椎名誠のレビュー一覧
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「日本代表の麺は果たしてなんになるのか」
本場ものの真実を追求して高松にやって来た。
『地球どこでも不思議旅』(椎名誠著 集英社文庫)
「うどんとソーメンの真実追求コンバット・ツアー」を敢行するために
P・タカハシ氏。野沢ひろし氏。ヤマコーこと山本皓一氏の参加者が集められた。
このツアーの案内役は、高松出身の山本氏。
探検を始める前はいつもこんな調子。
ユーモアが混じった軽快な文章は
これから始まるコンバット・ツアーの先行きを
暗示しているよう。
岡山から(ウタカ連絡線)に乗り高松を目指して出港する前に
早くも連絡線ウドンを2杯ずつ食べて(ウドン連絡線)などと
ダジャレを飛ばして
面白おかしく、くだくだ言っている。
これだから、読み出したらとまらない。 -
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毎度おなじみ、椎名さんのエッセイ集。
今回の【時にはうどんのように】は1994年〜1995年にかけて週刊文春で連載されたものだ。
最近は毎週のように文春を買うことはないが、4月23日号の時点でいまだに連載しているこの【風まか
せ赤マント】は933回を迎えた。スゴイなしかし。椎名さんの場合、長期で海外に探検にいくこともあ
るだろうし、日本中を飛び回っている人なので毎週の〆切りはすごいと思う。時には何本分も書き溜めて
旅に出ることもあるのだろうけど、すごい。すごいすごいとしつこいか。
この【時にはうどんのように】の1本目のエッセイが「222回記念」というタイトルで連載222回目
を迎えたことを書いている。それから712週?(4月26日現在)が過ぎた。クオリティは落ちるどこ
ろかますますキレとコクが増している。
さて、【時にはうどんのように】に納められたエッセイは言うまでもなくどれも面白い。個人的なお気に
入りは【東北ナメンナヨ旅】【駅裏路地裏裏ラーメンの謎】あたり。
で、以前から言っているように椎名さんのつけるタイトルに僕はいつも惚れる。前回紹介した【ネコの亡
命】は、本文にそのくだりが1行程度出てきただけであったが、今回の【時にはうどんのように】に関し
ては、本篇で一切触れられることすらない。
あとがきに「うどんになれるものならなってみたい」とあるだけ(笑)。そして続けてあとがきの中で椎
名さんは語る。※以下、あとがきより抜粋
『ところで、本書がなぜこのような書名なのか、「本文を読んでもそれに該当するところ明確に摑めず、
甚だ困惑しておる」などという指摘がなされるかもしれないが、もうすっかり気分をうどんにしてしまっ
た著者は、すでに何も考えるちからをもたずひたすらのたりのらくらするだけでそのことにはこたえるこ
とができないのである』
さすが椎名さん。理由なんていらないよね。うどんになりたい気分だったんですもんね。 -
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やはり、何度読んでも椎名誠のエッセイは面白いな〜と思える作品。
ちなみにタイトルの【ネコの亡命】は、本文中に少しだけ触れられる程度であって、このエッセイ集はほ
とんどネコのことなど書いていない。そこがまた椎名誠らしくていいなぁ。
久しぶりに本を開いて1行目から笑った。タイトルは「野シャブ三昧」。けして怪しい話ではなくて、北
海道の別荘で野菜シャブシャブをしたという話である。
僕が椎名誠のエッセイを読んでいつも感心するのは、タイトルのつけ方だ。僕は本当にキャッチコピーと
か、タイトルとか、ネーミングとかのつけ方センスがない人種なのでいつも椎名誠の本を手に取るたび
に、いいな、すごいセンスだな、と指を咥えて羨ましがる習慣がついている。
この【ネコの亡命】【野シャブ三昧】を含め、そのほかにも【なめこの朝】【牛丼的な一日】【大日本ゴ
ミ出し問題】【どっちがエライか】【さめざめと泣く女】【新幹線悶々苛々男】【にっぽんの夏 醤油の
夏】など、タイトルを見ただけでなぜだか興味をそそられるエッセイが目白押しなのだ。
このタイトルを見ただけでは内容がわからないので興味を引く、という点がミソだ。普通のタイトルで内
容がわからないのでは、そのエッセイ自体に興味を持ってもらえず読まれない可能性が高いのだが、なん
だか気になるタイトルで目を引く、関心を惹きつけるというのは作家としてなくてはならない力量のひと
つだと思う。
で、肝心のエッセイの内容は言わずもがなで面白い。相変らずの旅三昧。先日ここで紹介した国井律子も
そうだが、旅っていいなぁ、憧れるなぁと思うこと間違いない。そして自分も旅に出たくなる。
カメラを抱えて旅に出て、文章を綴っていく。そんな生活に憧れを抱きつつも、まだまだそんなことは出
来ない自分の力量を嘆きつついつかは・・・と思う今日この頃でした。 -
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椎名誠氏の旅行記、怪しい探検隊シリーズ第一弾『わしらは怪しい探検隊』を再読しました。先日『わしらは怪しい雑魚釣り隊』を読み、本棚に収めたときにこの本が見あたらなかったため「ひょっとしてこの記念すべき第一書を読んでいないのではないか?読んでいないのならスグにも読みなさい。兎に角、即、確認すべし!」というとんでもない疑いを持つに至り、即購入したものだ。
書き出しを読んでみる。
「神島にしようじゃないの」
と、その年の夏、陰気な小安は早くも二級酒四合をぐびりぐびりと飲み干し、板わさ、もつの煮込み、もろきゅう、といったところをあらかたつつきおわったところでぼそぼそと陰気に言った。
