黒木あるじのレビュー一覧
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怪談本って一冊読むと続けて読みたくなりますよね。ということで、黒木あるじさんのベスト版2作目を読む。
まず最初の一編「爪先」。不発に終わりそうな取材の描写から一転、二転して最終的には怪談を聞き取っている著者自身の体験談になる。こういう“私の話”に着地するタイプが好きなんですよね。かなり小説に近い書き方な気もする。黒木さんは結構この書き方する印象もありますね。
次は「空き巣」。これはビジュアルを想像させる系かつ、家という誰もが遭遇してしまいそうな気がしてくる場所で起こる怖さがある。帰りの電車で読んでいたら帰宅が怖くなるやつだ。
3編目は「残像」。意味が分かって“解決”する話というのもある。わたしは怪談でも小説でも、わからなさをわからないまま受け止めるのが好きなのだけれど、黒木さんは“意味”や“理由”まである話も書いていく感じなんですよね。「確率」みたいに意味がわかる事自体も怖い話もあるし。この話はしっとり良さげなところに軟着陸するタイプだけど、怪異を経てホッと出来るオチに至る怪談というのもある、気がする。
次は……とずっと語っていってしまいそうな気もする、さすがのベスト版。あとは“現代”と頭にとつけたい怪談である「黒い」と「謝罪」や長尺で二転三転して“私の話”に至る「写真」に“家”で“意味”が分かる話の「侵入」も怖かった。怪談に対する、それを収集するスタンスは一貫しつつも、個人の体験談だから様々なタイプがあるし、書き方も様々にある。それに、それを読んで動く感情も様々なんですよね、とまたそんなことを思いつつ怖がり震えていました。
あ、やっぱり後一編だけ。「軍手」が良かった。これはエピソード自体も怖いのだけど、そこから“解明”される路上に落ちている軍手の真実に、ああなるほど怖い、と思った。「路上に片方だけ落ちている手袋」を研究している片手袋研究家の方のルールにも「絶対触らない」があるのは、もしかしたら観察研究だからという理由以外にここに書かれている真実も関係しているのかもしれない、と思うと真実味が加わってさらに怖がれたのでした。 -
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家、部屋、土地に纏わる超怖いアンソロジー
“物件怪談小説集”
人気作家+事故物件サイトの大島てるさんの11編
土地や建物に関わるホラーが好きなのです
と思い、読みましたが、人がやっぱり怖いという作品が多かった気がします
「妹の部屋」神永学
死んだ妹の賃貸の部屋
片付けて解約するも 元に戻っている
事故物件小説ではなかったけれど
ありそで怖い
「笛を吹く家」澤村伊智
息子を預かってくれる家は、幽霊屋敷
両親の望む息子の行末
この2編が、私のBestかな
「倒福」大島てる
事故物件系かなと思っていたけれど
反発もある情報提供をしているから
こんな経験もあるのかな
いろんな摩擦があるのでしょう
地方に居た時、全国区のニュースになった殺人犯の賃貸していた部屋が 割と近くだったんだけど
そういう逆バージョンみたいなのは
事故物件にはならないのかな?
