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  • 獣心図
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    ジンギス汗の血を継ぐムガル王朝の真実 〈獣心図〉皇位継承をめぐる不満、対立で、陰謀、策略が渦めくムガル王朝宮廷。宮廷の住人、それも上層部になればなるほど、けだものに近くならざるをえない。宮廷に入れば、けだものの血がふくらみ、人間の血を追い出す。 『十人の人間一つの食卓を囲めど、二匹のけだもの一片の腐肉も共にしえず』(サァディ 若きころ諸国を旅した、13世紀イランの詩人) けだものには自制の心なし。ムガル王朝の宮廷は「獣心図」そのものであった。 ■尚文社版 電子書籍 好評配信中! 陳舜臣 歴史推理『方壺園』『九雷渓』ほか。
  • 梨の花
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    身に覚えのない事件に巻きこまれ 〈梨の花〉梨の花は一つの蕾から十個ほどの真っ白な花が飛び出す。それをスプレー咲きともいう。 中国・明王朝は日本人・倭寇の横行掠奪に大いに苦しんだ。そこで明軍が倭寇に用いて格別の効果を発揮した武具。それが「梨花槍」である。槍の先端に結びつけられた筒に噴射火薬をこめ、火をつけて発射、敵は眩惑して地に倒れ、火薬が尽きれば次は、槍として敵を倒すという。 大学の文化史研究所所員の浅野富太郎を婚約者で恩師の娘・坂谷芙美子が見舞った。論文執筆のため研究所に泊まり込んだ真夜中、何者かに襲われたのだ。ふいに痛みを覚えてはね起きたが、あまりにまぶしい光で眼がくらみ、短刀を振りまわす犯人から、傷つきながらやっと逃れたのだ。 他人に恨まれる覚えのない浅野。自分を取り巻く対人関係に何も心当りはなかった。 同じ恩師の門下生で芙美子に秘かに心寄せる川端義一。大学食堂の主人で「倭寇史」に詳しい中田祐作とその娘初子、など他には誰も。 誤解による怨恨としか考えられない事件に、ふいに一つの異様な想定がうかんだのだ。 ■おすすめ尚文社版 電子書籍 配信中! 陳舜臣 歴史推理『獣心図』『アルバムより』『大南営』ほか。
  • 九雷渓
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    読者に感動と熟思を 〈九雷渓〉はふしぎな河である。山にあたれば両岸がせまって急流となる。平地に出れば川はばがひろがり、しずかな流れになってしまう。急流のところで河は雷のような音をたてる。「九雷渓」という名は、そんな激流が九個所もあるという意味だろう。抒情詩人で激烈な革命家・史鉄峯を九雷渓の流れから連想できた。 満州事変(一九三一年九月)の翌年、日本は満州国の独立を宣言した。そして、一九三四年の春、蒋介石が率いる南京の国民政府は江西、福建の共産党軍に対して総攻撃をしかけた。このとき反政府組織の巨頭・史鉄峯は仲間の裏切りでつかまったといわれる。 裏切り者の末路は? そして史鉄峯の最後の身の処し方は? 「政治は思想であり従ってまた人間の取る行動である。それゆえに人間の健全な情熱の対象であって、小説の材料にもなることが、明らかにされている。だからこの小説を読んで感動するのである」(吉田健一「大衆文学時評」より)と評された名作。 ■好評! 尚文社版 電子書籍 陳舜臣 歴史推理『方壺園』『獣心図』ほか。
  • 方壺園
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    胸中の殺意を付(はか)る 〈方壺園〉中国大唐の元和十二年(八一八)早春。晩唐期の都・長安に貧家の出身ながら無から出発し五十をすぎて、長安屈指の富翁と称された塩商・崔朝宏(さいちようこう)の屋敷があり、その邸内に「方壺園」はあった。「方壺」とは方形の壺という意味だが、中国の古典「列子」では、神仏の住む海中の島のことであるという。 邸内の小屋では、鬼才詩人・李賀の従弟・李標が竹かご造りに励み、李賀の親友で同じく詩人の高佐庭が、父親の縁で、居候としていまでは方壺園を占領していた。 呉炎はもう一人の居候だが、ただの居候ではない。洛陽豪門の子弟で、呉炎の父は崔朝宏と親交があり、受験のために長安に滞在していた。洛陽の実家からは多額の仕送りがあった。 ある日、呉炎は長安の美妓・翠環を垣間見て、おかしくなった。だが、翠環の楼では詩がつくれなければ、相手にされなかったのだ。 その「方壺園」で殺人事件は起きた。 ■おすすめ尚文社版 電子書籍 配信中! 陳舜臣 歴史推理『九雷渓』『獣心図』ほか。
  • 大南営
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    現代人にも潜むある殺意 〈大南営〉中国清朝、甲午光緒二十年(明治二十七年)九月半ば。中国遼東の沙原の真中に島のように浮かんで見える台地に、清朝の兵営「大南営」はあった。かつてここに二万の軍兵がいたころは、さぞ騒々しかったことだろう。しかし、豊申亜将軍が師を率いて、日本軍と戦うために朝鮮へ出征したのち、大南営は空になってしまった。かつて兵隊で満ちた営舎は二百五十棟も並んでいるが、まるで草木のように声もなかった。 元長官司の王界は、後輩の顔基の要望で、砂塵と汗にまみれながら、かなりの強行軍で「大南営」を訪れたのだ。そこには顔基の同期生・劉応東も駐在していた。王界が大南営を訪れたその夜、劉応東は死体で発見されたのだ。 壁に貼られた中国詩人・王維の「空山不見人(空山人ヲ見ズ) 但聞人語響(但聞ク人語ノ響キ)」は何を語るのか。 どんなことがあっても立身出世をしてやろうと、一途に精励した男の前に立ちはだかったものは何か? ■好評配信! 尚文社版「電子書籍」 陳舜臣 歴史推理『方壺園』『アルバムより』『梨の花』ほか。

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  • アルバムより
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    秘められた慈愛の綻(ほころ)び 〈アルバムより〉鄭清群が死んだ。鄭清群は父親に劣らぬ人物として、戦争終結工作にかつぎ出されたのだ。鄭が誰の要請でうごこうとしたのか、私は知らない。私は家に帰って、二十数年前、はじめて鄭清群に会ったときのことを思い出していた。私は政治的通訳ではなく、神戸で三日間、休息する鄭清群の身辺雑事の通訳であった。 私は古いアルバムをとり出した。「一九三八年初夏」と書かれたページに、三枚の写真が貼ってあった。むかって左端に私。隣りに上海からついてきた李姓の専門護衛。中央に鄭清群。その右隣は鄭清群をかつぎ出した現役少佐・牛田。すこし離れて不安そうな面もちの鄭家の女中阿鳳が写っている。鄭清群の父親は暗殺され、母親も早くに失くしていた。彼を育てたのは阿鳳であった。 神戸で新たに坂井という日本人が護衛に加わった。頰に傷のある、ガニ股の男だ。 アルバムの中段の写真には新聞記者の古河と坂井が加わって七人が写っていた。 さらにアルバムの下段には、古河の撮った鄭清群と私の二人だけの写真があった。写真の鄭清群の目は光りを失っていた。 事件が起きた。神戸から参加した護衛・坂井が殺されたのだ。六甲の旧家の堅牢な邸宅は完全に密室状態だった。事件は公にはされなかった。いったい誰が? 何故の殺人だったのか? ■手軽に読む尚文社「電子書籍」 陳舜臣 歴史推理『九雷渓』『大南営』『梨の花』ほか。
  • 有栖川有栖選 必読! Selection1 招かれざる客
    3.3
    あなたはまだ“新本格作家”笹沢左保の恐るべき実力を知らない! 有栖川有栖がセレクトした、笹沢左保のベストミステリ。 多重トリックで翻弄する記念すべき長篇第一作。 【有栖川有栖さん、大推薦!】 密室×アリバイ×暗号×? いくつものトリックと罠を埋め込んだ1960年代の華麗な〈新本格推理〉。 この面白さは決して古びない! 裏切り者を消せ!――組合を崩壊に追い込んだスパイとさらにその恋人に誤認された女性が相次いで殺され、事件は容疑者の事故死で幕を閉じる。 納得の行かない結末に、倉田警部補は単独捜査に乗り出すが……。 アリバイ崩し、密室、暗号とミステリの醍醐味をぎっしり詰め込んだ、著者渾身のデビュー作。 虚無と生きる悲しさに満ちたラストに魂が震える。 〈トクマの特選!〉第一回配本。 〈目次〉 Introduction 有栖川有栖 招かれざる客 Closing 有栖川有栖
