森下典子のレビュー一覧
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森下典子『好日日記 季節のように生きる』新潮文庫。
『日日是好日』の続編。
その昔、森下典子さんは『週刊朝日』のコラム『デキゴトロジー』の執筆者の1人として活躍し、後に『典奴どすえ』というタイトルで京都での舞妓さん潜入取材記録を執筆した方である。『デキゴトロジー』は新潮文庫からシリーズで刊行され、全て読んでいる。勿論『典奴どすえ』も読んでいるが、テレビドラマにもなり、それも観た記憶がある。もう30年以上も昔の話だ。
あれから幾年月が過ぎ、森下典子さんが『日日是好日』という素晴らしいエッセイを書いていたことには心底驚いた。『デキゴトロジー』の頃は素人同然の文筆家が、これ程の成長を遂げるとは -
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出会えたことに感謝したい、素晴らしい本。
五感を刺激する美しい文章、丁寧な描写に癒されて幸せな読書時間を過ごせた。
お茶を極めた特別な人の本ではなく、わからないながらも同じことを続けたからこそ見えた境地や、筆者が体験した点と点がつながり自分の血と肉になる瞬間の感動が語られる。
季節のおもてなし、その日のテーマと調和を考えた細かな演出など、お茶の世界の心尽くしに感心した。
近くに置いて何度も読み返したい本。
「それだけだった。なのに胸を突かれた。シンプルな動きに、あらゆるものが含まれていた。形そのものが心だった。いや、心が形になっていた。」
「人間はどんな日だって楽しむことができる。そ -
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「だから、だいじな人に会えたら、共に食べ、共に生き、だんらんをかみしめる。
一期一会とは、そういうことなんだ・・・・・・。」
「一期一会」を初めて聞いたのは、この小説の映画でした。通っていたアメリカの大学で、日本学部は日本の映画を紹介する「ムービーナイト」があって、みんなの周りに「泣かないで、泣かないで」と思いながら見た思い出があります。そして、そこで、初めて「一期一会」と出会ったんです。日本語の勉強だけではなく、人生の全体を振り返ったら、人と出会いの特別さの感じをずっと持っていましたが、どうやって言葉で言えるのは分からなかったのです。今でも、英語でなかなかふさわしいフレーズがないです。でも -
Posted by ブクログ
まるでそこに自分も存在するかのような
感覚の中、ゆったりとした心地よい気分で
読むことができた。
私は茶道経験者だが、こんなにも季節と
強い繋がりがあったとは…目から鱗。
私たちは、慌ただしい日々を過ごしているが、
そんな中、著者のように、週一回、
茶道を通して心を「無」にし、
季節を自然から直接、
掛け軸や茶道の道具から間接的に
感じられることに、なんて贅沢な
時間なのだろうと思った。
読後、目次の第1章から第15章までの
タイトルを見返すと、どれもしっくりくる。
このタイトルだけでも今後の行動・考え方の
指針となりそうだ☻
*きっかけがあれば、いつか私も茶道をやりたい。
とりあえ -
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
タイトルを見て怪しい本…と思ったが、著者を見ると森下典子氏。やはり怪しくはなかった。むしろ終始「こんなこと調べて怪しい人と思われたくない」という思いが綴られているのがおもしろい。
※ちなみに、本書は単行本では「デジデリオラビリンス」、文庫版も以前は「デジデリオ」というタイトルだったそうだ。
ある女性に「あなたの前世はルネサンスの彫刻家」と言われた著者は、事実を確認するためイタリアに向かう。仕事で依頼されたわけでもなく、あくまで「個人的に気になるから調べるわ」というぐらいのスタンスなのだが、紹介状を偽造してまで歴史的美術品や機密文書を見せてもらうなど、わりとガチなルポであった。