井上寿一のレビュー一覧
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学習院大学法学部教授(日本政治外交史)の井上寿一による吉田茂の評伝。
【構成】
序章 昭和のなかの吉田茂
第Ⅰ章 大陸の嵐のなかで
第Ⅱ章 政党政治と外交-外交優位の体制を求めて
第Ⅲ章 危機の時代の外交官=吉田茂
第Ⅳ章 復活を期して
第Ⅴ章 戦前を生きる戦後の吉田茂
第Ⅵ章 占領下の<自由>
第Ⅶ章 敗戦国の<自立>
終章 「吉田ドクトリン」のゆくえ
著者は『危機のなかの協調外交』『日中戦争下の日本』『昭和史の逆説』など昭和戦前期の外交史研究で知られており、前半の3章は外務官僚・吉田茂の対中国政策について、政友会、民政党、軍部を交えて描かれている。様々なチャネルによって行われていたこ -
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吉田茂になんとなくひっかかって、職場の本屋の平積みから購入。
井上氏の政治家の分析軸、横軸は経済軸で自由と統制、縦軸は、国際軸で協調と自立。
吉田は、自由で協調。例えば、岸は、自立で統制(満州の革新官僚ですから)。
最近の政治家では、小泉さんは、自由で協調。麻生さんも自由で協調。安倍さんは、自由で自立。
そう思って分析してみると、民主党の総理は、どういう軸で分類されるのかはっきりしないな。鳩山さんは国際軸は自立で、経済軸は統制かな。菅さんは経済軸、国際軸とも不明。野田さんは、経済軸は自由か?
要は、経済軸は、市場の自由を大事にするかどうか、国際軸は、日米安保を大 -
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アメリカ化,格差社会,大衆民主主義をキーワードに,昭和はじめの20年の日常を垣間見る。先日90になった祖母,今年92の祖父は,まさにこの時代に育った,と思うと感慨深い。
戦前にも大衆消費社会があって,デパートが繁盛し,同潤会アパートができ,映画が娯楽として定着し,電灯や扇風機といった家電が売れた。しかし格差は厳然と存在し,昭和恐慌,金融恐慌を経て農村・労働者は疲弊した。
革命による格差是正の夢も弾圧によって潰え,マルクス思想から「エロ・グロ・ナンセンス」へ,世相は退廃へと転換する。現世利益を謳う新興宗教「ひとのみち教団」も弾圧される。
そこへラジオとともに颯爽と現れたのが近衛文麿。彼の