中村能三のレビュー一覧
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味わい深い
違いの分かる男(もちろん女も)向きの一冊
トミー&タペンスの冒険譚もいよいよ最後、二人の年齢は共に75歳、初登場時は20代前半(22歳?)だったので、50年の時が流れてるわけです
もうすでに味わい深い
そして2人のなんと若々しいことよ
気持ちはね
そうなのよ!冒険小説なのにとんでもないスローペースで物語が進むのよ!
次から次へと苦難が襲いかかってグイグイ読ませるって感じじゃないのよ
でもそれってたぶんわざとな気がするんよな
物語全体で素敵に歳を重ねた二人を表現してるみたいな感じなんよ
だって若い時の二人の物語はグイグイだったもの
そこに目がいったときに、う〜んさすがわい、分かってるな〜と思うわけ
いや、別に勘違いでもいいのよ
たとえAが最高級ワインだったとしても堂々とCの札をあげた自分を恥じることはないのよ
自分にとっての最高級が1,000円のワインでも胸を張っていいのよ
って話逸れたー
いつものことだけど話逸れたー
『運命の裏木戸』ってタイトルも味わい深いのよね
違いの分かる男なのに★3?みたいなツッコミはいらんからな!
さて、次はいよいよポアロ行くかー(行かない時の言い方)
*言葉足りずで本作の凄いところを伝えきれてないので追記
クリスティーと言えは会話の妙なんです
そして長年連れ添った息ピッタリの夫婦ということで、会話であったり、二人の思考であったりは小気味よくポンポン進むのね
だけど場面が切り替わらない!w
分かる〜
わいもそこまで年寄りじゃないけど分かる〜
体が思考に追いついてない感じがもうその辺からにじみ出てるのよね
意識してやってるのかは分からないけど凄いな〜って思いました!ということ -
Posted by ブクログ
【ポアロ】
1972年クリスティー82歳。
クリスティーが書いた最後のポアロ。
十数年前の両親の心中事件は、父が母を先に撃ったのか?あるいはその逆なのか…。
『五匹の子豚』(1942年)のような過去の殺人の真相を解明する形式。
ベタなわかりやすい伏線で、テンポもゆっくりで意外性もない。
でもこの作品は「犯人は誰か?」が重要ではなく、もっと深い「あるテーマ」があるのでそこを楽しむものだと感じた。
ずっと読んできたファンとしては、味わい深い80代のクリスティーが読めて幸せ。
ポアロの愛を感じることができて大満足だった。
クリスティーの分身のような女性推理作家のオリヴァ夫人とポアロの最後の会話が心に残る…。
★3.5 -
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ネタバレ読むきっかけは、最近読んだミステリの解説の中で、ミステリ作家たちが長編小説の傑作は『象は忘れない』で意見が一致した、という文章を読んだこと。
今まで読んだポアロの中で一番情報を汲み取るのが難しかった!!
十年以上前の事件の真相について、当時関わっていた人たちに話を聞いていくのだけど、話し手は自分がそう思いたいと考えていることを事実として記憶しているので、
出てくる人の話がある事実においてはこうだけど、別の人によるとこうだ…みたいな感じで、事件についての情報がかなりとっ散らかっているように見える。
だけど最後の種明かしの場面では、「象」たちが話したことがシンプルな真相にきれいに収束していって、読み終えた後は感慨深い気持ちになった。
事件の真相を知った上で読み返せば、推理小説としてはもっと楽しそう。
あと最初はすごく読みにくかった…翻訳が古いのかな?と思ったけど、古さよりはミセス・アリアドニをはじめとする登場人物の会話のせいかな思った。
会話って文字に起こしてみるとかなり散らかっているので、こういう読みにくさも意図的なんだろうな…
また、クリスティーの晩年の作品を読んだのも初めてだった。
作中に出てくる年代が1970年代で、「え!最近じゃん!?」と驚いた。
今まで読んでいたクリスティーは戦前のものが多かったので…
作中に出てくる『五匹の子豚』も気になる。近いうちに読もう。
あとシリヤとデズモンドの二人がよかった。
ポアロが、シリヤには「幸福になる素質」「勇敢さ」があると言っていた。
この二つって人生を生き抜く上でとっても大事なことなのでは、と20代中盤を過ごしていて感じてきている。
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ノンシリーズ。
「クリスマスにはクリスティーを! 」
(このコピー考えた人、天才!)
ということで、本書はミステリではなく、聖書を題材にとったショートストーリー&ポエム、11編が収録されている、クリスマスブックでございます。
聖書がベースとなっているので、全体的にキリスト教要素が強く、聖書の知識があるとよりお楽しみ頂けるかと思います。
そんな中、個人的に好きだったのは「水上バス」ですね。
人間嫌いだけど善良な、ミセス・ハーグリーヴズの一日が描かれているのですが、クリスティーの人間描写の上手さと、ミセス・ハーグリーヴズの心に変化が起こっていく様が繊細に描かれていて、何度でも読み返したくなる秀作だと思いました。
あと、ペテロやカタリナ、クリスチナ等々・・といった聖人たちがワチャワチャ登場する「いと高き昇進」も、ユーモラスで楽しめます。
そして、(聖母)マリアと堕天使ルシファーの、ちょっとヒリヒリする(?)やり取りが興味深い表題作「ベツレヘムの星」は“クリスティー版聖誕劇”というところでしょうか。
“ノン・ミステリ”の本書ですが、クリスティーのちょっと捻りが効いた小話も良きかな・・と、いうことで。
ちょこちょこ挟まれるポエムも含めて、聖夜の雰囲気を堪能させて頂きました。
それでは、「Merry Christmas, Mr. Lawrence(←w)!」 -
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ポアロもの。
ハロウィーンのこの時期に読みたいと狙ってチョイスしました。
ハロウィーン・パーティーの最中に、参加していた少女がゲーム用のリンゴを入れていたバケツに首を突っ込んで溺死しているのが発見されます。
死亡した少女・ジョイスは、パーティーの準備の時に「以前に殺人現場を目撃したことがある」と言い張っていました。
件のパーティーに参加していたオリヴァ夫人は、ポアロに真相解明を依頼しますが・・・。
そういえば、先日公開された映画『名探偵ポアロ:ベネチアの亡霊』の元ネタがこの作品とのことですが、ベネチアのベの字も出てこなかったのですけど・・(^-^;?
