井上里のレビュー一覧

  • 密やかな炎

    Posted by ブクログ

    都市計画によって建設されたオハイオのシェイカーハイツ、そこはアメリカでは珍しく人種や宗教に関係なく居住できる。そこの住人で主に、理想の母親を演じるエレナと末娘イジー、自由人ミアと娘のパールの視点で描かれる。エレナの家の火事から始まる物語は過去に遡って行く。
    上昇志向の家族、自由を満喫したい家族、其々の家庭内での軋轢がページを捲る毎に重くのしかかる。息苦しくなる様な作品だった。

    0
    2025年09月08日
  • 密やかな炎

    Posted by ブクログ

    作品の舞台となったシェイカーハイツという計画都市はオハイオ州に実在しているそうで、いろいろな人種の人が同じ場所に住むのは珍しい米国において、ある程度の成功を収めたということになっているらしい。作者はそこで育った経験をもとに、表向きは人種平等を具現化している場所でも、マイノリティの生きずらさはあることを小説を通して表している。他意はなくても傷つけてしまうのは集団生活の難しさで、本小説の登場人物達が、ささいなことで傷つくのを読むと、人間関係って面倒くさいと思ってしまう今日この頃である。
    産みの親と育ての親問題は、赤ちゃんのことを考えて判断するべきというのが私の意見で、貧乏な片親より裕福な育ての親が

    0
    2025年08月01日
  • 密やかな炎

    Posted by ブクログ

    CL 2025.7.12-2025.7.16
    リチャードソン家が末子のイジーが放った火に包まれて焼け落ちる場面から始まって、そこに至るまでの物語が丁寧に描かれる。
    人種と階級がテーマではあるけど、何より「母と娘」がいろんな形で描かれている。
    家族とは、お互い求めながらもなんとも複雑で理解しがたい集団でもあるんだなと、ラストのイジーの行動がちょっと切なくなる。

    0
    2025年07月16日
  • 密やかな炎

    Posted by ブクログ

    正反対の生き方をする女性2人の話でもあるし、エレナと2人の娘、ミアとパール、ミラベルと2人の母親、他にも母と娘の話でもある。
    イジーとレキシーのフルネームは作中で呼ばれる(ガチギレで叱られる)ことがあるけど息子2人にはそこまで感情的にならない。

    0
    2025年07月13日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

    Posted by ブクログ

    短編2編と、講演の内容。
    講演の部分を読んで、ゲド戦記全体の傾向に納得。勇者の物語~ジェンダー、普通のおじさんおばさんになることを選んだゲドとテナー等々。この問題はなかなかスッキリいかない、根が深い。今は大分マシになったとは思うけれど。

    0
    2025年06月24日
  • 消失の惑星【ほし】

    Posted by ブクログ

    去り際に振り返る女性の顔は半分見えない。
    こちらを向いた悲しそうな目、
    向こう側の目は何を見ているのか……。

    モノクロのカバーの絵が雰囲気をすでに物語っている。

    カムチャツカ半島、シベリア極東部から突如として南へ飛び出しオホーツク海とベーリング海に囲まれた北の果ての半島。
    作者はアメリカ人。よそ者としてカムチャツカ半島に住み、この本を書いた。

    先住民族とロシア人。
    登場人物の職業(勤め先)は、先住民族が行う狩猟やトナカイの牧畜以外には、警察、火山研究所、海洋研究所、看護師、教師など。
    どこか無理のある人工的な生活圏。

    二人の少女が行方不明になった時から1年。
    そこに住む女性たちの悲しみ

    0
    2023年05月27日
  • 消失の惑星【ほし】

    Posted by ブクログ

     幼女誘拐事件を扱った小説となると、どんな内容を想像するだろうか?なぜその少女が狙われ、どんな方法で誘拐され、どう監禁されていたか?犯人はどうしてそのような事件を起こす人物になったか?その他諸々のことを書くとしても、読書としての私が興味を抱く点はそういったことだと思う。

     しかし、この本の著者ジュリア・フィリップスはほとんどそういったことを書いていない。著者は、大衆にとって、この手の事件が娯楽のように扱われるのを忌み嫌っているようだ。

     グロテスクな描写や異常犯罪者等のストーリーは、個人的に割と好きな方なので、その手の本を読んだ後、面白かったと思うと同時に、こんな自分で良いのだろうか?と罪

    0
    2023年02月24日
  • 消失の惑星【ほし】

    Posted by ブクログ

    みんな何かを失いながら生きてるんだな。
    それでも緩やかにつながっているのだ。

    そんなことを考えさせられる、カムチャッカ半島に住むロシア人と先住民の女性たちの物語。

    0
    2023年01月21日
  • わたしはイザベル

    Posted by ブクログ

    同じきょうだいのはずなのに、明らかに差別されるのってどんな気持ちだろうか。誕生日を喜べない人生なんて……。STAMPBOOKSは結構好きなYAシリーズだけれど、こちらは個人的にはあまりはまらず。私が妹だからなのかも。

