まさかの商業ファンタジー、楽しみながら貨幣経済や商取引が学べてしまう恐るべき(?)ラノベ!
中世ヨーロッパ風の世界観というと様々な作品がありますが、本作はメインとなる要素がかなり異色。主人公は25歳の行商人ロレンス、武器とするのは商人としての知恵や経験、発想力や交渉術とバトル要素はまるで無し、剣も魔法も使いません。
商人なので勝負事は商売関連なのですが、これがまたどういう訳か物凄く熱い!
騙し騙され裏を読んで裏をかく……全霊を掛けた商売の駆け引きはバトルにも負けない緊張感があるんですねー。
ひょんなことから狼っ娘ホロと旅することになるロレンスですが、この狼っ娘が侮れない。
少女の姿ながら数百年を生きる賢狼で知恵も機転も凄まじく行く先々でロレンスはもちろん歴戦の商人達も唸らせます。しかし普段は飄々としつつ時折弱さや儚さを見せることもあり……二人の行く末にも注目です!
緻密なストーリー構成で推理モノや裁判モノに通じるハラハラ感とカタルシスがあり、それでいて文体はとても読みやすい本作。ラノベを敬遠する人にもぜひ読んでもらいたい一作です!
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Posted by ブクログ 2012年09月15日
シリーズでは太陽の金貨以外では一番好きな巻です。
ホロが今までになくむき出しの感情を見せてしまう場面、ハスキンズの覚悟やホロへの言葉一つ一つがとても心に残り、より深くこの世界のキャラクターが描かれていると思います。
ハスキンズの言葉にはいくつか感動させられましたねぇ。
ホロでも言い返せない人生の...続きを読む重みも辛さも背負った言葉は素晴らしい。
他にも久々にホロに名前で呼ばれるロレンスとか。(フルネームで呼ばれたのは全巻通してこの巻だけ?)
どうしてもホロ>ロレンスだった力関係だけど、ホロにはできないけどロレンスにはできる事で事件が解決されたり。
更にはその単純な力はこの時代では時代遅れなのだという描写がこの先メインテーマになって行ったりと。
この巻からロレンスとホロはお互い対等な関係になり、本当の意味で切り離すことができないパートナーになったのかなぁと思いました。
Posted by ブクログ 2019年06月10日
狼の骨を購入したという修道院まで探しに来て、税が払えなくて王国に買い叩かれるという危機のゴタゴタに巻き込まれる話。
いろいろ手札が揃っているからというのはあるけど、ほんとロレンスはギリギリな状況で魔法のように盤面をひっくり返してくる。
人ならざるものが人に紛れるための苦労が今まで以上によく分かる話...続きを読む。
ハスキンズが肉を食べたと語る場面は鳥肌が立った。
あのホロが若者扱いされるとは。
骨についてはスッキリしたところで、旅の再開を。
Posted by ブクログ 2013年07月06日
海を渡った先の雪の王国ウィンフィールでの物語。
ケルーベ編に比べれば手に汗握るような場面もなく、終止穏やかな展開。
「故郷」というものにひとつの答えを提示している。それは、「新しく故郷をつくる」ということ。
「故郷」がなくなったとしても、新しく「故郷」を作ればいい。
この物語のひとつ終わり方。その伏...続きを読む線なのかとも思ったりした。
今回の登場人物では、羊飼いハスキンズがお気に入り。
仲間を救うために奮闘していたこと、「肉を食べた」ということ。必死さを感じた。
しかし、、、最近、ロレンスは商売を忘れていないかな?笑
組合に入っているから金銭面の融通は利くのかな?
Posted by ブクログ 2011年08月19日
今回出てくるピアスキーとハスキンズというキャラもまた非常に魅力的。
それぞれが『故郷を守る』という言葉は響いた。
故郷に愛着を抱き、なんとしても守りたいと考えるのは、人として当然の概念だと思う。
それを真っ直ぐに実行できなかったり
実行しようとするものがおかしな目で見られたりするのは
やはりどう考...続きを読むえてもおかしなことだと思う。
納得のいく形ではなかったかもしれないが
考えられ得る最善の形で故郷が守られてほっとした。
一点残念だったのが、ヨイツについての引っ張り方がチープだったこと。
ああいうあからさまな書き方は、少なくとも個人的には好きではない。
いつも思うが、短いけれどあとがきが
非常に筆者の個性も出ており、身近に感じられ
簡潔にまとまっていて面白くていいなと思う。
Posted by ブクログ 2014年07月27日
ケルーベの港から船で移動するロレンス、ホロ、コルの2人と一匹。
海峡を越えた先、ウィンフィール王国で狼の脚の骨を探す。
その地は雪に閉ざされていた。
税金を上げたい王国と、強かに反抗する教会、そしてその間で暗躍する商人たち。
税金を払う余裕がない教会に、国からの税の徴収の知らせが届...続きを読むく。
何とかして良い条件を引き出そうとロレンスが動く。
的な流れでした。
あんまり話の進展なかったで、11巻に期待、と思ったら次は旅から離れた短編でした。