非常に興味深い股関節周りの話が描かれた17巻である。
天皇杯決勝はほっぽり出して、股関節の話で一巻の2/3を埋めるのはさすがフットボールネーションというか。
ここ最近は真面目にサッカーをしていて違和感があったが(この表現も凄まじいが(笑))、これでこそフットボールネーション。
フットボール
...続きを読むネーション味の強い一巻になっている。
改めてこの作品のテーマが提示されているのはP.144だろう。
ざっくりとだけまとめると、河川敷で監督が述べたのはこういった内容だ。
「フットボールネーションになるためには、監督だ、戦術だ、なんだってのはまだ早い」
「必要なのは世界基準のフィジカルとセンスを持った選手を育てること」
これにフォトグラファーであり、この巻ではバレエ教室も担当していた(改めて書くとどんなサッカー漫画だ)緒方女史の言葉を引けば、
「世界基準の戦術を遂行するためには、正確にプレーを実行できる選手たちが必要」(P.146-147の大旨)
これらこそがまさにフットボールネーションが描きたいこと、大武さんが日本サッカーに提言したかったことだろう。
フィジカルやセンスにまつわる蘊蓄はすべてここに繋がってくる。
ここで改めて、わかりやすい形で大テーマを(クライマックスを前にして)提示した形の巻である。
そういったシリーズの構図はさておいても、股関節にまつわる蘊蓄は実に興味深かった。
単純に内反小趾の弊害についての警鐘は個人的にも納得できる内容だった。
私事で恐縮だが、腰痛持ちの身なもので。
小指に意識を向けただけで全然違うのが如実に感じられたのは面白かった。
巻末の岡崎選手との対談も興味深く、サッカー面を除けば充実の一環だったと思う。(これもまたとんでもない意見ではあるが……(笑))
岡崎選手、指導者の道を志してたんだなと興味深く読ませていただいた。
諸々を加味して、星七つ程度で評価したい一巻である。
作品としては星六つ相当、あと個人的に腰の惨状に貢献して頂いたので星一つ追加という計算をしてある。
個人体験をレビューに反映して恐縮だが、この辺はこの作品の持ち味ではないかとも思う。