学術・語学 - 三砂ちづる作品一覧

  • 撤退論
    3.8
    少子化・人口減、気候変動、パンデミック……。国力が衰微し、手持ちの国民資源が目減りしてきている現在において「撤退」は喫緊の論件。にもかかわらず、多くの人々はこれを論じることを忌避している。 名著『失敗の本質』で言われた、適切に撤退することができずに被害を拡大させた旧・日本陸軍と同じ轍をまた踏むことになるのか? 「子どもが生まれず、老人ばかりの国」において、人々がそれなりに豊かで幸福に暮らせるためにどういう制度を設計すべきか、「撤退する日本はどうあるべきか」について衆知を集めて論じるアンソロジー。 目次 まえがき 内田樹 ■1 歴史の分岐点で 撤退は知性の証である──撤退学の試み 堀田新五郎 撤退のための二つのシナリオ 内田樹 撤退戦としてのコミュニズム 斎藤幸平 民主主義からの撤退が不可能だとするならば 白井聡 撤退戦と敗戦処理 中田考 ■2 撤退の諸相 撤退という考え方──ある感染症屋のノート 岩田健太郎 下野の倫理とエンパワメント 青木真兵 音楽の新しさはドレミの外側にだって広がっている 後藤正文 文明の時間から撤退し、自然の時間を生きる 想田和弘 撤退のマーチ 渡邉格 撤退女子奮闘記 渡邉麻里子 ■3 パラダイム転換へ 『桜の園』の国から 平田オリザ ある理系研究者の経験的撤退論 仲野徹 Withdrawalについて──最も根っこのところからの撤退 三砂ちづる 個人の選択肢を増やす「プランB」とは何か 兪炳匡 極私的撤退論 平川克美
  • 気はやさしくて力持ち
    4.3
    1巻1,980円 (税込)
    子育てにおいて、いちばん大切なことは「子どもに対して敬意を以て接すること」 男の子の親にも、女の子の親にも読んでもらいたい、旧くてあたらしい子育て論。 男手で女の子を育てた内田先生と、女手で男の子を育てた三砂先生。共に「離婚して子どもを育てた親」であるふたりによる、誰も書かなかった子育て論。最優先にされるべきは、「子どもに対して敬意を以て接すること」。いまの時代にあわせてアップデートされた、旧くてあたらしい子育て論にして、すべての子育て中の親たちと、育てられ中の子どもたちへ贈る、あたたかなエール。 「子どもを育てる、ということは、許されることを学ぶことだ、と思います。(…)子どもを持った時点での親の成熟なんて、たかが知れているし、親自身が生きてきた時代と環境とに抜き難い影響を受けながら、なんとか生き延びようとしているような不完全な存在なのですから、かならず、間違います。よかれ、と思ってやったことも、間違っているかもしれない。」(三砂ちづる) 「僕は未熟な親として子育てをしてきて、ある時点で、「子どもを愛すること」と「子どもを傷つけないこと」では、「子どもを傷つけないこと」の方を優先させるべきではないかと考えるに至りました。(…)「子どもを愛しているから」「子どものことを心配して」「子どもの将来のことを考えて」という理由で子どもを傷つける親が実に多いということを骨身にしみて知ったからです。」(内田樹) 子育てって困難でしょうか?/子どもは手離すときがむずかしい/親子関係で決定的に重要なこと/子育てにおける母語の意味/性教育はナナメの関係で/感情のカタログを増やす/親を許すこと、親から許されること/生きているなら、それでいい/一度は死んだもの、と思って育てる/「女の社会」にも「男の社会」にも逃避できること/「〈それ〉を何と呼ぶか」よりも「〈それ〉をどう扱うか」/複雑な現実は複雑なままに/今日を機嫌良く生きていくことができたら/……子育てで悩み迷うひとに響く言葉が満載。 目次 ■第1便 寄り道しながらはじめましょう 第1便A 子育てって困難でしょうか? 三砂ちづるより 第1便B 子どもを手離すときのむずかしさ 内田樹より ■第2便 感情とのつきあい方 第2便A なぜすべてにそう悲観的なのでしょう? 三砂ちづるより 第2便B 親子関係で決定的に重要なこと 内田樹より ■第3便 子育てにおける母語の意味について 第3便A 性教育はナナメの関係で 三砂ちづるより 第3便B 感情のカタログを増やす 内田樹より ■第4便 親を許すこと、親から許されること 第4便A ぼんやりすることで得られる力 三砂ちづるより 第4便B 生きているなら、それでいい 内田樹より ■第5便 家族をむずびつけるもの 第5便A 一度は死んだもの、と思って育てる 三砂ちづるより 第5便B 家族とは「想像の共同体」 内田樹より ■第6便 『細雪』の世界から 第6便A 「女の文化」と「男の文化」の絡み合い 三砂ちづるより 第6便B 「女の社会」にも「男の社会」にも逃避できること 内田樹より ■第7便 野生と文明のあわいにて 第7便A  女性の身体性は取り戻せたか? 