【感想・ネタバレ】人類と建築の歴史のレビュー

あらすじ

建築とは何か、その歴史とはどのようなものだろうか? 母なる大地と父なる太陽への祈りによって誕生した〈建築〉。地母神が人をやさしく包む母のような内部を、太陽神が人の眼前にそびえる父のような外観をもたらした。以降、神々のおわす神殿、神社へと発展し、青銅器時代から二十世紀モダニズムへと駆け抜けていく。人々の共同意識が作り出し、さらに意識を組織化する力をもつ建築。様々な説により自由にかつダイナミックに展開する、全く新しい『初めての建築の本』。

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Posted by ブクログ

建築とその歴史について調べる必要があり、ネットでは情報が細かすぎたり多すぎること、建築そのものの定義がバラバラであったことから、まず最初の下地を用意しようと考えて手にとった本。結果的には、歴史の大まかな流れが汲み取れて良かったと思う。

著者の憶測が多くの部分に盛り込まれているので、各時代・様式ごとの一般的な意見を細かく知りたい人向けではない。著者は、「考古学・古代史の醍醐味は一人一説」と述べている。これは、世の中の多くの事象に対して当てはめられる視点の持ち方だと思う。

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2015年08月30日

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建築の起源(原始の人類史)から現代に至る雄大な建築史。もちろん想像や仮説も多いが、あれこれ考えるに最高の一書。文章も軽やかに知的で読みやすい。

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2014年10月26日

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憶測的で同意しかねる部分は多々あるが、なお余りある名著。子供にはかえってすすめたくない。現代の成人のほうによっぽど読ませたい本。

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2013年10月29日

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建築の初心者や初学者に向けてかかれた入門本。
世界の住まいと建築について、旧石器時代と新石器時代の流れるを食生活形態や宗教と結びつけて解説し、日本における住まい/建築を神道の源流から、その価値や意義について解説される。また、四大宗教の登場以降の建築に関しては論が空中分解して、著者も『今の段階では、私自身、どう結論づけたものか迷っている。』としている。その後の、『大航海時代』は世界の建築の多様性の半減、『産業革命』以降はヨーロッパ一色、『二十世紀モダニズム』としては、世界共通語としての数学に寄る造詣、と現代に至るまでの変遷として、大まかな流れが述べられている。
これからの建築については・・・もう、「もしかしたら、二十世紀をもって(建築の)歴史が終わったのかも知れない」と、これ以上の根本的な変化は生まれないとしている。

著者は、建築の歴史を6歩で解説している。
1歩目:【旧石器時代〜新石器時代】は世界どこでも共通で、円形の家に住み、柱を立てて祈っていた。
2歩目:【青銅器時代の四大文明】で世界は幾つかにに分かれて、幅を持つようになる。
3歩目:【四大宗教の時代】ではその幅は最大となる。
4歩目:【大航海時代】に入るとアフリカとアメリカの個有の建築文化は滅び、世界の多様性は減退に傾く
5歩目:【産業革命の時代】に入るとこの傾向はさらに進み、アジアのほとんどの国でも固有性が衰退する。
6歩目:【二十世紀モダニズム】によってヨーロッパも固有性を失い、世界は一つになった。

住まい/建築に多様性がみられないのは、1歩目と6歩目。つまり、住まい/建築の原始と現代。
原始においては、宗教性(神)によって世界の住まい/建築が統一されている、現代はというと、数学によって統一されている。
「神」と「数学」この対比も面白い。

著者は、このはじめと終わり(現代)に共通性が見られている構造を『細長いあめ玉を紙で包んで両端をねじったような形』と表現している。

果たして、現代において建築が完成し、この後に大きな発展を見ないものなのか・・・数千年後を覗いてみたいものである。

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【内容(「BOOK」データベースより)】
母なる大地と父なる太陽への祈りが建築を誕生させた。人類が建築を生み出し、現代建築にまで変化させていく過程を、ダイナミックに追跡する画期的な建築史の本。
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【目次】
第1章 最初の住い
第2章 神の家―建築の誕生
第3章 日本列島の住いの源流
第4章 神々のおわすところ
第5章 青銅器時代から産業革命まで
第6章 二十世紀モダニズム
あとがき
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【著者について】
946年長野県生まれ。東京大学大学院博士課程修了。専攻は、近代建築、都市計画史。東京大学生産技術研究所教授。全国各地で近代建築の調査、研究にあたる。その後、赤瀬川原平や南伸坊らと「路上観察学会」を発足させる。97年、「赤瀬川原平氏邸に示されたゆとりとぬくもりの空間創出」により日本芸術大賞、2001年、“熊本県立農業大学校学生寮”で日本建築学会賞を受賞。著書に『明治の東京計画』(毎日出版文化賞、岩波現代文庫)、『建築探偵の冒険・東京篇』(サントリー学芸賞、ちくま文庫)などがある。
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2013年09月26日