  • P+D BOOKS 青玉獅子香炉
    値引きあり
    -
    1巻500円 (税込)
    直木賞作品を含むミステリアスな短篇集。  辛亥革命後の中国で、ある宦官に清朝時代の宝物・青玉獅子香炉の贋作をつくってほしいと依頼された李同源は、名人の弟子というプライドを胸に、本物に勝るとも劣らない見事な品を彫り上げる。  真作として紫禁城内に収められた李同源の獅子香炉は、その後、国共内戦が激化したため、安全な場所に移送することに。獅子香炉にただならぬ愛着があった李同源も随行するが、宝物が入っているはずの箱を開けてみると……。  直木賞を受賞した「青玉獅子香炉」のほか、ラワン材のバイヤー・王究が日本に送ってきた恐ろしい材木を描く「年輪のない木」、アフガニスタンへ仏跡巡礼の旅に出ていた日本人高校教師が、現地で殺人事件に巻き込まれる「カーブルへの道」など、全5篇を収録。
  • 風よ雲よ 上下合本版
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    明朝末期のマカオ、美丈夫の野心家・鄭芝竜と、豊臣の遺臣・安福虎之助との運命の出会い。風雲児の生涯を描く壮大なロマンーー東に虎視眈々と機を窺う満洲族、西に流賊・李自成軍が迫る明朝末期、中国南部の港町・マカオで、二人の男が運命の出会いをした。美丈夫の野心家、生れながらの統領の器、鄭芝竜と、大坂落城時、脱出して蘇州の大商人の用心棒となった長身の浪人、安福虎之助である。壮絶な乱世に、南海制覇の野望に燃える男と、夢と生き甲斐を大陸に求めた男の人生の軌跡を描く、歴史長編。 『風よ雲よ(上)』『風よ雲よ(下)』上下巻合本版
  • 新装版 新西遊記 上下合本版
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    「西遊記」の世界をもっと語りたくなる名著! 快訳&紀行の名コラボーー東勝神州傲来国花果山の石から生まれた孫悟空は、天の玉帝をも恐れぬ暴れ猿。東海竜王からまきあげた如意棒を振り回し、妖怪退治。猪八戒、沙悟浄を連れた三蔵法師と西へ……。中国四大奇書の一つ『西遊記』。三蔵法師のモデル玄奘の足取りを辿った著者自身の西域紀行とのコラボレイトも愉しい好著!  『新装版 新西遊記(上)』『新装版 新西遊記(下)』上下巻合本版
  • 中国五千年 上下巻合本版
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    歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある。どのような人物が王朝をたて、どう政治をしたか。有徳と暴虐の交替、文化の差が政権を変える有様を、明快平易に語る史書。三皇五帝の神話時代から、祭政一致の神意国家、地方分権の封建制社会、秦の始皇帝による天下統一。再びの動乱、隋による再統一まで。 『中国五千年(上)』『中国五千年(下)』上下巻合本版
  • 中国の歴史シリーズ 近・現代篇 全2冊合本版
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    列強の蚕食に苦しむ清国では、甲午の役(日清戦争)の敗戦で不満が爆発。保皇派の康有為は公車上書を著し、立憲君主制を提唱する。義和団事変で8ヵ国連合軍が紫禁城に乱入し、権勢を誇った西太后も光緒帝(こうしょてい)と西安に逃れた。王朝打倒を目指す孫文ら若き革命家たちは集結を始める。 『中国の歴史シリーズ 近・現代篇(一)』『中国の歴史シリーズ 近・現代篇(二)』 全2冊合本版
  • レジェンド歴史時代小説 琉球の風 上下合本版
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    中国・明からの使節を迎え沸き立つ17世紀初頭の沖縄・琉球王国。だが、この国の平和は幕府を後ろ盾にした薩摩によって侵されつつあった。侵攻に膝を屈するか? 独立をかけて抵抗するか? そして宗主国・明は助けてくれるのか? 生き残りを賭けて琉球の闘いが始まる。 『レジェンド歴史時代小説 琉球の風(上)』『レジェンド歴史時代小説 琉球の風(下)』上下巻合本版
  • 山河在り 全三冊合本版
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    戦争前夜の日本と中国、荒波を生きる青年! 25歳の華僑青年・温世航は、関東大震災で被災。失踪した仲間を追う。巨匠が描く日中近代史ーー華僑貿易商の一族として、上海に生まれ日本で育った温世航(おん・せいこう)。25歳の時、関東大震災に遭う。未曾有の天災に、緊張状態にあった日中関係も良好になるかと思われた。だが朝鮮人虐殺の報は、両国関係に再び暗い影を落とす。仲間の青年の失踪事件を追って、世航は旅立つ。日中十五年戦争前夜を描く大河小説!  『山河在り(上)』『山河在り(中)』『山河在り(下)』全3冊合本版
  • 太平天国シリーズ全4冊合本版
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    太平天国の興亡を描く傑作大河小説。15年にわたり清朝を震撼させた争乱の発端ーーアヘン戦争から7年後、小乱が続き匪賊が横行する、物情騒然たる中国で、洪秀全が頭角を現わしてきた。エホバを天父と仰ぎ、清朝を排して世直しをめざす、拝上帝会の創始者である。信仰と理想に燃えて広西省金田村に決起した一党は、多彩な勢力も併合して、遂に、太平天国という「国」を樹立するに到った。 『太平天国(一)』『太平天国(二)』『太平天国(三)』『太平天国(四)』シリーズ4冊合本版
  • 新装版 阿片戦争シリーズ全4冊合本版
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    清朝末期。大英帝国の新興資本は、市場を求め中国進出を企てていた。彼らが流入させた阿片の暴利を貪る特権商人、官僚達の中に、国を憂う清廉潔白な実力官吏・林則徐と豪商・連維材がいた。明治維新を始めとした近代アジア史に強烈な衝撃を与えた事件を活写する陳文学の最高峰! 『新装版 阿片戦争(一)』『新装版 阿片戦争(二)』『新装版 阿片戦争(三)』『新装版 阿片戦争(四)』4冊合本版
  • 小説十八史略シリーズ全6冊合本版
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    夏に先だつ幾千年、中国中原に君臨した神々。時代は下り、やがて殷へ。暴君紂王を倒して次なる世界を開いたのは、周だった。その周も大動乱をへて、秦に統一される。――英雄は激動の時代に生まれる。大陸も狭しと濶歩したあまたの梟雄豪傑たち、そして美姫。その確執葛藤の織りなす人間模様を活写。 『小説十八史略(一)』『小説十八史略(二)』『小説十八史略(三)』『小説十八史略(四)』『小説十八史略(五)』『小説十八史略(六)』全6冊合本版
  • 中国の歴史シリーズ全7冊合本版
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    中国の歴史は奥深い。三皇五帝の時代から夏・殷へ、そして孔子や老子など諸子百家が輩出した群雄割拠の春秋戦国時代へ、数多の英雄が登場し、やがて消え去る。――覇権を争い、権謀術数の渦巻く滔々たる時の流れを、豊かな史料から考察し、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。 『中国の歴史(一)』『中国の歴史(二)』『中国の歴史(三)』『中国の歴史(四)』『中国の歴史(五)』『中国の歴史(六)』『中国の歴史(七)』全7冊合本版
  • P+D BOOKS 武蔵野インディアン
    値引きあり
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    1巻539円 (税込)
