この本を読んだことで、今後、地震や噴火のことに注意が向きそうになると思う。400ページを超える本でボリュームがある。同じようなことを言葉を変えて説明しているので、読後の理解は深まる。
「南海トラフ巨大地震」という言葉自体はよく耳にしてきたが、正直に言えば、どの地域で、どのようなメカニズムで、どれほどの影響を与えるのか、それほど理解が深かったわけではない。この大地震の発生が予想されているのは、2035年をピークにした前後5年とのこと。
南海トラフ巨大地震を構成するのは、東から静岡沖の東海地震、名古屋沖の東南海地震、四国沖の南海地震の3つ。過去、1707年の宝永地震は、これら3つの地震がすべて連動してわずか20秒以内に発生したとされており、ウィキペディアによると、「江戸時代の南海トラフ巨大地震」だったそうである。これら3つの地域での地震のうち、1946年までの間に、名古屋沖の東南海地震と四国沖の南海地震の2つの地震が2回、連動して発生し、1回目が1854年で1日半後、2回目が1944年と1946年に2年の時間差で発生している。
さらに恐ろしいのは、過去の富士山噴火でよく聞く「宝永噴火」とは、まさに「宝永地震」と同じ1707年に発生していた、ということである。江戸時代版南海トラフ地震の発生から49日後に宝永噴火が発生していたという。鎌田先生によると、現在の富士山は、2011年の東日本大震災で1回大きく揺らされているので、2030年代に予想される南海トラフ大地震が発生すれば、間違いなく富士山噴火は起こるだろうとみている。極めて納得感のある話しである。
地球温暖化に関する一家言も参考になった。いま、世界では、これ以上の地球温暖化を進行させないために、その直接的原因とされる二酸化炭素の排出を削減させようと、世界の主要国で排出量削減目標が国ごとに立てられ、日本も国全体でその取り組みが行われている。この問題に対して、鎌田先生は「斜めから」という表現が私にはぴったりだと思うが、「脱炭素を行け行けドンドンと世界中で推進しても大丈夫だろうか」との見解を述べている。すなわち、鎌田先生曰く、なぜ、地球の温暖化が進んでいるかというと、その理由は、高温をもたらす太陽の黒点が増えている周期にあること、太陽熱を遮る効果のある火山の大噴火が世界的にみて発生していないこと、現代は前回の氷河期と次回の氷河期の中間にあることを述べている。これは、私にとって新たな知見であった。なお、米国トランプ大統領が「石油を掘って掘って掘りまくれ」と叫び、地球温暖化にまったく関心を示さない理由が鎌田先生のような見解から導かれているものとは到底思えない。
噴火スタンバイ状態の山は、富士山、伊豆大島三原山、北海道有珠山。
発生スタンバイ状態にある地震は、南海トラフ大地震、首都圏直下型地震。