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まさしく歴史的な転換点に立つ日本。大震災を経て、とりわけ経済・文化活動のあらゆる側面において根本的な変更をせまられる今、この国に必要な「資源」とは何か? マネーではなく、美を、幸福を、誇りを得るために、立ち戻るべきは「感受性」である──。つねに「ものづくり」の最先端をリードしてきた著者が、未来への構想を提示する。
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Posted by ブクログ
デザインは欲望。 希望というよりも欲望。 どりゃ 私にとって、正解はない 自分の主張や客観を語る。 どりゃのきっかけをくれた本。 正解がないんだから、出してみるしかない。 どりゃ
今後の日本のあり方、可能性を示した一冊。デザインという手仕事よりな発想ではなく、俯瞰的に、日本をどうプロデュースしていくかという観点から述べられている。 特に秀逸な前書きは日本という国の素晴らしさを再認識させてくれる。
資源が不足しているからこそ、日本は「美意識」という資源を手にした…というところから話は始まる。シンプルという美、そしてシンプルを先駆けしていた足利義政、繊細で丁寧で緻密で簡潔な日本のデザインなど、日本の美意識という観点から我々を勇気付けてくれる一冊。 様々な小話が盛り込まれているが、リノベーシ...続きを読むョンに関する提案、世の中が丸と四角ばかりワケ、新素材を使った笑う車などまさに目からウロコの情報ばかりだ。
デザインの視点から、日本の未来の可能性を考察する。洗練された考えと言葉の選び方で、心地よい緊張感と勇気をもらった。
無印良品、愛知万博等を手がけたデザイナー、原研哉の本。 デザインするということは装飾的に着飾ったり、ものをお洒落にするということではない。 例えば「考え方」だってデザイン出来るし、するべきだ。 デザインするということの本質、核心に迫りながら今後の世界、そしてその中での日本の立ち位置や振る舞い方を提...続きを読む案している。 「デザイン」は日常の中に溢れている。 お勧めの一冊。 まえがきより引用。 「中国、そしてインドの台頭はもはや前提として受け入れよう。アジアの時代なのだ。僕らは高度成長の頃より、いつしかGDPを誇りに思うようになっていたが、そろそろ、その呪縛から逃れる時が来たようだ。GDPは人口の多い国に譲り渡し、日本は現代生活において、さらにそのずっと先を見つめたい。アジアの東の端というクールな位置から、異文化との濃密な接触や軋轢を経た後にのみ到達できる極まった洗練をめざさなくてはならない。 技術も生活も芸術も、その成長店の先端には、微細に打ち震えながら世界や未来を繊細に感知していく感受性が機能している。そこに目をこらすのだ。世界は美意識で競い合ってこそ豊かになる。」
日本の文化を踏まえ、日本人の強みを生かして、今後の世界における日本の立ち位置や進むべき道を説いた一冊。 「デザイン」とは単なるファッションの創造のみならず、生活を作り上げていくもの。 デザイナーの仕事とは建築も含め、色んな工業製品だけではなく、生活様式や社会生活まで「デザイン」すること。 改め...続きを読むてスゴイと思いました。 目から鱗です。 また原氏の文章がとても秀逸で説得力を伴うものであったことも驚きました。 物書きの人よりよっぽど綺麗な言葉を駆使し、時に熱を帯びた文章に感動を覚えます。 ポイントポイントをノートに控えましたが、少し目の前が開けた感じがあります。 これは繰り返し読んで自分の中にしっかりと植えつけたい本です。
シンプルという概念がいつ生じたのか。シンプルとエンプティネスの違い。その部分が特に勉強になった。 長い時間をかけて日本人が生み出し時に壊し受け継いできてくれた美意識や文化というかけがえのない、いくらシンガポールや他の国がお金をかけて買おうとしても決して買えないことを、この時代に生きる私たちも最大限に...続きを読む感じ受け継ぎ時に壊し新しく生み出して繋いでいきたい。お金では買えない生きるうえでの豊かさに気づいていきたいし伝えていきたいなぁ
日本を代表するデザイナーのひとりである原研哉による、岩波書店の月刊誌『図書』における「欲望のエデュケーション」という題名の連載(2009~2011年)をまとめたものである。 著者は、連載の題名「欲望のエデュケーション」について、「製品や環境は、人々の欲望という「土壌」からの「収穫物」である。よい製品...続きを読むや環境を生み出すにはよく肥えた土壌、すなわち高い欲望の水準を実現しなくてはならない。デザインとは、そのような欲望の根底に影響をあたえるものである・・・よく考えられたデザインに触れることによって覚醒がおこり、欲望に変化が生まれ、結果として消費のかたちや資源利用のかたち、さらには暮らしのかたちが変わっていく。そして豊饒で生きのいい欲望の土壌には、良質な「実」すなわち製品や環境が結実していくのである」という。 また、本書の題名については、「こうなりたいと意図することがデザインであり、その姿を仮想・構想することがデザインの役割である。潜在する可能性を可視化し、具体的な未来の道筋を照らし出していくこと、あるいは多くの人々と共有できるヴィジョンを明快に描き出すことこそ、デザインの本質なのである」と語る。 著者は、「ものの作り手にも、生み出されたものを喜ぶ受け手にも共有される感受性があってこそ、ものはその文化の中で育まれ成長する。まさに美意識こそものづくりを継続していくための不断の資源である」とした上で、日本の「美意識」の中心は、「繊細」、「丁寧」、「緻密」、「簡潔」を旨とし、簡素さや空白に価値を見出していく感受性にあると言い切る。 そして、今後、日本に求められるのは、西欧中心の既成の価値観において「評価される」ことではなく、日本発の価値観において「機能する」ことであり、日本が如何にして世界で「機能する」べきかについて、移動手段、家、観光、素材などについて具体的に語っている。 著者のいう“デザイン”の意義・価値に大いに共感するとともに、その未来について考えさせてもらった。 (2014年3月了)
デザイナーの言葉だな、としみじみ思う。どちらかというと無駄のない、洗練された日本語だ。言葉の選び方もハッとするものがある。 しかし、どこか物足りない。あくや癖がない。幕の内弁当的編集なのだ。「一冊を通して」何かを訴えようという本ではない。どこかお気に入りがあれば、というつくりで、未来への示唆はあち...続きを読むこちにあるが、骨が太くないのである。雑誌の連載をまとめたものとあって、合点がいった。 気になった示唆のいくつか ・住まいやオフィスの環境も、モビリティや通信文化の洗練も、医療や福祉の細やかさも、ホテルやリゾートの快適さも、美意識を資源とすることで、僕らは経済文化の新しいステージに立つことができるはず ・精度の高いボールが宇宙の原理を表象するように、優れたデザインは人の行為の普遍性を表象している。 ・現代の日本人は、小さな美には敏感だが、巨大な醜さに鈍い ・抑制、尊厳、そして誇りといったような価値観こそデザインの本質に近い。 ・ファッションとは衣服や装身具のことではなく、人間の存在感の競いであり交感である ・世界から評価されるのではなく、世界で機能するという主体性を持つ。
武蔵野美大教授であり、日本を代表するデザイナー、原研哉さん。 ”可能性は常に意外性の中にある” の言葉通り、原さんの斬新かつシンプルなアイディアにはほんとに驚かされます。 常に消費者目線でデザインを追求する原さんの考え方が沢山学べる一冊だと思います。
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