真崎義博のレビュー一覧
-
購入済み
黒人も白人も子供も女も殺される
Sクレイグ・ザラー(Sはスティーブンの略)氏は映画監督兼脚本家兼小説家兼漫画家兼音楽家のユダヤ教徒である、本作は日本で彼の映画が公開される前に邦訳出版されていたので先取りし過ぎ
自分は氏の映画はなるべく観た読者なので氏の作品の愛好者には楽しめる作風なのだ
ザラー氏の映画は彼自身が脚本や原作を執筆して制作される事が殆どなので
映画を観ながらもどういった形で脚本になっているかすら想像が出来る仕上がりで、本作を読むと逆に映像化されるとどういった場面にされるかも思い浮かぶのだ
ザラー氏の映画と本作は、執拗に繰り広げられていく暴力描写が共通している事でも同じ作家の作品だなと実感できる
黒人だろうと白人だろうと黄人だろうと、子供だろうと女だろうと、猫だろうと犬だろうと鳩だろうと身体が欠損して殺されていく
身体欠損と人体損壊描写に事欠かない小説なのだ
本作の主役ジュールズ・ベティンガーは黒人の警官である 大学院まで出ている刑事であり頭がハゲかかった髭面の50歳の妻子持ちである
47歳の黒人の妻とティーンエイジャーの兄妹と暮らしている
ベティンガーのセックスの場面が何度も克明に描写されているのはあまり有難くない
映画化の話はレオナルド・ディカプリオ氏の名前が出ていたというがどの役を想定したのだろう
並んでジェイミー・フォックスの名前も挙がっていたのでこちらには納得
感想としてはサスペンスを超えてホラー小説である
ジュールズは口が悪い性分で口癖が「Christs Uncle(キリストおじさん)」であり
黒人娼婦にカモにされた白人男性に「詐欺に遭ったと認めろ、そして今吐いたゲロ袋は自分で片付けろ」という事を言った所為で白人男性が警官から銃を奪って自殺した責任で
ミズーリ州の架空の町ビクトリーに左遷させられケチが付き始める
黒人は黒人に対してニガーと連呼する
同性愛の事を皆で馬鹿にする
動物は轢き殺され背骨を折られて転がされる
心休まる事が無い
最後まで読み終わって、きっとジュールズ一家は今後苦しみ続けるだろうと苦味が残る
愛好者である自分も、途中までゲラゲラ笑いながら読んだが子供が殺されてからは頁を繰る速度が遅くなる
敵役がビクトリー勤務の警官の男性器を切除すると5万$+1人追加2万5千$で婦人警官の卵巣は1人追加1万8千5百$を支払うと
殺し屋たちを雇ってるのは笑わせに来てるのか
本書はジャック・ケッチャムの小説のような異色傑作である -
Posted by ブクログ
当時フロイトらを中心とした精神分析が学術界を覆っていた中で、人類学的な長期間の参与観察に基づいた共時的な研究において、真っ向からエディプス・コンプレックスに挑もうとしたマリノフスキの名著である。
フロイトらの精神分析論は、西洋社会を基礎に置いて展開された理論であるために、非西洋社会にそのまま理論を当てはめることはできないことを論証した。尚且つ、西洋社会においても上流階級と中流、下流階級の生活や社会的な様相は異なることが想定され、フロイトらの理論は西洋上流階級を基盤に置いたものであるため、そもそも同地域においても若干の齟齬が見られるのではないかと、鋭い指摘をしているのは印象的である。
