【感想・ネタバレ】密やかな炎のレビュー

あらすじ

全米370万部突破の文芸ミステリ! 平穏な家庭にひそむ嘘と秘密が一家を燃やす━━
リチャードソン家の邸宅が燃えた。厳格な母が管理する「完璧」な家だった。唯一の悩みは反抗的な末娘だが、今は姿を消していた。一家の貸家に住んでいた母娘ももういない。誰が、なぜ火をつけたのか。焼け跡で家族が見つけた真実とは? 胸に迫る文芸ミステリ

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Posted by ブクログ

ネタバレ

紛れもない傑作
親子とは?家族とは?正義とは?愛とは?
様々なメッセージが込められた作品だと感じた

主人公となる2人の母親は、完全に真逆な存在だが、確固たる自分を持っている
エリートの夫を持ち、たくさんの子供に十分な教育や物を与え、友人に囲まれている母親
夫はなく、娘と2人きりで、その日暮らしの貧しい暮らしをしながら、深い愛情を持つ母親

どちらが正解というわけではないが、子供達はそんな母親の生き方を敏感に感じている

親も1人の人間でしかなく、子供もやはり1人の人間となる
自分の子供への接し方、愛し方を考えさせられた

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2025年09月25日

Posted by ブクログ

「母と子」や「階級と格差」や「正しいこと」と普遍的なテーマが複合的に描かれた作品。
登場人物は特徴を捉えるとステレオタイプなキャラが多いけれど、結末を最初に出して「なぜそうなったか」の話を進めると同時に各キャラをしっかり掘り下げるので画一的に「いいやつ」と「嫌なやつ」にさせない書きぶりが素晴らしい。
自分ならどうするか、この中の誰に近いのか、とかそんなことを考えながら読んだ。

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2025年09月14日

Posted by ブクログ

 閑静な住宅街にある邸宅が燃えてしまう。住人である家族は無事のようだが、末娘は見つからない。両親は弁護士と記者で、不動産収入もある裕福な家庭だ。末娘意外のの子どもはみな優秀である。これは、そんな恵まれた家族に何が起き、火災で家を失うことになったのかという物語だ。
 社会的にも経済的にも成功している家族が、どうして崩壊することになったのか、一家を人生の勝ち組として導いている母エレナの正確な計算のどこに狂いが生じたのが見どころで、ぐいぐい惹きつけられる。
 因果応報というか、生きてゆく中で、普通に起こり得るであろうトラブルに見舞われたとき、どう行動するかが大切で、誠実性を欠く対処は、巡り巡って自分にそれが戻ってくるってことかな?と考えさせられた。

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2025年08月02日

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ネタバレ

上手いな、この人。登場人物(特にお金持ちの奥様たち)の造形が戯画的ではあるものの、十分に楽しめる内容になっている。それにしても、失って初めて気づくってのはよくある話だけど、作中の〇〇夫人はあまりにも鈍感にすぎるんじゃないかな。

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2025年06月07日

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読みごたえがあった。美しく整備された街で、裕福で美しい暮らしを営む家族の表面と、そこにやってきた異質な母娘によって嫌でも見えてくる内部。経済的な格差、人種、性別、母娘の関係、いろんなものが突きつけられる。

え、それは明かされないんだ?と言うモヤモヤの残ることもいくつかあったが、現実はえてしてそう言うもので。解決されたりされなかったり、わかったような気になったりわからなかったり、そうやって進んでいくよね。

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2025年05月18日

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読み進めていくうちに、ミアはジョディ・フォスターのイメージが合うと思った。既にドラマ化されている様だけど、見て見ようかどうか悩む。ドラマ化や映画化って全然別物になってしまう事が多いから。
英語版も入手したので、時間を見つけて読みたい。

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2025年10月30日

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シェイカー・ハイツという計画的に造られた町に住み規則を重んじる人や、型を破りながら人生を歩んでいく人達が交錯する物語。じっくりと読んでいるうちにいつの間にか物語に引き込まれていた。両親の理解を得られぬまま芸術の道を選択し放浪するミア、恵まれた家庭に生まれながらも規則に縛られることを嫌い両親に理解されないイジーら、自身の中に燃える火を信じて生きていくことは大事。一方で、ミアの両親らがその生き方を理解しないことを責めるような表現は少なかった。育ち方や環境、時代が違えば、許容できる範囲も変わり、考え方が異なることは無理もないという表現だった。ある小さな町の物語に没入したような満足感のある本だった。

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2025年10月03日

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米国の住宅街での火事で幕が開く。
弁護士の父親と地元新聞の記者の母親、4人の高校生の兄弟・姉妹が住む地元の名士リチャードソン家。原因は、末娘イジーの放火。そして、イジーとリチャードソン家の家事を担っていたミアとその娘でリチャードソン家の子どもたちと仲の良かった娘のパールが、いなくなった。

家族の意味、親子のあり方・意味、命をさずかる事の意味…。リチャードソン家とウォレン家(ミアとパール)、ミアの同僚のべべ、様々な立場の登場人物たちの思いとすれ違いに考えさせられた。

