井上里のレビュー一覧

  • 火明かり ゲド戦記別冊

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    もう終わってしまった。残念だけどゲドのその後と作者の想い、講談が読めてよかった。
    長い年月が経っても色褪せることないワクワク感が押し寄せてくる。
    再読しなくては。。。

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    2025年10月03日
  • 密やかな炎

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    ネタバレ

    紛れもない傑作
    親子とは?家族とは?正義とは?愛とは?
    様々なメッセージが込められた作品だと感じた

    主人公となる2人の母親は、完全に真逆な存在だが、確固たる自分を持っている
    エリートの夫を持ち、たくさんの子供に十分な教育や物を与え、友人に囲まれている母親
    夫はなく、娘と2人きりで、その日暮らしの貧しい暮らしをしながら、深い愛情を持つ母親

    どちらが正解というわけではないが、子供達はそんな母親の生き方を敏感に感じている

    親も1人の人間でしかなく、子供もやはり1人の人間となる
    自分の子供への接し方、愛し方を考えさせられた

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    2025年09月25日
  • 密やかな炎

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    「母と子」や「階級と格差」や「正しいこと」と普遍的なテーマが複合的に描かれた作品。
    登場人物は特徴を捉えるとステレオタイプなキャラが多いけれど、結末を最初に出して「なぜそうなったか」の話を進めると同時に各キャラをしっかり掘り下げるので画一的に「いいやつ」と「嫌なやつ」にさせない書きぶりが素晴らしい。
    自分ならどうするか、この中の誰に近いのか、とかそんなことを考えながら読んだ。

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    2025年09月14日
  • 密やかな炎

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     閑静な住宅街にある邸宅が燃えてしまう。住人である家族は無事のようだが、末娘は見つからない。両親は弁護士と記者で、不動産収入もある裕福な家庭だ。末娘意外のの子どもはみな優秀である。これは、そんな恵まれた家族に何が起き、火災で家を失うことになったのかという物語だ。
     社会的にも経済的にも成功している家族が、どうして崩壊することになったのか、一家を人生の勝ち組として導いている母エレナの正確な計算のどこに狂いが生じたのが見どころで、ぐいぐい惹きつけられる。
     因果応報というか、生きてゆく中で、普通に起こり得るであろうトラブルに見舞われたとき、どう行動するかが大切で、誠実性を欠く対処は、巡り巡って自分

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    2025年08月02日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

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    魔法の風を帆にはらみ、海を超える“はてみ丸”。
    たったそれだけの言葉だけで、僕の心はアースシーへと舞い戻る。胸の昂ぶりが抑えられない。
    たとえそれが、炉辺の明かりに照らされて床に伏せるゲドの脳裏に浮かぶ、夢うつつの思い出だとしても。
    アーシュラ・K.ル=グインが最後にゲドの物語を遺してくれたことへの感謝を噛み締める。

    序文にてル=グインは、こう宣言する。
    “自分の思い描くアースシーを出版社のジャンル分けや批評家の決めつけにあわせることはやめました。ファンタジーは未熟な者が読むものだという考えは、成熟と想像力というものについての凝り固まった誤解から生まれたものです。主人公たちは成長しますし、若

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    2025年07月03日
  • 密やかな炎

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    ネタバレ

    上手いな、この人。登場人物(特にお金持ちの奥様たち)の造形が戯画的ではあるものの、十分に楽しめる内容になっている。それにしても、失って初めて気づくってのはよくある話だけど、作中の〇〇夫人はあまりにも鈍感にすぎるんじゃないかな。

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    2025年06月07日
  • 密やかな炎

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    読みごたえがあった。美しく整備された街で、裕福で美しい暮らしを営む家族の表面と、そこにやってきた異質な母娘によって嫌でも見えてくる内部。経済的な格差、人種、性別、母娘の関係、いろんなものが突きつけられる。

    え、それは明かされないんだ?と言うモヤモヤの残ることもいくつかあったが、現実はえてしてそう言うもので。解決されたりされなかったり、わかったような気になったりわからなかったり、そうやって進んでいくよね。

