井上寿一のレビュー一覧

  • 戦前昭和の社会 1926-1945

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    ネタバレ

    漠然と知っていると思っていた近現代のイメージがかなり修正される良書。祖母や父親から聞いていた時代を生きていた人の実感を思い出した。
    今の日本と戦前の日本が似ているとはよく言われるが、「アメリカ化」「格差社会の進行」「大衆民主主義=カリスマ待望」の3つの切り口から、豊富な資料を基に鮮やかに描き出している。まさに目から鱗であった。
    「1941年の太平洋戦争の直前まで、世論はむしろ親アメリカであり、アメリカへのあこがれが文化のかなりの部分を占めていた。例えばドイツにならってジャズを規制しようとした当局も結局は新しい音楽は国民にとって有益で有り、規制をするにはあたらないと結論づけていた」
    「農村の疲弊

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    2011年09月24日
  • 吉田茂と昭和史

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    [ 内容 ]
    「自立」か「協調」か、「自由」か「統制」か-歴代首相の立ち位置は吉田との政治的距離で決まっている。
    今の日本政治は昭和の歴史から何を学ぶべきか。

    [ 目次 ]
    序章 昭和のなかの吉田茂
    第1章 大陸の嵐のなかで
    第2章 政党政治と外交-外交優位の体制を求めて
    第3章 危機の時代の外交官=吉田茂
    第4章 復活を期して
    第5章 戦前を生きる戦後の吉田茂
    第6章 占領下の「自由」
    第7章 敗戦国の「自立」
    終章 「吉田ドクトリン」のゆくえ

    [ POP ]


    [ おすすめ度 ]

    ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
    ☆☆☆☆☆☆☆ 文章
    ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
    ☆☆☆☆☆☆☆ メッセー

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    2010年11月23日
  • 政友会と民政党 戦前の二大政党制に何を学ぶか

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    戦前の政友会・民政党の2大政党時代の成立から崩壊までの経緯を述べ、戦後の自民党・民主党の2大政党時代との類似点と得るべき教訓が述べられている。
    現代への教訓の部分については異論もあるかもしれないが、政友会・民政党の2大政党時代の経緯については勉強になる。権力分散的な明治憲法体制の中で、ボタンの掛け違いと権力闘争が続き、結果として政党政治は崩壊し、信頼関係のない脆弱な総動員体制へと変貌をとげていった経緯が概観できる一冊。

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    2025年06月10日
  • テーマ別だから日本の今がしっかり見える 日本近・現代史

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    出来事が詳しくまとまっていて、とても読みやすい。時が流れても学校ではなかなか近代史を詳しく教えてくれないので勉強になった。

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    2024年08月14日
  • 戦争と嘘 - 満州事変から日本の敗戦まで -

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    大本営発表 に代表される戦争の嘘が満載。

    事例の多くはすでに見聞きしたことがあるものだが、
    しかし、どうしてこう体制側というのは、
    自分に都合の良いように嘘の情報を流して国民を煽動しようとするのか。
    中には「朝鮮人が○○した」という自然発生的なデマもあるが、
    これとて、もしかすると体制側が国民の不安、不満の矛先を自分たちから
    逸らすためのものだったやもしれぬ。
    これらの嘘が、国を守るための方便であれば救いがあるが、
    中にはただの保身、個人の保身か、組織の保身のためかは別にして、
    とにかく国や国民のことなど考えていないものが多い気がしてならない。
    特に戦争、となると、それを言い訳にして何でもで

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    2024年02月27日
  • 戦争調査会 幻の政府文書を読み解く

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    大きな出来事の原因調査をうやむやにする傾向がある日本人だが、あの戦争はあまりにも反省材料が多いこともあり、戦争調査会が精力的に戦争の原因を多くの当事者からの証言をもとに解き明かしている.このような文書の存在は知らなかったが、またこれも我国の悪い癖だが、公開して議論することを回避してきた.満州事変後の展開の中で幾度も全面戦争回避のチャンスがあったことが明記されているが、これらの事実を現在の政治家が肝に銘じて日頃の活動の糧としてほしい.まずはこの文書に目を通すことがスタートだと感じた.

