椎名誠のレビュー一覧
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購入済み
1980年のブログ
懐かしい、再読も楽しい。昭和軽薄体とも言われた文体の鮮やかなデビューでした。今のブログの走りかもしれません。電子ブックで読める沢野ひとしさんのイラストも良いです。
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四半世紀ぶりに再読。やはりこの独特の世界観には強く引き込まれる。この世界の話をもっと読みたいと思うが、未だ他の作品は出ていない。いくらかの重要な謎を残し、いかにも続編がありそうな終わり方なのだが。
とても映像化向きの作品なのに、そうならないのは作者の意向なのだろうか(アニメ化の話はあったそうだが立ち消えたとの噂でもあるし)。
椎名さんのSFを読むと、想像上の事物に対するネーミングに強いこだわりを感じる。「名は体を表す」というが、可能な限り「名で体を表そう」とされているようである。中には、名前だけ出されて説明がなされないことすらある(いきなり出てくる「指巻きや腸出しといった重刑」って何だ...)。
名前を聞いてそのモノの姿かたちを想像するというプロセスは、この本の楽しみのひとつだろう。しかし、一度でも映像化してしまえば、そういった楽しみ方はできなくなってしまう。そういうことなのだろう。 -
Posted by ブクログ
「岳物語」の流れをくむ、椎名誠さんの私小説。椎名誠さんが岳くんくらいの少年だった頃の物語。今までのエッセイにもちらちらとこの頃の話は出てきていましたが、まとって書かれているのは始めてで、でもご本人もたびたび書いているように、この頃の家庭環境はやっぱり分からないこと多いようです。
考えてみれば自分も子供の頃に、あれは結局なんだったのかなと思うことの一つや二つはあるもので。
地球中をどかどか旅してビールをぐいぐい飲んでいた椎名誠さんも気付けば年を取られたのだなぁと、寂しさも感じつつ、過ぎ去った昭和の日本の風景も懐かしく(この頃は生まれてませんけどね!)、思いながら読みました。
続編待ちます。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ「続」も、前編に劣らず非常によかった。前編と同じ編集方針となっており、全国不登校新聞社に在籍する、不登校・ひきこもりの当事者・経験者である子ども若者編集部員が、「私が話を聞きたい人に話を聞きにいく」という方針で取材を行うことにより作られている。「世のため」「人のため」ではなく、「私」が話を聞きたいというのが大原則となっている。
そのインタビュアーに答えた17名の著名人がこちら。
目次には、対談者のキーとなる一言が次のように紹介されている。確かにこれらのセンテンスがキーとなるものであるが、それ以外にも一人の読者として感動した言葉や生き方があった。
■中川翔子:ちょっとの「好き」を集めて、積み重ねていく
■ヨシタケシンスケ:遠回りしたからこそ、見えることがたくさんある
■りゅうちぇる:自分の「色」を塗り替えてもいい
■立川志の輔:他人とちがうのは、いいこと
■春名風花:いまあなたがいるそこがすべてじゃない
■あずまきよひこ:無理にでも頭を突っ込んでみると、たいがいはおもしろい
■R-指定:コンプレックスをさらけ出した方が、楽しかった
■谷川俊太郎:ミスフィットを活かす道はある
■庵野秀明:「ここ」じゃなければ、他のところに行こう
■宇多丸:自信は他人からもらおう
■田房永子:自分の「心」を大切にする
■大槻ケンヂ:「のほほん」と生きていきたい
■みうらじゅん:好きなことをいっぱいやろう
■糸井重里:できることをひとつずつ続けていく
■坂上忍:3割の共感があればいい
■椎名誠:方向が決まっている人生なんて、つまらない
■荻上チキ:人の役に立つことを生きる力にする
■対談:北斗晶×石井志昂(本書編集長) 人になんと言われようと、やりたいことをやってみる
この17人の対談者もまた、自分自身の生きづらさを乗り越えた今がある人たちであったり、生きづらさということを心で理解できる人たちであったりする。ある意味、自分なりの人生哲学をもっている凄い人たちである。
年齢は若くとも、何も考えずに自分の不安を子供に押し付けて生きている大人や、意味なくマイノリティであることを特別視するような人たちよりも、ずっとずっと物事を考える力があり、人生を闘っているのであり、生き方の哲学を確立しているように思える。
以下、自分なりに目に留まった対談者の一言など。
■中川翔子:「いちばんひどい日」を乗り越えると「そうでもない日」が来る。「そうでもない日」が続いた先に、思いがけない「死ななくてよかった」と思える日が来るはず。
■ヨシタケシンスケ:自分の意見を持たずに大学までいった。それに対し、「学校に行かない(不登校)」を自分で決めるということは凄いこと。
■りゅうちぇる:意見の違う人にあったら、その人の背景を考えるようにしている。
■立川志の輔:人生いろいろなことが起こる。学校に行かないということが、なぜそんなに大きなことなのか。大騒ぎしているのは大人。
■春名風花:いじめの加害者にフォーカスする。送信機をどうにかするしかない。ただし、「加害者が悪い」と単純化してしまうのは嫌。
■あずまきよひこ:何もできないと思われているうちに、失敗しておいたほうがいい。
■R-指定:学校の外の世界の人たちと出会えて、「俺はすごく狭い世界にいたんやな」と思った。
■谷川俊太郎:自分が詩を書いて生活するなんて考えなかったし、詩人になりたいとも思っていなかった。「なぜ詩を選んだのか?」-私が詩を選んだのではない、詩が私を選んだのだ。
■庵野秀明:(学校の)勉強は、受験のためのもの。テクニック学んでいるだけ。そのテクニックを身に着けることが社会に出たときに役立つというのは方便だ。