マリノフスキが後世に名を残すことになる数々の名著を生み出すうえで、そのフィールドの中心となったトロブリアンド諸島では、西洋社会とは異なる母系制社会によって生活が営まれている。そこでは父親は、エディプス・コンプレックスに見られるような殺害の対象ではなく、生涯に渡って仲のいい遊人的ポジションに位置している。その代わり、母系制社会において権力を発揮するのは母親の兄弟であり、子どもからするとオジに当たる人が西洋社会の父親と似たポジションだということになる。しかし、夫方居住婚であるためにオジとの物理的距離は遠いなど、母系制社会における中核コンプレックスは一概にエディプス・コンプレックスとの対比によって導き出せるようなものでもないことは、注意しなければならない。
そのような社会では、母親に対するタブーではなく、(男性中心的な研究であったために一視点に偏っている点は批判に値するが)同じ家族の姉妹へのタブー意識が強いことが確認されている。それは、神話やからかい、冗談、夢といった、様々な要素における現地民たちの語りから明らかとなっている。
マリノフスキの試みとしては、エディプス・コンプレックス批判にあることは確かだが、そのなかで「エディプス・コンプレックス」という言葉を軸にトロブリアンドの社会を論じてしまうことへの抵抗感を感じている。そこで、マリノフスキは「情操」という言葉を使用して、当該社会の性質について論じようとする。これは、エディプス・コンプレックスという言葉を使用することを避ける試みであるほか、マリノフスキが機能主義人類学にて心理的側面に注視したという、教科書などで度々目にする説明の該当部分に当たるものだ。
マリノフスキは、心理学における「情操」という用語を使用し、レヴィ=ストロースが論証したことで有名な「近親相姦」の問題についても、見解を述べている。彼によると、近親相姦をするということは教育という側面において育まれてきた家族の絆としての情操を破壊してしまうことに繋がるため、避けられていると主張する。レヴィ=ストロースのインセストタブーは誰しもが知っているかもしれないが、数十年前に既にマリノフスキが論じていたという事実はさほど知られていないのではないだろうか。
また、フロイトらがトーテミズムから文化を論じようとしていたことも恥ずかしながら初めて知ることになった。文化や精神、情操といった問題は当時の学問領域における中心的な問いであり、その中でも実証的な研究によってそれを導き出そうとしたマリノフスキの姿勢は、(現代に生きる我々からすると数々の問題点は指摘されうることは承知の上で)人類学を学ぶ者からすると尊敬に値する。 -
Posted by ブクログ
カーター大統領が、病気療養との名目でパーレビ元国王をアメリカに
受け入れたから、さぁ大変。イラン革命後のテヘランではホメイニ師を
指導者と仰ぐ過激派学生が、元国王の引き渡しを要求してアメリカ
大使館を占拠した。
カーター大統領の支持率ガタ落ちの原因にもなった、イラン・アメリカ
大使館占拠事件だが、同じ敷地内のアメリカ領事館からは既に6人
のアメリカ人が脱出していた。
反米感情を高めるイラン人に見つかったら、殺されるかもしれない。
身を隠さなければいけない6人に手を貸したのは、アメリカの隣国・
カナダ大使館だった。
そして、CIAに命令が下る。アメリカ人6人を救出する作戦を立て、
実行せよ。
映画「アルゴ」の原作である。なんといっても私の大好きなスパイの
世界である。映画の方は観ようを思っているうちに、劇場公開が終わっ
ていた。
さぁ、どうやって6人を脱出されるか。イランに職を求めに来た英語
教師?それとも穀物調査に訪れた栄養士?いやいや、ここは最も
大胆な作戦にしよう。そうだ。映画のロケハンに来たハリウッド関係
者に仕立ててしまおうじゃないかっ!
