井上里のレビュー一覧

  • トラスト—絆/わが人生/追憶の記/未来—

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    4部作中前半は淡々と読み進めながら、ふぅん、という感じでしたが、「追憶の記」に入ってあれ?思ってたのとちょっと違う?からの「未来」。
    最後の解説にもありますが、本を読むことによる無防備な「信頼」をユラユラと揺るがす、まさにそういう作品でした。
    本を読みながらこれほど不安にかられ、揺れ動いたことはなかった。

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    2024年09月20日
  • 葉っぱの地図

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    オーラの他人に対する態度に腹立たしさを感じ他人を寄せ付けない態度の原因がわかると同情と共に自分は自分勝手な考えで他人を拒否しているし、オーラと性格が似ているので受け付けなかったのかと気づく。このまま大人になると私みたいになってしまうよ。と言いたいぐらいにオーラの行動が気になりそしてついつい諭したくなりながら読む。オーラの変わっていく姿に長編で細部まで変化を描いてほしかった気もするが児童書だから翻訳がすらすら読める事に気づきこのぐらいの長さだからオーラと共に戦えたのだろう。

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    2024年08月30日
  • トラスト—絆/わが人生/追憶の記/未来—

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    投資で富を得た夫婦の真実とは。
    世界恐慌の頃のニューヨークでも男性優位社会だったんだ。
    最後の妻の日記が物足りない気がした。

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    2024年02月24日
  • 消失の惑星【ほし】

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    言い回しや表現が素晴らしかった。訳者によるものか作者によるものか不明だが。
    カムチャッカ先住民とロシア人、女性と男性、田舎と都会。排他的な差別が描かれていた。
    様々な女性のオムニバスのような形で話が進み、それぞれが抱えている孤独がうまく表現されていた。

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    2023年12月15日
  • 葉っぱの地図

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    植物の声が聞こえる12歳の少女オーラ。
    庭の植物がざわついている。
    どうやら謎の病気が蔓延しているらしい。
    亡くなった母の手帳を頼りに薬の手掛かりを舟に乗って探しに行くことに。

    薬の材料探しと病気の原因を探る過程はダークでスリリングな自分好みのファンタジー。
    頑なすぎるオーラだけどイドリスとアリアナと打ち解けていき、春が来た様な爽やかな終わり方。

    章毎に描かれる植物画も図鑑の様で素敵だった。

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    2023年11月03日
  • 消失の惑星【ほし】

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    誘拐事件の解決ドラマと思いきや、事件が起こった町で生きる人々の話

    ソ連時代と現在の世代間の分断、先住民族と白人との分断

    とても作者が同年代と思えないほど、語り手一人ひとりの生活が丹念に描かれている

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    2023年10月10日
  • トラスト—絆/わが人生/追憶の記/未来—

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    斬新な構成で、実験的というのは確か。経済史でありファミリーヒストリーでもある、と見せかけて自分勝手な男性の片鱗を見せつける奥深い作品でした。誰もが自分のストーリーを語りたがるとはいえ、あんまりでは、、と思えてしまいます。アイダが見つけてくれてよかった。

    #夏の読書感想文

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    2023年08月08日
  • 消失の惑星【ほし】

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    ネタバレ

    小説を読んでこんなに心が痛むのははじめてだった。ある意味ではハッピーエンド的な終わり方かもしれないけれど、リリヤ、ソフィヤ、アリョーナその後のことを考えるとまた苦しくなる。3人の母親だってきっと手放しには幸せを謳歌できない。犯罪の被害に遭うこと、そのことで残る痛みまで想像させる。

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    2023年06月17日
  • 消失の惑星【ほし】

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    ネタバレ

    良い点。題材にしている部分が面白い。ロシアの半島が舞台で、民族差別や性差別があり、それといなくなった姉妹に対する周りのリアクションを描く、という目線が面白い。

    悪い点。デビュー作なので、少し何を書いているか分かりづらい部分はあった。また、登場人物が年寄りは小言が多く、男は下品かアホで、女はそれなりに聡明で自立しているみたいな感じで、幅が少なかった。それもあり、少し途中でダレていた。