    武蔵野を題材にさまざまな明と暗を描く。 「おい、日清戦争の前の年まで、今の東京都下は神奈川県だったのを知っているか。……都下という言い方、いかにも東京白人の発想だ。植民地扱いじゃないか」 関東大震災後に郊外に移ってきたサラリーマンの子・太田久雄は、武蔵野にルーツを持つ中学時代の友人たちからそう指摘される。彼らは自らを「武蔵野インディアン」と称し、地に足がついておらず「紙とインクの世界しか知らない」都会の“白人”とは一線を画する存在だというのだ――。  武蔵野を題材に、都会と地方、戦前と戦後、保守と革新といった、さまざまなコントラストを見事に描出した珠玉作。
  • アリバイ奪取 笹沢左保ミステリ短篇選
    3.5
    アリバイが消えたとき、笑うのは誰だ? 没後20年。「木枯し紋次郎」だけじゃない、ミステリ作家の面目躍如。本格推理から、サスペンス、そして著者の真骨頂たる宿命小説まで、バラエティに富んだ作品8篇をセレクトする。 *収録作品 殺してやりたい 十五年は長すぎる お嫁にゆけない 第三の被害者 不安な証言 鏡のない部屋 アリバイ奪取 「笹沢左保君の活動ぶりはまことに驚異である。ここに集録されている作品などは笹沢君の実力を示すものであろう。「鏡のない部屋」は醜女の悲劇を扱った傑作だ(中略)。それにしても笹沢君の力量は、はかり知れないものがある。現在、推理作家中、最も多作をしているようだが、それでいて、駄作が見当らないから敬服のほかはない。」(『鏡のない部屋』〈宝石社、1963年〉に寄せた江戸川乱歩のコメント)
  • 「反復帰論」を再び読む
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    戦後アメリカの施政権下から日本に「復帰」する前の沖縄で1970年に誕生した、「反復帰論」の原点を知る本。日本への復帰運動の奔流の中、「反復帰論」は米軍基地を残したままの「復帰」を見つめ、沖縄が心情的に日本を「祖国」として希求することを拒否し、沖縄の真の自立とは何かを問いかけた。最初に「反復帰論」が登場した雑誌『新沖縄文学』(沖縄タイムス社)から8編の論文を再収録。誕生の背景と現代的意味の解説を2編収録した。筆者は大城立裕、珊瑚太郎(牧港篤三)、新川明、仲宗根勇、大江健三郎、池沢聡(岡本恵徳)、比屋根照夫、谷川健一。解説は小松寛、仲里効。
  • 愛人は優しく殺せ〈新装版〉
    -
    宮崎県西都市、次いで福島県喜多方市、さらに岐阜県関市で女性が殺された。 その三人を秘書兼愛人にしていた山林王の小木曾善造が逮捕される。しかし物証はなく、被害者の胸に書かれていた“壇ノ浦”という朱文字の謎だけが残った。 善造の一人息子・高広に頼まれた刑事の春日多津彦は、やがて三つの都市をつなぐ一本の糸、日本神話・三種の神器にまつわる謎につきあたるが……。 二時間のミステリードラマが好きな人たちなら、絶対ハマる要素たっぷりの長篇サスペンス!
  • 鴉五千羽夕陽に向う
    -
    1巻682円 (税込)
    カラスが主人公の、前代未聞の小説である。 ゴルフ場建設中の作業員詰め所で出る残飯目当てに、カラスがぞくぞくと集まってきた。その数、数千。 ゴルフ場オープンまでなんとか退治したいと決意した従業員たちは、猟銃、毒薬、果てはダイナマイトまで使った。 だが、危険を察知する能力の高いボスガラスは、人間たちの仕掛ける罠をことごとく見破り、かいくぐっていく。そしてついには、反撃にでる! 著者にしか描けない、人間とカラスが繰り広げる戦いは壮絶だ。見事な動物ロマン、必読である。
  • 地獄の辰 犯科帳
    4.0
    「水、水だよ…」袈裟掛けに斬られた夜鷹が遺した謎の言葉。両替屋の娘殺害の最後の目撃者だった。口封じめのためか。「水」の意味するものは?蛇蠍の如く嫌われる深川堀川町の岡っ引き辰造・通称“地獄の辰”。めっぽう切れる頭脳と二尺一寸の長十手が江戸の悪を抉り出し、断つ!

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  • 闇狩り人犯科帳
    -
    図体ばかり大きくて、ドジで間抜け、無精ったらしい男、源太。居酒屋の女将の情夫だが、岡っ引文次郎のお抱え下っ引として密かに情報収集を行なっている。しかし、彼にはさらに別の顔があった。闇の隠れる悪人を裁くという闇狩り人。人はそれを“音無し源”と呼んだ。

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  • 熊鷹
    -
    1巻682円 (税込)
    熊鷹とは、日本特有の種で、東北、日本アルプスなどで見られ、鷹の中で最大の大きさを誇る。本書は、この熊鷹を主人公に据えた、動物文学の傑作である! 物語は、北海道厚床で民宿を営む寿太郎が、尾白鷲の子を拾って帰る場面からはじまる。一郎と名付けられた尾白鷲は大切に育てられていたが、一般家庭での飼育が禁止されている天然記念物だったため、泣く泣く、動物園に引き渡すことになる。なぜかそれを機に、寿太郎にはいくつもの災厄が襲いかかり、ついには、故郷の秋田に帰ることを決意する。そこで、熊鷹の巣から取ってきた卵をかえし、熊鷹の狩人「乾坤」を育てていく!
  • ヤマケイ文庫 マタギ 日本の伝統狩人探訪記
    -
    動物文学の第一人者・戸川幸夫が昭和20~30年代に秋田県阿仁を訪れ、 山の戒律を受け継ぐ最後のマタギたちを記録したノンフィクションの名作を文庫化。 マタギたちとともに行き部会山に入って狩猟の現場を取材し、 往時の集落を訪れて衣食住や風習、マタギのルーツなどを精緻な文章と豊富な写真で記録した。 マタギのシカリ(頭領)の家に代々伝わっていた『山達根本之巻』の原文と現代語訳も公開。 ■内容 雪山をゆく 秋グマ狩り 狩座にて(マタギを追って/クマの行動/シロビレタタケ!) マタギの風土 根子スケッチ マタギの里(最後のマタギ村/根子紀行/村の移ろい) 秘物と信仰 狩り装束と道具 山入り 現代のマタギ マタギ風土記(始祖万事万三郎/山神さま/マタギ組/山達作法/当世マタギ/名うてのマタギ) 盆と正月 根子番楽 里のくらし 村の歳時記(行事・祭事/村のしきたり) 鷹狩り 名鷹匠と愛鷹 鷹匠――ひとりマタギ(名鷹匠・沓沢朝治/吹雪と老人) 備考 あとがき 解説 田口洋美 ■著者紹介 戸川 幸夫(とがわ・ゆきお) 1912年、佐賀県佐賀市生まれ。動物文学作家。旧制山形高校出身。 東京日日新聞(現毎日新聞)社会部記者を経て、文筆活動に入る。 1954、『高安犬(こうやすいぬ)物語』で第32回直木賞受賞。 1965年、沖縄・西表島でイリオモテヤマネコを発見。1978年、第28回芸術選奨受賞。 主な作品に『高安犬物語/爪王』『子どものための動物物語』『戸川幸夫動物文学全集』などがある。 2004年5月、逝去。
  • 隊長と犬係りと橇犬たち
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    西堀隊長率いる南極越冬隊。天候の悪化で、ソリを引く犬たちが……。という表題作のほか、山の中の狼、鷹匠と鷹、土佐闘犬、全部で4つの物語。動物文学を確立させた直木賞作家の腕が冴える傑作集。
  • 武四郎探検譚
    -
    動物文学の第一人者が、戦国・江戸時代の歴史的人物を描く、傑作短編7編。蝦夷地探検で名を残す幕末の探検家・松浦武四郎の大自然の中での行動を描いた表題作ほか、鉄砲伝来の種子島、織田信長、今川義元、武田勝頼など、ノンフィクション作家としても定評のある著者ならではの作品ばかり。
  • 武豪列伝
    -
    動物文学の第一人者にして、ノンフィクション作家としても多くの名作を残した著者による、12編の傑作。山岡鉄舟、千葉周作、沖田総司、嘉納治五郎などを見事に描いた作品。
  • 中国の歴史(一)
    4.4
    1~7巻1,012~1,100円 (税込)
    中国の歴史は奥深い。三皇五帝の時代から夏・殷へ、そして孔子や老子など諸子百家が輩出した群雄割拠の春秋戦国時代へ、数多の英雄が登場し、やがて消え去る。――覇権を争い、権謀術数の渦巻く滔々たる時の流れを、豊かな史料から考察し、祖国への愛と憧憬をこめて綴る中国五千年の歴史シリーズ。<全7巻>
  • 小説十八史略(一)
    4.2
    1~6巻902~1,100円 (税込)
    夏に先だつ幾千年、中国中原に君臨した神々。時代は下り、やがて殷へ。暴君紂王を倒して次なる世界を開いたのは、周だった。その周も大動乱をへて、秦に統一される。――英雄は激動の時代に生まれる。大陸も狭しと濶歩したあまたの梟雄豪傑たち、そして美姫。その確執葛藤の織りなす人間模様を活写。<全6巻>