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歴史の藤森さん的解釈を楽しめる。ただ事実を詰め込んでいくだけの学校で学ぶ歴史はあんまり面白くなかったが、興味のある分野を視点に、特定の人の解釈(推測)で学ぶ歴史は面白い。大半が石器時代の話だけど、現代まで一応要点は押さえてあるし、気になると思うところは他の本で読めばいいとわりきれる。藤森さんの本には、そんな爽快感があると思います。

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2012年12月28日

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なるほどこういう見方もあったのか! と唸ってしまった。人為的な石や木の柱が王者の魂を天に届ける発射台で太陽神に至る階段(太陽信仰)で、自然の樹や岩が水平な自然界に宿る地母神の一族が寄り集まってくる依り代(地母信仰)なのだ、という筆者の筆致が実に力強い。

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2009年10月07日

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建築物の歴史がわかりやすく理解できる本だと思った。

しかし、建築物をどう建てるかということではなく、この時代にはこういった感じの建物が建てられる傾向にあったという話が非常に大きいスケールで語られているので、その点は注意が必要だ。

その傾向自体も素材などもあるが、宗教や歴史といった観点に影響を受けたという話が多く勉強になった。

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2023年01月16日

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面白いですね。超鳥瞰図的な、藤森建築史学を中学生くらいからでも理解できるように書かれています。所々に、信州諏訪人としての記述が出てくるところも興味深いです。

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2022年01月18日

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人類の初の宗教が地母信仰で、人類が農耕を始めたことによって太陽信仰が生まれた。こんな主張が本書の最初の方で飛び出してくるものだから、本書のタイトルをあらためて確認せずにはいられなかった。そうか、「建築の歴史」の前に「人類」が入っていたのか。納得。確かに、建築をキーワードに、宗教や思想、文化まで幅広く論じる本書には「人類」がふさわしい。
上記の宗教の例にある通り、その起源が諸説あると思われる内容でも、大胆に仮説を立てて自説を進めてゆく。その様がなんとも小気味よくて、建築の素人にもきっちり読ませてくれる。

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2020年02月02日

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面白い。建築に興味あるけれど、専門的なことは何にも分かりません、という人には最適ワクワクな一冊。
さすがちくまプリマー新書。藤森照信さん。

「人類と建築の歴史」藤森照信。ちくまプリマー新書。2005年。



藤森照信さんというのは、「建築史家」「建築家」だそうで、僕は事前には知りませんでした。
ちくまプリマー新書、というのは割に信用しています。
なにしろ、ちくまさんが「まあある程度若い世代のために、何にしろ入門的な感じで長く無い一冊を」というコンセプトで作っているはずなので。
期待に違わない一冊。

とにかくわかりやすかったです。
建築家の名前とか、ナントカ様式とか、そういうことがほとんど出てこない。
半分くらいまでは、話は原始時代。びっくり。そして面白い。
狩猟、そして農耕と、そういう時代の人類の人生と幸福を想像していって、
そこから(恐らくは遺跡などの)証拠と合わせて創造していく建築史というか。
「イエ」っていうのはどういう役割を負っていたのか、切れば血が出る具体性で解き明かしていきます。

そこから、生活だけではなく、原始的な宗教のための建築。家屋。
それらはたいてい、土地や化け物や怨霊などのプリミティブな神様が存在したんだけれども、
それがやがて、キリスト教、儒教、仏教、イスラム教という、「ことば」が優位に立つ進化した宗教に、基本的に駆逐される。
ところが、洋の東西を問わず、なかなか完全には駆逐されない。その、魑魅魍魎なプリミティブな神々と、言ってみれば全国チェーン店のような大資本でモダンな宗教の対立。