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2025年09月29日

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母と子、異なった生活歴、職歴を持つ回想が異なる二組の「家」そして女性の対立。
筆者イングは中国系移民2世・・これまで読んできた同じ流れにいる作家とはまた一味異なった作品だった。
読み始めは、なかなか流れに乗れず、正直だれるドラマ。
次第に 背景となる時代、社会風景に生きていくティーンの男女の性愛、セックス、妊娠、そして異人種の代理母など様々な愛の形と「母と子」のモデルの裏が描かれて行く手法が染みわたってきた。

舞台となるオハイオ州シェイカー・ハイツは実存するんですね。
完璧な場所、完璧な暮らし・・そこに住んでいるリチャードソン一家はまさにそう、そして母エレナは常にりそいうの家庭像を追い求める女性。

突如、引っ越ししてきて、深いかかわりを持つことになった母娘 ミアとバール∼巻末に書いてあったけど、実は有色人種という設定だがさらっと読んで行くとそこの理解の欠落は違った理解へ進んで行くと思わさせられた。

更に芸術肌のミアという色合いはリチャードソン夫人と母同士の相克を生んで行く。。。

表題 密やかな炎の持つ意味は中盤過ぎてめらめらっと、しかし埋火から起こって行く様な手触り。
リチャードソン一家の息子2人娘2人がミアの娘息子と起こす摩擦は母同士の摩擦とハレーションを起こしていき、そりゃ熱が帯びるはず・・まして男女が摩擦を起こすと妊娠という重篤な結果があるし。

「現実的快適な暮らしを送る為に熟慮する習慣情熱は」人同じ危険をはらむとは巧い表現。
時代は一昔前だけど今のトランプ政権下では更なる摩擦ネタになりそうな予感のする作家‥しかし知的センスの凄さは実感した。

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2025年09月27日

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面白かった。さりげなく、しかし確実に意図的に物語に登場する様々な家族の「かたち」。なかには、非難を呼び得る選択の結果形成されたものもある。しかし著者は決してそれをジャッジしない。ただ、人生として描いている。
そしてそれぞれのヒストリーや勃発する事件の中で描写される、ジェンダーや人種を巡る尽きぬ問題。特に、作者の実感の滲む、米国社会におけるアジア系移民の立場やそのアイデンティティを巡る議論については、新たに気付かされる視点もあった。
何よりサスペンスとしての物語の織られ方が上質だ。裕福な、絵に描いたような美しい家庭と思春期の子供たちの生活に、ある日訪れる根無し草の親子─というやや古典的な導入から、あれよあれよともつれていく人間関係と発掘される「秘密」の妙は、こうした隣人系サスペンス好きの期待を裏切らない。最終的には、己の人生をどう選び取っていくのかという観点にそっと目を向けさせられる。

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2025年07月04日

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母と子のアンバランスな愛情… 情緒がリアリティに満ち溢れ、ジワリジワリと染みわたる #密やかな炎

■あらすじ
オハイオ州シェイカー・ハイツに住むリチャードソン一家。母エレナは子どもたちに規律を重んじるよう厳しく接し、理想の家庭を追い求める女性だった。

ある日、一家の借家に母娘ミアとパールが引っ越してくる。有色人種で芸術家のミアは経済的に苦しい生活を送っている。安定した暮らしに憧れているミアは、裕福なリチャードソン一家の子どもたちと交流を深めていく。

やがてこのリチャードソンの大きな邸宅が、火事になってしまうのだが…

■きっと読みたくなるレビュー
ダークでやたら現実味あふれるホームドラマ。

豪邸に住んでいるリチャードソン一家、誰もがうらやむ裕福な生活を送っている。父、母、子ども四人、端から見るとそれぞれが幸せな人生を送っているように見えるが、末っ子のイジーだけは価値観が一致していない様子。そこへウォレン母娘が関わってくるうちに、生き方や関係性に歪みがでてきて… というストーリー。

本作は物語が次々展開するエンタメ小説というより、人間の心情を丁寧に描いた純文学の要素が色濃いです。キャラクターが思った以上に行動したり、心の移ろいがあって、どんどん引き込まれちゃいましたね。

どこかで会ったことがあるようなキャラクターばかりで、魅力的な部分はもちろん、人として足りてない部分や欠点などもよーく描けているんですよ。あーこんな奴、自分の周りにもいたなって気がしてくる。

ウォレン母娘のミアとパールは応援したくなりますね~。話が進むにつれ過去の事実が明らかになってくるんですが、人生ってほんと不公平ってのがよくわかる。神様は頑張ってる人に微笑むと信じたい。

リチャードソン一家の面々には… ひとりずつ説教させてもらう。

○長女レキシー
人生で一番大切なのは人間関係です。困ってるときに助けてくれるのは家族や友達なんですよ。

○長男トリップ
信義を貫く意識を持ちましょう、ティーンな男子だからって許されることばかりではありません。

○次男ムーディ
思い通りにいかないことがあっても、胸を張って生きることが、次の幸せにつながります。

○末っ子イジー
まだ高校一年生ですか、自分自身と付き合っていく覚悟をもってください。

○母エリナ
当然この人にも文句言いたいんだけど、実は一番共感できるんだよなー。私も子どもに対して、つい自分の価値観を押し付けちゃったりするんですよね。その子の良い所を伸ばして上げるのが大事だとは頭では分かってるんだけど。