  • 枯草の根/炎に絵を
    -
    1巻1,540円 (税込)
    乱歩賞受賞作と初期の傑作長編推理――乱歩賞受賞の処女長編でありながら、中国人名探偵・陶展文の活躍を、清新かつ簡潔で乾いた文体、独得のユーモア、優しく成熟した人間認識で描き、大人(たいじん)の風格を漂わせる『枯草の根』。余命いくばくもない異母兄の依頼で始めた父親の汚名晴らしに、産業スパイやドンデン返しを織りまぜて、完全犯罪を明らかにする、爽やかな『炎に絵を』。人間と人間の織りなす綾で読者を魅了する長編傑作推理2編。
  • 中国発掘物語
    -
    1~2巻660円 (税込)
    北京原人化石、殷墟発見など地中の夢を探る――北京原人、50万年前のヒト。第二次大戦時、その「遺骨」はどこへ消えたのか? ついに実在が証明された殷王朝、ではその前の夏王朝は? 20世紀に入り、中国では次々と新しい遺跡が発見され、発掘された。奴隷王朝の実態、青銅時代の流転、さまざまな墓陵の謎……。地中からの歴史の響きを詳細にさぐる。
  • 景徳鎮の旅 中国やきもの紀行
    -
    「やきもの」のもつふしぎな魅力。その魅力の謎をとく、陶磁の街そぞろ歩き。陶磁のふるさとに歴史の水脈を探る――中国の「やきもの」の歴史は古い。なかでも景徳鎮は、1000年も前から現在に至るまで、連綿と陶磁の製作生産をつづけている。芸術品から生活品まで、盛衰を経ながらも脈打ちつづけるその伝統と技術の跡を追って、歴史の水脈をさぐり、人々の美意識を、生活の変様を探索する。「やきもの」の街=景徳鎮そぞろ歩き。
  • 中国詩人伝
    3.5
    日本人にも親しまれている中国詩の巨星たち。最初の詩人・屈原から、中国革命の星・魯迅まで、明快に面白く描く詩人伝の決定版。熱気と自省、真情溢れる詩魂を語る――中国最初の詩人・屈原(くつげん)から、中国革命の星・魯迅(ろじん)まで、日本でも親しまれている中国詩の巨星たちの、詩と人生を語る名著。深い考察を、平明に面白く伝える著者の筆から、鮮やかに立ち現れる詩人たちの姿と心。激動の中国史に燦然と輝く詩魂が、現代の日本人の胸にひびく、詩人伝の決定版。李庚(りこう)が描く肖像画入り。
  • 結婚って何さ
    -
    係長に服装や行動にまで難癖をつけられ、遠井真弓(とおいまゆみ)と疋田三枝子(ひきたみえこ)は、臨時雇いの会社を辞めてしまった。憂さ晴らしにしこたま酔っぱらった2人は、3軒目のバーで、こちらも仕事を辞めたばかりの男と意気投合。3人で旅館に泊まったが、起きた2人が見たものは、ソファの上で死んでいる男だった。殺人事件と男女の恋愛が絡み合う長編推理小説。
  • 霧に溶ける
    4.5
    ミス・コンテストの最終予選に残った5人の美女が、最終審査を前にして、脅迫、交通事故、怪死……次々と謎の事件に巻き込まれてゆく。警視庁特捜班の追及が開始されるが、巧妙なアリバイ工作、鉄壁の密室など、複雑に絡み合った“犯罪連立方程式”が立ちはだかった。周到な伏線が、読者を不可能犯罪の迷宮へと誘う、笹沢本格推理ワールド決定版。
  • 悪魔の剃刀
    3.0
    「故萬田氏よ、お前を許さん」不気味な言葉を残し、失踪中の日本WHM社課長代理・安芸一弘が、死体で発見された。事件の真相を探る海老沢四郎。さらに安芸を慕う女性の白骨死体。苦闘する海老沢の前に、「萬田」と名乗る美貌の女性が現われた! 衝撃の真相! 非情な企業の論理! 先端企業の暗部に潜む病巣に、鋭いメスを入れた長編推理、野心作。
  • 骨牌の城
    -
    本郷家の嫁姑の対立は、日増しにエスカレートしていた。姑の加代子を追い出そうとする嫁のマスミ、姑もまた逆襲……。大蔵官僚の夫・高次(たかつぐ)は、インサイダー取引事件で家庭を顧みる余裕がない。その渦中、近所の人妻・大河原美子が殴殺(おうさつ)された。しかも凶器は高次のゴルフクラブだった! ――永遠の問題・嫁姑の対立と、ミステリーの見事な融合。新機軸の傑作長編。
  • 闇に踊る女
    -
    女の部屋へはいったとたんに、何となくいやな予感がした。女のちょっとした行為に疑問を覚えたのだ。過去に一度関係をもち、これは十年ぶりの再会。女はなぜ、男を求めたのか。(表題作)男と女のさまざまな出会いと別れが生むミステリー、そしてサスペンス。現代の人間社会を鮮やかに浮き彫りにする傑作小説集。
  • 日本遊侠伝
    -
    江戸泰平の世にあえて背を向け、渡世の掟と仁義に生きる男たち。国定忠治、幡随院長兵衛、新門辰五郎、吃安ら七人の侠客から町奴の波瀾の生涯を、時代背景をふまえながら克明に描いた力作。現代の男にとって侠客とは?
  • 夢ざめの坂(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    ある男の失踪。その軌跡の果てに浮かぶ謎は!? ――「文化教室」を営む浦上隆志を訪れた初対面の女性・杉坂房子は、こともあろうに、失踪した夫を探してくれと、隆志に頼む。その夫・伊庭潤は、1年前、水墨画教室に在籍したのだという。隆志の奇妙な失踪人探しが始った……。いつかおちいる房子との恋。その語らいの中に浮びあがる隆志の生いたち。滋味溢れる推理長編。<上下巻>
  • 柊の館
    -
    神戸異人館で青春を過した女性が語る恋の思い出、奇妙な殺人劇……。情趣あふれる連作推理――柊の樹に包まれ、神戸でも異彩を放つ「とんがり屋敷」は、イギリス系船会社の宿舎だった。そこに17歳で勤め、多くの外人たちと共に青春の充実したときを過した日本女性。彼女が語る古き良き昔の恋や奇妙な殺人劇、それは時代、人種をこえた愛憎ドラマとして清新に今よみがえる。異色の構成による、連作推理小説
  • 東眺西望 歴史エッセイ
    -
    寄せては返す歴史の波。営々とはてしのない悠久の流れ。古今東西人類万歳! 生ある地球を語り救う思想と人物! ――古今東西、人類は果てしない歴史の営みを継続してきた。秦の始皇帝陵のおびただしい兵馬俑、草原に展開する遊牧と定住のドラマ……。文明の波は全世界に寄せては返し、人間存在の重みを証明している。過去・現代・未来への流動と息づきを、地球規模で展望し、人の英知と歴史の知恵を模索する名エッセイ。
  • 長安の夢
    -
    長安の春秋、唐代の人間模様。夢結ぶ花の都、ローマと並ぶ最大の都の全容。華やぐ長安。さんざめく最大の都! ――長安には、春がふさわしい。漢の時代から、長安は、はなやいだみやこであった。そして唐代には、ローマと並ぶ最大の都だった……。日本にも馴染の深い白居易、李白、杜甫、王維らの詩眼を通して、いにしえの夢のみやこの全容を浮きぼりにする。「西域巡礼」「三蔵法師の道」を併録し、シルクロード、天竺への道をも紹介。
  • 太平天国(一)
    5.0
    1~4巻660円 (税込)
    太平天国の興亡を描く傑作大河小説。15年にわたり清朝を震撼させた争乱の発端――アヘン戦争から7年後、小乱が続き匪賊が横行する、物情騒然たる中国で、洪秀全が頭角を現わしてきた。エホバを天父と仰ぎ、清朝を排して世直しをめざす、拝上帝会の創始者である。信仰と理想に燃えて広西省金田村に決起した一党は、多彩な勢力も併合して、遂に、太平天国という「国」を樹立するに到った。<全4巻>
  • 三色の家
    -
    海岸通りでひときわ目立つ三色の建物は、海産物問屋の同順泰公司である。ここの3階にある干し場で、コックの杜自忠が殺された。出入口2ヵ所には家人がいたのに、全然気付かぬという。杜の人生は苦難に満ちていた。公司の主人の親友である陶展文の鋭い推理と調査が始まる。神戸を舞台にしてのびやかに描く長篇推理。
  • 英雄ありて
    -
    中国史の英雄に出会う旅。史記、三国志、唐詩、西遊記、水滸伝に登場する魅力的な人物とその舞台を語る好著。中国史上の雄大な人間ドラマを活写――史家や軍略家が主命を奉じた苦難の旅、皇帝の大旅行、飢えと非礼の中の亡命者の旅、刺客の悲壮な旅、詩人たちの異郷の旅……。中国史上の英雄たちの旅の現場を辿り、雄大な歴史と風土を目のあたりにする好著。天下を争う人々の興亡を俯瞰し、人間の悲劇に対する深い洞察を読む、興趣尽きない歴史エッセイ集。史実の重みと自由な空想の醍醐味を味わう!