    ”異常”といい、こういう作品のスタイルが流行っているのかな。何か事件があって、それを囲む複数の人間の人生を描く的な。

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    2023年04月15日
  • 消失の惑星【ほし】

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    性別や人種の産まれもった苦しみ、集団への不満、そこで働く人々の苦悩、性的マイノリティ、消失と絶望の決して終わらない日々、などなど私たちに呪いのように付き纏う生きづらさ。

    群像劇チックではあるが、
    特に交わらない登場人物がほとんどだし、全ての章にオチを持ってこないという構成が永い時間の残酷さと希望を表している。

    ただ、その締め方が後半になるまで予想できず、
    半端なままにどんどん増えてくるばかりの登場人物に少しストレスを感じてしまったので、2周目以降が1番楽しめそうではある。

    日本も地震と島国という点で、この舞台と通ずる何かがあるはず。

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    2023年01月09日
  • 消失の惑星【ほし】

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    カムチャッカを舞台に、複数の女性を月ごとに主人公にした小説。
    とっかかりは幼い姉妹の失踪事件だが、事件の解決とかはあまり重きは置いてなく、土地ならではの閉塞感が女性の視点で描かれる。原住民、有色者への蔑視も見え隠れして、重厚だった。

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    2022年10月18日
  • ジャングル・ブック

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    児童文学の「名作」というものを
    ほとんど読まずに
    大人になってしまった

    名前だけは知っているけれど
    どのような物語であるのかは
    ほとんど知らない

    知人と話していて
    その会話の中に
    ひょいと その「名作」が
    入ってくることがある
    今さら それは知らないとも
    言えず
    その知人と別れてから
    妙に印象に残ってしまう作品名が
    ある

    この「ジャングル・ブック」もその一冊
    いゃあ これは堪能させてもらえました

    よいものは やはり よい
    と素直に思いました

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    2022年03月20日
  • 消失の惑星【ほし】

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    これは完全にカッコいい表紙とタイトルにやられた。アメリカの作家なんだけどロシア文学に惹かれカムチャッカの街…あんなところに街があるって個人的には凄く意外だった…に実際暮らしていたという冷戦期には考えられない経緯を経て産まれた作品なんだとか。物語の入口は凄くシンプルで海岸に遊びに来た幼い姉妹が何者かに拐われるところから始まる。この作品が普通でないところは誘拐に続く章がどれも事件には直接タッチしない形で進んでいくところでいずれも女性を主人公にした物語がいくつかポツポツと進んで行って、それらはなんとなく誘拐事件に触れたりはするのだけれども基本的には独立して読める短編であったりする。そして気がつくと序

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    2021年08月04日
  • 消失の惑星【ほし】

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    非常に評判の高い作品。
    とてつもなく閉塞感が強くて、人生が重くて、どないしようかと思ったけど、それでもどんどん先を読まされてしまうリーダビリティはすごい。これは翻訳の力によるところも大きいだろうと思う。

    カムチャツカ半島というのは、そうなのか、ロシア本土とは陸路がないんだ! そもそも閉ざされた土地なんだね。それは知らなかった。ゆるくつながった連作短編のなかで、人々は、ここではないどこかへ行くことを夢見ながらも土地にしばりつけられ、そのなかで、あるいは愛する者を失い、あるいは失うことにおびえ、それでも生命力をかきあつめるようにして生きている。

    すごく好き、とか、感動とかいうことではなく、から

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    2021年05月17日
  • 消失の惑星【ほし】

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    すごかった、と思う。
    すごくずしっと来たものもあるけれど、ロシアという国の中の人種の関係性に無知なので理解できていないところもあるかと思う。
    でも、それでも女性という立場だからこその何かを感じる。わかる、とは、私の知識では安易に言えないけれど。私の語彙力ではうまく言葉にできないのがもどかしい。

