あらすじ
1930年代、NY。金融の寵児、アンドルー・べヴルをモデルにした小説『絆』が出版されたが本人はこれに猛反発。自伝を秘書に代筆させる。その後秘書は当時の回想録を記し、数十年後、アンドルーの妻の日記を発見するが--。視点の異なる四篇からなる実験的小説。
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Posted by ブクログ
投資だとか経済の分野には苦手意識があるし大富豪夫妻の暮らしには興味も(ご縁も)ないけれど、ポリタスの石井千湖さんが紹介するなら、と読み始めてみたらこれがすごくおもしろい。4部構成のひとつひとつ読み進むに連れ視点がずらされじわじわと驚きの展開に引き込まれて一気読み。最後には必ず戻って何ヶ所か読み直したくなるはず。2023ピューリッツァ賞ほかさまざまな賞に選ばれたのも納得。
Posted by ブクログ
なにこれ、面白かったー!よくできてる。タイトルと表紙の写真から、金融実録物?などと勝手に思いながら、その先入観を払い除けられ(それさえも仕掛けの1つだった?)、『絆』面白いけどふうんそれだけ?と思っていると、『我が人生』でどうもそうじゃないな、と妙な心地がしてくる。さらに『追憶の記』で捻られ、どんどん加速して面白くなり、『未来』で唸る。唸ったし、久々に悪寒もしましたよ。小説を読む時に私は(読者は)何を信じているのか。そこに何があるのか。もしかしたら、早くも、今年のベストかもしれないなあ。
Posted by ブクログ
4部作中前半は淡々と読み進めながら、ふぅん、という感じでしたが、「追憶の記」に入ってあれ?思ってたのとちょっと違う?からの「未来」。
最後の解説にもありますが、本を読むことによる無防備な「信頼」をユラユラと揺るがす、まさにそういう作品でした。
本を読みながらこれほど不安にかられ、揺れ動いたことはなかった。