じかもしれない。被害者は今も苦しんでいるのかもしれない。そう考えると恐ろしいし、子供達が加害者にならないようフォローしていかなければならないなと思います。 -
Posted by ブクログ
登場人物たちとそう年齢が変わらない、30過ぎの私には痛く刺さる部分が多かった。
朝比奈さんの小説を読むと、しばしば同じような苦しさというか、ささくれを剥いて膿んでしまった時のようなじくじくした痛みを感じることが多いと思う。
何者かになりたいけど安全圏から飛び出す勇気も才能もなくてただ日々をなんとなく消費していく気持ちや、
だんだん属性や生活ランクが変わっていく同級生達の芝生の青さをただ羨ましく思う気持ちだったり。
気がついてるけど敢えて真正面から見ることを避けてしまう現実に受動的に向き合わされる感じというのかな。
私は神の立場で物語を追っていくけど、登場人物を通して自分自身もそうである現実を突きつけられるんだよね。
つらいけど、読み終わってみると何か一つ自分の中でも気持ちが新たになる気もする。
だからもっともっと彼女達の続きを知りたくなった。 -
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久しぶりに小説のアンソロジーが読みたくなって購入。
一穂ミチさん、田中兆子さん、カツセマサヒコさんの短編が良かったけれど、あとは文章に深みを感じられずさーっと流してしまった。
一穂ミチさんは短編が本当に上手で、限られた文字数の中で想像を膨らませさせるような文章が良かった。設定からしてもひねりがあって、やっぱり安定の一穂ミチさん。
田中兆子さんの小説は初めて読んだけど、不機嫌で人をコントロールするタイプの女性の視点で描かれていてとても面白かった。どのように不機嫌な自分と言うものが出来上がるのか、不機嫌を撒き散らした後に回収できない自分のプライドの高さ、だけどそれを俯瞰的に見ている自分もいると言う苦しさ。なんだかとても深かった。
カツセマサヒコさんは話題のエッセイを買ってまだ読んでいないのだけど、小説も読んでみたいと思っていたので、ちょうどよかった。友達がみんな結婚したり、恋人がいたりして、少しずつ友達関係が変わっていく中で、自分だけがシングルであると言う状況と向き合う男性のお話。シンプルな文章の中で、この先どうなるのかなあと好奇心をかき立てられる短編だった。 -
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ネタバレ終始不愉快感がつきまとう中学お受験小説、小説としてつまらないわけでない、不愉快な気持ちになりながらもグイグイと読み進められるのがその証拠。
せやけどなんやねん、この親。子供は親の承認欲求のための道具ちゃうぞ、水泳で負けたからお受験て。それもヒエラルキーばかりにこだわって、小学生の成長に不可欠な運動や睡眠時間まで削って、強制労働的に机に張り付ける。
小学生があそこまで追い詰められて精神崩壊しかけたラスト、親はちょっとエエ気分になったようやけど、親が自己都合で追い詰めた精神、このまま安定するんやろか?この子は健全にこれからの学校生活と家庭生活を過ごせるんだろうか?すごく不安なラストだった。
解説の藤岡陽子が「終始子供を愛する気持ちは一貫している」と書いているが、そうやろか?俺は親の愛情というより偏執に読めたが。 -
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あまりにも切なく、共感だらけの恋物語だった…
恋って本当に苦くて、キラキラしていなくて…リアルな世界観と言葉たちが胸にズキズキ刺さった。
『感情旅行』 一穂ミチ