事故物件になるとオーナーさん大変だからねー
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家にまつわるホラーのアンソロジー。玉石混交という感じ。
【収録作品】
「氷室」宇佐美まこと
「倒福」大島てる
「旧居の記憶」福澤徹三
「やなぎっ記」糸柳寿昭
「たかむらの家」花房観音
「妹の部屋」神永学
「笛を吹く家」澤村伊智
「牢家」黒木あるじ
「トガハラミ」郷内心瞳
「終の棲家」芦花公園
「ろろるいの家」平山夢明
たとえば「倒福」「旧居の記憶」「やなぎっ記」の御三方は実話怪談や事故物件をメインにしているだけあって実録風というかとりとめがない。それもそれで好きだけどほかの短編小説の中では浮いてるように個人的には感じた。
この中で怖かったのはやはり「終の棲家」と「ろろるいの家」。芦花公園さんは「ほねがらみ」以来だけど、こちらも似た展開。いつのまにか読者を巻き込む手法はさすが。「ろろるい」も畳みかける怪異の描写が頭に浮かんでしまう。とにかく平山さんは容赦なくてそこがいい(笑)。
澤村さんのはほかで既読だったので割愛。 -
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気鋭の若手からベテランまでが一堂に会した「最恐」の物件怪談アンソロジー。
家や土地をテーマにしたホラーアンソロジーです。
作家陣が豪華で、個人的には外れなしでした。どれを読んでもじっとりと湿度のある話が楽しめます。
珍しい方だと、事故物件検索サイト「大島てる」の管理人・大島てるさんのお話なんかも掲載されています。サイト自体は見たことがありますが、文章も書いているとは初めて知りました。
実際に届いたメールや、自身が本を出すための取材で回った際に見聞きしたものについて書いているお話や、伝染する呪いを扱ったような作品も多く、虚構と現実が曖昧になる感覚がしてそれもまた良かったです。現実に侵食してくるような話は不安になる感じが好き。
個人的に気に入った2作は、その土地に憑く”ナニカ”の不気味さが存分に楽しめる平山夢明さん『ろろるいの家』と、恐ろしくも耽美な化物の話、郷内心瞳さん『トガハラミ』。
でも、それ以外のどの話もそれぞれ味わいが違っていてどれも面白いですよ。 -
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物件、つまり家や土地にまつわる怪談集。
表紙に並んだ著者名を見てほしい。
どれもこれも怪談の名手じゃないか!
一作品既読があるだけで、他は全て初めて。
なんだよー全然怖くない、なんて思っていたが、やっぱり夕暮れ時から夜にかけて思い出したり読んだりするとぞわぞわする。
「牢家」は、座敷牢というキーワードに引っかかってしまうと、最後にひっくり返される。
そして、ホラーにはお決まりの(作中でも言及されているが)地元の老人が「はいっちゃいかん!止めろ!」という。
もう絶望しか無いフラグが立つ。
そしておそらくその通りになる。
が、みなまで言わず余韻を残すところは作者の技量。
大島てるの「旧居の記憶」は、ほんとうに大島てるにこんな手紙が届いたんじゃないか、と思わせる。
だが、職業作家と比べると、ちょっと怖さは弱め。
「ろろるいの家」はさすが平山夢明。
意味不明の言葉が不気味さを増長する。
そして意味を知った時、背筋が凍る。
これは今が冬だから、じゃないよな。 -
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一応、「家」にまつわる怪談、ということになるのかな。(読んでいる最中それが強く意識されるという感じでもないのだけど。)
全体的にはきちんとそれぞれ「作品」になっているので、素人っぽいノリで集めた聞き書き怪談、みたいな雰囲気ではなく、しっかり読み応えがあるものが多かった。
ただ、なんというか、「物件」と冠されたタイトルと内容とはちょっとズレがあるように思う。「怖い家」くらいの方が適当なんじゃないだろうか。あんまり、不動産としての物件にまつわる怪という方向性ではないので、いわゆる事故物件怪談みたいなのを期待していると「およ?」となるかも。
個人的に印象に残ったのは、福澤徹三『旧居の記憶』、黒木あるじ『牢家』、平山夢明『るるろいの家』あたりだろうか。
『旧居の記憶』は、大きな山場のある話というよりも、文章とその時代背景から浮かび上がる全体の雰囲気に独特のグロテスクさとノスタルジックな空気感があって、妙につらつらと惹き込まれるように読み進めてしまう。
『牢家』は、黒木さんらしいといえばそれまでなのだけど、地方に伝わる民間伝承や土俗的な風習を現実とからめてエンターテイメントに仕上げた感じ。