    0
    2022年03月16日
  • ジャングル・ブック

    Posted by ブクログ

    2016年のディズニー映画封切後、出版された新訳。
    原作は1894年とその翌年に出た続編だという。
    つまり、一世紀生き延びた児童文学だという。

    原作は短編集。
    オオカミに育てられた少年、モーグリ(蛙という意味らしい)を主人公とする活劇。
    人食いトラのシェア・カーンとの闘いや、実の母?のメスーアを迫害する人間たちとの闘いなどがいきいきと描かれる。

    物語内時間は、発表順とは一致しない。
    これまでに出た版の中には、時系列順に並べなおしたものもあるそうだが、本書はオリジナルの発表順に戻したそうだ。
    そのせいか、若干読みにくい。

    が、まず驚いたのは、ジャングルの動物たちの「歌」により物語が始まり、

    0
    2021年11月23日
  • 消失の惑星【ほし】

    Posted by ブクログ

    カムチャッカ半島での小さな姉妹の失踪とその後の数ヶ月間。

    事件は地域の人たちに話題と影を与えながらも、人々の生活は変わらず進んでいく。
    それぞれの悩みを抱えながら。

    あるところでの話し手やその友人、恋人、兄弟が別の月では、ちがう表情をしたり、異なる向きから語られたり。
    極東ロシアの一地域は、それでも広く多様で、かつ狭い。

    0
    2021年02月27日
  • アティカス、冒険と人生をくれた犬

    Posted by ブクログ

    やっぱり、チャリティでチャレンジするという感覚がよくわからん、というところにばかり気がいってしまって、内容もあまり入ってこなくてイマイチだった。

    0
    2019年01月04日
  • アティカス、冒険と人生をくれた犬

    Posted by ブクログ

    高野秀行さんが紹介していた。「犬のプロ」と言ってもいい片野ゆかさんがほめていたというので読んでみた。高野さんも書いていたが、単純な愛犬物語ではなくて、そのほかの要素がてんこ盛り。アメリカのちいさなコミュニティ新聞というのがイマイチよくイメージを結ばず、そこに隔靴掻痒感があった。

    0
    2018年05月07日
  • アティカス、冒険と人生をくれた犬

    Posted by ブクログ

    米国の地方都市で地域新聞を一人で編集発行していた独身の著者は、ミニチュアシュナウザーのアティカスと共に暮らすことになる。アティカスは町の人たちに愛され、著者とともに町のあらゆるところに取材についていくようになる。
    そんな二人(一人と一匹)は、著者の友人が亡くなったことをきっかけに、チャリティのために冬の1シーズンに4000フッター(1200メートル級の山々)48峰を登ることとなる。
    体格の小さな犬のアティカスが山登りをすること自体が注目にあたいするのに、二人は冬山を登ることを目標にしたのだ。注目を集めながらも、無事目的を果たしチャリティも成功するが、アティカスの目に異変が起こる。

    数々の試練

    0
    2018年02月03日
  • わたしはイザベル

    Posted by ブクログ

    『アラスカを追いかけて』と比べると、純文学だなあ、と思う。物語を楽しみたい人には『アラスカ』の方が面白いだろう。
    これは、母から虐待を受け、大人になっても社会に馴染めない女性が、「書く」ということに、つまり自分が本当にやりたいことを見つけるまでの物語。読み物として面白くしようとするなら、もっと虐待部分を繰り返したり、大学生と交流する中には恋愛を盛り込んでも良かったが、著者は面白くしようとは思っていない。「書く」ということを発見した、自分を取り返した、苦いよろこびに至る道を書きたかったのだ。
    YAとして出版されているので、10代向けに書かれた青春ものを期待すると、違和感があると思う。大人が、中高

    0
    2017年06月10日
  • わたしはイザベル

    Posted by ブクログ

    神経症の母親に嫌われ、言われない怒りの対象となり、母のお気に入りだった姉といつも差別されていたイザベル。
    自由に表現する事を押さえて暮らしていた。
    父母の死により、一人で生きていくことになり初めて解放される。
    しかし、好きな本を存分に読み自由なはずの生活、知り合った大学生たちとの交流でも違和感を感じ続けるイザベル。
    知人の突然の死をきっかけに再び訪れた自分の祖だった町で、真の自分の欲していたこととその才能に気づく。

    母親の呪縛の深さに恐ろしさすら覚える。
    最後は解き放されるイザベルではあるが、読後もその呪縛の深さが怖かった。

    0
    2017年01月02日
  • ENDGAME ‐ THE CALLING エンドゲーム・コーリング

    Posted by ブクログ

    かなりの歯応えを感じるが、実本が無いと参加できないらしいので見送りかな。かなりの機動力も必要なようだし、まったり推移を眺めるにとどめるか。

    0
    2014年12月01日