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    2023年07月28日
  • 教養としての「昭和史」集中講義 教科書では語られていない現代への教訓

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    日本政治外交史の専門家が、昭和史を語り下ろす。高等学校「日本史B」を引き合いに出しながら、教科書には載っていない背景等を分かりやすく解説。例えば、教科書では「協調外交=幣原」、「強硬外交=田中」といったイメージを持ちがちだが、幣原外交も田中外交も中国での既得権益や日本人居留民の生命と財産を守るということでは両者とも一致していたが、中国の情勢が大きく変化(北伐の開始、南京政府の樹立)があったために幣原と田中の外交も変化が生じたのだという。中高生が読んでも理解が深まるだろう。大人も、学び直しに最適。

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    2023年06月30日
  • 増補 アジア主義を問いなおす

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    アジア主義を問い直す

    本書を手に取る方にまずお伝えしたいのは、太平洋戦争中に喧伝された大東亜共栄圏という思想と、アジア主義は似て非なるものである。たしかに、アジア主義は大東亜共栄圏という思想を胚胎している。しかしながら、そこには本来、戦前の思想として一括りにして戦後社会の中で切り捨ててはならない重要なエッセンスが隠されている。
    本書は、アジア主義と言うものについて明治から現代まで、歴史の流れとともに解説するものである。特に興味深かったのは、昭和研究会によるアジア主義の思想的定義である。三木清は、アジア主義をリベラリズムとファシズムの止揚であり、欧米の帝国主義に対するアンチテーゼとして、東洋諸

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    2022年09月24日
  • はじめての昭和史

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    年代を単純に追うのではなく、テーマ別に時代とともにどう変化していったかを追いかけている。

    平成より倍長く、戦争もあって濃い昭和を200ページ程度でコンパクトにまとめている。改めて感じたのは、第二次対戦前の日本は暗いことばかりのイメージがどうしてもあるが、好景気に沸いた頃や、政府のプロバガンダにもなびかなかった大衆の強さがあった、という一面だ。

    政治に対してだけでなく、メディアに対する大衆の関わりなど、「その時、大衆はどう反応していたか」という視点が印象に残った。今更ながら意外に思えたこともあったりと、現在につながる日本人の意識の普遍性のようなものが見えて興味深く読めた。

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    2021年11月23日
  • はじめての昭和史

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    改憲問題や格差など、昭和を紐解くトピックの組み合わせが面白い。なかで「メディアと世論」に対する考察はとても興味深く読めた。一方で歴史物にありがちな、「この時代の問題は、現代にも通ずるところがある」的な論には首を傾げちゃうけどね。

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    2021年03月18日
  • 論点別 昭和史 戦争への道

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    昭和史に関するサーベイ論文のような印象だった。著書も気を付けたと書いているけれど、正確に書こうとしつつ、わりと読みやすい。これまで近現代をほとんど咀嚼しないままだった自分が、最初に読むのにちょうど良かったように思う。
    200819

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    2020年08月19日
  • 論点別 昭和史 戦争への道

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    サブタイトルが示すようにここで取り上げる昭和史は1926年〜1945年の間。なぜ戦争に向かったのかを10のテーマごとに論じていく。なかで「メディア」「女性」「外交」には、はっとさせられた。ずっと協調外交を展開していたのに戦争に突入した不思議は残念としか言いようがない。「現代が昭和の戦争前の状況に似てる」との著者の主張には賛成できないけど、政治が国民と乖離していくと悲惨な結末に向かうってのは確かでしょうね。

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    2020年06月29日
  • 論点別 昭和史 戦争への道

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    ネタバレ

    1926年から1945年までの歴史を10の論点で分析する。
    いかにして戦争に向かったのか?回避はできなかったのか。戦争がもたらした効果は何か。

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    2020年02月24日
  • 論点別 昭和史 戦争への道

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    <目次>
    はじめに
    第1章  天皇~なぜ立憲君主が「聖断」を下したのか?
    第2章  女性~戦争に反対したのか賛成したのか?
    第3章  メディア~新聞・ラジオに戦争責任はなかったのか?
    第4章  経済~先進国か後進国か?
    第5章  格差~誰が「贅沢は敵だ」を支持したのか?
    第6章  政党~なぜ政党内閣は短命に終わったのか?
    第7章  官僚~なぜ官僚が権力の中枢を占めるようになったのか?
    第8章  外交~なぜ協調外交が戦争を招いたのか?
    第9章  日米開戦~なぜ回避できなかったのか?
    第10章  アジア~侵略か解放か?
    おわりに