それがさらに、大航海時代から、世界レベルで言うと、「西洋・キリスト教の価値観、建築の、暴力による強制的な輸出」というフェーズへ。

それは19世紀に、「産業革命によるパワーアップした資本主義」という暴力的なカタチで東洋にもやってきます。これが日本では「近代化」ということになる。

さらに、20世紀に入って、バウハウスというデザインのアイディアから、これまた爆発的なまでに画一的な建築の時代へと入っていく。

まさに凝縮されて荒々しく暴力的なまでにザックリと目を離せない、エンターテイメントぎっしりの大河ドラマ。
そんな1冊、もう、呆気にとられてイッキ読みです。

建築に興味はあるけれど、どう触って楽しんでいくか、手をこまねいていたのですが、藤森照信さんという人の本から入っていこうかな、と思われて貰いました。
本当に面白かった。ちくまさん、良い仕事です。感謝。

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2018年06月17日

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ずいぶん前に読み終わってた本なのですが、なぜかレビューが消えてたので再録。

新石器時代から現代に至るまでの住宅の変遷をたどり、その中で地母神信仰や集落の特性についても触れ、最終的には西欧植民地主義による世界各地の伝統建築の破壊や、西欧歴史主義を西欧が自己否定するに至った経緯までも含んだ、盛りだくさんの一冊。新書でこれだけの内容を網羅するのは、意欲的でもありチャレンジャーでもあるなぁというところ。

各章の論がなかなか面白かった分、個人的にはそれぞれのトピックをもっと深掘りしてほしかったという気持ちが強いです。概論的に知るにはこれで十分だけど、より詳しく知りたいというときには物足りない。その点から、☆は1つ減らして4つとしておきます。

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2014年08月31日

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ネタバレ

[ 内容 ]
母なる大地と父なる太陽への祈りが建築を誕生させた。
人類が建築を生み出し、現代建築にまで変化させていく過程を、ダイナミックに追跡する画期的な建築史の本。

[ 目次 ]
第1章 最初の住い
第2章 神の家-建築の誕生
第3章 日本列島の住いの源流
第4章 神々のおわすところ
第5章 青銅器時代から産業革命まで
第6章 二十世紀モダニズム

[ POP ]


[ おすすめ度 ]

☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)

[ 関連図書 ]


[ 参考となる書評 ]

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2011年06月05日

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「人類」と銘打たれているだけあって、とても古いところから始まる。やさしい言葉で、深い建築史。むしろこれだけ深い内容をここまで平易に書かれると、逆に歩幅が合わないくらい。いや、名著ですよ。

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2012年04月27日

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遊牧が基本の旧石器時代から定住の新石器時代へ。生活と建築の間を往復しながら、歴史を分かりやすく紐解いてくれる。石器時代、柔らかい針葉樹より堅い広葉樹の方が石器で削りやすいため建材として使われた、など面白かった。定住と集合的記憶の話なども、ああなるほどなぁと。良い新書だった。

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2010年07月27日

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路上観察の藤森さん。著作を読むのは初めて。

目の前の箱庭の中でめくるめく早さで建築を中心とした人類の歴史が展開していくのを見ている感じ。とにかく面白くて一気に読める。

建築を軸として人類を見ると、新石器時代(日本の縄文時代)の頃までは画一化されていたのがその後さまざま文化宗教が発展しててんでばらばらな時代が2000年続き、現在また世界中がコンクリートとガラスで出来た四角い建造物にまとまってきている。ひとつのものが多様にふくらんでまたひとつになった。
【もしかしたら二十世紀をもって歴史が終わったのかもしれない】という著者の言葉に震えを感じる。

恥ずかしながら学んだこと。
・縄文土器は日本のもの
   知らなかった。世界中のあちこちにああいう派手派手な土器があるのかと思っていた。
・神社と寺は違う
   これもあんまりよく考えたことがなかった。ただお参りに行くって所なだけで。
   もちろん神道と仏教が違うって事は知っていたが。
   神社は地母信仰太陽信仰が発展した宗教で、世界中のあちこちにある自然を神とする宗教のうちのひとつ。
   その後に新しく出来た文字を持った宗教、仏教儒教キリスト教イスラム教の四大宗教によって
   地母神太陽神は衰退していった。
   
そのことを考えると日本に神道がこういう形で残っているのってすごいことなんじゃないかな。って、今私が感心しているのもなんだかいまさらな感じで本当にはずかしいんだけど。



装丁がクラフトエヴィング商会だった。一度気がつくと頻繁に見つかるね。

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2009年10月04日

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主に、石器時代を中心に人類が建築とどのように出会ったか、そしてどのように変革していったかが述べられている。