  • 妖のある話
    -
    中国史を彩った美女の魔力。美女に迷って暴走する男たちの本性と、女の妖態を軽快につづる女性論エッセイ。女の「妖しさ」はどこからくるのか? ――美女には、時代によって、はやりすたりがあり、好みにも個人差がある。男心をかき立てる「妖女」の魅力とは何? 少女が見せる妖、男装の女武人の倒錯美、愛らしい醜女の心根、病身美人の抗しがたい良さなどなど、男を刺激し翻弄する、妖しくも愛すべき女。博識のフェミニストが軽快に、女性の魅力を語るエッセイ集。
  • 北京の旅
    4.0
    首都の輝き、首都の威厳。北京千年の歴史、文化、風俗を伝える魅力の旅行記。千年の歴史を秘める中国首都を探訪――中国の首都として、千年の歴史を秘める北京。そこは時の流れの風化、人の世の変転のなかで、いまなお首都の輝き、首都の威厳を失わない。まちには人々の精気が、活気がみなぎっている。歴史の遺跡をたずね、文明の源流を求めて雄大な王城の地をくまなく逍遙し、肌で感じた北京のすべてを伝える好紀行。
  • 風よ雲よ(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    明朝末期のマカオ、美丈夫の野心家・鄭芝竜と、豊臣の遺臣・安福虎之助との運命の出会い。風雲児の生涯を描く壮大なロマン――東に虎視眈々と機を窺う満洲族、西に流賊・李自成軍が迫る明朝末期、中国南部の港町・マカオで、二人の男が運命の出会いをした。美丈夫の野心家、生れながらの統領の器、鄭芝竜と、大坂落城時、脱出して蘇州の大商人の用心棒となった長身の浪人、安福虎之助である。壮絶な乱世に、南海制覇の野望に燃える男と、夢と生き甲斐を大陸に求めた男の人生の軌跡を描く、歴史長編。<上下巻>
  • 敦煌の旅
    -
    大らかなロマンを秘める敦煌千仏洞。その偉容を訪ね中国史の奥行きを探る。中国西域の歴史。大佛次郎賞受賞作――シルクロードの途上にあるまち、敦煌。かつて、天竺にむかって三蔵法師玄奘や法顕がたどり、ラクダの隊商が往来した西域のまち、敦煌。大らかなロマンと悠久の歴史を秘めて息づく莫高窟。念願かない、その地を訪れることのできた著者が、胸を燃やしその胸の炎の輝きを情熱こめて綴る旅行記。第3回大佛次郎賞受賞作。
  • 相思青花(上)
    -
    1~2巻660円 (税込)
    青花とは染付の中国名。美しい焼き物に秘められた人間の愛と宿命、日中の歴史の謎。時空を超えて展開する雄大なロマン、アジアの大戦史を舞台に展開する恋愛長編――不思議な物語は、イスタンブールのトプカピ・サライ博物館から始まった。10年間の結婚生活の後、商社員の夫がロンドンで急死した奈美。ハネムーンの地で中国陶磁器の前にたたずむ奈美に、端正な中年の紳士が話しかけてきたのである。夫の急死から立ち直ろうと、実家に伝わる青花(染付)の謎を追う奈美に、その男・林輝南は、清朝末期の青花にまつわる愛の秘話を教え、二人は調査を進めてゆく。<上下巻>
  • 旋風に告げよ(上)
    -
    海賊王と日本女性との間に生まれた鄭成功は、崩れゆく明王朝のために、若い情熱を燃やす――福建の海の実力者・鄭芝竜を父に、日本女性を母にして、長崎で生まれた鄭成功は、父ともども明朝復興のためにたたかう。折しも中国大陸は、弱体化した漢民族の王朝(明朝)が叛乱軍にかき乱され、その混乱の機に、北から満洲族の侵攻を許し清朝が誕生しようとしていた。鄭芝竜は投降するが、大目標へ若い情熱を燃やす鄭成功の気力は衰えない。強力な水軍を率いて、ついには清朝とオランダから台湾を解放する。水軍の若き将である鄭成功の前途は? 国姓爺こと英雄・鄭成功の劇的な生涯を描く歴史ロマン巨篇。<上下巻>
  • 戦国海商伝(上)
    3.0
    1~2巻660~691円 (税込)
    時代を動かす海の男の物語。海洋歴史小説――戦国乱世の日本。天下を狙う群雄が、軍資金づくりの密貿易にはしっていたころ、中国には明朝打倒に燃える豪商の集団があった。彼らは水上生活者に身をやつし、倭寇と組んで着々勢力を扶植する。奇しき人生を生きる毛利の落し子の運命を軸に、中国と日本をむすぶ戦国の水脈を描く、海洋歴史ロマン。<上下巻>
  • 弓の部屋
    -
    夏の夜の神戸を彩る生田神社の花火。それを、異人館のボウ・ルーム(弓の部屋)から眺める男女の間で、突如、殺人が……。被害者は、メイド・光子の夫の山中。彼は、電灯を消した一瞬にすり替えられたコップを口にして、毒殺された。捜査の進展につれ、居合わせた人々の過去が、次々にあばかれて……。神戸情緒あふれる、本格ミステリ。
  • 闇の金魚
    -
    日本への留学を終えて帰国した童承庭は、政商・永源昌の店で働きながら、反体制運動のレポ役も果していた。が突如、妻が何者かに拉致された……。陰謀錯綜の歴史の裏を暴く長編ミステリ――妻が拉致された。その報をもたらした男が示す紙片には、「とらわれたが拷問には屈しない」とある。確かに妻の筆蹟だ。反体制運動のレポ役・童承庭は、ふるえた。誰が何のために仕組んだ罠なのか? 清朝が倒れ、孫文らの革命勢力が勃興する中国、多様な主義思想の錯綜する歴史のヒダに、推理のメスを鋭く入れる長編。
  • インド三国志
    3.5
    インド帝国はなぜ滅亡したのか? インドは「我が青春の一部」と語る著者が、東インド会社に屈した謎を描く――生き残る王子はたった一人。流血が王位継承の伝統であったムガル帝国に、東インド会社を尖兵としたイギリスの魔手が迫る。アヘン戦争、明治維新へと続く歴史の前哨戦として、300年を越えるムガル王朝滅亡のひき金をひいたのは誰か……。インドは「我が青春の一部」と語る著者が、熱き思いをこめて描く長編歴史小説。
  • 中国五千年(上)
    3.0
    1~2巻712円 (税込)
    歴史の要点は、政権(王朝)の興亡にある。どのような人物が王朝をたて、どう政治をしたか。有徳と暴虐の交替、文化の差が政権を変える有様を、明快平易に語る史書。三皇五帝の神話時代から、祭政一致の神意国家、地方分権の封建制社会、秦の始皇帝による天下統一。再びの動乱、隋による再統一まで。<上下巻>
  • 山河在り(上)
    4.0
    1~3巻785円 (税込)
    戦争前夜の日本と中国、荒波を生きる青年! 25歳の華僑青年・温世航は、関東大震災で被災。失踪した仲間を追う。巨匠が描く日中近代史――華僑貿易商の一族として、上海に生まれ日本で育った温世航(おん・せいこう)。25歳の時、関東大震災に遭う。未曾有の天災に、緊張状態にあった日中関係も良好になるかと思われた。だが朝鮮人虐殺の報は、両国関係に再び暗い影を落とす。仲間の青年の失踪事件を追って、世航は旅立つ。日中十五年戦争前夜を描く大河小説! <全3巻>