おぉ!この書き出し、覚えがあります。やっぱり読んでいた。どういう経緯でこの本が本棚から消えてしまったかは謎のままである。しかし、こうして手に入ったのだから良いのだ。折角だからもう一度読み直すのだ、ということで再読しました。やはり素晴らしい。うひひ、うひひと笑いながら一気に読んでしまった。
この本は「東ケト会」(東日本何でもケトばす会)の名を日本全国に知らしめた記念碑的第一書なのである。怪しい探検隊シリーズのすべてはここから始まったのだ。
「東ケト会」=「怪しい探検隊」とは、日本の離島やキャンプ地にテントで宿泊し焚き火宴会を行うことを主たる活動とする、椎名誠を中心とした私的なサークルの名称である。本書177Pによると、当時の構成メンバーは隊長(椎名誠)、炊事班長(沢野ひとし)、にごり目、陰気な小安、木村せんせい(木村晋介)、長老(山森俊彦)、依田セーネン、ユー玉、フジケン、釜たきメグロ(目黒考二)であったようだ。ちなみに「怪しい探検隊」は後年、参加者が高齢化し自由な活動ができなくなったことを原因として、写真家の中村征夫、カヌーイストの野田知佑といったメンバーが強力メンバーを加えるなど大幅にメンバーが入れ替わり「第二次怪しい探検隊」として「いやはや隊」に発展的解消。さらに二〇〇〇年代に入っては釣りジャーナリストの齋藤海仁らをメンバーとした「第三次あやしい探検隊」として「怪しい雑魚釣り隊」に変遷している。
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椎名 誠の【ひるめしのもんだい】を読んだ。
懐かしき我が青春の椎名 誠である。懐かしいって言っちゃ失礼か。
なにを隠そう僕は高校二年生の時に椎名 誠の【インドでわしも考えた】という本を読んで、「物書き」
という職業をはじめて意識し、「作家」になりたい!と思ったのである。
いうなれば今こうして、つまづき、転がりながらも夢を追っているきっかけが椎名 誠なのだ。
椎名流に言えば「ズバズべギンギラ光線」にあっという間にやられてしまったわけです。
この【ひるめしのもんだい】は1990年の1月〜12月まで週刊文春に連載されたエッセイ。ちなみ
に椎名さんは今現在も週刊文春に【風まかせ赤マント】というエッセイを連載中である。
なんなんでしょうかね?この人の独特な着眼点は。よくそんなことに目が行って、そんなこと考えられる
なぁと感心しきりでございます。
表題作の「ひるめしのもんだい」は僕らのようなサラリーマンにはとても笑える内容。「何時頃、どこで
何を食うか」という問題を真剣に語るのである。
まず、目の前に「生蕎麦」という暖簾をさげた蕎麦屋があったとするとそこにひとりで入るという事が難
しいと言う。知らない店だからどんな味なのかわからないと言うのだ。そしてふと交差点の先を見ると向
こうにも「更科」などと書いた蕎麦屋が見えたりする。以下本文より抜粋。
『―どうもこの店よりもあっちの方がうまいのではないか、とそこでフト思う。フト思いつつ目の前の店
を眺め、再び更科の方を眺めると、もう圧倒的にむこうの方がうまそうに思えてくる。交差点を渡り、更
科そばの前にやってくると、どうもそこは客の気配がない。さっきの店の方がざわついていて活気があっ
た。客がいない、というのはつまりここはおいしくない、ということではないのか。あまり客がこないの
で、来週あたり店をたたんで長野の実家に帰ろうとしているのではあるまいか―。疑心はすばやく暗鬼を
誘い込み、その店の奥でいま丁度店をたたむ打ち合わせをしているところではないか、などと思えてく
る。フト、舗道のすこし先を見ると焼き肉屋の看板が見える。そうか焼き肉定食という手もあった
な・・・と思う。あったかーいゴハンに、焼けたばかりのカルビ、ロースなどを特製タレにたっぷりつけ
てフハフハ言いつつ食べていくのも、平凡な日々の昼食としてはかなり充実したものではないか―とフト
思う。とにかく店の前まで行ってみようと歩いていくと、その隣に「スパゲティ」の文字がチラリと見え
る。―そうだなあ、昼間から一人でビールも飲まず焼き肉定食を食べている、などというのもわびしいな
あ、と思い、方針を急遽スパゲティの方向に切り換えてそのドアをあけようとすると、ガラスごしに中に
高校生ぐらいの女の子が七、八人、わあわあ言いながら食べているところが見える。この手のけたたまし
さの中でスパゲティを食べるのはたまらない。やはり中年は中年らしく、「生蕎麦」の方でおとなしくう
つむいて「モリソバ二枚」などを食べ、静かに「ハアーッ」とため息などついているべきかもしれない。
そう思って振り返るのだが、もうさっきの店からずいぶん遠くまで来てしまっているのに気づくのだ。気
がついた時はああふるさとはあんなはるか・・・、という心境で、なんだか自分はとりかえしのつかない
ことをしてしまったような気になる。』
わかる、わかるよ、椎名さん。思わず笑ってしまいつつも、思えば僕だっていつもラーメンにするか蕎麦
にするか、吉野家に行くか、はたまたカップラーメンで済まそうかホカ弁にしようか迷うのだ。
そんな日常のシーンが椎名さんの手にかかれば見事な椎名ワールドに変貌を遂げていくのだ。
他にもラーメン屋などによく飾られている芸能人のサインについて考察する「色紙エレジー」や、どうぞ、
どうぞと気を使い合う「全日本おしゃく問題」など抱腹絶倒のエッセイが満載の作品であった。
いや〜椎名さん、やっぱりあんたは最高ですよ。久しぶりに【わしら怪しい探検隊】シリーズ(椎名誠と
その仲間たちが繰り出す旅のエッセイ集)が読みたい気分になりました。