あらすじ
湯治客で賑わう短い夏も終わり、湯屋『狼と香辛料亭』は秋を迎えていた。山々に囲まれたニョッヒラの秋の味覚を堪能しようと、いつも以上に張り切るホロとあきれ顔のロレンス。山での散策を終え、籠いっぱいの土産とともに二人が湯屋に戻ると、入り口にはたくさんの人だかりが。「なんじゃ、よくわからぬが、色々な獣の匂いがしんす」 湯屋『狼と香辛料亭』にやってきた、時季外れの客たちの目的とは――。書き下ろし短編『狼と収穫の秋』に加え、電撃文庫MAGAZINE掲載短編4本を収録した、湯屋での物語第3弾。
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まさかの商業ファンタジー、楽しみながら貨幣経済や商取引が学べてしまう恐るべき(?)ラノベ!
中世ヨーロッパ風の世界観というと様々な作品がありますが、本作はメインとなる要素がかなり異色。主人公は25歳の行商人ロレンス、武器とするのは商人としての知恵や経験、発想力や交渉術とバトル要素はまるで無し、剣も魔法も使いません。
商人なので勝負事は商売関連なのですが、これがまたどういう訳か物凄く熱い!
騙し騙され裏を読んで裏をかく……全霊を掛けた商売の駆け引きはバトルにも負けない緊張感があるんですねー。
ひょんなことから狼っ娘ホロと旅することになるロレンスですが、この狼っ娘が侮れない。
少女の姿ながら数百年を生きる賢狼で知恵も機転も凄まじく行く先々でロレンスはもちろん歴戦の商人達も唸らせます。しかし普段は飄々としつつ時折弱さや儚さを見せることもあり……二人の行く末にも注目です!
緻密なストーリー構成で推理モノや裁判モノに通じるハラハラ感とカタルシスがあり、それでいて文体はとても読みやすい本作。ラノベを敬遠する人にもぜひ読んでもらいたい一作です!
感情タグBEST3
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Posted by ブクログ
いつか終わりはくるけれど、とはいえ長く続く二人の生活を、様々な味付けで楽しもうとしている感じが良い。燕麦のパンも黒パンも、楽しむ方法はあるんだぞ?といった感じ。
「成就した恋ほど語るに値しないものはない」「幸福な家庭はすべて互いに似かよったものであり…」そんな言葉は間違いでなく、時として感情を揺さぶられることが楽しさであり充実であるのではないか、とすら思える。
ただ、飽きは必ずやってくるもの。このシリーズは21巻があるとすれば話が動きそうだけど、どうかな。
もちろん、ロレンスによるホロをお姫様のように扱いつつの楽しい会話の掛け合いは相変わらず面白い。ホロの言葉の裏に含まれた意味を吟味する辺りは、言葉の機微に疎い私にとっては魔法のよう。