三砂ちづるより 第7便B 「産めよ殖やせよ」の逆説 内田樹より ■第8便 「母性」なるものをめぐって 第8便A 母性活性化スイッチ 三砂ちづるより 第8便B 「〈それ〉を何と呼ぶか」よりも、「〈それ〉をどう扱うか」 内田樹より ■第9便 複雑な現実は複雑なままに 第9便A 人間が太古から物語を使って行ってきたこと 三砂ちづるより 第9便B 「真のリアリスト」と「リアリストもどき」を分かつもの 内田樹より ■第10便 「ものすごく気持ちの良いこと」を経験する 第10便A 自分を手放せること/自立していくこと 三砂ちづるより 第10便B 自我が消えてしまう時の解放感と愉悦 内田樹より ■第11便 没入すること、10歳前後であること 第11便A 当時の女の子たちは失神していた 三砂ちづるより 第11便B 師に全幅の信頼を置く 内田樹より ■第12便 長い時間軸の中で考える 第12便A 無条件に愛され、無条件に見守られること 三砂ちづるより 第12便B 大人たちから子どもを守るために学校は生まれた 内田樹より ■最終便 子育てにおいて、時代が変わっても変わらないもの 最終便A 今日を機嫌良く生きていくことができたら 三砂ちづるより 最終便B 親族が存続するために最もたいせつなこと 内田樹より 長いあとがき 三砂ちづるより 短いあとがき 内田樹より
  • ヒトはどこからきたのか――サバンナと森の類人猿から
    3.5
    〈七〇〇万年前、共通の祖先からヒトと類人猿は分かれた〉 ヒトと類人猿の差はなんなのか? そして、ヒトとはなにか。 ──霊長類学の本質と未来を語るサイエンス対談 ---------------------- 「ヒトはなぜ二足歩行をはじめたのか?」 「ヒトはどこで誕生したのか?」 京都大学から始まった〈霊長類学〉は、ヒトと類人猿との違いを見ることでヒトの本質を明かそうとしてきた。 ---------------------- 今西錦司、伊谷純一郎、河合雅雄など、綺羅星のように現れた霊長類研究者たちの軌跡を、霊長類研究者であり、伊谷純一郎の息子である伊谷原一が語る。 話を聞き出していくのは、人間の出産をテーマとしてきた疫学者の三砂ちづる。 ---------------------- アフリカでのフィールドワークや日本でのチンパンジーの集団飼育……人類学としての霊長類学を大胆に俯瞰するサイエンス読み物。 ---------------------- 【目次】 ■まえがき……三砂ちづる 1.ヒトと類人猿の祖先がきたところ ■ヒトと類人猿の共通の祖先が生まれたところ ■ヒトと類人猿を分けるもの ■食べ物から考える 2.霊長類学から生態人類学へ──動物、その社会学的研究 ■霊長類学が始まる ■ボノボフィールドの発見 ■社会学としての霊長類学 ■家族という社会単位の成立 ■生態人類学への道 3.さまざまな施設をつくる ■日本モンキーセンター ■熊本サンクチュアリ 4.研究者になるなんて思ってなかった ■犬山で生まれる ■アフリカに行きたかった少年 ■はじめてのアフリカ行き ■ボノボのフィールドワーク ■ワンバに永住? ■ボノボの孤児・ジュディ ■九〇年代のアフリカ 5.チンパンジーの集団を育てる ■女性は一人で子どもを産めるか ■林原類人猿研究センター(GARI)はこうして生まれた ■野生ではできないことを ■博物館は、研究の成果を伝えられる場所 ■研究所を大きくしていく ■「私にはこの人がいる」と思える ■ヒトとチンパンジーの関係構築のために 6.霊長類とヒト ■GARIだからこそできた観察 ■チンパンジーには短期記憶がある ■生殖行動は見て覚えるもの? ■飼育下という特殊な状況 ■見て学ぶ ■授乳と発情の密な関係 ■大型類人猿の生理サイクル ■交尾と生殖と寿命のややこしい関係 ■チンパンジーの記憶と感情 おわりに ■京大霊長類研究所 ■人類はどこで発祥したのか ■家族を基盤とする人間社会 ■あとがき……伊谷原一
  • 被抑圧者の教育学――50周年記念版
    4.0
    解放の教育学はこの本から始まった ―― 1979 年の刊行以来、増刷を重ねてきた教育関係者の必携書!! 初版発行から50年を経た今、大幅増補を加え50周年記念版として刊行。 教育の視点から「抑圧の文化」に対峙する視点を提示する。 世界中で読み継がれている教育思想と実践の書であり、 常に新しい読者を獲得してきた信頼の一冊。 初版刊行50周年を記念し、 チョムスキーなど世界の碩学がオマージュを寄せた決定版!! 自由の実践としての教育は、 支配のための実践である教育とは異なり、 抽象的で孤立し、世界とつながりをもたない 宙ぶらりんな人間を否定するし、 また人間不在の世界のありようも否定する。 (本文より)
  • ポストコロナ期を生きるきみたちへ