ご近所さんで、早逝した蒔生。彼と結婚する可能性のあった主人公の華は、訳あって彼の息子千歳から旅行をお願いされ同行することに… 華の心の葛藤と、千歳の秘められた想いを、出雲の穏やかな大地が彩っているような作品だった。ラストシーンは一穂さんっぽい甘酸っぱく爽やかな感じで好きだな
『独身の女王』 麻布競馬場
ミドサー独身の私は「独身のカリスマ」を「教祖様」とあがめていたが、そのカリスマが結婚した。そんなカリスマや友人の影響を受け、私はマッチングアプリをすることに…そこで出会った彼は大学時代憧れていた人だった。自分の人生や想いを、大切に紡いでいきたいと思えた作品だった。
『オレンジシャドウの憂鬱』 砂村かいり
あずみの元カレが友人の礼奈と付き合い始めたらしい…そこから礼奈はあずみに対してSNSで罵言を投稿していく。あずみの上手くいかない恋愛模様が繊細に描かれ、切ない気持ちが溢れた作品。
『さみしがりやの恐竜たち』 こざわたまこ
バツイチ同士の治癒的恋愛の話かと思いきや、ラストは思わぬ方向に話が進んでいく。ひとりの寂しさがぶっ飛んだラストに繋がっていった本作だが、共感するところもややあって…苦しいけどクセになる作品。
『不機嫌依存性』 田中兆子
不機嫌な人の心理を知れて興味深かった作品。主人公のカリンは、結婚するであろうタカヒロにいつも不機嫌な態度をとってしまう。それが仇となり、彼から別れを告げられるのだが…。今まで不機嫌な人を前に嫌悪感が否めなかったが、本作を読んで可哀想な人なのだと考え方が変わった。不機嫌であることは構わないが、やはり不機嫌であることで大切なものを失ってしまうのは悲しい…ならば自分の気持ちに素直になって、自分で自分の機嫌をとって生きていく方が楽であり、ステキな生き方であると改めて感じた作品。
『出会い』 朝比奈あすか
夢に見ていたアパレルブランドの店長になった美咲。そして勤務先の近くのカフェにいる歳下店員に恋心を抱き、ときめきを隠せない日々を送る。しかし月日が経ち、その店員がいなくなってしまう…落ち込みながらも、美咲が前を向いて歩いていく姿が印象的なラストが清々しい作品。
『振りかぶって、さよなら』 千加野あい
会社の部下平に恋心を抱く燈子。それと同時に同僚に勧められていたマッチングアプリの相手野々宮とも食事を重ねていた燈子だが、野々宮に共感のようなものを抱くものの、やはり平のことを忘れられない。純粋な恋心と年相応の現実の恋のどちらを燈子が選ぶのかー、恋ってやはり難しいなと唸ってしまった作品だった。
『となりの独り』 カツセマサヒコ
主人公のヨイチは、定期的に集まる友人グループで唯一の未婚者。彼はグループのみんなに「USJに行こう」と提案するものの、皆家族がいて難色を示す。そのこともあり彼はマッチングアプリで友人をつくるべく出会った女性に、思い切った行動を取るが…。
『結婚をすると
USJに行く対象や目的が変わってくるー。』
この言葉は直截的で、首肯が止まらなかったな。
1番好きな話は、『感情旅行』だった。
どんなにうまくいかない恋でも、自分の成長のためには必要なもので、それを乗り越える強さをこのアンソロジーから教えてもらった気がした。
うまくいかない恋も悪くないなと思わせてくれた作品。 -
Posted by ブクログ
自分の息子は"普通の子"と思って育ててきたが、ある日学校で大怪我をして入院することに。
自らケガをするはずがない、誰かに脅されたのだと疑わない母親(主人公)が、かつて自分が小学生だった頃のいじめを振り返って息子と重ねて妄想し暴走するような展開。
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子どもを持つ親の気持ちが分からないので、終始イライラしながら読み進めた。どうして自分の子どもだけを100%信じられるのか?
不登校になったら、普通の子じゃなくなるのか?