  • 北京悠々館
    -
    時は清末、日露の風雲急を告げる明治36年、初秋の北京に、ある任務を帯びて下り立つ美術商・土井策太郎。露清撤兵協約の再締結! 批准? 対露開戦の大義名分を失うのを恐れる日本は、巨額の金で清朝要人の買収を工作、舞台は「悠々館」。だがパイプ役は、完全密室で殺害、同時に金も消失し……。腐敗と無策を孕む国家の末期症状で、事件は謎を深める。本格推理と歴史小説が見事に結合結晶した会心の作。
  • 孔雀の道
    -
    英国人を父、日本人を母として生まれたローズ・ギルモアは、13年ぶりで日本を訪れた。彼女が幼い頃、神戸の自宅で謎の焼死を遂げた母のことを知りたかった。戦前の日本でスパイ事件に関与したことのある父は、なぜか母について沈黙を続け通して他界した……。国際色豊かな現代史ミステリ。日本推理作家協会賞受賞作。
  • よそ者の目
    -
    外国からどう見られているかに過敏な日本人を、同じアジア人の視点であえて語る快著。中国的立場から作家の目で見た日本人論――よそ者(外国人)が日本について発言するとき、たいてい強い反撥を喰う。放っておいてくれ、というわけだ。そのくせ、外国からどういう目で眺められているか、日本人はひどく気にする。島国からくる過敏性であろうか。中国的なものの考え方から、同じアジアの日本人の動向を綿密にとらえる、深甚なるエッセイ集。
  • シルクロードの旅
    -
    ロマンの香り溢れる西域の秘境の旅路。西欧と中国、さらには日本にまでつながるシルクロ-ド。厳しい自然と闘いながら、先人たちが営々と築いたこの東西交流の道をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあと、歴史の息吹きをたどる――中国西域。広大な自然と厳しい環境の織りなす天然の神秘。シルクロードは、そのまっただなかを延びている。西欧と中国、さらには日本にまでつながり、文化と風俗と人情と……あらゆる人間の営みを交流させたシルクロード。先人たちが営々と築いた秘境の旅路をたずね、いにしえ人の夢と憧憬のあとをたどる。
  • 恋をする女たちへ
    -
    捨てられた、裏切られた、騙された、といった言葉が、いまだに女性の間に、当然のことのように通用している。何とも不思議なことだ。いったい、現代の若い男女に、恋愛や結婚というものがわかっているのだろうか? ――愛の実践経験豊かな著者が、初めて愛の諸問題(男女の心理や生理)を、徹底的に告白・検討して教える、長編ラブ・ガイド・エッセイ。
  • 時計の針がナイフに変わるとき
    3.0
    「お前が48時間以内に自殺すれば娘は解放する」……刻一刻と迫る時間が、ナイフのように光る! 一人娘を誘拐犯から救う手段は……。――一人娘の香織(3歳)が誘拐され、父親の夏八木鉄人に「お前が自殺すれば娘を解放する」という脅迫状が届いた。誘拐犯は、自分の妻が夏八木に殺されたと誤解し、彼の生命と引替えに娘を返すという。香織を救うには、48時間以内に真犯人を突きとめるしかない。刻一刻迫る娘の危機。息づまる長編推理小説。
  • 死の追走 次は誰か
    3.0
    連鎖する「死」と心の闇を描く傑作。レイプ殺人を皮切りに次々と……――一人娘をレイプ殺人で失った老夫婦宅に、事件が時効を迎えたあと、毎月送られる10万円。贈り主は、いったい誰なのか……。次々と連鎖するように起こる人の死と、それにまつわる謎を解き明かしながら、人間の心に宿る悲しみを描いたミステリー連作。鋭い文章が冴えわたる、笹沢文学の新傑作!
  • もしもお前が振り向いたら
    -
    哀しい宿命に泣く男女の悲劇を描く、愛の長編ロマンティック・ミステリー――バーのマダム殺しの犯人は、8年前の作曲家殺しの犯人と同一人物なのか? 幾重にも仕組まれた鉄壁のアリバイを、刑事が崩したとき、容疑者は鉄道自殺! 事件はこれで解決したかに見えたが、それは新たな、より大きな謎の始まりだった……。真犯人は、まったく別の所で成功者となっていたのだ。都会派ミステリー長編傑作。
  • 夕暮れ 夜明日出夫の事件簿
    -
    ドジなヤクザ3人組が奪った車の荷物は、男の右腕。夜明が解いた真犯人の謎。3人組に泣きつかれた夜明の秘策は? ――男2人と女1人のドジなヤクザ3人組が、借金取立てのために車を強奪した。ところが、車のバッグの中から、切断された男の右腕が出てくる。3人組は警察に追われ、組織からも見放されて、自力解決あるのみ。リーダーの男は打開策を求めて、刑事時代のライバル・夜明日出夫を頼った。真犯人を暴く方法は何か?
  • 夜明け
    -
    名探偵・夜明日出夫のアリバイ崩し! 美人OLを熱海へ車で送った夜明探偵。熱海にいた女が、同時刻に那須で殺人? ――元警視庁随一の敏腕刑事で現タクシードライバーの夜明日出夫は、ある晩、熱海まで美人OLを乗せた。だが彼女は、同時刻に起きた那須別荘殺人事件の容疑者であった。OLのアリバイを証言する最有力の証人である夜明自身が、皮肉にもアリバイ崩しに挑むハメに陥る。ニヒルでシャイな名探偵夜明の推理の答は!?
  • 泡の女
    -
    義父殺しの容疑で逮捕された夫の無実を信じ、空白の時間を追求する妻。彼女を待ち受ける非情の罠! ――木塚夏子の父・重四郎が、茨城県大洗海岸で死体となって発見され、夏子の夫・達也が容疑者として勾留された。夫を信じる夏子は、懸命の努力でアリバイ証明に奔走し、達也の無実も明らかになったかと思えたが、ある重大事実も判明し、彼女の不安も極点に達する。夫婦の愛の虚妄を非情に描いて深い余韻を残す、長編推理の傑作。
  • 突然の明日
    -
    白昼の交叉点で女が消えた、と口走った直後に、凉子の兄は殺された。消えた女とは、兄の元愛人・緋紗江。凉子は、兄の親友・瀬田の協力を得て、犯人追及を試みる。鍵をにぎる緋紗江の行動は、九州へも拡がっていた。そのアリバイを調べる凉子たちの身に、衝撃的な「突然の明日」が襲う! アリバイ崩しを主題にした、著者会心の作。
  • 昼下がり 夜明日出夫の事件簿
    -
    アリバイ崩しに挑戦する夜明の推理。社長邸で軟禁状態の女が夜明に助けを求め…。距離と時間の謎と格闘する夜明探偵が、不可能殺人のアリバイを崩す! ――助けてください……と、夜明日出夫のタクシーに乗り込んできた美女の背後には、限りなく巧妙な罠が潜んでいた。元警視庁の敏腕刑事からタクシードライバーに転身した夜明は、殺人事件の容疑者のアリバイ、9時間の空白を埋めるべく、愛車を駆る。距離と時間の壁と格闘する夜明の、冴えわたる推理が犯人を追いつめる!