手に汗握るスパイ小説…という訳ではなく、カナダ大使の私邸に
匿われた6人をいかにハリウッドの人間に仕立て上げるかの
下準備が丁寧に記されている。
派手なアクションもないし、スパイ同士の対決もない。6人それぞれ
の偽の履歴を作り上げ、必要書類を偽造し、挙句の果てには
ハリウッドに事務所まで作り、制作予定の映画広告を打つ。
すごいなぁ。パスポートを始めとした文書偽造は映画や小説でも
よく出てくるが、その人物の背景まで作り上げるんだもの。
本書は脱出工作の準備に多くが割かれており、これが堪らなく
面白い。脱出劇そのものは最後の方におまけ程度だ。
CIAの実行力も凄いが、この脱出劇で大きな役割を担ったのは
カナダである。「カナダの策謀」と呼ばれているようだが、カナダ
政府の全面協力がなければ実行出来なかったろうな。
だって、CIAが「すいません、出来ればあなたの国のパスポート
を使わせて頂きたいんですが」とお願いしたら、「ええ、もう準備
してますけど?」なんだもの。
アメリカから田舎者扱いされるカナダだが、もっと感謝した方が
いいよ。そもそもカナダ大使が匿ってくれなかったら、どうなって
いたか分からないんだから。 -
Posted by ブクログ
現代人類学初期の立役者であるマリノフスキーが、フロイトの精神分析理論に真っ向から取り組み、これに人類学的視点からの批判を加えるという、テーマを聞いただけで血湧き肉躍るような興味深い本である。
初版は1927年だが、それ以前に書かれた前半部と後半部で内容が分かれている。
マリノフスキーはフロイトの学説に衝撃を受け、大いに敬意を払ったのだが、「エディプス・コンプレックスは、人類のあらゆる文明において普遍的根源的である」とするフロイトの説を修正せざるを得ず、彼への敬意からなかなか歯切れが悪く最後は中途半端な譲歩も示すものの、「性」に関する人類学的考察に関しては一徹に自らの方法を貫いている。
私見によれば、「トーテムとタブー」(1913)等でフロイトは自らのエディプス・コンプレックス論を普遍的な文化論にまで高めようとするあまり、これを再-神話化し、途方もないようで粗雑な、夢想的な文明論を開陳するに至ってしまう。私もフロイトが現代の知における巨大な偉人であることに異論はないものの、彼の理論はエディプス・コンプレックスにしろ去勢不安にしろ、どうも彼自身のコンプレックスを理論化したもののような気がし、当時のオーストリアの、ユダヤ系の非-貧民層という限定的な状況(社会)においては定式化し得ても、他の時代他の社会においてはそのままに適用できないのではないかという気がしてならない。再-神話化されたエディプス表象も、あまりにもキリスト教的である。
私のそのような懐疑は、本書のマリノフスキーの「健全な」学術的議論に同調した。マリノフスキー得意のトロブリアンド諸島の女系制社会の描写は冴え渡り興味深く、ヨーロッパ的社会とはまったく異なった「性」の自由なあり方の記述は面白い。
トロブリアンドでは子ども時代後期からすでに、子どもたちは「自然なままに」互いに性的遊戯を楽しみ、大人や社会がこれを禁圧することはない。この社会で性的抑圧があるとすれば、徹底的に禁忌されている「異性のきょうだいとの性的ニュアンスを伴いかねない親密さ」だけである。
また、母系制であるトロブリアンド諸島では、父親は子どもたちのよき友人ではあっても権威的存在ではなく、母方の叔父のみが、子に対する強大な権力を持つ。
こうしたメラネシアの民俗誌はたいへん興味をそそるし、途中で引用される彼らの神話を読むと、レヴィ=ストロースを想起させる部分もあった。
マリノフスキーは最終的にフロイトよりもシャンドの「情操」論により多く共感したようで、例の「近親相姦の禁忌の絶対的普遍性」という人類学の大問題については、近親相姦というあまりにも例外的な行為が、社会制度およびそれを支える人々の「情操」を破壊してしまうからだ、という、説得力のある仮説を呈示している。
「本能」は「可塑的」なものであり、社会形成のプロセスによって生物学的欲求は修正されるのであって、人間の「本能」はその結果、決して純-生物学的なものではあり得ない、とする著者の説も正しいような気がする。