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    2025年05月18日
  • 夜の底を歩く

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    先ずは17歳にしてこのような小説を書けることに感服。著者自身も10代のうちに黒人10代のリアルを描きたいという意志のもと書き上げたという。読んで損はない一冊と思う。

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    2025年02月27日
  • トラスト—絆/わが人生/追憶の記/未来—

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    投資だとか経済の分野には苦手意識があるし大富豪夫妻の暮らしには興味も(ご縁も)ないけれど、ポリタスの石井千湖さんが紹介するなら、と読み始めてみたらこれがすごくおもしろい。4部構成のひとつひとつ読み進むに連れ視点がずらされじわじわと驚きの展開に引き込まれて一気読み。最後には必ず戻って何ヶ所か読み直したくなるはず。2023ピューリッツァ賞ほかさまざまな賞に選ばれたのも納得。

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    2023年08月05日
  • 葉っぱの地図

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    書店で手にとって開いてみると、かわいい絵地図が見開きでどーんと目に入ってきて、これは絶対によい本だと思った。わたしのなかで、このような地図が描かれている本はまちがいなくおもしろいという思い込みがある。そして、やはりその思い込みは正しかった。章ごとに植物の素朴で美しい装画とメモを楽しめるのもよいし、装丁も素敵だ。カバーをはずせば、数々の草花が描かれている。

    内容は、帯にあるとおり植物と話せる少女(と仲間たち)が壊れた世界を立て直すために旅に出る冒険ファンタジー。ドキドキもハラハラもできるし、少年少女たちの成長に胸が熱くもなる。ちなみに、わたしは終盤ボロボロ泣きながら読みました。

    また、海外の

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    2023年07月23日
  • トラスト—絆/わが人生/追憶の記/未来—

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    なにこれ、面白かったー!よくできてる。タイトルと表紙の写真から、金融実録物?などと勝手に思いながら、その先入観を払い除けられ(それさえも仕掛けの1つだった?)、『絆』面白いけどふうんそれだけ?と思っていると、『我が人生』でどうもそうじゃないな、と妙な心地がしてくる。さらに『追憶の記』で捻られ、どんどん加速して面白くなり、『未来』で唸る。唸ったし、久々に悪寒もしましたよ。小説を読む時に私は(読者は)何を信じているのか。そこに何があるのか。もしかしたら、早くも、今年のベストかもしれないなあ。

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    2023年06月24日
  • 消失の惑星【ほし】

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    最後の二章はもう夢中で読んで、読み終わってから、大きな大きなため息が出た…

    読みながら、映画「ウインドリバー」のことを思い出していた。
    本作もウインドリバーも、先住民がどんな思いで生きてきたか、垣間見ることができる。

    ああ、でも、あまりに感情が揺さぶられ、いろんな感情が浮かんで来ては、また別の感情に上書きされ、とても感想を書ききれない。

    先住民だから、白人だから、同性愛者だから、地元の人じゃないから、若いから、女性だから、病気だから、母子家庭だから、子供がいるから、いろんなレッテルを貼られてそれぞれが苦しんで、何かを失っている。
    これはカムチャツカ半島に限らず、地球上で広く起きてることだ

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    2023年02月11日
  • 消失の惑星【ほし】

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    2人の少女の失踪をきっかけにカムチャッカ半島に住む女性たちの虚しさや悲しみが11カ月に渡って語られる。カムチャッカ半島には本土との陸路はなく、島を出るには飛行機か船という閉鎖的な空間。そして女性の立場の弱さや先住民に対する差別的意識もあり登場する女性たちの生きづらさが伝わる。これから先生活がましになることはないと確信しながらも、生きていかなくてはならない人々。最後の章では少女たちが助かったとも取れるし、読み手に任せているところが良かった。リリヤが自分から失踪したのでなければ、心が救われる人もいるとおもう。

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    2022年11月27日
  • 消失の惑星【ほし】