自分の子どもを他人から指摘されると、そんなに傷つくものなのか?自分のプライドのために他人を悪者にできるのかが分からない。
■最後、かつての同級生からのメール
いじめに加担していた側と受け手側の本音。
自分の子どもだけを考えているつもりの母親(主人公)をガツンと突き放すような内容に、いままで読んできたモヤモヤがスッキリした。
世の中、本音を言われないと相手の気持ちが理解できない人が少数いる。言われたことを赦しはしないし、手はくださないが、嫌いなあなたのフルネームを一生忘れないという意思表示だろう。 -
Posted by ブクログ
うまくいかない恋 アンソロジーなので
どの短編も単純なハッピーエンドではない。
けれど8人の作家さん其々に、30代ならではの主人公たちの個性的な恋模様が描かれていて面白かった。
収録作は以下の8作品
「感情旅行」・一穂ミチ
「独身の女王」・麻布競馬場
「オレンジシャドウの憂齢」・砂村かいり
「さみしがりやの恐竜たち」・こざわたまこ
「不機嫌依存症」・田中兆子
「出会い」・朝比奈あすか
「振りかぶって、さよなら」・千加野あい
「となりの独り」・カツセマサヒコ
私は「出会い」と「となりの独り」が好みだった。
「出会い」は一歩踏み出せない片想いのお話。
スタートすらしなかった恋もまた、生活に彩りを与えてくれるから素敵だと思う。
「となりの独り」は男女の考え方の違いが如実に出ている作品。経験を積んできてる筈なのに、お酒が入ると油断しちゃうのか、勇み足になるのか、なんとも愛おしい。
今回は、初めての作家さんも読めて新鮮だった。
人の恋愛だと、客観的に見られて冷静に考えられる。
人の恋だからこそ、いいも悪いも含めて羨ましい。
サクサク読める短編で軽めの内容なので、恋愛小説を読まない方にも、気晴らしにオススメしたい。
雑誌CLASSYに掲載されていたようなので、人生の転換期が多いこの辺りのターゲット層に一番響く内容だと思う。
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Posted by ブクログ
毎日のちょこっとずつのすれ違いが、
とっくに手遅れになっていることがある
怖い、怖かったぞう( ; ; )( ; ; )
登場人物のイライラや葛藤が伝わりすぎる、
小説としては完璧すぎた。
読んでいる間にジェンガのように不安が積み上げられ、
後半は何を信じたらいいのかよくわからなくなり。
最後に衝撃の10ページ…!!
ノンフィクションだったら多分読めていない。
この話を読むと、いじめは絶対にダメだと頭では理解するのに
いざ教室の中に入ったら、完全に関わらないことも
無理なんだよなと思ってしまい、苦しい。
見ているだけ、見て見ぬ振りをするだけの
"普通の子"が大半でしょうに、悪になっていたりする。
友達は好きだったけど、
学校という場所にあんまりいい思い出がない。
親や先生に、自分の気持ちが全然伝わってないなーと
常に思っていたし、小3くらいで色々と諦めていたように思う。
教育委員とかモンペとか色んな敵が多すぎて、
学校は学校の味方で精一杯なのかな。
だからこそ大人が知らない「子どもだけの世界」が
教室の中に出来上がるのだろうか。
過保護ではなく、子どもにとって"安心な場所"になるには
どうしたらいいんだろう?
少しでも疑う発言をしたら、
もうそこで「信頼」は終了だろうから…
周りが見えていない親という感じがヒシヒシと伝わって、
自分も気づかないままそうなってしまいそうで
目を逸らしたくなる話だったけど…!
ネガティブな感想になってしまうのに、
不思議と読んでよかったという気持ちも同席しています -
Posted by ブクログ
相手の真意を理解する。
相手との性格の違いや、人生観の違いを許容する。
そこにリスペクト出来ないのであれば、好きだのなんだのは、ただの戯言だと思う。
相手の身勝手を頭ごなしに否定するのではなく、その前段階にどんなロジックがあるのか探し出すもの。
無数の恋愛模様がある中で、相手を否定して自分を正当化する事がどれだけ無意味な事か。
少なからずある失敗を元に、それでもまた誰かを好きになるという事が美しいと思える小説。
「恋は中央線」という言葉があった。
中央線は、阪急京都線のように河原町を出て梅田に到着する、ゴールのある線。
でも僕は、環状線みたいなものだと思う。
同じ駅に何回着いたとしても新鮮を味わおうとする努力だと思う。
「好き」と言われることを馴染ませないようにする心持ちを持つ。
僕はそんな電車に乗りたい。