【感想・ネタバレ】夜の底を歩くのレビュー

あらすじ

17歳のキアラは、兄と二人暮らし。父は病死、母は獄中。ラッパーを夢見る兄のため、隣家の孤独な少年のため、彼女は職を探す。ある夜、思わぬことから、売春を始める。愛する者を心の支えとして働くキアラだったが、やがて街を揺るがす騒動に巻き込まれ……。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

先ずは17歳にしてこのような小説を書けることに感服。著者自身も10代のうちに黒人10代のリアルを描きたいという意志のもと書き上げたという。読んで損はない一冊と思う。

0
2025年02月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

父は病死、母は刑務所に入って今は更生施設にいることで、17歳のキアラは兄のマーカスと2人で暮らしていたのだが、兄はラッパーを夢みてばかりで働かない。アパートの家賃も滞りがちで、おまけに値上げするという。
同じアパートに住む9歳のトレバーもネグレクトを受けていて、食べるものもない様子。
キアラは、職を探すも雇ってくれる店はどこもなく、追い詰められた果てに思わぬことから売春を始め…。

誰に救いを求めたらいいのかわからずに、ただ生きるためにしたことが大きな事件となる。

このようなことがある世の中では駄目なはずなのに誰も気づかずにいることが、どうしてもやるせなく思う。


著者が、ティーンエイジャーの2015年のときにオークランド市警とベイエリアの警察官たちがひとりの若い女性を性的に搾取し、その件を隠蔽しようとしたことを知る。
この事件は、2016年にオークランド市警による性的虐待事件としてニュースに報じられ、著者は自分が生まれ育った街の話を書きたいという思いと、若い黒人女性が性的被害に遭うというのはどういうことか、掘り下げて書きたいと思ったとあとがきにある。
16歳で書きはじめて10代のうちに本書を出版したことになるが、同年齢を題材にしているだけに描写に強さを感じた。



0
2025年03月03日

Posted by ブクログ

17歳女の子キアラの物語… 黒人女性が何故こんな酷い扱いを受けなければならないのか #夜の底を歩く

■あらすじ
17歳の女の子キアラは、定職にもつかない兄と暮らしていた。父は既に病死し、母も刑務所に収監されているため、誰も彼女を守ってくれない。さらに同じ地区に住む9歳の少年トレバーがネグレクトを受けていた。彼女は自身の生活とトレバーを守るために求人を探すも、まだ未成年のために仕事にありつけない。ついに彼女は自身の身体を売り始めるのだが…

■きっと読みたくなるレビュー
やるせない気持ちで胸がいっぱいになる物語、しかし声をあげるべきだという、強い意思を感じる作品でした。黒人女性が何故こんなにも酷い扱いを受けなければならないのでしょうか…

本作の主人公キアラは未成年の黒人少女、経済的にも家庭環境にも恵まれていない。さらに近所に住むネグレクトの少年を守るヤングケアラーでもあるのです。

キアラの住む世界をひたすら読み続けることになるのですが、過酷な状況が良く伝わってきます。周囲の大人は一切頼りになりません、むしろキアラに迷惑をかけてくるとい有様。しかも兄やおじをはじめ、男性どもこそ極悪非道なんです。本来あんたたちがキアラを守ってあげなきゃいけないだっつーの(怒

行きつく先は、やはり売春になってしまうのですが、さらにもっと考えられない事態に… そして物語の後半になると、いよいよ人間の狂った欲望が赤裸々になってくる。我々が生活する日本社会では考えられないんだけども、アメリカでのデータ(訳者あとがきに記載)を見て驚愕しました。あまりにも酷い現実に腹が立ってしょうがない、あんたらが未成年の少女にやることかと…

ただ読めば読むほどやりきれないんだけど、キアラがあまりにひた向きで心優しいので、読み進めちゃうんですよね。他の登場人物もダメ人間ばっかりなんだけど、ただ家族を愛する気持ちはまっすぐなんだよなぁ。根はいい人たちばかりなんだけど、なんでなんだ…

できればキアラに寄り添ってあげたい、手を差し伸べてあげたい、そして幸せな笑顔を見せてほしいと思いました。へこたれずに胸を張って生きてほしい。

■ぜっさん推しポイント
トレバーの母、育児放棄をしているディーの叫びが芯をついててマジきつかった。もちろん彼女は望んでネグレクトをしているわけではないんですよね。

愛しているし、愛されているのも分かっている。このままだと自分がどうなるか、将来的にどう思われるかも分かっている。でも自分ではどうしようもなく、すでに諦めるしかないんです。

これこそ「絶望」というやつでして… 若い女性たち、とくに未成年には絶対にこんな気持ちにさせたくないんですよね。いつもこういう本を読むと自分に何ができるだろうと考えされられます。

0
2025年02月11日

「小説」ランキング