原研哉のレビュー一覧
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デザイナーの言葉だな、としみじみ思う。どちらかというと無駄のない、洗練された日本語だ。言葉の選び方もハッとするものがある。
しかし、どこか物足りない。あくや癖がない。幕の内弁当的編集なのだ。「一冊を通して」何かを訴えようという本ではない。どこかお気に入りがあれば、というつくりで、未来への示唆はあちこちにあるが、骨が太くないのである。雑誌の連載をまとめたものとあって、合点がいった。
気になった示唆のいくつか
・住まいやオフィスの環境も、モビリティや通信文化の洗練も、医療や福祉の細やかさも、ホテルやリゾートの快適さも、美意識を資源とすることで、僕らは経済文化の新しいステージに立つことができるは -
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ネタバレ大好きなグラフィックデザイナー原研哉氏の著書。
【まえがきについて】
デザインとは欲望のエデュケーション。
この言葉の背景には、
製品や環境は人々の欲望という「土壌」からの「収穫物」であり、それを生み出すにはよく肥えた土壌が必要。
デザインとは欲望の根底に影響を与えるものであるという考え方があるとのこと。
そして、エデュケーションという言葉をあえて選んだのは、この言葉に、教育するという視点に加えて、潜在するものを開花させるというニュアンスが含まれているからだとも。
このくだりにより、エデュケーションという表現がデザインにぴったりであることが納得できます。
「潜在するものを開花させる」
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日本のデザイン――美意識がつくる未来 (岩波新書)/ 原研哉
【ポイント】
3/全ての人が、丁寧に篤実に仕事をしている日本。
「繊細」「丁寧」「緻密」「簡潔」←海外にはない日本の感受性、価値観。
展示会「Japan Car」= 移動への欲望と未来
19/日本では車は、ステイタスでも、スタイルに酔いしれる対象でなくなりつつある。
20/車は普通の道具。求められるのは、機能と効率、それを過不足なく体現するデザイン。
21/欧州では、遅い車は、走りへの意欲や、敏捷性を放擲した「負け犬」。
ダイハツの「タント」は、スピード感、精悍さは減少するが、暮しの道具としては日常になじむ。 -
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・駆け出しのデザイナーは、デザイン料はいらないから
自分の自由になる仕事が欲しいと思う時期が必ずある。
これはデザイナーの麻疹だ。
・ビッグ・ネームに気負うのではなく、まず本人に会って
企画について話し合うべきだった。
・「これ、というモデルはいつも急に現れ、迷いの余地がないほど抜きんでている。
それを待つのはほとんど「雨乞い」の心境に近い。」
・「しかし裏方に徹していたとはいえ、ポスターが盗まれたと言われれば嬉しい。
だからもし、持って帰りたくなるようなポスターを街で見掛けたら、
躊躇せず盗んでいただきたいのである。」
・デザインの目的がはっきりと決まっている仕事は気が楽 -
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無印良品のアートディレクションをやってる原研哉さんと
ヨーロッパで製品開発や素材の応用研究などのデザイン活動を
しているという阿部雅世さんの対談。
ヨーロッパ、特にイタリア、ドイツのデザインの歴史や
職人工芸の過去と現在、日本のそれらを対比させながら、
グローバルな資本主義経済の世界の中で、
あるいはその速度の速い大きな変化の中で
日本のデザイン=ものづくりは何を拠り所にすればいいのか
デザインの本質とは何なのかを語り合っている。
(余談:戦後、ものづくりをやってきた国は敗戦国ばかり。)
デザインにおけるモダニズムや知恵の器としてのデザイン、
ヨーロッパの生活習慣の伝 -
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著者:原 研哉
グラフィックデザイナー原研哉のエッセイ集。
これは14年前に出た、エッセイ集に3つのエピソードをプラスしたもの。
とても勉強になる。どんな気持ちとか考え方でデザインしたのか。
自分と頭の作りが違うように感じた。
なるほど。
こんな視点があったとは。
一番印象に残ったのは切符というタイトルで一番最初に載っていた話。
これは電車の切符の背景として、描かれている地紋をデザインしたときの話。
人がなかなか見ない。注目してやっと見えるところでも誰かがデザインしている。
そういうものにも努力と汗がつまっている。
でもグラフィックデザインは基本的に使い捨てでどんどんリニューアルされてい -
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ネタバレ建築もデザインも、仕事はおおむねコンペの連続であるから、これくらいではへこたれない。コンペに勝てなくても、全力で考えた思考の成果はアイデアの貯金として蓄積されていく。それがたまればたまるほど、クリエイターとしての潜在力や爆発力は増していくのである。
[車が嗜好品から当たり前のものになり、実用性を優先して設計された似たような四角いデザインばかりになるのについて]
これを寂しいと感じるか、ものに対するふさわしい認識が成熟したと見るかは難しいところだが、大事なことは、そこに他の文化圏にはないオリジナリティが生まれている点である。
日本の車でユニークなもので共通意見
ダイハツのタント
ガソリンエ