DISRUPTORS 反逆の戦略者
「真のイノベーション」に共通していた16の行動
著:デイビッド・ローワン
訳:御立 英史
おもしろかった。
アメリカ流イノベーションを捨てて、世界中の知られざる「小さな最先端企業」はどう戦っているのかを見てみよう。
シリコンバレー後の世界を、反逆のビジネス戦略をもって再構築する
偽物のイノベーションを捨てよう。
イノベーションは、一定のやり方に従えれば計画的に起こすことができる
イノベーションは、科学である
イノベーション管理を、ISO279、という世界標準にする
偉大なアイデアは、何かの副産物として思いがけずに生まれる
世界で展開されるビジネス戦略を棚卸し、考察する書です
気になったのは、以下です。
■01 隠れたニーズを満たせ
・隠れたニーズを満たせ
・学校教育は、ビジネスとして成立する
・教育家と実業家の出会い
・イノベーションのヒントは、暮らしの中にある
人間中心のイノベーション
大きく考え、小さく始め、速く動け
・ピザ2枚組織:プロジェクトに関わる人数は、ピザ2枚で足りないほどの多人数であってはならない
・拡大戦略を支えているのは、アウトサイダーだ
■02 チームを奮い立たせろ
・人間が手段ではなく、目的である組織
・いまや、勤続35年の社員よりも、新入社員のほうがすぐれた知識とスキルをもっている時代
・最高の仕事は、全員が自分なりに貢献しようと熱心に働く少人数のチームによって行われる
・組織の文化が弱ければ、詳細なルールやプロセスを決めなければなりません
■03 海賊を雇え
・いちばん大きくて、いちばん重要な問題からつぶす
・小さな海賊チームが、レガシーシステムをぶち壊した
・戦場での、リアルタイムプログラム開発
・イノベーションを起こそうとしているのではなく、問題に気づいたらそれを解決しようとしているだけなんです
・障壁は、法的なものより、文化的なもののほうが多い
・海軍に入るよりも、海賊になれ
■04 製品をサービスに変えよ
・自社のビジネスモデルを破壊せよ
・自らの役割を根本から問い直す
・ノキアの教訓:世界有数のものを提供しているのだからわが社は安心だと考えるのは傲慢であり、危険な幻像である
・30以上のプロジェクトをスタートさせ、半分を打ち切りました
・外で起こっている変化にオープンになり、進路変更を厭わないこと
・人間は意識してつながりをつくるのであって、アルゴリズムや機械まかせにしたいとは思わない
■05 ムーンショットを狙え
・グーグルをもうひとつつくる
・キル・メトリックス(それを満たさなければ他の点がどうあってもプロジェクトを中止しなければならない決定的基準)という引き際
・実らないことのために、みんなの時間を無駄に使わせるべきじゃない
・エンジニアは技術を考え、研究者は理屈を考えたが、使う人のことが抜け落ちていた
・できないという思い込みを正しく無視する生き方
・解決策より問題に恋しよう
■06 未来をインキュベートせよ
・確立した企業はイノベーションを抑制する傾向があり、意思決定に時間がかかるし、組織文化が衝突する心配もあった
■07 夢でプロトタイプをつくれ
・何でも先延ばしできるが、幸福は先延ばしにしてはいけない、そして、政府の役割は国民の幸福である
・寛大さ、好奇心、創造性
・最初の要件は、夢をもつということでしょう
■08 プラットフォームを構築せよ
・国家は国境を越えていく
・これからは、国家はプラットフォームになる、プラットフォームととらえる必要があるのです
■09 ブラインドスポットを発見せよ
・背水の陣としての破壊的創造
・まだ顧客が求めていないこと、しかしやがて顧客が求めるとわかっていることを断行するには、相当な規律が必要です。しばらくの間、損益の数字は完全に逆転することを覚悟しなくてはならない
■10 データを収益に変えよ
・深夜1時から朝6時の間に申し込んだ人は、朝8時から、午後1時に申し込んだ人より、トラブルを起こしやすい傾向があります