○父ビル
一家の大黒柱ですよね、あんたが一番悪いと思うわ。

そして本作一番のテーマである母と子の関係性ですよ。深みとリアリティに満ち溢れていて、読み進めるほどにジワリジワリとからだ全体に染みわたってくる。

エリナと各々の子どもたち、ミアとパールらのアンバランスな愛情はもちろん、実は他の「母と子」も描かれるんです。もっと言うと母子の関係をなくすようなことも…

子どもというのは、まず父と母が愛し合って授かる。その後母親がお腹を痛めながら出産し、昼夜問わず世話をし続け、大人になるまで日々成長を見守っていくもの。切っても切れない関係性なはずのに、なんでこんなにもこの物語の母娘たちは切り刻まれているのでしょうか。

ちなみにTVドラマ化もされてるみたいですね、予告編見たけど面白そう! 機会があったら見てみたいです。

■私とこの物語の対話
人間の欲望を満たしたいと思うのは、恐怖に対する裏返しなんすよね。さらに不安なると、他人から奪ってまで欲しくなるもんなんです。少なくとも人を傷つけたくはないですよね。読書はいつも学ぶことが多い。

生きる上で大切なこととは… 自分の生きる道や価値観を見失わないこと、身の丈にあった生き方をすること、近くにいる人を思いやること。

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2025年06月14日

Posted by ブクログ

ネタバレ

失ったものはもう戻らない。
何を得て、何を諦めて失うのか。
2つの家族はまったく違う環境下で生活している。どちらの家族が正しいなんてことはない。しかし子供達にとって、どちらの方が生きやすいかと言われるとまた違ってくるのだろう。
出てくるキャラクターたちはみな魅力的で、
描写がこと細かく、まるでキャラクターたちが自分の友人のように見えてきました。
そんな彼らが選ぶものは何なのか。
家族なのか、友情なのか、恋人なのか。
はたまた、、、?
火事を巡って、その原因は、犯人は誰なのか。
過去に遡って真実を探していくミステリー。
私は特にミアの過去シーンに驚き、
息を呑んでしまいました。

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2025年05月11日

Posted by ブクログ

都市計画によって建設されたオハイオのシェイカーハイツ、そこはアメリカでは珍しく人種や宗教に関係なく居住できる。そこの住人で主に、理想の母親を演じるエレナと末娘イジー、自由人ミアと娘のパールの視点で描かれる。エレナの家の火事から始まる物語は過去に遡って行く。
上昇志向の家族、自由を満喫したい家族、其々の家庭内での軋轢がページを捲る毎に重くのしかかる。息苦しくなる様な作品だった。

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2025年09月08日

Posted by ブクログ

作品の舞台となったシェイカーハイツという計画都市はオハイオ州に実在しているそうで、いろいろな人種の人が同じ場所に住むのは珍しい米国において、ある程度の成功を収めたということになっているらしい。作者はそこで育った経験をもとに、表向きは人種平等を具現化している場所でも、マイノリティの生きずらさはあることを小説を通して表している。他意はなくても傷つけてしまうのは集団生活の難しさで、本小説の登場人物達が、ささいなことで傷つくのを読むと、人間関係って面倒くさいと思ってしまう今日この頃である。
産みの親と育ての親問題は、赤ちゃんのことを考えて判断するべきというのが私の意見で、貧乏な片親より裕福な育ての親が良いにきまってるじゃん!売れない写真家が娘をつれて放浪の旅をしているのを賞賛することはありえない。隣の芝生が青く見えるからリチャードソン家の子供たちが自由な言動をするミアにあこがれるのは判るが、熱が冷めれば、家族を守るために保身しているリチャードソン婦人の良さも判ってくるのではないか?昔から変わらないことを良しとする保守系の人々と、変わることを求める革新系の人々の主張がぶつかり、小さな諍いが炎上する。お互いの主張が平行線でも、それを腹に隠してニコニコ握手するのがいい大人なのだが、子供や大人になりきえれない人には難しいか・・・写真というオブラートで後味良くしているが、ミアみたいな生き方をする人ばかりだと、世の中は崩壊するなあというのが感想。

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2025年08月01日

Posted by ブクログ

CL 2025.7.12-2025.7.16
リチャードソン家が末子のイジーが放った火に包まれて焼け落ちる場面から始まって、そこに至るまでの物語が丁寧に描かれる。
人種と階級がテーマではあるけど、何より「母と娘」がいろんな形で描かれている。
家族とは、お互い求めながらもなんとも複雑で理解しがたい集団でもあるんだなと、ラストのイジーの行動がちょっと切なくなる。

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2025年07月16日

Posted by ブクログ

正反対の生き方をする女性2人の話でもあるし、エレナと2人の娘、ミアとパール、ミラベルと2人の母親、他にも母と娘の話でもある。
イジーとレキシーのフルネームは作中で呼ばれる(ガチギレで叱られる)ことがあるけど息子2人にはそこまで感情的にならない。

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2025年07月13日

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