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    2021年05月05日
  • 消失の惑星【ほし】

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    ネタバレ

    装丁と同じ、全体的に灰色の雰囲気の物語だった。でもただ暗い話っていうわけではなくて…いや明るくはないけど、なんだろうな。色がない?寒いからかな。
    静謐?どこか淡々と描かれる喪失と孤独。閉塞感の中で生きる…というか息をしていく…みたいな。

    姉妹の失踪を背景にしながら語られる「消えてしまうには理想的な場所」での女性達の日常。
    各話ももちろん面白いけれど、それぞれの物語を読んでいると浮かび上がってくる、差別意識や社会情勢、特に印象的だったのはソ連崩壊後に資本主義へと転換した影響みたいなものかな。
    各話が緩やかに繋がっていくのはもうお見事という感じ。ラストはちょっと急展開に感じたけれど、嫌な感じでは

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    2021年04月15日
  • 消失の惑星【ほし】

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    3月のサヴァブッククラブでの選書作品。

    自分では手に取って読まないであろう物語に今月もまた出会えました。
    すっごく面白い作品!

    まずはGoogleマップでカムチャツカ半島を検索して、どんな土地なのか想像しながら読む。これがまた物語に深みが増して良い。

    ロシアの文化と歴史にあまり明るくないが、これを機に学んでみたいなと思うほどに興味深い。
    習慣とか先住民への差別とか田舎独特の閉鎖的な空気とかどこかわたしたちの国にも通じるものがあって、女性の生きづらさもあって、遠い国(実際にはカムチャツカ半島は日本からさほど遠くないが)のことなのに身近でもある。

    『近くにいる人を愛するのは難しい』みたいな

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    2021年03月09日
  • ジャングル・ブック

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    子どもの頃に読んだ「ジャングルブック」を思いだし、何とも懐かしかった。

    当時読んだのは小学生向け(たぶん)のヤツだったが、主人公なんかも正義感あふれる少年に描かれていた(たぶん)気がする。

    今回の訳では、登場人物(多くは動物)の感情の機微なんかがリアルに描かれていて、大人版として、とても楽しめた。

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    2016年07月01日
  • 消失の惑星【ほし】

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    「カムチャッカ」については、「若者がきりんの夢を見ている」イメージしかなく、何も知らなかった。

    カムチャッカは広いロシアにおいて陸路では本土に行けない陸の孤島で、自然が豊かで、白人とは別にいろんな先住民がいるが、ソ連からロシアになり、地域性や連帯は少しずつ失われつつある。

    先住民差別、女性差別、同性愛、世代間格差、経済格差、発達障害、田舎社会、シングルマザー、偏見、噂話、生きづらさのミルフィーユ。

    そこに暮らす女たちの話。
    地理的にも経済的にも人種的にも土地に縛られて、ミルフィーユの中でいろんなことをいろんなふうに思っている女たち。

    日本とは全然違う歴史と文化の国なのに、女の抱える生き

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    2025年11月23日
  • 火明かり ゲド戦記別冊

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    ゲド戦記別冊。
    ゲド戦記の作者アーシュラ・K.ル=グウィンの作品解説、エッセイ、講演などが5編、短編が2編、ゲド戦記の翻訳者である清水真砂子さんと作家中島京子さんの解説が2編という構成の短編集。
    岩波少年文庫から出ているのがちょっと驚き。一応ターゲットは少年少女なのか・・・?
    ゲド戦記は昔読んで難しくてよくわからなかったというボーとした記憶がある。
    (たぶん)未読の「アースシーの風」、「ドラゴンフライ アースシーの五つの物語」を読んでみようかな。

    p137
    「第一歩はまず振り返って自分の影についていくこと」

    p139
    「自分自身の影をうまく扱うことを学びさえすれば、この世界のために、なにか

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    2025年11月13日