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    カムチャツカ半島で起きた幼い姉妹の失踪事件。そこから波紋が広がっていくように周囲の女性たちの暮らしが描かれる。みんな何かを消失していて、でも何を失ったのか分からないままずっと何かを探しているよう。日常の中に溶け込んだ悲しみと刺すような痛みが淡々と描かれていて、それが美しいほど涙が出てくる。5月と6月は読んでて特につらかった。2月も。9月と12月は描写がとても美しいと思った。
    スラブ系と先住民の間にある不信感、偏見。偉大だったソ連時代を懐かしむ声。社会に根強く残る腐敗。都会と村の格差。少しずつ、何かを削り取られる女たち。これらが何気なく、でもきちんと織り込まれていて、あとがきを読むと、筆者が被害

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    2022年11月21日
  • 消失の惑星【ほし】

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    ネタバレ

    読んでるうちにどんどん息苦しくなって一回本を閉じてしまった。女性としての自分に突き刺ささりすぎる内容だった。ラストについては、色んなサイトのレビューを読んで、人によって解釈が違うんだと驚いた。自分と同じ解釈の人もいたけど、まったく違う解釈もあって面白い。
    二月のレヴミーラの話が個人的に一番刺さる話だった。夫が愛しくなった。

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    2022年02月09日
  • 消失の惑星【ほし】

    購入済み

    女性にお勧め

    二人の姉妹の誘拐事件から始まるオムニバス形式の物語。
    性差別や人種差別、都会と田舎の隔たりなど、誰もが少なからず感じたことのある差別意識や劣等感を
    描いた作品です。

    友人の勧めで読み始めました。
    とても面白いのですがどこか暗く重たい雰囲気でなかなか読み進められませんでしたが、大変面白かったです。

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    2021年11月16日
  • 消失の惑星【ほし】

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    「生きてゆく」ということは、
    「いくつもの大切なものが失われてゆくのを見届ける」
    という、絶望との戦いだ。

    あり得たはずの未来が失われ、
    見つけられなくなってしまう、
    そんな毎日のつらさに抗い、
    目を瞑らずに立ち向かう、
    究極の強さだ。

    それでもどうにか進んでゆく。
    それこそが人生だ。
    と認識させられた。


    カムチャッカに生きる人たちの物語。
    その薄暗くて、寒くて、過酷な土地で暮らす女性たちの物語。

    幼い姉妹が消えた8月に始まり、
    月ごとに紡がれてゆくストーリー構成もおもしろい。
    慣れないロシア名前の登場人物たちもそれぞれに描かれているため、すっと入ってくる。
    そしてループのように繋が

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    2021年10月28日
  • 消失の惑星【ほし】

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    途中までは登場人物や街の名前、場所を何度も最初のページに戻って確認しながら慎重に読み進める。夏休みから始まった物語は年を越し、お互いに接点のなかった彼女、彼等が少しずつ重なり始めてからのスピード感と驚き。
    米国生まれの著者がロシア留学時代に訪れて着想を得たという景色を想像しながら、訳者あとがき、「カムチャッカ半島案内」を堪能しました。おもしろかった。

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    2021年08月15日
  • 消失の惑星【ほし】

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    2人の子供の誘拐事件からカムチャツカ、ミステリー、ロシア、自然、閉塞感、民族、女性、家族、様々な要素が全体的に静かなトーンで語られていく。少しづつ異なる視点の登場人物が広大な半島の中で少しづつつながり合いながらそれぞれの悩みに向き合いなんとか日々を生き残っていく。単純な幸せなんていうものは誰にも存在しない。厳しい自然の力の中では肩を寄せ合って生きていくしかないはずの人間たちなのにその中でも隔たりは大きく本当は近くで支え合うはずの家族でさえも気持ちは近くにとどまることができない。それでも先住民の伝説のように太陽は生まれ変り世界は続いていく。
    とても重層的で奥行きの深い作品。犯罪を軸に話が展開する

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    2021年05月23日
  • 消失の惑星【ほし】

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    二人の少女が誘拐事件がバタフライ効果のようにさまざまな女性の生き方に変化を与えます。登場する女性たちは、みんなそれぞれの形で苦しみを抱えています。カムチャッカの豊かでありながらも過酷な環境の描写や女性たちの心的描写がとても丁寧に書かれていると思います。本の手触りがとても良いのでそれも含めて星5つです!

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    2021年03月21日