フロイトがどうこうということは置いといて、本書はレヴィ=ストロース以前の人類学として実に充実した名著であり、かけがえのないものだと思う。 -
Posted by ブクログ
[史上空前の一本]民衆によるアメリカ大使館の占拠から逃れ、イラン・テヘラン市内を転々としながら潜伏を続けた大使館員らを救い出すため、CIAは前代未聞で奇想天外な作戦を考案する。それは、「アルゴ」という架空の映画の製作をでっち上げ、人質らをそのクルーとしてイランから外国へ連れ出そうとするものだった......。ベン・アフレック主演の映画版の原作にもなった作品です。著者は、実際にこの活動に携わったアントニオ・メンデスとライターのマット・バグリオ。訳者は、特にミステリーをはじめとする小説の翻訳でも名高い真崎義博。原題は、『Argo』。
映画版では、これでもかとばかりにクライマックスとハラハラドキドキの応酬だったのですが、実際の救出活動自体は、綿密な計画と準備、そして大胆な実行力をもってして成功に導かれたことが本書からよくわかります。「そこまでやるか」という言葉がしっくりくるでっち上げぶりに、アメリカとCIAの底力を見る思いでした。
今日のアメリカ・イラン関係を考える上で外すことのできない、アメリカ大使館占拠事件に関する生々しい記録として読むことももちろん可能。アレルギーと言っても過言ではないほどの悪感情を何故に両者が持つようになったかの一端が本書から覗かれます。また、救出に際し、カナダの果たした役割の大きさが重要視されていることから、危機的状況における協力ほど国家間の関係が露呈するものはないなと感じました。
〜この計画にはほかの計画ではあり得ないものがあった。楽しみという側面だ。〜
ちなみに映画版も☆5つ -
Posted by ブクログ
ネタバレアメリカの作家、リリー・ライトのデビュー作。年を利用。
メキシコで、盗掘者によりアステカの皇帝モクテスマのデスマスクが発掘される。マスクコレクターの父をもつアナは、デスマスクを手に入れるため、単身メキシコへ行く。一方、同じくアメリカのコレクター夫婦や麻薬王も動きだし…
うーーーん。星3寄りの4。というのも、ヒロインのアナ、アメリカ人コレクター、麻薬王の三つ巴が頭脳戦というほど頭脳戦でもなく。ロマンス要素もあるけど、それにしてはヒロインの行動が危機感なく。かと言って面白くないわけではないので…色々な要素を詰め込んだ割には、特化した要素がないので手堅く地味な作品になってる気がする。いやホント、面白くないわけではないのよ…
サブキャラたちの話の方が面白かった気はするけど… -
購入済み
短編集です
面白かった。
短編集なので油断してると、
すぐに謎解きになってしまいますが
ちょっと時間が空いたときに
一つ読むのにちょうどよいです。
そして、チョコレートの箱は良かった。 -
Posted by ブクログ
ネタバレケイト&アンガス夫妻 娘グレイス
ジョー&ニール夫妻 娘ロージー&デルフィン
序盤、下劣ニールの行いに比べアンガスの優しさに救われていたのに、長期出張に行ってるアンガスにまさかの浮気疑惑発覚 アンガス、あんたもか… しょせん男って奴は ハァ…浮気未遂で終わったと白状するアンガス(←ん~怪しい)
あれほど、ジョーの家庭に首突っ込むなと言っていたアンガスが、家にデルを住まわすことにあっさり了解する 後ろめたいことがあると見た やっぱこれ絶対やってんな 墓場まで持って行く気やな まぁそれがよろしいでしょうw
それにしても、ケイトの底抜けのお人よしが信じがたい 読んでいて、そこまでするか…?と何度つっこんだかw
デラがなぜそんなにケイト家に居たがるのかわからない こんなにもクールな子はいつもの台詞「大丈夫です」と言って叔母さん家に行くんじゃないかな
ニールの娘への精神虐待がすごい ここだけ掘り下げてもよかったかも
ニールが警察に虐待の事もさっさと認めたのが不可解 こういう奴は自身の保身に走りあれこれ言い訳してなんとか逃れようとするもんじゃなのかな
ジョーのニールへの依存症度合が半端ないな
いろいろとぶっこみ過ぎて(ロージーの彼氏の話とか絶対いらんし)個々のエピが薄味になったのが残念だがスピードよく読めた
イギリス人作家 次作 The beauty of end(本邦未刊)も読みたいな