堺屋太一の作品一覧
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Posted by ブクログ
大河から。ドラマだとイマイチどんな活躍をしていたかわからない羽柴秀長の、「補佐人」としての働きぶりが良くわかる。
兄、秀吉の補佐として、決して目立ちはしないが重要で、他の人が嫌がる仕事をする秀長。秀吉が外交や調略、出世争いや領土拡大をしている陰で、秀長は内部調整や兵糧の整備、敵陣に近い城の留守居をし、時に戦局を左右するほどの活躍をする。
秀吉もすごいが、秀長もまた常人ではできないことをやってのけたというのが良くわかる。
羽柴家は当初と天下統一後では人材の質も違ってきており、作者が例えたように「新興ベンチャーで最初からいるメンバーと新規メンバーの対立」のような状態だったと推察できる。そんな軋轢すらもよく調整した秀長の、地味かもしれないけど不可欠な仕事ぶりは非凡なものだったろう。
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ良かった。日本史や日本軍を例にして、組織の衰退について、詳細に分析している本。
どの組織も成熟してくると、人事圧力シンドロームに陥り、それが衰退の要因になるといったことが印象深い。この事象は、組織の安定欲求と個人の成長欲求の軋轢によるもの。
例えば、ベンチャー企業が規模を拡大して大企業になる際に起こる。創業時からの成長意欲の高い社員や成長を期待して入社する社員は、更なる成長を求めるものの、会社側は仕組みや制度づくりで安定させたり、新たな市場を開拓する必要がある。組織内の成長欲求の圧力に屈して、拡大しようとした結果、失敗してしまう。
これを本書では、豊臣秀吉を例にして説明している。秀吉は、貧しい身分から組織を大きくすることに成功するものの、天下統一した後は家臣に分け与える土地がなくなり、新たな領地拡大のために朝鮮出兵をする。しかし、これが失敗に陥り、秀吉の組織は崩壊していく。
このように現代の大企業も拡大路線に走り、失敗に陥っている例は多い。
また企業は量的拡大ではなく、質的拡大に注力して行くべきといった主張もしている。量的な指標の代表例は、三比主義、つまり前年比、他社比、予算比である。これらの指標に依存している以上、苦しいラットレースは続くため、質的評価に移行すべきと述べている。
指標としては、外延性や継続性、好感度といったものを重み付けした回帰モデルのようなものを提唱している。モデルの内容はともかく、量から質への転換は、これからより重要になる。というか、未だに多くの企業は、売上高の対前年比何%増加みたいな指標から抜け出せていない。
まだまだ企業の価値や考えを転換するのは時間がかかるだろうし、そのうち環境への過剰適応によって衰退して行くんだとも思う。
本書は90年台に出版されているものの、現代にも通じる内容になる。筆者の慧眼に驚く。再読したい。