まさかの商業ファンタジー、楽しみながら貨幣経済や商取引が学べてしまう恐るべき(?)ラノベ!
中世ヨーロッパ風の世界観というと様々な作品がありますが、本作はメインとなる要素がかなり異色。主人公は25歳の行商人ロレンス、武器とするのは商人としての知恵や経験、発想力や交渉術とバトル要素はまるで無し、剣も魔法も使いません。
商人なので勝負事は商売関連なのですが、これがまたどういう訳か物凄く熱い!
騙し騙され裏を読んで裏をかく……全霊を掛けた商売の駆け引きはバトルにも負けない緊張感があるんですねー。
ひょんなことから狼っ娘ホロと旅することになるロレンスですが、この狼っ娘が侮れない。
少女の姿ながら数百年を生きる賢狼で知恵も機転も凄まじく行く先々でロレンスはもちろん歴戦の商人達も唸らせます。しかし普段は飄々としつつ時折弱さや儚さを見せることもあり……二人の行く末にも注目です!
緻密なストーリー構成で推理モノや裁判モノに通じるハラハラ感とカタルシスがあり、それでいて文体はとても読みやすい本作。ラノベを敬遠する人にもぜひ読んでもらいたい一作です!
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ 2012年10月01日
いよいよメインストーリーもこれでおしまい。
久々にホロの狼の姿での解決あり、商人的な駆け引きあり、今までの要素全部入りな感じです。
これ本当に話まとまるの?って残りページ数になってからのスーパーロレンスタイムで解決まできっちり持っていくのも健在。
終盤の市壁を閉じるまでのやり取りはロレンスとホロ2人...続きを読むの共同作業なのがとてもよかった。
そして最後の最後でまたおあずけされるロレンス。この物語のメインテーマはは永遠におあずけされる物語だったのかとw
個人的にはミリケは熊の種族の末裔なのかと思った。どこにも描写はないので作者も読者の想像にまかせますって事なんでしょうね。
しかしここまで各巻でストーリーに緩急はあっても長編物語を破綻することなく、人気キャラクターの再利用・再々利用といった商業主義的な手法に陥らずに最後まで書ききったのは素晴らしい。
Posted by ブクログ 2012年02月03日
非常に良かった。
旅の物語なのだから、引き延ばそうと思えば引き延ばせる。
それをだらだらとやらずに終わらせてくれたことがまず良かったと思う。
最後にふさわしい上下巻の長い物語で
目まぐるしい展開で引きこまれたし
かと言って無駄に今までのゲストキャラを出すということもなかった。
個人的にはエーブあたり...続きを読むが出てくるのかと思っていたが。
と言っても今後の番外編に出すので、ということかもしれないが
それにしても今回は今回のゲストキャラだけで話がまとまっているし
納得できる終わり方だったと思う。
ここで? という意見もあるようだが、自分は良い終わり方だと思った。
あとがきにもあるように、ラノベで、ファンタジーな話に商人
はよくある話にしても、それが経済メインの話というのは珍しいだろう。
勿論ナイフを手に取ったり、ホロの協力を得て戦うこともあったが
基本的にはロレンスは自分の力でなんとかしようとする。
商人としての経験や頭脳といった力だ。
ときに涙し、ときに膝まずきつつも戦う姿は
己の仕事や生き方に誇りを持つ紛れも無いプロの姿。
中だれすることなく最後まで面白く読ませてくれて、非常に良かった。
Posted by ブクログ 2011年03月21日
星6つあげたい位、素晴らしい最終巻でした!
特にロレンスがいつも以上に主人公らしかった。
彼は、多くの事に真剣に悩み、もがき、苦しみ抜いて、本当に大切なものを導き出します。
商人の誇りを語る場面や、ホロに協力してもらって演説する場面はジーンときました。
因みに本巻でのホロは、もう最初から最後まで、彼...続きを読む女というよりは奥さんでしたね。
本編はこれで終わりのようですが、エピローグ編が別途でるそうな、楽しみです!
Posted by ブクログ 2017年07月29日
最後の試練は、狼としてのホロの力ではなく、為替証書や聖書の知識など二人の旅の中で手に入れたものの活用で切り抜けたところが良かったですね。
後書きが興味深かったです、作者はもともと経済に詳しかったり関心があるのかと思っていましたが、ラノベを書くために知識を得たとのこと…、努力で勝ち取った売れっ子の地...続きを読む位とのことで見事です。
ホロがいつのまにかベタ惚れモードに突入していました、16巻もかけてようやくきましたね、おめでとう!
Posted by ブクログ 2013年11月23日
本編終了。
フーゴ傭兵団が裏切ってからの展開がどうなるのかと先が詠めなかったし、ロレンスが前半から完全に舞台の脇役に立っていたので不安だったが、最終的に綺麗にまとまったと思う。
デバウかの打刻槌をヒルデが受け取る場面は良かった。ふたりの夢を決して諦めるな!という表現がよく出来ている。
ミリケは結...続きを読む局のところ、どういうものだったのだろう?半分人であることはわかったが・・・?
まさか、月を狩る熊の仔というわけでもあるまい?
これで、本編が終了し、ひとつの物語が幕を閉じるというのはなかなかにして寂しさを感じる。
物語の終わりというのは、そのなかの登場人物ともお別れということだ。
よく作品であるほど、物語の終わりは寂しい。
Posted by ブクログ 2011年05月05日
終盤まで逆転のきっかけがなかったのでこれはバッドエンドか!?ともやもやした。
最終的には大丈夫だったけどコレまでに比べると達成感が薄い感じ。
まぁホロのデレる様が可愛かったので問題ないです。
エピローグも楽しみ。
Posted by ブクログ 2011年03月05日
強欲な資本主義を全うな商人が打ち倒す勧善懲悪。
ただし、そこに主人公はほとんど噛まず、演者は常に周りの者。悪を打ちのめす商人を守る英雄譚は傭兵のリワードのもの、悪を打ちのめす正義の算盤はヒルデのもの、古の神としてジョーカーを演じるのは他ならぬホロ。最後にある見せ場もろくに演じられないロレンスは、...続きを読むしかしこの冒険の答えを早々に出していた。
それは強欲な資本主義に対する、唯一絶対の言葉。
その言葉を忘れた者に、強欲の炎は取り憑いて芯まで燃やし尽くす。
忘れてはならぬ水としての言葉。
Posted by ブクログ 2019年06月28日
本編完結。
追い詰められて絶体絶命の中、違和感から相手をやり込めるある意味いつもの展開。
スッキリとはしているんだけども、もうちょっと頭の悪い自分がラクに楽しめるようにならなかったかな==;
「商いの利益とは誰かを喜ばせて得るものです」という考えは素晴らしく、真逆に金をばらまいて勝負に出た商会を退...続きを読むけたのにはスッキリした。