映画は見ていないのですが、一体どのあたりを原作から拾ったのか、却って気になりますね。
閑話休題。
殺されたジョイスの発言を吟味する為、情報を集めたところ、この地域で起こった過去の犯罪や遺産相続をめぐるトラブルが浮かび上がってきます。
そして、ポアロの住民への地道なヒアリングによって複雑な人間模様が炙りだされる中、第二の殺人が起こったり遺言補足書の件で新たな事実が判明したりと、なかなか入り組んでくる展開に。
“一体どう収集つけるのかな・・”と、思っていたのですが、そこは我らが“灰色の脳細胞”・ポアロ。
点と点を見事に結びつけて真相解明していく様は、毎度のことながら感心してしまいますね!
犯人の意外さと、その元凶ともいえる人物の狂気に戦慄です。
そして、“もう一押し”という感じでぶっこんできた、ある少女の出生の件も驚かされましたし、その伏線的な場面を読み返すと本人達に自覚は無いとはいえ、ちょっと鳥肌でした。
因みに、本書の解説でハロウィーンのドンチャン騒ぎは“幸いにもこれだけは日本には定着しなかった”とあるのですが、多分これ約20年程前に書かれていますよね・・。
残念ながら、令和の現在、定着どころか“渋ハロ”みたいに社会問題にもなっておりますよ~・・と、遠い目になった私なのでした。 -
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ポアロもの。
アンカテル卿の館・ホロー荘に招かれたポアロは、館内のプールサイドで一人の男が血を流して倒れており、その傍らにピストルを手にした女が立っているのを目撃します。
この芝居がかった殺人現場の裏にあるものとは・・・。
殺された男性は医師のジョン、ピストルを持っていた女性はジョンの妻・ガーダ。
ということで、一見単純そうに見えるシチュエーションですが、そこはクリスティー。勿論そう簡単な話ではありません。
何しろ、“事”が起こるまでにホロー荘に集った面々を巡る、複雑な人間模様が綴られているので、全員“腹に一物”抱えているように見えてしまいます。
まずはジョンを巡っては、妻・ガーダ、愛人で彫刻家のヘンリエッタ、昔の恋人で女優の・ヴェロニカという四角関係が展開しているし、それに加えてヘンリエッタの事が好きなエドワード、エドワードに想いを寄せるミッジ・・と、一体何角関係だよ?と言いたくなる程、それぞれの思いが錯綜しております。
そして、アンカテル卿の妻・ルーシーのキャラも強烈でして、その浮世離れっぷりは天然を通りこしてもはやサイコ。
何気に一番怖い人だと思いました(ある意味ラスボス)。
で、今回ポアロは出番も少ないし、終始受け身な感じで“ポアロもの”っぽくないなぁ・・という印象です。
終盤では、犯人と事の真相はわかったけど解決はしていないような・・という感じでしたが、ポアロ曰く「このような終局は、わたし自身は慈悲ぶかいものだと思っています。」とのことなので、これが落としどころだったのかもですね。
因みに、ラストでジョンが実はいい奴だった的な話になっていましたが、序盤でのモラハラエゴイストなジョンの印象が悪すぎて、“今更印象良くしようとしても、手遅れだっつーの”と思った私です。
と、いうことで何だか謎解きより“キャラ祭り”といった感じの本書でしたが、そんな人間描写を楽しませて頂きました。
とりあえず、唯一まともだったミッジには幸せになって頂きたいですね~。 -
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クリスマスに見つけて、お正月に読み終わりました。
ミステリーではなくてもクリスティはクリスティ。それが一番の感想です。ただし、全編ショートショートと言えそうな長さなので、この長さが私のクリスティ感と違うところです。全編に注がついています。その注を確かめると、ほとんどが出典としての聖書。どこに書かれていることを典拠としての話なのか、ということでした。これは、聖書を手元に置いて読むと、もっと理解が深まるのでしょう。
典拠を示した注ではなかったのが「いと高き昇進」。聖者についての解説です。この注を確かめて思ったのは、聖人の大部分が、日本でいえば鎌倉時代ぐらいの人々だということ。聖人とは、ひょっとすると、社会科で習った鎌倉仏教の始祖、開宗の方々と同じような捉え方なのだろうか、と思いました。これもまた、キリスト教を知らないが故の勝手な想像です。
各編、この訳で良いのだと思いますが、芥川龍之介の文体で読んだら、もっと違った味わいがあったのかな、作品に込められている機知と諧謔の雰囲気は芥川の文体がより生きるように感じた次第です。