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2009年10月04日

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とてもわかりやすく建築の歴史を紐解いてくれている。物質の世界も、建築の世界も飴玉を袋でぎゅっと絞ったような形をしている。生命の相、鉱物の相、数学の相。外観から人間の内なる見えない抽象的なものへと造形の対象は変移してきた。今はさらにさらに透明な、抽象的なゼロの世界へと向かうべく建築界の主流は進んでいる。しかし、人間が肉体を持つことから切れないように、建築も限りなく抽象に近づきはしてもゼロにはなりえない。物質性というものについて、さらに人間との見えない繋がりを模索していく必要がありそうだ。

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2009年10月04日

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歴史、考古学の向きが強い
実際に古い方法で建築物を作っている著者だからこその記述が面白い
確かに石斧で木切りたい

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2024年08月13日

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前半、半分くらいを縄文時代が占めているという、なかなか独創的ですが面白い本。
実験考古学という分野があるそうだが、先生の書かれていた内容も自分で実地体験したものが紹介されている。磨製石器の石斧で実際に気が伐れるものかどうか、実際に試されておられ、おお!と興奮する。
道具と建築の関係、建築が進むには道具にどのような変化が必要か、逆に道具が進化することでどのような建物が建築可能になるか、これはとても面白い視点だった。
また、宗教観と建築の関係も非常に面白い視点だった。宗教は人の文化を考える時に、非常に大きな影響を及ぼしているから、何を検証するにも宗教との関係があるとは思っていたが、地母信仰、太陽信仰という宗教感の変化と建築の関係、及ぼす影響については、これもまたなるほどと思った。
一方で、発想、文章は面白く惹かれるが、発想の証拠、根拠が示されていない。大昔のことで文書等が残っていないのはやむを得ないとしても、根拠は読みたかったので、ぜひ紹介してほしかった。

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2018年10月02日

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内容は、建築史というより人類史。

縄文時代の竪穴式住居は、当初は円形で次第に角形に変わり、面積が広くなる。柱の上に梁を架ける構造で、柱は礎石のない掘立柱が基本的に4本。梁の上には小屋組みが乗るが、その後の民家と同様に三角形のサスを組んでいたと著者は推測している。構造材にはクリの木が使われているのは、弾力性のある針葉樹に比べて石斧でも切り込むことができ、腐りにくいたため。屋根には草や白樺の皮などの上に、寒気を防ぐために勾配を緩くして土葺きにした。日本書紀には、蝦夷が「夏は?に寝、冬は穴に住む」と書かれている。

弥生時代から古墳時代には、梁の上は束立て構造が用いられた。鉄器が出現したおかげで柔らかくて軽い針葉樹が加工できるようになり、角材が様々な箇所に使われた。斧、手斧、ノミ、槍鉋により、?と?穴による木組みができるようになった。ノコギリは飛鳥時代に出現した。壁はあまり作られず、オープンだった。

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2018年10月31日

Posted by ブクログ

タイトル通りの内容なのだが、想像していたものとはだいぶ違った。各時代ごとの建築様式を具体的に紹介していくのかと思いきや、そうではなくなんだか独特な。述べていることは極めて平易であるのに、あんがい抽象度の高い議論で、建築をみる目に新たな視点を与えてくれる。特に終盤でのバウハウスの位置付け関する解釈はけっこう目から鱗だった。

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2016年03月06日

Posted by ブクログ

建築の視点から人類の歴史をながめるのもいいな、と思わせる内容。
以下、詳細。

新石器時代の神殿としてはスタンディングストーンが
ストーンヘンジも有名だが、フランスのロックマリアケル、スコットランドのルイス島カラニッシュのストーンサークル、イギリスケズウィックのストーンサークルも素晴らしい。

日本では、新石器時代に農耕がはじまったことにより、人類は定住し、本格的な建築が始まった。
弥生時代に水田がはじまったことにより、住環境が低地化したため、それまでは、土間が基本の住居だったが、高床式の建築がさかんになった。

磨製石器の時代には、作業効率の面からクリしか使えなかったが、鉄器時代に(日本にはほぼ青銅器時代はなかった)杉や松などの針葉樹がつかえるようになり、同時に斧、カンナなどの高度な加工道具が使えるようになり、日本の木造建築に美しさが生まれた。

