あらすじ
小さな事件が原因でアリゾナ警察を追われ、酷寒のミズーリ州の片田舎ヴィクトリーへと飛ばされたベテラン刑事ベティンガー。町は荒廃し犯罪が横行、同僚刑事たちの行動も怪しげで、よそ者の彼に冷たい。当初は彼らにも疑惑を抱くが、徐々にその誤解も解消してきた頃、残虐な連続警官殺しが発生した。仲間を殺された刑事たちの怒りの捜査は、やがて壮絶な闘いへ……レオナルド・ディカプリオ映画化のヴァイオレンス巨篇!
...続きを読む感情タグBEST3
黒人も白人も子供も女も殺される
Sクレイグ・ザラー(Sはスティーブンの略)氏は映画監督兼脚本家兼小説家兼漫画家兼音楽家のユダヤ教徒である、本作は日本で彼の映画が公開される前に邦訳出版されていたので先取りし過ぎ
自分は氏の映画はなるべく観た読者なので氏の作品の愛好者には楽しめる作風なのだ
ザラー氏の映画は彼自身が脚本や原作を執筆して制作される事が殆どなので
映画を観ながらもどういった形で脚本になっているかすら想像が出来る仕上がりで、本作を読むと逆に映像化されるとどういった場面にされるかも思い浮かぶのだ
ザラー氏の映画と本作は、執拗に繰り広げられていく暴力描写が共通している事でも同じ作家の作品だなと実感できる
黒人だろうと白人だろうと黄人だろうと、子供だろうと女だろうと、猫だろうと犬だろうと鳩だろうと身体が欠損して殺されていく
身体欠損と人体損壊描写に事欠かない小説なのだ
本作の主役ジュールズ・ベティンガーは黒人の警官である 大学院まで出ている刑事であり頭がハゲかかった髭面の50歳の妻子持ちである
47歳の黒人の妻とティーンエイジャーの兄妹と暮らしている
ベティンガーのセックスの場面が何度も克明に描写されているのはあまり有難くない
映画化の話はレオナルド・ディカプリオ氏の名前が出ていたというがどの役を想定したのだろう
並んでジェイミー・フォックスの名前も挙がっていたのでこちらには納得
感想としてはサスペンスを超えてホラー小説である
ジュールズは口が悪い性分で口癖が「Christs Uncle(キリストおじさん)」であり
黒人娼婦にカモにされた白人男性に「詐欺に遭ったと認めろ、そして今吐いたゲロ袋は自分で片付けろ」という事を言った所為で白人男性が警官から銃を奪って自殺した責任で
ミズーリ州の架空の町ビクトリーに左遷させられケチが付き始める
黒人は黒人に対してニガーと連呼する
同性愛の事を皆で馬鹿にする
動物は轢き殺され背骨を折られて転がされる
心休まる事が無い
最後まで読み終わって、きっとジュールズ一家は今後苦しみ続けるだろうと苦味が残る
愛好者である自分も、途中までゲラゲラ笑いながら読んだが子供が殺されてからは頁を繰る速度が遅くなる
敵役がビクトリー勤務の警官の男性器を切除すると5万$+1人追加2万5千$で婦人警官の卵巣は1人追加1万8千5百$を支払うと
殺し屋たちを雇ってるのは笑わせに来てるのか
本書はジャック・ケッチャムの小説のような異色傑作である
Posted by ブクログ
負の連鎖どころではない、地獄の復讐(犯罪)劇。
ザラーの映画を見ていると読みながら情景(シーン)が浮かぶので、ザラーの新作と出会えたような気にもなり、俺はかなり楽しんだ。
善悪は揺れ続け、殺されないだろうと思っていたキャラクターもあっさりと死ぬ「容赦の無さ」がザラーの表現。
殺し屋が家族を人質に取るくだりがとても良くて、ザラーの世界は間抜けが出てこないから最高。プロとプロの戦いを描く作家が俺は大好き。
Posted by ブクログ
アメリカの雪国の片田舎に左遷させられた黒人刑事が、警官対マフィアの抗争に巻き込まれていくハードボイルド。
暴力、ハードボイルド読み応えあるが、それとは別に、
人種の表現が気になった。日本にいると気付かないのだが、アメリカの雪国の田舎にも、白人黒人がいて、黒人に対しても色の濃い黒人などの表現があったり、アジア人、アジア系、当たり前のようにアジア料理が出てきたり、この本がどの程度世の真実を表しているのか知らないが、世界はどんどん人種や宗教関係なく広がってきているなと感じた。
Posted by ブクログ
ミステイクが元で豪雪吹き荒れる打ち捨てられた街、ヴィクトリーへと飛ばされた黒人刑事。そこで警官たちの暴虐に追い詰められた麻薬密売人が牙を剥いた。警官狩りの殺し屋たちに追い詰められる刑事たちの、剥き出しの暴力、そして殺し合い。家族を犠牲にされた主人公もまた、狂気の殺戮劇の渦中へと巻き込まれて行く。
暴力が凄まじい勢いで吹き荒れる怪作。途中途中に2度ほど全体の構図のおさらいが入るのは有難い。
Posted by ブクログ
黒人刑事が治安の悪い町に赴任した。
そこで起きる刑事殺し事件。
なんというか、もう、これでもか、と言わんばかりの陰惨な暴力。硬質で力強い文体から、それが興味半分では無くて、人が何故生きるのかという根源的な問に見えてくる。
いやー、面白い、でも重い。
これを映画化ってどうなるんだろう。
Posted by ブクログ
なるほどタイトル通りの”虐殺”が繰り広げられる。
ストーリーは単純ながら、ブラックユーモアを通り越してエッジのたったセリフの応酬、皮肉でペシミスト的な比喩や暗喩が散りばめられ、まるで近未来のディストピアのような破滅的な街を背景に、刑事達と殺し屋?の執念の捜査と闘いが繰り広げられる。
ここまで残酷な描写が必要だとは思われず、その分、物語のカタルシスが下がったのは間違いないが、緊迫感、疾走感は並大抵のものではなく、昔ミッキー・スピレーンを最初に読んだ時のような衝撃がある。そういう意味ではこれだけ暴力描写があふれた中でも際立ったピカレスク調のハードボイルトと言える。
しかし、その中で本書が救われるのが、この狂気の中にあって主人公はどこまでも家族のことを考えて行動している点。たとえ常軌を逸してきてもそこに家族への愛情がある故、この小説はドラマとしても成り立っていて、夫と妻、父と娘、そして描写が少ない分、父と息子の交流が胸を打つ。
作者のストーリーテラーとしての力量は間違いなく、今後の作品を期待。
しかし、これを映画化、というのはどうだろう?
比喩も暗喩も使えないし、映像化できないシーンも多いだろうし。しっかりとした脚本とデビッド・エアーのような監督がみつかればいいかもしれないが…。