冬目景のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
この作家独特の暖かみのある画風が、大正時代というレトロな雰囲気という設定で最大限に生かされている。意図したものか分からないが、展開や魅せ方も非常にオーソドックスというか、デジャヴに襲われる類のもので、懐かしさを感じさせる。この作品はその懐かしさや暖かみを楽しむもので、ミステリの魅力であるトリックや種明かしなどの衝撃などを期待して読むと肩透かしを食うかもしれない。人間関係の練りこみや人物の掘り下げなどは特にされておらず、非常にあっさりとした印象なので、この作家の売りである“絵”にたいした魅力を感じない方だと、面白さを感じるのに時間がかかるかもしれない。まぁ、もともとポピュラリティのある作風ではな
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Posted by ブクログ
どう終るのかとはやる気持ちを抑えて読み耽ったわけですが。やっぱり死んでしまいましたか……。一砂が死ねなかったのは、本当千砂の思いの力のような気がして心がくっとします。最初あんなに警戒心を露わにしていた二人だったのに、愛とかいう言葉では表せられない絆と思いで結ばれているのが、ひしひしと伝わります。母親の真実については、驚きましたが、今までを思い出せばそうなってもおかしくないかと思いました。ずっと疑問だった父親の千砂に対する思いや扱いが今回やっと明らかとなり、疑念を抱いていた気持ちが全部流れました。本当に愛していたっていうのがちゃんと伝わったから。終わり方としてはやっぱりちょっと納得できない部分が