  • 衝動ゲーム
    -
    不条理な現代に、ひそかに急速にはぐくまれる犯罪の、意外な結末を描く傑作推理6編。若者たちの殺意の深層をえぐる! ――現代の若者たちが引き起こす、殺人や心中や復讐の数々……。はたしてそれらの理由は、何なのか? 不条理なこの社会の中で、ひそかに、しかし急速に育まれる犯罪や、意外な結末の事件や、美談の背後、深層にある真相・真実を、ミステリー・タッチで描き解く、著者会心の推理連作6編を収録。
  • 傷だらけの放浪
    4.0
    大富豪の殺害を巡り、逃げる美貌の養女と追う若き刑事。笹沢ロマン・ミステリーの会心作! ――殺人容疑の汚名を晴らす、人間の執念と愛の葛藤。……大学の理事長で億万長者の江口正次郎が殺され、捜査の手は一族にのびる。だが、それぞれに不審な点のある、近親者たちのアリバイ捜査の結果は、二転三転する。一方、担当刑事の一人である若き矢代は、被害者の養女で美貌の千秋を、ぴったりとマークしていた……。
  • 結婚って何さ
    -
    必死の逃亡者となった元OLが、恐るべき謎の殺人事件を解く、サスペンス&ロマン・ミステリーの傑作長編――行きずりの男と一夜をともにした女が、いつの間にか殺人事件の容疑者に仕立てられていく、その戦慄すべき罠。彼女は身内も友人もすてて、たった一人、狂わされた自分の人生をみずから修復すべく、逃亡と真犯人探索の旅へと出立する……。
  • 一方通行 夜明日出夫の事件簿
    -
    アリバイを見事に崩していく夜明の推理が光る! 妻が殺された時刻に、夫は夜明のタクシーの客だった。隠されたトリックを次々と暴き、元刑事のタクシー運転手が大活躍! ――東京から九州まで、何とタクシーで! そんなバカげたことをした男の妻が殺された。殺害時刻を考えれば、その男を乗せた運転手の夜明日出夫は、重要なアリバイ証言者となるはずだった。が、そこは、さすが切れ者の元刑事。事件の裏に隠されたトリックをひとつひとつ暴き、真犯人を見事、追いつめて行く!
  • シェイクスピアの誘拐
    -
    名優が舞台から美女に投げたメッセージが怪事件の幕あきになった! 8つのトリックを駆使した推理連作――ハムレットを演じる名優・上杉夏也が、舞台上から美貌の人妻・柏原絵美に投げた謎のメッセージ。演出家・松永連太郎は、その陰に、絵美の一人息子の誘拐事件が存在すると知る。暗号を解かなければ、絵美の子は助からない……。推理界の鬼才が8つのトリックをちりばめて描く、華麗な連作ミステリー。
  • 炎の虚像
    -
    赤い悪魔が闇を刺す! ――テレビ界の実力者・加古川が、自ら演出する大作の撮影をすっぽかした。代わりを女性ディレクターがつとめ撮影は進行したが、その頃、加古川は交通事故に会い、新進女優の家で眠り続けていた。加古川へテレビ界の風当りは強い。しかも今度は、新進女優の死。事態は謎めく一方だ。テレビ界に巣喰う野望を描いた傑作推理。
  • 新装版 新西遊記(上)
    4.0
    1~2巻680~691円 (税込)
    「西遊記」の世界をもっと語りたくなる名著! 快訳&紀行の名コラボ――東勝神州傲来国花果山の石から生まれた孫悟空は、天の玉帝をも恐れぬ暴れ猿。東海竜王からまきあげた如意棒を振り回し、妖怪退治。猪八戒、沙悟浄を連れた三蔵法師と西へ……。中国四大奇書の一つ『西遊記』。三蔵法師のモデル玄奘の足取りを辿った著者自身の西域紀行とのコラボレイトも愉しい好著! <上下巻>
  • 追越禁止 夜明日出夫の事件簿
    -
    老女を乗せて岩手まで車を駆った夜明は、若い女の変死に遭遇し、遺書の謎を解く。お馴染の夜明名探偵、東北でも大活躍! ――地上げ屋によるゴルフ場造成のトラブルに巻き込まれた老女を、自分のタクシーに乗せて岩手県一関へ赴いた夜明日出夫は、彼女の遠縁の娘の変死に遭遇する。その女の土地は、夫によって勝手に売却されていた。死体の口にはヒイラギの花ビラが……。残された遺書と花ビラから、夜明は老女のために犯人を暴こうとする。
  • 神戸 わがふるさと
    -
    ともに歩んできた光あふれる美しい町よ! 復興へのメッセージ――神戸の坂なら、たいてい海がみえるのである……。戦前の水害、灰燼(かいじん)に帰した空襲、そして阪神淡路大震災。神戸は幾度も大きな災厄に見舞われてきた。そのたびに耳にした人々の慟哭と復興への槌音。この美しい港町で歩み続けてきた著者の熱いメッセージが込められた、エッセイ&神戸が舞台の初期短編小説9編。
  • 小説十八史略 傑作短篇集
    4.7
    中国史の精華を味わう魅惑の作品集、ロングセラーの特別篇――春秋から三国時代を経て、隋・唐、南宋。中原に覇を競った人びとを活写し、今なお多くの読者を魅了する『小説十八史略』。のちの始皇帝、秦王(しんおう)暗殺を命じられた荊軻(けいか)。金の都で蒙古から史書を守る宿命を負った宋人・王勉(おうべん)をはじめ、孟嘗君(もうしようくん)、楊貴妃(ようきひ)など、「十八史略」の時代に生きた人物に光をあてる、歴史小説コレクション。
  • アリバイの唄
    3.5
    元刑事の夜明日出夫が車を駆って犯人を推理――孫悟空タクシーのドライバー・夜明日出夫は、38歳。3年前まで、警視庁捜査一課の警部補だった。ある晩、夜明が乗せたカップル客の女の方が、3週間後に殺された。容疑の濃い美貌の女は、夜明の幼なじみで、逗子の豪邸にいたという鉄壁のアリバイがある。最後に夜明が解く、前代未聞の大トリックとは、いったい何か?
  • 獅子は死なず
    -
    人びとの心に焼きつくあざやかな生涯。著者秘蔵の好短篇集――ネールの好敵手として生涯をインド独立に捧げたチャンドラ・ボースの決死行(「獅子は死なず」)。投獄を恐れず、上言し続けた江南の一県尉(けんい)・梅福(ばいふく)は、普陀山(ふださん)でなぜ仙人伝説を残したか(「梅福伝」)。ひたむきに生き、今なお東洋の人々の胸を熱くする感動の数々。著者秘蔵の短篇集。<『わが集外集』改題作品>
  • 木枯し紋次郎
    -
    1巻484円 (税込)
    あの木枯し紋次郎がコミックで蘇る。しかも作画は子連れ狼の小島剛夕。 笹沢佐保原作の大ヒット時代劇から、最も人気のあるエピソード、赦免花は散った、女人講の闇を裂く、湯煙に月は砕けた、川留めの水は濁ったの4編を収録。
  • 多聞天踏魔像
    -
    1巻550円 (税込)
    芦屋にある酒造元・桜井家は中国美術品の蒐集で高名である。美術品リスト『桜獅子名品帖』のなかでも、敦煌莫高窟からもたらされた『多聞天踏魔像』は逸品として知られていた。敦煌には千仏洞がある。そこの鳴沙山の崖面に四百九十以上の石窟寺院のあとがあり、それらは、美しい壁画で四方の壁および天井が飾られている。壁画と塑像のほかに、敦煌には世界の宝ともいうべきものがあった。数万巻におよぶ仏典、史書、典籍、仏画、いわゆる敦煌に花咲いた文明が封じこめられていたのだ。そして『多聞天踏魔像』も。封じ込められた文明は九百年近くも、とり出されなかったのだ。
  • 桃李の剣
    -
    1巻550円 (税込)
    芦屋にある老舗の造り酒屋・桜井家は中国美術品の名高い蒐集家であった。その収蔵リスト『桜獅子名品帖』に刀剣は数本しかなかった。それが『桃李の剣』といわれるものであった。明朝の初代永楽帝の即位に足利義満が皇帝護身刀として贈ったものである。 明朝は満洲族の清にほろぼされたが、しばらく抵抗がつづいた。清朝はこの種のレジタンスを徹底的に弾圧した。抵抗運動は地下に潜らざるをえなかった。そこでさまざまな秘密結社が生まれた。「桃李の剣」はその種の秘密結社のあいだに語り伝えられた物語である。そしてさらに、清朝滅亡の大立者といわれる袁世凱と西太后にも「桃李の剣」は影響を与えたといわれる。
