藤森照信のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
路上観察の藤森さん。著作を読むのは初めて。
目の前の箱庭の中でめくるめく早さで建築を中心とした人類の歴史が展開していくのを見ている感じ。とにかく面白くて一気に読める。
建築を軸として人類を見ると、新石器時代(日本の縄文時代)の頃までは画一化されていたのがその後さまざま文化宗教が発展しててんでばらばらな時代が2000年続き、現在また世界中がコンクリートとガラスで出来た四角い建造物にまとまってきている。ひとつのものが多様にふくらんでまたひとつになった。
【もしかしたら二十世紀をもって歴史が終わったのかもしれない】という著者の言葉に震えを感じる。
恥ずかしながら学んだこと。
・縄文土器は日本のもの
知らなかった。世界中のあちこちにああいう派手派手な土器があるのかと思っていた。
・神社と寺は違う
これもあんまりよく考えたことがなかった。ただお参りに行くって所なだけで。
もちろん神道と仏教が違うって事は知っていたが。
神社は地母信仰太陽信仰が発展した宗教で、世界中のあちこちにある自然を神とする宗教のうちのひとつ。
その後に新しく出来た文字を持った宗教、仏教儒教キリスト教イスラム教の四大宗教によって
地母神太陽神は衰退していった。
そのことを考えると日本に神道がこういう形で残っているのってすごいことなんじゃないかな。って、今私が感心しているのもなんだかいまさらな感じで本当にはずかしいんだけど。
装丁がクラフトエヴィング商会だった。一度気がつくと頻繁に見つかるね。 -
Posted by ブクログ
ネタバレおそらく建築マニアにはたまらない本だと思う。特に第一章「目からウロコ!?古代の建築学」は、専門家やマニアが喜びそうなトリビアや雑学が開陳されている。
でもご安心ください、私の様な「建築」素人にも楽しめる第二章「アッと驚く!!住宅建築の技」で身近なお話が用意されています。
そもそも本書は、雑誌「頓智」での連載記事(1995年10月〜1996年6月)と大成建設の社内報「たいせい」での連載記事(1998年1月〜2001年3月)39編を収録したもの。
「シック・ハウスの代わりにシックイ・ハウスを!」はひとつの完成した読み物としても面白かった。
以下は印象的だったポイントのみ列挙。
・日本独特の引き戸と海外のドアの歴史的経緯の説明から始まり、日本以外の海外ドアが内開きなのは外からの侵入を防ぎやすいから(さらに日本のドアが外開きなのには狭小な住宅事情もありそうだが…)
・家の中は靴を脱いで過ごす日本と靴のまま生活する海外の文化的違い(日本伝統の相撲や能の摺り足)と床建築の発展
・日本の畳や住居内の靴を脱ぐ裸足(スリッパ)の生活は床や畳も清潔なため、土足民族にはできない横に寝そべることができる⇒近年では北米や中国でも室内土足禁止が増えている、らしい
・平屋が主流だった日本と豪華な階段が建物内にある西洋建築の違いを民族の踊り文化で説明(日本の盆踊りや能や相撲も水平の摺り足が基本だが、海外のダンスやボクシングは垂直の動き)
・暖房については人類は火を起こしてから始められたが、冷房は電気と冷凍ポンプが発明された19世紀末からと50万年の差がある(もちろん、風通しを良くするとか日陰を利用したりと自然任せの消極策は存在したが)
・輻射冷房の原理を利用したエコな天井冷房はずっと結露問題が解決されなかったが、葉山成三氏の工夫で実用化された(しかしなぜか葉山方式は広がっていない、らしい)
・隙間だらけの日本家屋の部屋がちゃんと暖かくなるのは石油ストーブの登場からで、竪穴住居の暖房水準から数千年振りにやっと回復
・日本の建築学は明治10年イギリス人コンドル先生が建築にかかわるすべての分野を日本の学生4人に教えたのが始まり
冒頭にも書いたが、内容は素人には少々専門店でマニアックすぎる点はあるものの、もしこの分野に興味がある人なら満点評価の作品となるであろう、しらんけど。
あえてこの点を繰り返すのは、こうした良書が販売部数のみで評価されることなく(勝手に売れていないと想像してゴメンね)末長く読みつがれてほしいからでした、ちゃんちゃん。 -
Posted by ブクログ
古今東西の建築の歴史を縦横にめぐりながら、著者自身の感じた建築にかんする根源的な問題について論じているです。
エッセイふうの文章で書かれていますが、冒頭から「人類が最初に造った建築は、神様のための神殿だったのか、それとも自分たちの住まいだったのか」という根源的な問題が提起されています。このばあいの「最初に造った建築」とは、最初の「住まい」ではなく、「美しいこと」あるいは「視覚的な秩序があること」という性格をそなえた建築を意味しており、つづいて旧石器時代の洞窟壁画にまでさかのぼって、人類と建築の根源的な関係へと探求を進めていきます。
かならずしもしっかりとした論証がおこなわれているわけではなく、むしろ著者の研究のはじまりとなるような発想の芽のようなものが率直に語られています。茶室における炉の問題から、「茶室の核心には火がある」という結論にいたるところなど、どの程度妥当性のある意見なのかわたくしには判断がつかないのですが、興味深く読みました。 -
Posted by ブクログ
前半、半分くらいを縄文時代が占めているという、なかなか独創的ですが面白い本。
実験考古学という分野があるそうだが、先生の書かれていた内容も自分で実地体験したものが紹介されている。磨製石器の石斧で実際に気が伐れるものかどうか、実際に試されておられ、おお!と興奮する。
道具と建築の関係、建築が進むには道具にどのような変化が必要か、逆に道具が進化することでどのような建物が建築可能になるか、これはとても面白い視点だった。
また、宗教観と建築の関係も非常に面白い視点だった。宗教は人の文化を考える時に、非常に大きな影響を及ぼしているから、何を検証するにも宗教との関係があるとは思っていたが、地母信仰、太陽信仰という宗教感の変化と建築の関係、及ぼす影響については、これもまたなるほどと思った。
一方で、発想、文章は面白く惹かれるが、発想の証拠、根拠が示されていない。大昔のことで文書等が残っていないのはやむを得ないとしても、根拠は読みたかったので、ぜひ紹介してほしかった。