原研哉のレビュー一覧
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世界はデザインで溢れている。紙が四角いのもボールが丸いのもデザインだ。四角いから省スペースにたくさん書けるし、丸いから転がっていく。デザインは人の行為の本質に寄り添う必要があるが、日本の生活に根付いたデザインを探っていく。
ダイハツの「タント」や日産の「キューブ」は、ヨーロッパの車と違い、四角いデザインだ。欧州ルーツの車は、空気抵抗を軽減するため、四方のウインドウは斜めに傾いている。したがって、タントやキューブは、遅そうに見える。しかし、空力特性を捨てることにより居住性が優先され、構造が安定するので前後のドアの間にある側面の支柱も不要になった。
現在、「シンプル」という言葉は、良い意味とし -
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日本を代表するデザイナー・原研哉による日本のデザインの魅力・可能性に迫った一冊。
プロダクトやファッションから自動車、素材や観光業まで、カテゴリーを超えた話が200ページ強に詰まっていて、読み応えがあった。特に、日本には昔「阿弥」と呼ばれる茶道や華道、能から空間の演出まで手がけた、今でいうデザイナーのような人がいた、という話が面白かった。華美な装飾や複雑さがなく簡素さ、潔さ、モノの本質を突き詰めることを是とする美意識が日本人の中に宿っている、と言われている一方で、街の景観など俯瞰した時の美しさには鈍感だ、という話にはハッとさせられた。
今まで以上に文化や価値観が世界中から混ざり、人種や国 -
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総評
日本の未来が明るく描かれている。日本が持っている美意識という強みを生かして世の中に価値を与える構想が垣間見えてとても良かった。
序
美意識は、石油や鉄鉱石などの天然資源などと同様な資源なのである。日本人は兼ね備えている。
1 移動
車の存在価値のパラダイムシフトが起こっている。
おもしろい。
2 シンプルとエンプティ
四角は人間が生み出した人工的な形。優れたデザインは人の行為の普遍性を表象している。
文化は複雑から始まったのではないかという話が面白い。シンプルは合理主義。エンプティは何もないこと、見立ての創造力。空白にイメージを誘う。
日本の美意識。繊細、丁寧、緻密、簡潔。
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たまには普段と全く異なるジャンルも読んでみようということで買ってみた。。
最近イベント関係の仕事(といってもBtoBだが)にも携わるようになってきて、今まで全く関心のな
かった「デザイン」「美意識」を否が応でも意識せざるを得なくなった。
そういう意味では、「未来素材」の章は、デザインど素人の自分でも読みやすい内容だった。著者が
関わった、「TOKYO FIBER '09/SENSEWARE」は、日本のハイテク繊維を可視化するという趣旨で開催
された。本章でクリエイターたちの作品のいくつかを紹介しているが、技術とデザインが融合すると
はこういうことかと教えてくれた気がする。 -
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ネタバレ原研哉さんは好きなアートディレクターの一人だ。
「HAPTIC」展等、非常に好奇心をくすぐられる美しいデザインに、10代の頃から憧れを抱いていた。
最近、研哉さんが携わった代官山Tサイトに行ってきた。ずっと行きたかったとこ。建設のサインやブランドロゴなどを担当している。居心地が良く、美しい空間だったな。
本著の中で語られてる「TOKYO FIBER」展が面白そうだな、と思った。見たかった。日産キューブの「笑うクルマ」が可愛かった。クラクションはいわば「威嚇」であるが、もしもクルマが「微笑」を表現出来るなら、街角は相当に和らぐはずだ、という考え。
考え方がスマートで、なるほど!と思わず微 -
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あなたのやりたいことなんて誰も興味ない。
でも、あなたができることには興味があるし、そこが仕事になる。
紛争や侵略で逃げた先の新しい住まいで、
もう会えないかもしれない家族の写真を飾ったとき、そこが自分の家になる。
ヨーロッパ人が壁いっぱいに家族の写真を飾るのは、そのため。
家族の写真を財布に入れるのも、何かあったとき、家族を探す手がかりにするため。
デザインは、広告で紹介されるものでも、買ってくるものでもなくて、
人が毎日の生活をいかに大切に慈しむか。
繊細でシンセンな目で毎日の生活を観察し、覚醒し、自らの生活文化を耕すこと。(阿部)
デザインは一般教養の一部であって、美術の一ジャンル -
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ドローイングとは頭の中を出すこと。恥ずかしい。
クロッキー教室で裸婦を書くトレーニングがよかった。
デッサンは物を見る、フォルムを見る目の訓練。
デザイナーは職業柄、誰も思いついたことのないような説明しにくいことを思いついてしまう。説明のプロでなければならない。
マテリアル・ワールド・プロジェクト。世界一家財道具を持っているのは日本人。
都市の建物はストック。
一家に一台の安物ではなく、高いものをシェア。
靴を脱いでくつろぐ。
シャボン玉デザインワーク建築ショップ。完成予想図を書かないデザイン。装置やシャボン液のデザイン。
デザインは生活文化をつくる仕事。
イタリアでは、建築も -
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グラフィック・デザイナーとして名高い著者の幻のエッセイ集のリニューアル復刻版。原本は「ポスターを盗んでください」(新潮社、1995年)だが、それに新しいまえがきとあとがき、さらにエッセイ3編を加えたもの。いかにデザインに興味がない人でも、この著者がデザインしたものを目にしたことのない人はいないはず。たとえばJRの切符を始め、無印良品の品物、ウイスキーのボトルにインスタント・コーヒーのビンなどなど。 さて、若くして成功を収めたデザイナーが、モノ書きの才能を発揮できたわけは、この本のまえがきに詳しい。岡山の高校時代からの悪友で作家の原田宗典の紹介によるものとのこと。収録されている50編のエッセイは