  • 漢古印縁起
    -
    1巻550円 (税込)
    芦屋にある造り酒屋の桜井家は中国美術品の優れたコレクターである。最近では印章も印譜とともに『桜獅子名品帖』に加えられた。なかに丁敬(ていけい)つくるところの金農(きんのう)の印章があり「丁敬仿漢」と刻まれていた。 金農は揚州八怪の代表で、十八世紀の中国美術の最高峰といわれ、丁敬も著名な文人である。二人は同時代の同郷人で緑の深い仲であった。丁敬は漢印の字を研究していた。漢印の大部分は金属印であった。乾隆年間の一時、丁敬は寧波(ニンポー)の豪商・范家に寄宿していたことがあった。范家では、貨幣を鋳造する重要物資の銅を日本から輸入していた。物語りは寧波の豪商范家に伝わる漢代古銅印をめぐる歴史秘話である。
  • 思い出の壁
    -
    1巻550円 (税込)
    江戸初期からつづく造り酒屋の桜井家は、中国美術品の蒐集家として知られる。収蔵品リスト『桜獅子名品帖』に陶片もあった。それは額のなかにはいっていたが、白のタイルのうえに陶片がはめこまれたものだった。鎌倉の海岸から宋磁の陶片がよく出たことは知られている。鎌倉に幕府が置かれたころ、宋の貿易船は陶磁器を積んで来航した。だが、途中で割れてしまうものがあり、陶磁のかけらは海に投げ棄てられたという。その鎌倉の浜から拾った陶磁片を買い集め、我が家のタイルの壁にちりばめたものだという。旧伯爵家のものといわれる壁にはめこまれた陶磁片には、思いもよらぬ物語が秘められていた。
  • 夜叉歓喜変
    -
    1巻550円 (税込)
    旧い造り酒屋で銘酒『桜獅子』の醸造元・芦屋の桜井家は中国美術品のコレクターで、収集リスト『桜獅子名品帖』は桜井家の誇りでもあった。だが、その『桜獅子名品帖』にも記されない逸品があるという。 それが中国版画の夜叉図と歓喜変である。 中国の版画は、清代から蘇州で栄えた。版画は桜井家の隠居が若いとき、蘇州に遊行した折りに入手した心うつものという。その物語は意外な展開をみせ、後日譚も控えていた。
  • 日本早春図
    -
    1巻550円 (税込)
    江戸初期からつづいている造り酒屋で、銘酒『桜獅子』の醸造元である芦屋の桜井家は、中国美術の名品を、代々、蒐集してきた。その桜井家に残された美術品リスト『桜獅子名品帖』に記された『日本早春図』の流転のものがたりである。 『日本早春図』の作者は、呉中四才子といわれた中国・蘇州生まれの無頼派唐寅*とういん*だ。当時の蘇州は、絹織物製造の中心地で、豪商が多く財力がゆたかで、そこに爛熟した芸術が花ひらいたのだ。唐寅*とういん*は時代の子であり、土地の生んだ才能でもあった。 しかし、日本に来たこともなかった蘇州の唐寅が、なぜ日本の景色を描いたのか? 名品に隠された謎を史実をもって語りあかす。
  • 沈黙の追跡者〈新装版〉
    4.0
    大手観光会社社長の自家用機のお抱えパイロットをしている朝日奈順は、 九州から東京に一人で戻る途中、燃料洩れのため、海上に墜落してしまう。 運良く離島の漁師に救われ、助かるが、事故のショックから失語症になってしまった。 一カ月後、東京に戻った朝日奈は、衝撃の事実を知る。 すでに死亡届が出されており、 しかも同乗していなかったはずの社長が墜落死したことになっていた。 暗殺計画 近づく三人の女。 そこに隠された真実。 傑作サスペンス。 第一章  背を向けられた男 第二章  笑わない女 第三章  女たちの告白 第四章  影の気配 第五章  空と海に燃ゆ
  • 焼け跡の高校教師
    3.5
    戦後占領下の沖縄。大学を中退し米軍諜報機関の翻訳作業についた私は、仕事に倦んで教師へと職を変えた。赴任先は、校舎も教科書もない高校。だが、日本の影響を受けないここで、国語ではなく“文学”を教えたい。自分の創作戯曲を生徒達に演じさせようと考える。物はないが、もう戦争はないという開放感に満ち溢れた時代の少年少女と教師を描く。著者が自分の一番輝いていた時と回想する自伝的小説。
  • 遅すぎた雨の火曜日
    3.0
    亡くなった養父と無念な思いを抱えたまま死んだ養母の復讐のため、彼の息子を誘拐した女。それは意外な展開に……。 雨の降る火曜日、二十三歳の花村理絵は二年前から続いていた上司との関係に終止符を打った。会社にも退職願を出した。長年住みなれた家も出た。それもこれも過去を消して、死んだ養父母の復讐を果たすためだった。医は算術を地で行く小田切病院の長男・哲也を誘拐し、身代金を要求するのだ。哲也は二十一歳。女の理絵に果たして誘拐は可能か?
  • 死にたがる女
    3.0
    井戸警部の夢の中に、六年前に自殺した身元不明の女性が現れた。その直後に起きた殺人事件の被害者は、夢に出てきた女性にそっくりだった(「死者は瓜二つ」)。 直美は、何度も自殺を繰り返すが、偶然に救われていた。そんなとき、彼女の娘がひき逃げに遭い、死亡する。捜査に乗り出した久我山署の刑事たちは……(「死にたがる女」)。 忍耐と根気、そして巧まざるペーソス、刑事たちの知られざる生態を生き生きと描く傑作警察小説、五篇を収録。 (「真犯人(ホンボシ)」改題) 死者は瓜二つ 花の咲く遺言 尻を叩く女 アリバイ成立 死にたがる女
  • その朝お前は何を見たか<新装版>
    4.0
    妻の隠された 真実を 知る勇気が あなたには ありますか? 最悪の妻をめぐる 物語のラストは、 あなたの心をきっと 救ってくれる。 休日は必ず息子の友彦を連れ、調布飛行場へ行き、ぼんやりと過ごす三井田久志。 実は彼はジェット旅客機のパイロットだったのだが、ある事情から乗れなくなり、今は長距離トラックの運転手をしている。 ある日、関西で起きた女子大生誘拐事件の犯人の声をラジオで聞いて、愕然とする。 それは、息子を置いたまま、蒸発した妻の声だった。 彼は、息子を隣人に預け、妻の行方を捜すそうとする。 第一章 誘拐の声 第二章 追跡の眼 第三章 暗黒の血 第四章 着陸の顔
  • 諸葛孔明(上)
    4.0
    後漢衰微後の群雄争覇の乱世に一人の青年が時を待っていた……。透徹した史眼、雄渾の筆致が捉えた孔明の新しい魅力と「三国志」の壮大な世界。史料の徹底的な吟味によってよみがえる孔明の「志」! 後漢の光和四年(一八一)、琅邪の諸葛家に次男が誕生した。名は亮。四歳のとき、黄巾の乱が起こった。宦官と士大夫が抗争を繰り返した後漢王朝は衰微し、中国は未曾有の動乱期に入ったのである。父を亡くした孔明は叔父にひきとられ、襄陽で青年期を迎えた。覇を競いあった群雄の多くは滅び、袁紹を破った曹操が北方の大勢力となった。万民の幸福を希求し、天下の形成を冷静に分析する「臥竜」孔明の草廬を、荊州の劉表に身を寄せる劉備が訪れる……。透徹した史眼、雄渾の筆致がとらえた諸葛孔明の新しい魅力と壮大な「三国志」の世界。
  • 諸葛孔明(上下合本)
    -
    名作一気読み。史料の徹底的な吟味によってよみがえる孔明の「志」! 後漢の光和四年(一八一)、琅邪の諸葛家に次男が誕生した。名は亮。四歳のとき、黄巾の乱が起こった。宦官と士大夫が抗争を繰り返した後漢王朝は衰微し、中国は未曾有の動乱期に入ったのである。父を亡くした孔明は叔父にひきとられ、襄陽で青年期を迎えた。覇を競いあった群雄の多くは滅び、袁紹を破った曹操が北方の大勢力となった。万民の幸福を希求し、天下の形成を冷静に分析する「臥竜」孔明の草廬を、荊州の劉表に身を寄せる劉備が訪れる……。透徹した史眼、雄渾の筆致がとらえた諸葛孔明の新しい魅力と壮大な「三国志」の世界。

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