日本のスタンディングストーンとしては、野中堂遺跡や阿久遺跡などがある。ヨーロッパと同様、一つの暦としての機能ももっていた。

沖縄の御嶽も諏訪神社も春日大社若宮も、本宮をもたず、神のいる「空間」があるだけ。

しかし、伊勢神宮の唯一神明造りは、高床式。
本殿のまんなかにある、真の御柱(しんのみはしら)は建物の上の構造部分とはきりはなされたかたちとなっている。これは、スタンディングストーンと重なる。
出雲大社の本殿も同様に、柱をカバーする建物としてあとから追加された。
春日大社は神様をはこぶおみこしが建築となった。

もともと原始宗教は自然の精霊をあがめる自然信仰だった。しかし、四大宗教、イスラム教、キリスト教、ユダヤ教、儒教は、自然宗教を否定することで成立する。

キリスト教の教会建築は、集中式とバシリカ式があるが、縦長の建物のバシリカ式が主流となる。
反して、東アジアの宗教建築は横長が好まれる。

1893年にシカゴの万国博覧会に、日本政府は平等院鳳凰堂を基礎とした鳳凰堂を出展。フランク・ロイド・ライトに感銘を与える。(開国間もない日本が欧米列強のなかに技術的にもデザイン的にも感銘をあたえられるものを展示できたことは非常に興味深い)

そして、21世紀の現在、建築デザインの地域性は失われ、世界の建築は統一されている。

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2015年10月12日

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藤森先生の本は建築探偵や路上観察学会の頃から読んでいる。この数年でも設計された作品集や茶室学に山口晃さんとの漫遊記、井上雄彦さんとの対談本などを読み、その学識の深さ、ユニークな視点を楽しませて貰っている。

氷河期から説き起こし。ノッケから「虫もハチの幼虫やセミやバッタはおいしいから好んで食べられたが、チョウチョウはむせないように羽を除く注意が欠かせないし、トンボはまずいのでやめておいたほうがいい。」との記述。先生は正真正銘の信州人。
石器や木材への細やかな記述も経験から出たものだし、古代を実感していく感覚がある読書。地母神や太陽への信仰から語る古代遺跡の記述も、普通の概論と違い古代の精神を感じようとしている。「建築の外観は精神に働き、内部は感情に働くのである。」成程。

茶室学では縄文の竪穴式住居は土間のある民家になり、弥生型の高床式は寝殿造りになっていくとあったが、古墳時代の1枚の銅鏡、家屋文鏡には竪穴、高床の両方が描かれている。使い分けられてたのか。
伊勢や出雲の本殿の社についての推理も驚いたが、本書の論旨からみれば納得。

さて、現代。数学的で、抽象性の高いガラス張りの無個性な建築が世界中に広がっている。我々の意識の底にあるものが選択しているとのこと。そうかもしれない。
でも、藤森先生は縄文的であろうとしていると思うんだな。

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2017年02月16日

Posted by ブクログ

タイトルは大仰だけれど、紙幅の都合上というのもあるでしょう、多くページを割いているのは「住い」が現れるまでの歴史と、地母信仰と太陽信仰の関わり、つまり人類史における住居の始まりの部分です。あとは結構駆け足。

けれど印象に残ったのは現代建築に触れた終盤のほう。
多少の違いはあるものの、確かに現代の建物、特に都市圏は画一的。建物という複雑な構造を持つ、すなわち多くの可能性を持つモチーフであるにも関わらず、世界中の都市は似たり寄ったり。それが世界の価値観の画一化を象徴しているようだなぁと思ったり。

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2011年09月01日

Posted by ブクログ

■この本を知ったきっかけ
 本屋でみつけて
■読もうと思ったわけ
 藤森照信の書く中高生向けの本だったので
■感想
中学生向けに建築の始まりについて書かれてる

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2010年10月12日

Posted by ブクログ

建築の初心者や初学者に向けて書かれた建築史の本。
人類が建築を生み出し、現代建築にまで変化させていく過程をダイナミックに追跡しています。

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2009年10月04日

Posted by ブクログ

建築史を中高生にもわかるように易しく書いてある。あくまで藤森先生の視点で。「これは私の意見だが、君達はどう思うか」との問いかけが公平に思える。
人類の建築物は最初はだいたいどこも同じ。それが多様化して、近代に入ってまた同じになっている。飴玉のように。なるほど。

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2009年10月04日

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