『ろろるいの家』は、純粋に怖い話。どこかで聞いたことのあるような設定が色んな角度から登場して、最初は「あれ?この設定、どこかで…」と思って怖いというよりは「きたきた!」と楽しみながら読んでいる感じなのだけど、トータルでいうと楽しいというよりジワジワと怖くなっていく。
秋の夜長に楽しませてもらった。 -
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黒木あるじ『小説 ノイズ』集英社文庫。
漫画原作の同名映画のノベライズ。
たった一人の凶悪犯が放つノイズが、平穏な孤島の住人たちを狂わせていくサスペンス。なかなか巧く構成されているが、甘さや粗が目立つ。漫画原作の映画のノベライズということで、映像で表現するところを文章でとなると、この著者には少々荷が重かったようだ。
果たして原作漫画、或いは映画の方は面白いのだろうか。映画は藤原竜也と松山ケンイチが主演らしいので大体の予想は付くのだが……
猪狩島という何もない孤島で幻の黒イチジクの栽培に成功した島育ちの圭太は黒イチジクを島の産業にしようと努力していた。そんな中、保護司が仮釈放された凶悪犯を圭太の農園で雇ってもらおうと島を訪れる。しかし、凶悪犯は保護司を殺害し、さらに凶行を重ねようとする。
本体価格580円
★★★ -
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2021年7冊目は、黒木あるじのプロレス小説、第2弾。
「強く激しく逞しく」をモットーとするプロレス団体、ネオ・ジパング。その練習生、梶本誠は、プロレスに、強さに悩み、「くだらねえ」と思いながらの練習の日々を続けていた。そんなある日、ネオ・ジパングの創始者であり、代表取締役でもある《リングの皇帝》カイザー牙井から直々に、素性不明のフリーレスラー、サーモン多摩川の付き人を命じられる。サーモン多摩川、彼はコミックレスラー然とした、ネオ・ジパングのスタイルに不似合いな選手であった。
まづは、今作を手にした多くの方は、前作『掃除屋』を気に入った方か、プロレスファンのどちらかではないだろうか。自分は、確実に前者。
前作の路線的なものは、踏襲しつつも、ハードボイルド的部分は大きく後退。サーモン多摩川のキャラも相まって、クライマックス前までは、コミカル寄りの仕上がり。
そして、梶本の悩みの中身的部分は、前作でもちょいちょい見られたが、今作では、クライマックスで一つの結論には至る。しかし、ソレも少し弱い印象。
前作の、女医、奈良に匹敵するキャラの不在。クライマックスが、またもプロレスvs総合格闘技(今作では、厳密にはプロレスなんだけど)的になったこと。個人的には、色々と詰め込み過ぎ感あり。全体的エンターテイメント性は、前作を越えられていない印象。などが★★★☆☆評価の理由(コレを機会に『掃除屋』は★★★★☆評価に修正)。
次作(スピンオフでもイイ)では、ヤンキーマスクvs梶本誠のタイトルマッチを描いてくれないかなぁ?!壮絶なフロントスープレックスの打ち合い。もちろん、ヤンキーマスクのセコンドは、ピューマ藤戸とジンギス・ミカン。梶本誠のセコンドは、サーモン多摩川と根津達彦。 -
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黒木あるじ『葬儀屋 プロレス刺客伝』集英社文庫。
『掃除屋 プロレス始末伝』が面白かったので、本作も読むことに。長州力が絶賛しているのが不安要素ではあるが……
予感適中。やはり『掃除屋 プロレス始末伝』よりレベルは格段に下がる。『葬儀屋』というからには、もう少しハードな格闘シーンが描かれると期待したなだが、やたら能書きが多く、青臭さを感じた。
梶本はあこがれのプロレス団体で練習生になったものの、筋書きのあるプロレスに疑問を抱き、練習に身の入らぬ日々を送っていた。そんな梶本が耳にした噂。プロレス界に『葬儀屋』と呼ばれる謎のレスラーに狙われたレスラーは抹殺される……
そんな梶本は彼こそ『葬儀屋』だと噂される素性不明のサーモン多摩川というふざけたファイトを繰り返すレスラーの付き人になるが……
ギミックと真剣勝負の狭間、そういう微妙なところを描くのは非常に難しいとは思う。
かつて、プロレスに熱狂していた時期がある。住んでいた町に地方興業があればリングサイドで観戦し、翌日の隣町の興業も観戦したものだ。ところが、地方興業の場合は、相撲の初っ切りみたいな感じで、どの興業も絶対に台本があるなというくらい対戦カードも技の応酬も試合の内容や流れも全く同じで幻滅したことを思い出した。
本体価格680円
★★★