■宇多丸:最初の一歩は、わかならいけどやっちゃってた。最初の一歩に「理不尽なジャンプ」がある。
■田房永子:親は子どもにとって権力者で支配者で独裁者でハラスメントの加害者。子どもに過干渉にならないようにするためには自分の人生を楽しむこと。
■大槻ケンヂ:世の中で善と呼ばれているものが悪であったり、悪と呼ばれているものが善であったり、価値観というものは時代、民族、国家によって変わるものであって、ゼッタイの基準はない、
■みうらじゅん:不安は今でもあるが、なんとかなっている。常識が分かった上でやる非常識が、エンターテインメント。
■糸井重里:自分たちが何ができるかって言ったら、残念ながら、今のところ、努力することだったり勉強することだったりする。
■坂上忍:何かを成し遂げようとするとき必ず孤独になる。
■椎名誠:不登校しているのは、自分に忠実な素直な人
■荻上チキ:「逃げてもいい」というが、不整備な状況では、不登校は自己責任化されてしまう。学校には、セーフティネットが必要なのに、厳しいルールを押し付けている、 -
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岳さんと私は歳が近く、実家も近いこと、我が家にも元気な男の子がいましたので、なんとなくその空気がリアルに感じられた。
ただ、あまりにリアルタイムでの連載だったためご本人はとても嫌だったようですね。
もう少しフィクションの要素がを強くした小説にしてしまえばよかったのかな。読み手としては大変楽しい父子のエピソードなんですけど。
私も子供の自主性を育てる子育てに基本的に賛成です。
しかしながらこの本の時代から30年ほど進んだ現代ではここまでの自由は親子共にないかもしれません。
周りのママ友の意見なども聞くととかく揺れ動きますが、この本を読んで、やっぱり子供を一人の人間として信じて付き合っていきたいと改めて思いました。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ8月22日の読書:孫物語 椎名誠
カバー裏より
『世界を飛び回っていたシーナが自宅に落ち着くことが多くなった。その理由は、なんと「孫」。本好きな長男、口が達者な長女、無鉄砲小僧の二男。ドタバタ騒がしい三匹のかいじゅうの成長ぶりを、基本的にダラシナイにやけ顔で見つめるシーナ。ぐんぐん新しいことを吸収する孫たちに対し、どんどんいろんなことを忘れていくじいじいは、ウロタエながらも大奮闘!孫愛にあふれた「じじバカ」エッセイ。』
まさかシーナ君くんの「じじバカ」ぶりを読む日が来ようとは…。
ぬけぬけと「子どもより孫は可愛い」というシーナくん。
しかしシーナくんも早、70歳を過ぎているのだ。
複雑な気持ちで読み始めたが、やっぱり他人の孫と言えども子どもの成長は面白い。
孫に対して上からものを言うのではなく、ましてや媚びることもなく、孫たちの興味とシーナくんの好奇心が、自然に重なり合っているところがいい。
虫や植物が大好きで、大人しく一人で本を読むのが大好きで、妹や弟にとても優しい長男の波太郎くんとシーナくんとのやり取りは、これからの世の中をしなやかに生きていく子どもの伸びやかさと、それを目を細めて眺めるシーナくんの、緩やかな世代交代。
そして、この二人に交じって自分の世界をひらいていく次男・流くんの、日々真剣勝負な腕白ぶりがまた愉快。
男兄弟に挟まれた女の子は女王様になるらしい。
確かにうちも…。もごもご。
シーナくんのことを「おじいちゃん」ではなく「ラクダさん」と呼び、男は嫌いだからと私立の女子小学校に通う長女・小波ちゃんはマイペース、要するに自分の都合でシーナくんに係わってきたり、無視したり。
その辺もまた愉快。
北海道の余市にシーナくんの家があることは知っていたが、冬の山の中の一軒家を維持する難しさに、その家を手放そうと思った時、波太郎くんの「僕はあの山の上の家が好きなんだ。植物や虫がいっぱいいるし……」という一言で手放さないことを決意。
じいじいと孫の、男三人の夏休みは、羨ましいくらいに楽しそうだ。
そして椎名ファンの私の友達もきっと喜んでいるはず。
本当の豊かさとは”家族が揃う時間”にあること。その時間を持てることにあると気づくシーナくん。
そういう時間は存外短い。
だから今、このひと時が、猛烈に楽しく美しく愛おしいのだと思った。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ2019.01.07
小学校の塾で、国語の先生から特別賞としてこの小説を譲ってもらった。思えば、これが私の読書人生の始まりであって、それから今日に至るまで仕事でも余暇でも多くの本を読む最初のきっかけになった本である。
全体として、当時の椎名さんらしい「面白い」文章に笑いが出てしまう。電車の中で読んでは危ない。
「真実の焼きうどん」や「蚊」「戸間袋急行」など、日常の何気ない(どうでもいい?)風景をこれほど広げるのは見事。
突如目の前に現れ消えた鶏と、なくした万年筆との関係に謎が残る「さすらいのデビルクック」、占い一家に焦点をあてた「よろこびの渦巻き」など、面白かった。
電車に紛れこんだ犬を見ながら、旧友の山田や自分の飼っていた犬を思い出す「山田の犬」や、すっかり生き物が少なくなってしまった海を舞台とした「海をみにいく」は若干切なさも残る。
世の中に出版される本を読んで評定をつける公社を描いた「日本読書公社」は、検閲を禁止されている日本ではさほどでもないが、外国なんかを念頭に置くと妙にリアリティがある。
どれもすらすら、楽しく読める作品であった。久しぶりに読んだなぁ。当時の椎名さんは明るかった。後から鬱病になられたが、まぁ、これだけのものすごい感性と世界観を持っている椎名さんであるから、無理もないかなと思われる。
椎名さんの本を引っ張り出してきて順番に読んでみたい。