■11 偶然の出会いを生むコミュニティを作れ
・人との距離が近いほど、研究成果が上がるという衝撃
・資本主義にのみこまれた、コミュニティ
■12 自社の価値を組み替えよ
・スプリントとは、アジャイル開発の用語で、決められた時間内に仕事を終わらせてレビューに供さなくてはならない集中的な取り組みのことだ
・なぜ、業界の枠を飛び越えて、他産業を破壊にしに行かないのですか
・当初のアプローチが間違っていたとわかれば、方向転換すればよいだけの話だ
・信用という最強資産を大切に運用する
・顧客との結びつきを失ったら、イノベーションは起こらない
・ここまでやったら顧客は離れる、という境界線の見極め方
■13 エコシステムを構築せよ
・会社を大きくして効率を落としたくないのです
■14 テクノロジーに賭けろ
・プラットフォーマーにならないと決めた理由
・新ビジネスへのハイスピードなPDCA
・データを個人に取り戻せ
■15 ビジネスモデルを拡張せよ
・新技術が成熟する以前の段階でリスクを取って投資を行っている
・フロンティア思考:確実性を欲する競合他社が進出してくるよりずっと早い段階で成長の機会をつかもうとする姿勢のことだ
・時代は常に1マイル先を行っているという認識
■16 危機をチャンスに変えろ
・絶対絶命のイノベーション
・消費者が、自分が買った商品を原料までさかのぼって追跡できる仕組みをつくれないだろうか
・消費者意識:消費者は生地の由来や品質に高い透明性を求めており、その情報を得るためには追加費用を払ってもよいと考えているという事実
■結論
・機敏に動くハイテクスタートアップが新しい顧客の需要をとらえれば、企業の歴史やブランド認知、培った信用もほとんど重要ではなくなる
イノベーションは、決して輸入できない
目次
PROLOGUE 「イノベーション狂」が集う夜
PART01 隠れたニーズを満たせ―「イノーバ・スクール」国の教育を建て直す民間企業
PART02 チームを奮い立たせろ―「アラップ」実現不可能な老舗ホテルの地下建築プロジェクト
PART03 海賊を雇え―「DDS」ペンタゴンを救うハッカー集団
PART04 製品をサービスに変えよ―「ポホヨラ病院」外科手術を行う銀行
PART05 ムーンショットを狙え―「X」グーグルを支える謎の秘密研究機関
PART06 未来をインキュベートせよ―「ティンダー」世界最大の出会い系アプリ
PART07 夢でプロトタイプをつくれ―「UAE」厳格な石油依存国の社会実験
PART08 プラットフォームを構築せよ―「エストニア」自ら国境を消そうとする国
PART09 ブラインドスポットを発見せよ―「オートデスク」誰もやらないことをやり遂げるソフトウェア会社
PART10 データを収益に変えよ―「郵楽」中国全土を市場化した小売ネットワーク
PART11 偶然の出会いを生むコミュニティを作れ―「フランシス・クリック研究所」壁のない病院と砂漠のシリコンバレー
PART12 自社の価値を組み替えよ―「カンタス航空」犬の散歩にポイントを与えた航空会社
PART13 エコシステムを構築せよ―「シャオミ」世界最大の市場を拡大し続ける「電話会社」
PART14 テクノロジーに賭けろ―「ヘスタン・スマート・クッキング」誰でもミシュラン並みの料理が作れるキッチン革命
PART15 ビジネスモデルを拡張せよ―「ナスパーズ」人種差別があった国のピボット戦略
PART16 危機をチャンスに変えろ―「ウェルスパン・インディア」市場最大の不祥事から生まれたリネンメーカーのイノベーション
EPILOGUE 真のイノベーションに共通していたもの
EXPLANATION 解説 アメリカ型イノベーションからの脱走
ISBN:9784478107409
出版社:ダイヤモンド社
判型:A5変
ページ数:560ページ
定価:2200円(本体)
2019年12月18日第1刷発行