金原瑞人の作品一覧
「金原瑞人」の「天才たちの日課」「タイムマシン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
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「金原瑞人」の「天才たちの日課」「タイムマシン」ほか、ユーザーレビューをお届けします!
法政大学文学部英文学科卒。同大学院人文科学研究科英文学専攻修士課程修了。『地球を救おう』(ベティ・マイルズ)で産経児童出版文化賞を受賞。その他著書に『翻訳家じゃなくてカレー屋になるはずだった』、『大人になれないまま成熟するために 前略。「ぼく」としか言えないオジさんたちへ』などがある。また、訳書には『青空のむこう』(アレックス・シアラー)、『月と六ペンス』(サマセット モーム)などがある。
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Posted by ブクログ
とても良い。誤解を恐れずに言うと私はいつかちゃんと書きたいなあと思っている人間で、それが結果小説になるのか何かの評論になるのかエッセイ集になるのかは分からないし、その為の行動などは一切起こしていない。産み落とされるか分からない潜在的作家を腹に飼っているとでも言おうか。しかし現代社会においてそんな人間が殆どであるとも思う。Xでもインスタでも、諸々含めば皆何かしら書いているし。
尚且つ私はカート・ヴォネガットという作家のミーハーなファンでもある。「ローズウォーターさん、あなたに神のお恵みを」を読んで一気に恋に落ちて、「タイタンの妖女」「スローターハウス5」「青ひげ」あたりを夢中で貪り読んだ。
概ね変な話なのだが、その根本には極めて普遍的なテーマがあり、何だか笑ってしまうような人と人のやりとりと、時々ズドンと胸を撃ち抜く名言がそこに潜んでいたりして、とにかく唯一無二の、誰の本にも似ていない 最後の最後にグッと来て泣いてしまう、私にとってカート・ヴォネガットの本というのはそういったものだ。
ちなみにあまり(人数的な意味で)豊富と言えない私の人間関係内において、カート・ヴォネガットを読んだことのある知り合いはほぼゼロだ。悲しい。でも一作一作が割と長いので、おいそれと勧めづらい。
そんな人間にとってこの本は名言の宝庫であり、今まであまり触れてこなかった「人間」カート・ヴォネガットについて知る為の貴重な文献であり、また確かに「書くこと」についての もっと言えば「書くことを携えながら、より熱心に 生きること」についての、とても手厚い道標であった。
書くだけで人生は進まず、終わらず、では何が要るのかと言えば 楽しむこと、遊びほうけること、仲間をつくること、ふてぶてしくあること。
カート・ヴォネガットは若く貧しいうちから亡き姉の子供達を引き取り、自分と妻との間に生まれた子と同様に養い、育てた苦労人である。その苦労は、彼がゼネラル・エレクトリック社を辞め、文筆家を本格的に志すのとほぼ同時に生じているはずだ。
つまりキャリアが始まるよりも先に、彼には養わなければならない家族があったということになる。
この本は、かつて大学でカートの講義を受けた元教え子によって書かれている。カート本人との交流を深く持っていた彼女の語り口はさっぱりとしていて、邪魔にならないし、時折差し込まれるカートの人間らしいエピソードや、講義の様子が大変興味深く読めた。
おそらくこの著者も、カート・ヴォネガットの大ファンなのだ。ファン仲間(おこがましい)の推し語りを存分に聞けるという意味でも、極めて楽しい読書であった。
そしてまんまと、これを読んで再びカート・ヴォネガットの著作に惹かれつつある昨今。
本作にもたくさんタイトルが出てきたので、これ幸いと棚に追加しておきます。
みんなも読もう カート・ヴォネガット。
Posted by ブクログ
一気に読んだ。この作品はフィクションで、とのことだが、本当はフィクションではない。証言と記録と記憶を再構成したもの。アウシュヴィッツでの出来事。
残酷な事実が、ストーリーの中でこれでもかというほど描かれる。あのときこんなふうに、あんなふうに“生きていた”人々が、次々と消えていく。どうなったかわからない人、目の前で“処分”される人。命を奪われるより酷い、魂を、尊厳を傷つけられる行為の数々。
そこで、息継ぎをするかのような愛を感じられるラリとギタのやりとり。ラリを取り巻く友人たちとのやりとり。
文庫本の巻末にあった、その後のラリたちの記述や写真を見て、これはフィクションではなかったと再認識する。
私たちは、収容所で起きたことを、知らなくてはいけない。そして、こんな悲しい物語が二度と繰り返されぬよう祈る。
追記
ゲイリー•ソコロフ(ラリとギタの息子)による結びの言葉の中にあった、ギタの言葉が印象に残ったので、引用する。
「何年間も、五分後には自分が死んでいるかもしれないと思いながらすごしたことがあれば、たいていのことは切り抜けられるようになるのよ。
生きて健康でさえいれば、すべてうまくいくものよ。」