    <内容>
    昭和史(戦前)を10の切り口から解き解いていくもの。新書

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    2019年12月30日
  • 機密費外交 なぜ日中戦争は避けられなかったのか

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    機密費というキャッチーなテーマにとらわれてか、資料も少ない中、接待費やコックの費用など冗長な内容が続く。5章、いきなり良くなる。機密費とはちょっと外れた感はあるが、「日中戦争はなぜ避けられなかったか」を書きたかったから5章で飛ばしてくれる。1935年、幣制改革で中国を立て直そうとしたリース・ロスの来日、日中大使館の設立、休戦協定。しかし親日派唐有任は暗殺され、彼は日本の行動により、親日派が中国政界で立場がなくなったことをなげいていた…。
    日中戦争はなぜ避けられなかったかをメインテーマに機密費はサブテーマにすればもっとわかりやすい本になったのでは?1944年に破棄したと思った領収書があったとわか

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    2019年04月08日
  • 戦争調査会 幻の政府文書を読み解く

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    ネタバレ

    戦後直後の日本、敗北の原因を探ろうとした人々とその挫折を丁寧に追っていった本。

    戦争開始に至る原因を探る当時の人々の考察を追う。
    結論としては大日本帝国憲法の運用に齟齬が生じたのが原因だと結論づけている。
    そこだけは気に入らない。
    大日本帝国憲法の手本となったプロイセン憲法と帷幄上奏権の関係を無視している。プロイセンにおいては帷幄上奏権は軍事関係について皇帝に上奏することができると限定されていた。しかしながら大日本帝国憲法は帷幄上奏権は軍が政治全般に介入する余地を作った、いわば劣化コピーであることは言及されていない。
    第二次世界大戦に日本が突入し、敗北する原因はやはり明治維新まで遡るべきだと

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    2018年03月02日
  • 戦前昭和の国家構想

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    この手の本でいつも居心地が悪いのが「農本主義」である。丸山真男が全体主義の手先の擬似インテリと見なそうと、都市優位に対するアンチテーゼと再評価しようと、腑に落ちる感がない。軍だけでなく政治や経済や思想が全体主義化していくなかで、農本主義もその求心力により活動を激化したのだろうか。

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    2017年09月12日
  • 教養としての「昭和史」集中講義 教科書では語られていない現代への教訓

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    歴史の振り返る事の大切さについては皆が認める。しかしそれは教科書の暗記として表面の事象を知る事ではなく、背景にどの様な状況があったのか、本来の目的はどこにあったのか、何故意図したことと反対の方向進んでしまったのか、を知る事が必要である。

    この本に書かれている時代は、自分が経験する以前の話ではあるが、今につながる出来事であり、歴史を振り返るにあたっての考え方とか観点を示してくれる良い導き手となる。

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    2017年03月02日
  • 教養としての「昭和史」集中講義 教科書では語られていない現代への教訓

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    <目次>
    はじめに  昭和史を「教養」として読み直す
    第1章   昭和初期の人たちは、案外今の私たちと似た状      況にあった
    第2章   満州事変はなぜ後戻りできなくなったのか
    第3章   復活の兆しのあった政党内閣と日中戦争の泥沼      化
    第4章   避けることのできた日米開戦
    第5章   現代の日本の仕組みをつくった戦後という時代

    <内容>
    山川出版社の『詳説日本史B』(教科書界の大ベストセラー)を基にして、如何に教科書は記述が簡単すぎるのか。そこに事実がどのように漏れているかを、わかりやすくつづった本。今日から即授業に使える!

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    2016年11月16日
  • 政友会と民政党 戦前の二大政党制に何を学ぶか

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    戦前、「憲政の常道」と呼ばれた、政友会と民政党の二大政党が交互に政権を担う時代があった。本書は、その時代を中心に、政友会、民政党それぞれの成立・展開・崩壊の軌跡を丹念にたどっている。
    両党ともに外交政策は協調外交路線で共通度は高いのに、民政党は不戦条約に難癖をつけ、政友会はロンドン海軍軍縮条約を「統帥権干犯」と非難するなど、お互いに党利党略による足の引っ張り合いを行うようになり、それが軍国主義的な時代の伏線となってしまうといった点は、現代の二大政党政治においても、大いに教訓となるものであり、本書は現代政治を考えるうえでも有益であると思われる。

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    2016年07月10日