    3.5
    コロナ・パンデミックによって世界は変わった。グローバル資本主義の神話は崩れ、医療や教育などを「商品」として扱ってはならないことがはっきりし、一握りの超富裕層の一方で命を賭して人々の生活を支える多くのエッセンシャルワーカーが貧困にあえぐ構図が明らかとなった。私たちは今、この矛盾に満ちた世界をどうするかの分岐点にいる。この「歴史的転換点」以後を生きる中高生たちに向けて、5つの世代20名の識者が伝える「生き延びるための知恵」の数々。知的刺激と希望に満ちたメッセージ集。 こんなに誠実な大人たちから、地球を引き継げるワクワクをあなたへ。 ──山邊鈴(長崎県立諫早高校3年/「この割れ切った世界の片隅で」作者) 「ウイルス一つによって、わずか数ヵ月の間に、ほんの昨日までこの世界の「常識」だと思われていたことのいくつかが無効を宣告されました。それがどのような歴史的な意味を持つことになるのか、人々はまだそのことを主題的には考え始めてはいません。日々の生活に追われて、そんな根源的なことを考える暇がありませんから。でも、中高生たちはこの「歴史的転換点」以後の世界を、これから長く生きなければなりません。彼らに「生き延びるために」有益な知見や情報を伝えることは年長者の義務のひとつだと僕は思います」(まえがきより) 【目次】 まえがき 内田樹 ■1 Letters from around 30 ポストコロナにやってくるのは気候危機 斎藤幸平 楽しい生活──僕らのVita Activa 青木真兵 これからの反乱ライフ えらいてんちょう ■2 Letters from over 40 君がノートに書きつけた一編の詩が芸術であること 後藤正文 技術と社会──考えるきっかけとしての新型コロナ危機 白井聡 「タテ、ヨコ、算数」の世界の見方 岩田健太郎 支援の現場から考える、コロナ後の世界 雨宮処凛 「大学の学び」とは何か──「人生すべてがコンテンツ」を越えて 増田聡 ■3 Letters from over 50 コロナで明らかになった日本の最も弱い部分──対話・エンパシー・HOME 平田オリザ コロナ禍と人間──私たちはどう生きるのか 想田和弘 台風とコロナ・パンデミックは同じか? 俞炳匡 図太く、しぶとく、生きてゆけ──誰も正解を知らない問題にどう答えを出すか 山崎雅弘 ■4 Letters from over 60 医療が無料であること 三砂ちづる 人生100年時代、ポストコロナはダブルメジャーで 仲野徹 メメント・モリ──思いがけない出会いに開かれているために 中田考 ディレンマの知性 釈徹宗 ■5 Letters from over 70 ポストコロナ期における雇用について 内田樹 自分に固有の問題を考えること 池田清彦 コロナと価値のものさし 平川克美 マスクについて 鷲田清一
  • 三砂ちづるのかけこみ人生相談
    5.0
    「子供が可愛くないと思います」→「可愛いと思わなくて結構です」。 「人間嫌いなのに嘘を重ねてきました」→「もう偏屈なオッサンになりなさい」。 「夫に浮気を疑われ離婚。悔しくてたまりません」→「悔しさはお金で解決しましょう」。 予想もしないところから弾が飛んでくる衝撃の回答は、しかし同時に慈愛に溢れ、読む人を癒し、励まします。 みんなの母さん・三砂ちづるの、心が弱ったときに何度でも読みたいお守り人生指南。 <内容> ◆「子供が可愛くないと心底思います」 回答「あなたはすごくよくやっています。可愛いと思わなくて結構です」 ◆「大学卒業後の進路が決まらず、死んでしまいたいぐらいです」 回答「親御さんに泣きつきなさい」 ◆「娘が生活費を入れてくれません」 回答「あなたが腹を立てているのは、娘にではなく、あなた自身に対してです」 ◆「思いやりに欠ける彼と、このまま結婚していいのでしょうか」 回答「『ろくでもない人との大変な人生』も楽しいものですよ」 ◆「採用面接が苦手な息子にアドバイスをいただけませんか」 回答「立派な息子さんに育ったではありませんか」 ◆「認知症の父の介護でいっぱいいっぱいです」 回答「あなたの事態は打開できます」 ◆「この愛し方、間違っていますか?」 回答「古今東西、女は『男に貢ぐ幸せ』を捨てられません」 ◆「夫に浮気を疑われて離婚。悔しくてたまりません」 回答「悔しさはお金で解決しましょう。お金は愛の流れです」 …ほか、計17点の相談&回答を収録。 ※本作品は、幻冬舎plus(http://www.gentosha.jp)で、2013年11月から2016年3月にかけて連載していた「かけこみ人生相談」の三砂ちづるさんの回をまとめたものです。

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